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放浪の木刀使い~記憶喪失は主に周囲の人が気にするらしい~  作者: ミコト
人を拾ったのでお持ち帰りします

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44/45

船の上にストリートピアノはともかく弾けないやつが持ってても無駄だと思う

--ナデシコ--

チェルニちゃん曰く、久しぶりだから着慣れておく必要があると言うことでお着替えした服は、まさかの王太子としての正装。

・・・凄く似合っていたのは似合ってたんだけど、ひらりんの顔が引きつってた。

実はひらりんの御両親は、2人揃って衣服関係のお仕事をしてるんだよ。

お父さんの方が生地とか糸を扱う関係で、お母さんの方が実際に切ったり縫ったりする方だよ。

2人ともお仕事関係の契約相手同士だったところからのお仕事付き合いから恋人に発展したタイプだよ。

だから素材の善し悪しや優劣?品質?とか、服を作ったりする技術力?裁縫力?もしっかりひらりんも引き継いでるんだよ。

それもあって大抵のお洋服ならみれば素材の良さや、その服を作った人の腕前くらいは軽く見極めることが可能だったりする。

将来は、ご両親と似たような関係の仕事に就く予定だったんだよ。

その正確さは誤差1割くらいでほぼ当たる。

そんなひらりんが、チェルニちゃんの服を見た瞬間顔が引きつってた。

素材の良さは世界が変わってもあまりポイントは変化がないようだ。


あ、私の両親はゲーム系のお仕事してて、文字通りの趣味を実益に変えたタイプで、出会いは夏コミでコラボして意気投合(2人ともコスプレ好きで自作)。

ヒグラシ君の場合は、実はお父さんはモデルで主にひらりんのお母さんが作った服を着てポーズとってたんだって。

お母さんの方は、アクセサリーを作ったりしててモデルのヒグラシ君パパに惚れられて付き合いだしたんだって。


それを聞くと、ひらりんもヒグラシ君も似たような仕事関係で付き合いだしたタイプばかりだよね。

家の2人は別枠だけど。

・・で、レイ君のご両親のことも聞いたんだけど、ホントに運命の出会いって奴なんだなぁて思った。

だって、博覧会っぽいやつで偶然出会って、互いに一目ぼれ、そして偶然一緒に帰ることになってそのまま友人付き合いからの無自覚な恋人生活、そしてそのまま結婚なんだもの。

軽く本に出来る流れだよね。

・・どうも、聞いてると警察に賞をもらうような活躍をレイ君パパはこなしてたり実際に職業の方でも賞をもらったらしいし、世界的に賞を取ったりするようなレイ君ママらしいからその辺りの苦労話も、2人を狙って寄ってきた人たちのまさかの撃退方法まで含むと普通に本として売れる気がする。(しないけど)


で、話は戻すけど

素材の高級さは元々チェルニちゃんが着てた和服っぽいやつもかなりのモノだったっぽいけど、チェルニちゃんの正装服は、それとは比較するなんておこがましいレベルで高いようだ。

そして、それを作った人もとんでもなさそう。

裁縫だけでもえげつないようだが、どうやら他にも異世界ならではの技術がアレこれとつぎ込まれてるようだ。

むしろどのくらいつぎ込めるか試したんじゃないかって思ってる。

「これにお値段はつけられないって、父様が言ってましたね。」

のほほんとあっさりと現実をたたきつけるチェルニちゃん。

「・・・」

「素材だけでも、バラで、そちらの世界で言うところの天文学的な値段がつくとかなんとか。」

バラ・・・つまりは、1つ1つが想像を拒否したくなるレベルでお高いと・・。

しかも、素材”だけ”ってことは、付与?してる魔法とかちくちく縫ったりする技術的な部分もそれぞれ想像を拒否したくなるレベルでお高いと言うかすんごいってことだよね?

そうだって言ってるようなモノだよね?



うん。

「聞かなかったことにしよう!」

「そうだな!」

私が開き直って言ったらひらりんがのった。

どうやら、許容範囲を超えたらしい。

普段のツッコミ魂すらもやる気がないようだ。

「一応ちょっとやそっとの防具よりは優秀なので多少荒く扱っても問題なようにはなってるので安心して下さい。」

チェルニちゃんがちょっとやそっとのって言うってことはたぶん私たちの想像を遙かに上回る防御力ってことだよね?

想像を絶するレベルで溺愛されてるらしいし、あらゆる方面というかアプローチで軽くてある程度動きやすく、そして豪華で頑丈というテーマを実行してあるに違いない。(基本野良猫様としか呼ばれないらしいけど)

「・・それが唯一の救いだ。」

防御系を高めることと、王族としてふさわしくあるためにというデザインをシンプルというテーマの中につぎ込めるだけつぎ込んでるらしいので着てるご本人曰くその分動きにくいそうです。

デザインは気に入ってるようですけどね。



その弊害というか何というか、廊下をてくてくと歩くチェルニちゃん(いつもおんぶされてるか抱っこされてるけど今日は歩く気分らしい)とそれについて行く私たちだけど通りすがりの人たちが悉くフリーズしていく。

一部の人たちはひざから崩れ落ちて祈りを捧げる始末。


・・・そう言えばレイ君がチェルニちゃんは歩く天罰製造機とか言ってた気がする。(一体何をやらかしたんだろう)

後、アニメとかで有名なエルフやドワーフみたいな一部の種族は、実は妖精族の一種らしく、その妖精族の長である妖精王なチェルニちゃんの存在は神にも等しい特別な存在で崇めるべき存在なんだとか。

しかも、一目すれば妖精王だと妖精族であれば本能レベルで必ずわかるのに加え、私たち人間で言うところの下克上は絶対皆無らしいのでそれはそれは忠誠心も半端じゃないんだとか。


・・なので、チェルニちゃんを目にすると膝を突いて祈りを捧げる人はほんのわずかでも妖精族の血を引いている可能性が高いと考えて良いんだって。


後、こっそり妖精王の能力というかゲームで言うところの権能みたいなその種族、その役職でなければ使えない特別な力ってないのか聞いてみた。

そしたら、

「全世界にいる妖精族へどこにいても命令を出せるくらいですよ。」

「ちなみに拒否されることってあるの?その命令って」

「基本的に拒否するかは本人達に任せますがそんな酔狂な妖精族は聞いたことがありませんね。」

妖精族にとっては上の存在は絶対だからと付け加えるチェルニちゃん。


「妖精族って世界にどのくらいいるの?」

「動植物だったり人っぽかったりと色々いますし数はわかりませんが、植物を除いて、割合で言うと動物であれば4割、人型であれば6割くらいですね。植物に関しては、3割くらいです。」

思ったよりいっぱいいる・・。

何か見た目で違いがあるのか聞いてみたら、

人型は私が知るエルフみたいな人とほぼ同じ扱いだから様々なことが出来るから多様性に長けている。

動物型は、戦闘能力や身体能力に長けている。

植物型の妖精族は常にあらゆる場所の植物たちの意識や記憶を共有することが可能。

そして、妖精王は動植物の意識や情報を受け取ることが出来る。(これがいろんな生き物というか動物とおしゃべり出来る理由らしい)

と言っても、意思疎通が出来る植物は妖精族に該当される個体だけらしいよ。


アレ?

もし、チェルニちゃんが人間は全て敵だーって言ったら、冗談抜きで世界滅びない?

おまけにチェルニちゃん本人もえげつないレベルで強いらしいし、王太子としても個人的な知名度的にも味方はたくさんいる・・・・。



ヤバいじゃん!

冗談抜きでこの子、敵に回したら世界が滅ぶ!


・・・ガチでこの子がそんなヤバいことを考えないように頑張らないとだ。

周りの人たちがチェルニちゃんに過保護になった理由がわかった気がした。

個人の知名度だけでも十分ヤバいのに世界の半分近くが絶対的な私兵がいるようなモノなんだから・・。





とりあえず忘れよう!

ヤバいことは保護者枠らしいツッコミマスターさんに任せよう。

その人なら安心安心。

・・どんな人か凄い気になるけど。



気を取り直して、テクテクと歩くチェルニちゃんがやってきたのは何にもない部屋だった。

正しくは大学とかでよく見るイメージの講義室だった。

あの壁際になればなるほど床が高くなっていって、黒板というかホワイトボードから放射線状に広がってテーブルが設置してあるやつ。

広さ的に・・教室2~3つ分くらい?

その中央辺りにぽつんとピアノがあった。

見た目的に・・グランドピアノ

・・詳しい種類はわからないけど、色は地球でみたような色じゃなくて緑?って言うのかな。

若木の茶色じゃなくてまだ若くて青さが残るような緑っぽい木の色で、すごく優しい色合い。


どうやらチェルニちゃんの目的はピアノらしい。

・・やっぱり弾けるのかな?

教養の一つとかで学んでてもおかしくないし。


・・でも

「ほこってるね・・」

「だな・・すげぇ綺麗で高そうなピアノだからすげぇもったいない。」

「調律とか大丈夫なのか?詳しいことはわからんが」

凄く綺麗なピアノなのにホコリを被っていて凄くもったいない。

後、ひらりんが言うように、音とかもずれたり狂ってたりしないか気になるレベルだ。



ちょうど通りすがったスタッフさんに軽く聞いてみたら、あのピアノは元々アンティーク扱いで置いただけで、実際に弾ける人間が誰もいないから手入れも何もしてないんだそうだ。

更に聞くと、この世界ではピアノという存在は、最低でも地球での最高級のグランドピアノの倍はお値段がかかるほどの高級品で、高級品となると想像を絶する高さになるらしい。

・・当初の船長が見栄を張って購入しただけだそうだ。


「馬鹿だろ」

「だよな。見栄を張るなら他にあるだろ。」

「奏でることすらも出来ないモノを買っただけなんてむしろ買わない方がマシでしょ。ピアノに失礼。」

ひらりんを初め、私たちが言いたい放題言うと、どこからともなく偉そうなおっさんが駆け寄ってきた。

「無礼な!弾くことが出来るモノにしか買ってはならないという法律でもあるのか!」

「そんなことを言い出す馬鹿がいるから余計に買わせたくないのですが。」

即答でチェルニちゃんが言い返した。

「貴様!何様のつもりだ!私は伯爵家の者だぞ!」

いや、なんか偉そうに言ってるけど目の前にいるのは大国の王太子様だから。

「ふぅん」

だからどうしたと言わんばかりにチェルニちゃんは軽く言ってるけどものすごく興味なさそう。

「きっさm」

「さっきからうるさいんだけど?」

「っ!!」

ものすごく寒気のする声と共にガチの冷気が漂ってきた。

それに私も含めて全員がびくっとした。

あのおっさんはと言うと怒鳴り返そうとしてたっぽいけど私たち以上にびくっとして言おうとした台詞を飲み込んでたけど、チェルニちゃんは全くのノーリアクション。(むしろガン無視してる)


・・・強いなこの子。


で、さっきから隣から凄い冷気が漂ってくるからそぉっと振り返ってみるとものすごく寒気のする笑顔をレイ君がしていた。

いや・・あの・・かっこいいけど、そのいろんな意味でゾクゾクする笑顔・・出来る人存在したんだ。

ヒグラシ君も私同様にレイ君をみたんだけど速攻で視線を逸らして見ないフリをした。

ひらりんはレイ君を見た瞬間にそぉっと距離をとって頭を抱えている。

苦労人ご苦労様。

「s」

「さっきからさ、この子が誰かわかった上で言ってんの?」

「d」

「この服装をみて、髪と目の色をみてもわかんないとかさ、ホントに貴族なの?」

服装は確かにものすごく豪華で質が良いから素人の私がみてもただ者じゃないのはわかるけど、チェルニちゃんの髪と目の色って何か特別だったりするのかな?

服には肩と胸元、背中側にクリアネス王国の王族のマークらしい杖を持った妖精のシルエットが描かれてるし。

この模様は、初代クリアネス王国の王様が妖精王だったことと、魔法が得意だったことでそれをモチーフにしてるんだとか。(それもあってクリアネス王国は妖精を信仰する人が多いそうだよ)

確かに綺麗な白髪・・に少しだけ紫っぽい色が混ざってる色はホントに見惚れるし、

目の色なんて、満天の星空をギュッと押し込めたみたいな凄くキラキラして綺麗だけど、異世界人なら時々あったりするのかなぁと思ってた。

確かにいろんな色の人たちはいたけど、同じ目と髪の色の人を見たことないけど。


で、レイ君相手が一言も喋ることを許さずに物理的に冷気と威圧をぶつけながら凍える笑みで相手に言葉の千本ノックをかましている。


「・・・!?」

で、チェルニちゃんをじぃっと見た瞬間目を見開いてフリーズ。

「わかったみたいだね?けどさ・・もう暴言吐いた時点で終わりだよ。」

「m」

「一生凍えてろ。」

絶句してフリーズして何か言い訳を言おうとしたっぽいけどレイ君慈悲を与えるつもりは皆無らしく速攻で氷像にしちゃった。

で、紙にさらさらっと何か書いたのを氷に貼り付けてる。(お仕置き中と描いてあった)


「さて、チェルニちゃん。」

「ん?」

「慰謝料代わりにそのピアノもらっちゃおうか。」

「良いの?」

「大丈夫。全部そのおっさんが悪いんだし、宝の持ち腐れなんだから。それに、チェルニちゃんなら有効活用出来るでしょ?」

「ん」

どうやらレイ君、ピアノを慰謝料代わりにもらうことにしたようだ。

良いのかな?

けど、チェルニちゃんのファンクラブが闇討ちにやってくるくらいならそのピアノはどのみちそのまま放置されるだろうしもらっても問題ないよね。

後に現船長さんがどうぞどうぞと喜んでくれた・・扱いに困ってたらしい。



ちなみに余談だけど、あのおっさんは通りすがりにチェルニちゃんに祈りを捧げてた人たちがどこかに引きずって行き、どこかの鉱山に10年ほど強制労働させるために押し込まれたようだ。

所持していたアレこれは全て売却されてお金はチェルニちゃん宛・・と言うより、クリアネス王国宛に。

これは、おっさんを連れて行った人たちがクリアネス王国に報告したことで溺愛してるらしいチェルニちゃんママがガチギレした為、献上品というわけ。

正しく言うと、あのおっさんに与えられた刑罰を含めて見せしめというか、生贄になっただけ。

ママさんの暴走で国が消えるならおっさん1人消えた方が傷は浅いとなったようだ。

そもそもクリアネス王国を敵に回すとか馬鹿じゃねぇの!?とそのおっさんの産まれ国の王様は嘆いたらしい。

そのときにチェルニちゃんパパが頑張ってママさんを宥めたからその人だけで済んだけど、そうじゃなかったら被害はその人の諸国にまで及び、国が滅んでたんじゃないかと言われたようだ。(実は滅ぶ寸前まで仕返ししてたっぽいけど)





気を取り直して・・と言うか一切スルーしてたチェルニちゃんはとりあえずピアノの掃除から始めるようだ。

「チェルニちゃん手伝うよ。」

「俺らもやる」

「指示してくれればやるぞ。細かいパーツ部分は素人がどう扱って良いかがわからん。」

「ナデシコは、これでピアノに浄化魔法を。ヒグラシは私がパーツを外していくのでそれを片付けて下さい。ひらりんは私が言う交換用のパーツを準備するのでそれをとって下さい。全員この手袋をつけて。」

チェルニちゃんのバッグにはピアノの交換用のパーツまで入ってたようだ。


浄化魔法を扱うことの出来る指輪を受け取った私はそれを指につけて魔力を注ぐ。

すると、透明でキラキラした光が手をかざした先にあるピアノを包み込む。

しばらくするとホコリや汚れは綺麗になくなった。


おぉ。

浄化魔法は呪いとか穢れや軽い病気くらいなら祓えるし、掃除にも使えるって聞いてたし、魔力を込めればそれだけ頑固な汚れも取れることも聞いてたけど便利だ。

・・後でこの指輪もらうか購入出来ないか聞こう。

私自身の力でも浄化魔法は使えるけどこの指輪は私の倍くらいの出力だからこれ使った方が魔力の消費は凄く減らせるし、私がいなくてもひらりんやヒグラシ君でも扱えるから便利だし。

それから、テキパキとピアノの中にあるいろんなパーツを取り外しては、合間合間で私が浄化魔法で綺麗にして、交換用のパーツを取り付け、を繰り返す。

レイ君は、汗とかがピアノに付いたりしないように冷気で冷やしたり、邪魔が入らないようにしてくれてた。



そして、1時間ほどで一通りの掃除とパーツ交換が完了した。

チェルニちゃんが鍵盤をいくつか押したり交換したパーツを弄くりながら音を確認して、しばらくしてから頷いた。


・・チェルニちゃん、調律も出来たんだ。


「おぉ。綺麗になったら余計にこのピアノのすごさが増した気がする。」

「綺麗だよなぁ、あの映画に出てた森の中にあるピアノっぽい。」

「見違えたな。」

「みんなお疲れ様。」

レイ君から、飲み物をもらう。

「ありがと、レイ君も見張りありがと」

「サンキュー」

「あんがとさん。地味にアレ邪魔者が入ったら面倒そうだったしな。」

果物を搾って、港で購入したミルクを混ぜたオレっぽいやつ(果物の種類はレイ君の趣味で変わる)と、

純粋なフルーツジュース(レイ君が絞って作ったやつでその日によってどういうブレンドかは変わる)と、

薬草とか野菜を調合して作った薬湯(味としては緑茶に近い)

の3種類。

しかもレイ君のお手製だから良い感じに冷えてる。(要望次第ではシャリシャリとシャーベット風にもしてくれる)


1種だけ選べってワケでもないけど、ちょっと量を少なくしてオレっぽいのと緑茶もどきの2種類をもらったけど、おいしかった。

ジュース飲んだ後は無性にお茶が飲みたくなるんだよね。

この緑茶もどき、地球で言うと濃い緑茶に近くて、個人的に気に入っててご飯の時によく飲んでるんだぁ。

色々と調合されてるから栄養も豊富だし、美肌効果もあるんだよ。

特に脂っこいやつを食べるときに凄く合うんだよ!

ひらりんは、緑茶もどきだけもらってた。(ひらりんもこれ気に入ってると言うか元々趣味が渋いものが多い)

ヒグラシ君は、果物2種。

ヒグラシ君は私以上に甘いの好きだからね。

私も好きだけど。

ちなみに、今回はフルーツジュースは柑橘系。

オレの方は、林檎っぽいのをベースにしたものでした。


ちなみにチェルニちゃんは、普通のフルーツジュースを飲んでた。(ちまちま飲んでるところもかわいい)

「チェルニちゃん、調律も出来たんだね。」

「自身で出来ないといざ演奏するときに音がずれていたら楽譜の確認が出来ませんから。」

「なるほど。」

確かに人を探す暇があれば自力で出来るようになった方が効率的だ。

「ピアノ弾くん?」

「シャルが私のピアノを昔から好むので。」

どうやらシャルちゃんのおねだりだったようだ。

「まぁ、クリアネス王国の司祭の資格を持つ者としては、弾けなければならないのもありますが。」

「ん?どういうこと?」

「司祭って教会に勤めてる人の役職とかだったよね?」

コクリと頷くチェルニちゃん。

チェルニちゃんがそう言う資格を持ってるのは知ってるけど、それとピアノを弾くのって関係あるの?

「我が国の教会では、週に2~3回ほど賛歌を歌うんです。参加は自由ですよ。」

「あ、そのときの伴奏?」

「そうですね。昔は、ピアノを弾ける人を別で雇っていたそうですが、途中で協会の関係者が弾けないのっておかしくない?と思う人が増えた結果、協会内でも一定以上の役職に就任するためには必ずピアノを寝ぼけていてもどの曲でも弾けなければならないと言う条件が増えました。」

「それ、かなり難易度高くないか?」

「よその国に行けばピアノは弾けなくても就任出来ますよ。」

「クリアネス王国だけなの?」

「そうですね。よそだと月に数回賛歌が歌われていればマシなレベルですし、我が国の教会には世界有数の規模のパイプオルガンがあるんです。観光にもなるほど有名なのですよ?」

「へぇ」

聞くと、教会自体もステンドグラスの規模が凄くて、建物も凄く綺麗だから見物らしい。

・・是非クリアネス王国に着いたら行ってみよう。

「その関係もあって私は楽器ではピアノが最も得意だったりするんです。元々、王族としての嗜みとして習ってもいましたが。」

「なるほど。」

チェルニちゃんがひっそりと身につけているロザリオのネックレスと凄く長いお念珠(確か本式数珠だったかな)はそんなクリアネス王国でその一定以上の資格を持つという証であり、教会主催の行事を進行したり祈りを捧げたりすることが許されている証でもあるんだって。


そして、私たちがいる部屋(大広間って言うべき?)にチラホラと暇を持て余した人たちがひっそりと集まってきて空いてる席に座りだした。

どうやら、この世界ではピアノを自在に弾ける人はかなり珍しいらしく、音楽鑑賞の趣味があろうとなかろうとまともに弾ければ興味対象という感じのようだ。

で、少し前にレイ君の凍える笑みを実は偶然みてた人もチラホラ混ざってるらしくその人達のおかげで集まってる人たちは非常に静かである。


そんな注目されまくってるチェルニちゃんはと言うと、華麗にスルーしてピアノを弾き始めた。

シャルちゃんはピアノの淵にぴょんと飛び移って特等席でチェルニちゃんの演奏を聴いてる。(猫にしか出来ない特等席だよね)


そんなこんなで弾き始めたチェルニちゃん。

周りも音楽の趣味が皆無な人でさえ聞き惚れてしまう腕前。

・・そんな弾いている曲に私は凄い聞き覚えがあった。

「・・何の曲だっけ」

小声でぽつりと言うと、ヒグラシ君も同意見だったらしく首を傾げてる。

そんな中、ひらりんが小声で教えてくれた。

「チャイコフスキーのくるみ割り人形だろ。」

あぁ・・そうだ。

って、ひらりん良くわかったね。

そう言えばひらりんってピアノの曲聞くの昔から好きだった。

それがバッハだろうが、現代風だろうが割と雑食だったけど。

とか言ってる間に曲変わった・・。

これも聞き覚える・・何だっけ

「・・トルコ行進曲」

ひらりんがぽそっと教えてくれる。


その後、コロコロと曲が変わるたびにジャンルは大幅に変化していった。

十いくつもシリーズもので出てるような大ベストセラーなゲームのがいくつかと

24時間だったりするテレビでここ数年だとその曲は定番だよねってなる人の曲だったり

ガッツリアニソンだったり

と思ったら、私たちの上世代のだったり

とか思ってたら声優シリーズ・・・・。

そして、東方まで。



・・・・



・・チェルニちゃぁん?

今は耳が幸せで何も言わないけど、異世界とは全く無縁なはずの子がなぁんでガッツリ異世界文化を知ってるのかなぁ?




で、そこからチェルニちゃんからのまさかの追撃。

「~~♪」

ピアノ伴奏(自力)と合わせて歌い出した。



「!?」

「!?」

「!?」


一緒に聞き惚れてる人たちに迷惑になるから口に出さないけど私たちは3人揃って絶句していた。


なんで、歌ってるご本人と一寸狂わぬ全く同じ声が出せるの!?


確かに音域が広いのは知ってたよ?

歌がうまいのも知ってたよ?

ガッツリ譲歩して異世界の曲を知ってるのは置いとくよ?(置いておきたくないけど)

けど、男性だろうが女性だろうが問答無用で完璧に同じ声を模写するなんて想定外なんですけど!?

どう考えても知ってないと出来ない芸当だよね!?


完璧に同じ声だよね!?

これが声帯模写!?

視線でひらりんとヒグラシ君に訴えると同感と賛同の視線が返ってきた。


まさかチェルニちゃんがそんな特技を持っているとは・・。

器用で多才な子だとは知ってたけどこれは予想外なんですけどぉ!?



あ!

そう言えば、もう1人私たちと同郷いた!

どんな反応をしてるのかすっごいみたい!と言うかめっちゃ気になる!

バッ!っと、ひらりんと揃ってレイ君をみた。


すると


「・・・」

「・・・」

なぁんで、驚きもせずにノホホンとした感じでチェルニちゃんの歌を楽しんでるのかなぁ?

なんでびっくりしないの?

そのただ凄いねぇこの子みたいな視線は何?

レイ君、その曲知ってるよね?

知らないはずないよね?

私知ってるんだよ?

レイ君、それなりにオタクだから割と広範囲で曲聞きながらコーヒー店巡りするの趣味なの知ってるんだからね?

レイ君大物過ぎない?

学校にいた頃は気付かなかったけどレイ君割とおおらかというか、芸人殺しですか?

圧倒的なリアクションを求めるオーバーなフリにノホホンと微笑んで相手の精神を殺す系ですか?

それか学園祭でお化け役の人が頑張って脅かしてるのに頑張ってるなぁと微笑ましそうな視線を向けるだけで一切反応せずに無自覚にお化け役を撃退しちゃう系ですか?

そんなだからオカンって呼ばれるんだよレイ君。


もしかしてアレですか?

レイ君の御両親、聞いた感じだとかなり見た目詐欺系&ギャグ系の芸人みたいな2人だったっぽいからその反動ですか?

子供の方が親よりも年上に見えて、子供が親の保護者みたいな感じに周りに思われちゃう感じですか?

・・・どうしようめっちゃしっくりくる。



ちなみに、ひらりんとは前に言ったけどいとこ同士だから腐れ縁でつるんでる感じだけど、ヒグラシ君とはオタ友だよ。

だからヒグラシ君と割とツーカーなのは趣味が似たもの同士だから。

ひらりんとヒグラシ君は幼馴染みなんだよね。

近所に住んでるし、気が合うみたいその2人。




で、すっごい小さい音だけどグスッっと泣きそうな声がどこからともなく聞こえてくるけど、私以上にチェルニちゃんの絶技にヒグラシ君は感動して限界化しておられる。(私も感動してるけどこうなるほどじゃない・・ギリ)

周りに迷惑という理性は残ってるらしくタオルで鼻から下を覆って(むしろ押さえつけて?)うるうるしておられる。

それをみたひらりんは・・・そっと視線を逸らし見なかったことにした。








それから、追加で1時間ほどピアノを弾いて満足したチェルニちゃんに観客達はチップをチェルニちゃんの前に積んで足取り軽く満足そうに去って行った。

あれぇ?

これ路上ライブか何かだったっけぇ?

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