移動開始と、クリアネス王国のヤバさ(byひらりん) ※挿絵
--レイ--
「はぁ・・・」
ひらりんのものすごい深いため息を聞きながら俺たちは、拉致加害者の国を出発したよ。
「りんは、なんでそんな深いため息吐いてるの?」
ひらりんと呼ばれるのをとんでもなく嫌がるので、妥協案としてりんと呼ぶことになりました。
時折ひらりんとうっかり呼んでしまうとすっごいジト目でひらりんいうなとツッコミしてくるけど。(口先だけです)
「ため息も吐きたくなるだろ・・。そのちみっこへの賠償金をどうするかとか特にな。」
ちみっこと呼ばれてるのはチェルニちゃん。
一応一国の王太子を拉致した形になるので賠償金がクリアネス王国とは別口で発生するわけだけど、この子は物欲がほぼ皆無。
と言う感じで何渡そう?と言うところで、プイっとそっぽ向いて相手してくれないのでそれはそれは苦戦したらしい(周りが)
--ひらりん--
ったく・・。
賠償金を渡すって部分で出発の時間がかかるって何なんだよ。
で、何になったかって?
クリアネス王国への賠償金に上乗せじゃなかったのかって?
上乗せなんてあの拉致加害国の誠意の上乗せって認識にしかならないから結局別でちみっこに用意しないと王太子に何もしてない屑の国としか思われないんだよ。
何せ、やらかした対象が世界中で上から数えたら片手で収まるレベルの実力国家。
しかも、その国である意味一番偉くてヤバい相手である、王太子。
おまけに、レイの話によるとファンクラブどころか親衛隊っぽい連中が世界中に蔓延ってるのに加えて、ちみっこの国内の連中は全員がちみっこを溺愛してるらしいので、敵に回すと一番ヤバい相手だ。
王太子なんて身分は別として。
で、結局かろうじてちみっこが興味を持ったのは知識だった。
あの国が散々悪用した知識がみっちり詰まった書類関係を1つ残らず譲渡することと、
あの国でそこそこ伝わっている様々な教本と歴史書をこれでもかともらうことになった。
後は、ちみっこの逆鱗が相当怖いのか何なのか、いろんな特産品も渡された。
と言っても、国を出た時点でちみっこは既にあの国にある本の8割は読み尽くしており、手持ちの金で読んでなかった分をまとめ買いしてたり、いつの間にか仲良くなってたやつから色々と書かれた書類をもらってたりしてたが。
つまりは、ほぼ自力で収集済みのようなモノだったが、結果として他国の知識を自国のためにもらったような感じになったようだが賠償金がそれ以外に用意出来なさそうだったので全員が見なかったことにした。
で、レイもれっきとした被害者だ。
そっちに関しても、ちみっこ同様に欲しいものが皆無だったから、金と特産品を中心にちみっこ同様に様々な教本を渡されることになった。
たかが教本
されど教本
一応この2人に渡される教本の内容は被らないように、そしてなるべく多くという感じで工夫されてはいるらしい。
後、俺ら異世界人3人に関しては、武具に旅道具に収納道具に実戦訓練に金と魔道具各種をもらうことになった。
どれも高級品だったり素材が凄くよかったりって感じだ。
当然着替えとか、装備のメンテ用の道具とか食料とかの所謂消耗品もかなり大量にもらえた。
ちなみに、あの国の特産品で最も人気が高く有名なのはチーズだ。
と言うより、乳製品関係が多く、その中でチーズが一番人気だと言った方が正しいな。
正直、チーズをたっぷりと溶かし込んだ具だくさんのシチューが凄くおいしかった。
ナデシコは、チーズ控えめホワイトソースたっぷりのグラタンをお気に召しており、
ヒグラシは、元々パン好きだったことも影響して、クロックムッシュというホワイトソースを使ったホットブレッドをお気に召しており、簡単なレシピを聞いて教わってるほどだった。(パンの焼き方と作り方まで教わってた)
そんな中で、レイは料理人と仲良くなってたこともあってかなりの種類のレシピを教わり、お返しに自身の手持ちのレシピをいくつか渡したりと料理人としての交流をしていたようだ。
それによって、ナデシコとヒグラシがレイの料理スキルが上がって喜んでた。(完全に料理人として認識されてる)
チーズの種類も色々あったから、これを良い機会だと色々と大量にもらった。
で、ちみっこがシレッとチーズ作りを生業としている人と仲良くなったらしく数種類ほど作り方や、保存場所についてのアドバイスなどをもらってたので、クリアネス王国でチーズを作るやつが出てきそうだ。
正直想像以上においしくて驚いた。
俺、チーズの匂いが口の中から広がるから苦手だったんだが、癖がほとんどなく俺がそれを全く気にしないレベルのものばかりで凄くおいしかった。
そう言う部分が強い種類もあるらしいが、俺みたいなのは意外と多いらしく、癖が弱いタイプをメインに作る人が増えた結果がそれなんだそうだ。
とはいえ、全くいないわけじゃないからごく少数で、俺も知ってる普通のタイプやかなり癖の強いタイプも作ってるらしいがそっちは、玄人向けみたいな扱いになっている。
話は戻るが、俺たちはとりあえずゴタゴタしたが無事に国を出発することが出来た。
ファンタジーの定番のように木の棒と木の盾に革の服にお金をちょびっとではなく、
しっかりとした装備にガッツリ大金をもらって。
「ひらりんは、短槍の二刀流がメインなのにどうして長槍を使ってるの?」
「・・・」
ちみっこは相変わらず俺のことをひらりんと呼ぶ。
何度言っても直してくれないのでこいつに関してはあきらめた。
・・他の連中には呼ばないように言うが。
「・・なんでそれを知ってる。」
こいつの前で全く扱ってなかったのに。
確かに今使ってるのは短いタイプではなく長い槍としては一般的なタイプだ。
これを、左右どちらでも自在に操れるように鍛錬のつもりでワザと不得意な長さのを左右それぞれで片手で扱ったりと普段からしてたわけだが、何故見たこともないはずのちみっこが知ってる。
「私と似た動きをしていたからと言うのありますが、体つきや動き方でわかります。」
・・・こいつ、マジであの実力国家のトップなんだと実感させられたよ。
と言うか似た動き?と首を傾げてるとレイからちみっこも2刀流を得意としてると言われて納得する。
「見てわかるものなのか・・。」
「そのくらい出来ないと初見の相手に狩られるじゃないですか。」
・・凄い殺伐としてるし、気持ちはわかるが、そんな芸当が出来る生き物を俺は漫画やアニメ以外では見たことがないが・・探せばいるもんなんだな。
「あ、そう言えば良いのがあった。」
そう言ってがさごそとちみっこは自分専用のマジックバッグを漁ると2つの短槍を取り出した。
あちこちに控えめだが凄く上品な刻印や彫刻がされているが素材がどれもかなり高品質なのは素人目でもわかる。
それに、俺の理想的な長さだ。
色は・・・。
「なんで透明なんだ?」
柄も刃も全部透明。
「あげる。」
「・・そんな手軽に渡しても良いモノなのか?」
「レポート提出をしていただければ。」
レイの話によると、クリアネス王国で作られたこれを主にちみっこへ渡し、そこからちみっこが扱うか、ちみっこがそれを扱うに適していると認定された人に渡され、使い心地を確認させるんだとか。
で、この武器を俺が指名されたと。
「あぁ・・テスターか。了解。」
「それに魔力を流せば完了です。」
「あいよ。」
言われたとおり2本とも左右に握って魔力を流し込む。
すると、俺の属性魔法である炎を彷彿とさせる深紅に色が変わっていく。
見てるだけだと、何というか水晶がだんだん違う宝石に変わっていくように見えるから綺麗だな。
「完全に色が変わらなくなるまで流したら完了なので頑張って下さい。」
「はぁ・・あいよ。」
1時間後
「ぜぇ・・ぜぇ・・。終わったぞ。」
やっと終わった・・。
どんだけ魔力を吸い取るんだよこいつは!!
おかげで、無色透明だったのが綺麗なガーネットみたいな深紅になったぞ?
「わぁ!凄い綺麗!」
「確かに・・アンティーク?」
こいつらは・・こいつらでのんきだなぁ!!
言いたいことはわかるが!
「ちみっこ・・これは何なんだ。」
正直この槍からえげつない気配を感じるんだが・・なぜか安心感的なモノも感じるが。
「人工的な魔剣を作ってみたいという好奇心による実験の元、偶然産まれた失敗作です。」
「は?」
「素人目だけど、凄そうな感じなんだけど失敗なの?」
「私も思った。」
「で、なんで失敗作が俺にぴったりなんだ?」
このちみっこは、ただ者じゃないのは知ってるから何かしらの理由というか確信はあるんだろうが、失敗作を渡される身としては凄く気になる。
「これ、ちょっとやそっとの属性では効果をろくに発揮しないので。」
「は?」
「ちょっとやそっとって、具体的にどのくらい?」
「基本属性の数倍は最低でもないと、全く役に立ちませんよ。」
「ちなみにどんな感じになるの?」
「火属性であれば、根性でかろうじてなんとなく生暖かくなり、水属性であれば頑張ったらなんとなく周囲がじめっとして、風属性だと気合いを入れたら部屋の湿度が下がります。」
俺たち「・・・」
「何その便利グッズ。」
「最後のは、洗濯後に欲しいかも。」
おいそこのロリコン娘。
危険物で、武器を家庭用品扱いすんな。
「あ、それでリンだとよかったんだ?」
あぁ、そういうことかよ。
「あぁ・・俺のは炎。普通の火属性の上位版で称号とかスキルの効果で威力が高いからな、そりゃあ上手く発揮するだろうよ。」
「アレ?それなら他にも扱えそうな人がいる気がするんだけど、なんで失敗作なの?」
「作成時に、ほんの少しでも魔力が込められてしまうと込めた人の属性に染まってしまうからです。」
「はぁ!?」
「何それ!?」
「作成難易度高すぎない!?」
「それと、複数の属性が込められると一切効果を発揮しなくなり、魔力の込め直しも作り直しも出来なくなります。」
「うわぁ・・・」
「何それヤバ・・作成するときのコストが半端じゃない。」
「後、その武器は上書き不可なので一度込めると込めた時点よりも強くなったからと言って同じ属性で、所持者が込め直しても全くの無駄です。なので、例え強力な属性を持っていたとしても本人の実力が対したことがなければ先ほど例題に上げたようなしょうもないアイテムにしかなりません。」
「うわ・・それって、自分の才能にあぐらかいてるやつにはただのおもちゃにしかならないってことじゃん。」
「そうなると、リンってある意味運がよかったんだね。」
「マジで運がよかったわ・・。で、失敗作って言うんならまだなんかあるんだろ?」
「今回のことを例題に上げると、ひらりん以外の人がその武器に触れようとするとその人の魔力を無理矢理奪い取った挙げ句周囲に無差別に炎をまき散らします。本人の意思を無視してその人の保有魔力が根こそぎなくなるまで手から離れることも出来ません。」
俺たち「・・・」
「かろうじて焼死体にならずに生きてるくらいではないでしょうか?巻き込まれた人は死んでるかもしれませんが、武器が生き地獄を味あわせたいという意味もこもってるらしくまともな生活を送れなくなるくらいボロボロになるそうですよ、色々と。本人は、絶対に死なないようです。」
俺たち「・・・・」
マジでやべぇじゃねぇか。
すると、ナデシコとヒグラシがすすすっと俺から距離をとった。
主に俺が手にしてる武器から。
・・それが正解だと思う。
「マジでやばい物体だな・・。そんなの作り上げて大丈夫なのかよ、色々と」
とりあえず、専用の鞘があるらしく一緒にもらったが、取り扱い要注意だな。
・・かっこいいな。(この色好きなんだよな)
「それが判明して作った本人は、作るのをやめて様々な素材研究に没頭するようになりました。」
「なぜに素材?」
「どの素材だとどういう魔法と相性が良いか、どれと組み合わせるとどういう効果を発揮出来るかと言う紅茶の茶葉のブレンド並みに楽しく沼にはまってます。」
「そうか・・。」
確かにキリがなさそうだしな・・。
「ちなみにその人は、無属性魔法の属性さんだったりします。」
「無属性?」
「珍しいの?」
「珍しいですよ。例えば、ひらりんの炎属性が10万人に数人、ヒグラシの2属性持ちが1万人に1人くらいと仮定すると、1000万に1人いるかどうかという確率になります。」
マジか・・。
「その前に無属性ってことは、基礎として教えられたけど身体強化と魔力を外に放つ遠距離攻撃みたいな基礎的なことしか出来ないってこと?」
「簡単に言えばそうですね。彼は元々貧乏な村出身で家族を養いたい一心で冒険者としてあちこちを転々としてました。」
ちみっこの話によると、その人は基礎である身体強化と魔弾と通称呼ばれる魔力の球を相手に放つ遠距離攻撃の2つしか扱えない為、あちこちで不遇な扱いをされていたらしい。
それでもあきらめずに剣や槍、盾にナイフの扱いと言った技術面を鍛え、
野営などで重宝するような様々なスキルを身につけたらしい。
「そして、自身の努力の結果、周囲の探知や瞬時に魔力を全快に回復させたり、魔力で武具を一時的に作り出したり出来るようになりました。他にも、人同士の交渉や、貴族相手にするためのマナーに、薬の調合に武具のメンテナンス、大工に執事に料理人、2刀流から裁縫と属性を問わない類いであれば片っ端から身につけました。」
「マジか・・」
「凄い・・。」
凄いじゃないか・・その人。
俺だったら即スカウトするぞ。
無属性だったとしても所謂縁の下の力持ちとして凄く欲しい人材じゃないか。
それでも、属性魔法が使えないということで不遇の扱いはなくならなかったらしい。
「何それ酷い・・。」
「チェルニちゃんがそう言うってことは、その人のが身につけた技術って素人に毛が生えた程度じゃなくて普通にそれぞれの職で十分実用出来るレベルは最低でもあるってことだよね?」
「そうですね。なんなら、身体強化だけで相手の武器を無傷でへし折ったり、魔弾だけで数百メートル先の金属に穴を開けるくらい容易くこなしますよ。」
「すげぇ・・。」
「強い・・。」
基礎の技術をそこまで向上出来るなんてそれだけで十分すぎるだろう。
そいつを無下にしてる連中は何を基準にしてるんだ?
正直に、はっきり言って馬鹿だろ。
「まぁ、凄く優秀なのに生まれ持った素質で不遇の扱いを受けていた彼ですが、偶然我が国に当時パーティを組んでいた人とやってきてまして、ちょうど追放されてました。」
彼はものすごく働き者で悪い点は一切なかったというのに無属性だから役立たずだと一方的に責め立てられて追放されたらしい。
「それを私の目の前でしてるので、そのまま城にお持ち帰りしました。」
「おい」
手軽に人を拾うな。
「・・私もチェルニちゃんにお持ち帰りされたい。」
ナデシコは黙ってろ。
「彼の優秀さは見ればわかりましたので、私の元でその力を十全に発揮してもらうことにしたんです。かなり器用で多才だったので、各部署が彼を欲しがりまして、最終的に魔道具を作ったり研究したりする部署に配属することになりました。」
「ちなみに追い出した連中は?」
「私の身分を知っていたらしく色々彼を馬鹿にしつつ自分を持ち上げていて鬱陶しかったので、シャルがビームで黙らせてそのまま周りの方に私の敵だと一言言っておきました。」
「うわ・・チェルニちゃんが敵って言った時点でクリアネス王国全員が敵に回ったようなモノじゃん、やばぁ。」
・・ファンクラブどころじゃないえげつない連中がわんさかいるらしいからな・・その一言はそりゃあ効くだろ。
・・ん?
ちょっと待て。
「その黒猫が、ビームで黙らせた?」
「うん」
「どうやって」
「口からずばーっと。」
俺たち「・・・・」
どういうことだとレイに視線を向ける。
「シャルって、口からビームを出すらしいよ。俺は見たことないけどツッコミマスターがシャルは短気だからちょっとでも気にくわなければ速攻で口からビームを出すって。」
「・・・」
「食らわない方が良いよ?威力は、災厄レベルの魔物に穴が手軽に空くらしいし、空に浮かぶ雲に穴が空くくらいの射程距離だから。」
「強い!?」
「ただのにゃんこじゃなかった!?」
マジか・・・。
「ここまで話をすれば話の流れでなんとなく気付いたのでは?」
無属性
研究者
ちみっこが雇った。
「あ!そうか!」
「この武器を作ったのが彼なんだね!?」
「そういうことです。その武器は属性魔法に影響されるので彼のような無属性魔法の属性持ちであれば全く影響を受けないので、ある意味彼にしか作れない作品ですね。」
「確かにぴったりだ。」
「ちなみに、その人ってチェルニちゃんの国だとどのくらい成り上がったの?」
「手先の器用さと多才なところから、あらゆる部署で人不足になったときに即戦力になる上に、大抵の魔道具の修理は手早く出来るので上の中くらいのポジションにいますよ。時折、城下町のお店でヘルプをしてましたが。」
「忙しそうだが、充実した生活が送れてそうでよかった。」
「その分報酬も渡しますし、かなりあちこちからおまけしてもらったりお土産やお裾分けをもらったりしてるようですよ。我が国であらゆる差別は存在しませんからね。」
ついでとばかりに教えてもらったが、そんな彼は素朴で優しい見た目で性格も優しく、一緒にいるとホッとするタイプの人物らしく、現在は偶然助けたメイドさん(ロリ巨乳で可愛いらしい)に一目惚れされてそのまま結婚して幸せな生活を送ってるらしいが、尻に敷かれるどころか日々押し倒されて色々と眠れぬ夜を過ごしてるらしい。
一目惚れとは言え、かなり仲の良いカップル・・いや、夫婦らしい。
結婚出来ているというのが何よりの証拠なんだとか。
結婚の儀式について聞いてると凄く納得する。
「そこまでして言い切れるモノなの?」
「えぇ。初代様から代々受け継がれている決まり事ですし、私がそんな連中、1人残らず消しますので。」
俺たち「・・・」
今、ぞくっとしたんだが・・すっごい怖かったんだが・・ちみっこが無表情で当たり前のように恐ろしい台詞を言ったんだが。
・・怒らせるのはやめておこう・・・絶対に死ぬ・・俺が。
「で、その武器の効果ですけど。」
・・・このちみっこはぁ!!
さっきまでのシリアスをモノともせずに話を戻すな!!
こっちが疲れるわ!
「ひらりんの属性魔法の威力が1.5倍になります。おまけに、魔力制御の補助を行うのでいろんなことが出来ますよ。」
「例えば?」
「炎をブースター代わりにしてスピードアップに、相手を突き刺した直後に炎で相手を体内からドカンとか?」
「・・・えげつない戦法が聞こえたが、確かに戦闘のバリエーションが広がりそうだ・・とりあえずサンキュー。」
「ついでに言うと、その2つの槍は1つにくっつけて両剣・・槍だから両槍?にも出来ますよ。」
「マジか・・。」
「あ!じゃあ俺には!?」
「ヒグラシ!催促するな!」
「えぇ、だってさぁ。」
お世話になる側なんだからモノを欲しがるな!
これ、失敗作だとは言うが、技術費だの素材代だのを考えるとヤバい金額がつくと思うぞ?
このちみっこの身分も考えると。
「構いませんよ。同じくレポートの提出をお願いします。」
「するする!」
「えぇっと・・・あ、あった。」
「これ?」
「うん。」
モノとしては、短剣・・と言うかダガーだな。
長さが、40は超えるが50センチは届かないくらいとダガーにしては長い。
そして、刀身が細い。
色が、片方は青空を豊富ととさせる空色、もう1つは森を彷彿とさせる新緑色。
「それも、ひらりんのと似たようなモノです。」
「・・それに一体どういう物語が。」
物語って・・ナデシコ・・。
「まず、それは風と水の両方の属性を持ってる人にしか扱えません。」
「今度は属性指定タイプかぁ。」
「おまけに両方を均等に扱える人限定です。」
「誤差は?」
「ほぼゼロ。」
「うっわ・・。」
「俺・・均等に扱えるようになりたくて頑張ってたけど、セーフ。」
「ってことはまさか。」
「それも、ひらりんのと同じく他人が触れると同じようなことになります。属性が異なるのでやけに鋭い水の針が凄い勢いで辺り一帯に無差別に発射します。」
俺も人ごとじゃないが、もはや一種のテロだな。
「・・・」
俺と同じく専用の鞘をもらった。
「効果としては、ひらりんとほぼ同じです。」
「なるほど。」
「ただ、水中でもそれを握っていると息が出来、水中での移動速度が魔力操作の練度に比例して向上します。」
「マジで!?」
「それ凄い!」
地味に凄いな・・。
「後、ちょっと魔力を込めるとおいしいお水が想定の10倍くらい出せます。温度調整も可能なのでお湯もお冷やも可能です。」
「そうか・・。」
「ってことは、ただ水やお湯出すだけなら魔力消費が10%ってこと?」
「そうなります。」
「それ地味にうれしい。」
「水の確保は大事って定番だもんね。」
「だなぁ。食べ物はなくても数週間は生きていけるらしいけど水がなかったら1週間持たずに死ぬってテレビで昔見た気がするし。」
確かにな・・。
野営中はヒグラシが大活躍しそうだ。
「で、最後にはい。」
「ありがとチェルニちゃん・・・えぇっと、これは?私好みのデザインだけど。」
今度はナデシコに手渡された物体は、真っ黒な凄く生地の薄い指ぬきグローブだった。
ぱっと見は、シンプルだが上品な感じだが。
いや、待て。
よく見るとものすごく小さな黒い金属が均等にドラゴンの鱗のように敷き詰められ、縫い付け?られている。
おまけに、手の甲の部分と指の関節部分は手の動きに支障がない程度にその鱗らしき金属が重ね掛けされてる。
「癒しの魔法を扱う際の魔力制御の補助と体にかかる負担を半減してくれます。おまけで、魔力制御の練度がそれを身につけた状態で鍛えると向上しやすくなります。」
「あ、それはうれしい。」
ナデシコの癒しの魔法は、魔力制御というか、ステータスで言うところの練度に左右されやすい。
それとプラスして知識も必要であることを加え、魔力の消費とは別で脳に治す怪我に比例して強い負担がかかるらしい。
おかげで糖分が足りないとか、頭が痛いと言うケースが増えてるようだ。
なので余計に、レイがデザートを作るのが得意というので喜んでたりする。
「後、護衛用のおまけ機能として標準でかなり硬度を突き詰めて作ってまして、それに魔力を込めた状態で殴ると物理的な威力が倍加して、衝撃波を相手と接触した面から放たれます。」
「ゼロ距離で衝撃波!?」
「それは痛い・・。」
「でも、うれしいかも・・セクハラしてくるのが意外といるし。」
「あぁ・・・。」
確かに・・いるな。
お尻を撫でるどころか、こけたフリして胸を揉もうとしたりスカートに頭を突っ込んだりと・・うん。
とりあえず、俺とヒグラシが鉄拳制裁して適当なところに捨ててはいるが。
と言うか、全部未遂に抑えてはいるが。
「もう1つおまけで言うと、それで殴ると腕の無駄なお肉を消費してムッキムキにならない程度に筋力が付きやすくなります。」
「ホント!?」
「はい。そこは我が国の女性陣で検証済みです。ただ、腕だけです。他の箇所は普通に動かした程度しか影響を受けないのであくまでも腕だけなりやすいと言うだけですが。」
「それでも十分うれしい!私・・なんでか知らないけど足とかお腹はそうでもないけど腕にお肉が付きやすくって・・・。」
昔から嘆いてたなぁそう言えば。
不思議なことに腕だけなんだよな。
おかげで荷物を重くしたり重いものをワザと持ったりして腕に無駄な肉が付かないように頑張ってる姿をよく目にしたもんだ。
「でも、こっちに来てから戦うことが増えたせいなのかな?全体的に身が引き締まった気がする・・なのになんで胸はおっきくなったんだろワンサイズだけだけど。」
・・・最後の台詞は小さく呟いてたようだが聞こえてしまった。(聞こえなかったことにしよう)
「ついでにこういうのもありますが。」
「・・・もらっとく。」
「・・・うわ、ちなみにそれにもなんか効果あるの?」
シンプルに真っ黒なメリケンサックだと思う。
デザインがぱっと見、メリケンサックに見えなかったが。
「これはシンプルにタダひたすら頑丈であることをメインにして、攻撃時に自身にかかる衝撃を10分の1に抑えてくれます。」
「なるほど。このつまみっぽいのは?」
「腰にアクセサリーとして下げていても良いですし、髪飾りとしてつけていても構わないようにするためのモノです。これも女性陣からの意見で、さりげなく常に身につけられるようにしたいと要望がありまして。」
「なるほど。とにかくありがとうね!私も頑張ってレポート書くね!」
「お願いします。」
「と言うか、メリケンサックとバトルグローブっぽいやつ両方を組み合わせたら・・えげつないことになりそう。」
にしても、クリアネス王国はあらゆる面で鍛錬する場所だ、みたいなことは聞いてたが、予想以上に優秀な人たちが集まってるようだ。
トップがしっかりしていれば自然と配下もトップに倣って優秀になるんだな。
そう考えるとあの拉致加害者の国はホントに屑だったんだな。
俺たちは、妙なことに巻き込まれる前にそいつらが自爆した挙げ句、ちみっこに拾われて運がよかったのかもな。




