表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放浪の木刀使い~記憶喪失は主に周囲の人が気にするらしい~  作者: ミコト
これがホントの千客万来(求めてない)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/45

不良(異世界産)は苦労性のツンデレさん

--レイ--

ドラゴンの大軍の討伐を無事に完了したかと思ったら、違法な使用方法による転移魔法で飛ばされた。

飛ばされた先は、俺を異世界から拉致した挙句、ポイ捨てしたあの国だった。



が!

俺のことに誰1人として気づいてないという事実!

顔なんて全く隠してないし髪色も変えてないのにこれいかに。



で、謁見の間に呼び出されました。

玉座に座ってるのは・・

「冬眠前のイノシシさん」


全員「ぶふっ!!!」


チェルニちゃん・・ぽそっと言ったセリフはすごく同感。

豚じゃなくてイノシシっぽい。

何て言うか、ぶっくぶくに太ってるのと同時に何だろう・・すっごい毛深いというか、野生動物みたいな小汚い感じがする。

実際に汚れてるわけじゃないのに、そう感じるこの感じなんなんだろう?

後、すごく言いたいことはわかるけど・・。

「そういうセリフは、思っていても口にしない方が良いよ。」

「知ってるけど、言いたくなった。」

「気持ちはすごくわかる。」

俺も同じこと思ってたから。

と言うより、言わなきゃダメって感じについなっちゃう気持ちがあったのを必死で抑えてたから。


で、周りも同じだったらしくチェルニちゃんのセリフで噴出して笑いをこらえるように口を押えてプルプルしてる。

「きっさぁまぁぁ!!何様のつもりだ!王たる俺様にそのセリフ!今すぐに首を斬り落としてくれる!!」

あぁあ、やっぱりキレた。

イノシシ王・・じゃなかった、王様らしき物体が。


で、なんだかんだ言いつつ騎士の連中が俺とチェルニちゃんをクルリと取り囲んで武器を突き付けてきた。

騎士の連中はニタニタした表情で俺とチェルニちゃんを見ている。

・・・ふぅん。


魔術師団の人たちは良い人たちだったけど、この国、腐ってるのは騎士連中と王のイノシシだけっぽいな。

大臣も同類か。

宰相は・・・ギリセーフってところかな。


ちらっとチェルニちゃんを見ると、頷かれた。

どうやら俺がっても良いらしい。


魔力制御で抑え込んでいた体質を完全開放。


そして、感情を込めてその範囲と威力を強める。

騎士連中「ぐっ!」

金属で出来た武器を素手で握っていたことで凍傷を起こしたようで全員が武器を落とした。

そこで俺は、地面に落ちた武器を氷漬けにして地面に張り付けて取り出せないようにして、

そいつらが動けないように地面に縫い付ける。


「はっ。この程度の連中が俺らに勝てると思ってんの?」

「なんd・・ひぃっ!」

イノシシ王の頬すれすれのところを斬撃が通り過ぎて行ったので、速攻で黙った。

ちらっと見るとチェルニちゃんが俺におんぶされたまま斬撃を飛ばしたようだ。

・・何気に器用だね。


「そもそもさ、なんで誘拐犯と犯罪者御一行様に被害者である俺らが下出に出ないとならないわけ?」

「な、何を言っている。」

「とぼけんなよ。知らないとは言わせねぇぞ。転移魔法を誘拐目的で使ったことは、十分処罰ものだ。それに、この世界で禁忌となっている異世界召喚魔法。これを使用した時点でアウトなんだよ。」

「ちょっと待ってくれ!」

「ん?」

茶髪のチャラそうな雰囲気の青年が乱入してきた。

後、黒髪の短髪で同じくチャラそうな雰囲気の青年と、

黒髪をまっすぐ伸ばした大和撫子と言う言葉が似合いそうな美少女。


・・全員俺と同じ制服着てる・・あ

「・・・・・あ」

「あ!?あって言ったな!?霧雨!お前、俺らのこと一瞬誰かわからなくてこの制服を見て同郷だって判断したな!?わかるからな!?その視線の先で!」

「バレた?」

「バレるわ!って、俺お前と小学校の頃から高校までずっと一緒だったんだけど!?」

「・・・・・?」

「まっじできょとんとしてるな・・。嘘だろ・・俺、そんな存在感なかった?・・マジで?」

何か知らないけど、茶髪さんがOTLになって落ち込んでる。

「え、えぇっと・・マジで覚えてない?」

恐る恐るって感じで黒髪チャラさんが俺に声をかける。

「悪いけど俺・・家族以外の人間の顔と名前・・ちょっとやそっとじゃ覚えられないんだ。」

正しく言うと、深く関わった相手だったら覚えるけど、軽く関わった程度だったら全く覚えきれないどころか速攻で記憶の彼方に飛ばされた忘れる。


「まじかぁ・・・道理で、俺らに声かけないわけだわ。」

「しょ、しょうがないよ。霧雨君、いろいろ苦労してたんだし・・ね?」

「マジかよぉ・・。俺、結構頑張ったのに・・。」

「そんなことより、何か聞きたいことがあったんじゃないの?」

「そんなこと!?俺の約10年間の苦労をそんなこと!?」

「まぁまぁ・・。その違法って部分が知りたいんだよ。俺らも独自に調べたけどそういう情報がどこにも見つからなくってさ。」

「あぁ、そういうこと。・・どうなの?」

一応、この世界のお勉強としてリリィさんに軽く教わってるから知ってはいるけど詳しく説明できるほどは知らない。

ちらっと詳しそうなチェルニちゃんに尋ねる。

「普通ならそういう違法関係に関しては、この世界のルール、つまり各国で必ず順守しなければならない約束として文字が読めない人でも知っておかないとならないから様々な方法で教える必要があるし、記録を残しておくことが国のトップとして厳命されてるよ。」

「マジで?」

「様々な方法って?」

「まずは、細かい情報まで文字として残したタイプ、これは図書館みたいなところで必ず1冊は最低管理して誰でも読めるようにしてる。

一番多いのは、ギルドかな。身分証としてほぼ全員がギルドカードを作るからその関係で情報収集をギルドでする人は割と多いから、ギルド側もそのために資料室に置いてるし、要望次第ではそういう講座もギルドによっては開催してる。

次にある程度読める人なら多少遠回しな言い方になるけどわかりやすく砕いた表現でまとめたタイプ、これは言ってしまえば入門編みたいなもので最低限知らないとならない人にとりあえずこれを読んでねって言って読ませるもの。

次に、絵本。これは、幼い子供相手にわかりやすく覚えやすくするためにさっきの入門編のものよりもさらに砕けた表現で、楽しく覚えてもらうためにショートストーリー形式に絵と一緒にまとめたタイプ。

最後に、口頭。これは、主に各教育機関だったり、教会みたいな何かを教えたり相談窓口として機能している場所で、それぞれの人たちに合わせた方法で口で直接教える。これは、教える人の技量次第かな。

これらの内、最初のは必ず置かないと罰則があるレベル。次の入門編はないとホントに教えてるんだよね?ってかなりネチネチ言われるから暗黙の了解でそれもないと処罰ものって認識になってる。

後の2つは、なくても良いけどある場所だとそういう部分もしっかりしてるんだって、評価はよくなるから大抵の人はきちんとしてますって誠意って感じで置いてるよ。」

異世界メンバー「へぇー」

さすがチェルニちゃん。

記憶を取り戻したこともそうだけど、大国の天才王太子様。

速攻で、すごく詳しい情報が出てきた。

と言うか、地味にその絵本タイプがどういう感じのか見てみたい。

「ん?ってことは、そう言うのを探しても見つからないってそれだけでもアウトってこと?」

「そういうこと。」

「とことんダメじゃねぇか。」

「うん、確かに。」

「・・話に割り込むようで悪いのだが、レイ殿。1つ訪ねても良いだろうか?」

魔術師団長さんが俺に声をかけてきた。

「どうしました?」

「いや、彼らの言葉から察するに故郷が同じと言う風に聞こえた故に・・。」

「あん?魔団長のおっさん気づいてないの?」

茶髪さんが俺の代わりに答えてくれた。

「・・魔団長はやめてくれ。・・気づいてないとは?」

「こいつ、俺らと同郷で、しばらく前にこの国からポイされた奴なんだけど。」


全員「・・・・・はぁ!?」



「・・誠か?」

「誠だが?」

「ちなみに、霧雨。一応聞いとくけど、お前はこいつら覚えてんの?」

「全く覚えてないね。君たちの名前も含めて。」

何て言うか、周囲のことに全く興味がわいてこなかったから訓練と言う名の何かをさせられ、後は部屋で寝るだけの日々だけだったし。


「・・マジで、俺らのこと覚えてないのな・・はぁ・・。」

「まぁまぁ・・。とりあえず、俺は夕暮日暮ゆうぐれひぐらし。一応言うけど、俺中学1年から一緒のクラスだから。」

黒髪チャラさんだ。

「えっと・・私は、時雨撫子しぐれなでしこ、霧雨君とは中学2年から一緒だよ。」

大和撫子さんだ。

「で、俺ははやしたいら。俺は小学1年から一緒だからな。後、林が名字で、平が名前だ。」

茶髪チャラさん。


「ひらりん?」

「ちょい!そこの幼女!言ったな!?その名で俺を呼んだな!?」

ひらりん?


林平

ひっくり返して、平林・・・・ひら、はやし

ひら、りん


ひらりん

おぉ!

なるほど。

「霧雨!お前も納得するな!その名で俺を呼ぶな!」

「可愛いよ?」

「男に可愛いは求めてねぇ!俺に可愛い要素は皆無だ!」

「え?ひらr・・・林君、確か毎週猫カフェに行くのが趣味って」

「撫子!それは言うな!あと、ひらりんって言おうとしたな!?」

きつい性格の人かと思ったけど、茶髪チャラさん、ツッコミ素質アリの面白い人のようだ。


ってアレ?

「じゃあ、なんで俺との訓練の時あれだけ痛めつけたり、この国から追い出そうとかしたの?」

俺を恨んでる感じは全くなく、むしろ俺が無事であることに安堵してるからすごく謎だ。


「あ・・・あぁ・・・」

「あぁ・・それは、私から説明させて。」

「よろしく」

「うん。霧雨君、この国ではずれ認定されちゃったじゃない?」

「寒い大陸で寒い魔法は無駄だとかで。」

「あのままだと、ろくなことにならないってなって、じゃあこの国から追い出してよそに行ってもらった方が安全なんじゃないかって。」

「で、使えない人間だって周囲に認識させてそのまま周りに余計なことをさせずに追い出してしまえば、色々とボロボロなお前を拾ってくれる人がいる。そしたら、後はそのまま保護されてなんだかんだで悪いことにはならないだろうって感じでな。後半は、賭けみたいなものだったけど、成功したみたいでよかったよ。」

「そういうこと・・じゃあ、日本にいたころのは?」

「・・・お前に、無駄なちょっかいを出せないように俺を筆頭に周りに威嚇して近寄らせないようにしてたんだよ。」

ムスッっとした表情でひらりんが答えた。

「そしたら、仲良くなりたい人すらも近寄らなくなっちゃったのが申し訳なかったけど、周りを抑え込むのでいっぱいでそっちまで手が回らなかったし、そもそもこっちから声かけても全く記憶に残らないようだったからやっても無駄っぽかったが。」

「あぁ・・。」

俺は、知らないうちに守られてたみたいだ。


「今さらだけどありがとう。」

「気にしないでいいさ。ただの気まぐれだからさ。・・だとしても、理由はどうであれば、色々と悪かったな。いたかっただろ。」

「まぁ、痛かったね。けどそのおかげでこの子たちと縁が出来たと思えばどうでもないよ。」

「感謝の気持ちがあるならせめて、名前と顔くらいは覚えてくれ・・。」

ショックだったんだ・・。

「それで、ずっと背中に背負ってる子は?」

撫子さんが目をキラキラさせてチェルニちゃんを見てる。

「それ思った。ちっこいのに凄く詳しいし頭よさそうだから良いとこの子っぽいけど、霧雨とどういう関係で?」

「霧雨を拾った人の子とか?」



「確かにこの子に拾われたね。転移魔法で春の大陸にポイ捨てされたら空中で、地面に落ちて死ぬ前に寝ぼけた状態で、助けてもらったよ。・・・そのせいで助けられたかと思ったらそのまま抱き枕にされた、って一言くっつくけど。」

異世界メンバー「・・・」

「で、この子と一緒にいた人から、安易に抱き枕になるなって説教されたけど。」

異世界メンバー「・・・」

「なぁ・・・どんだけお前、ゆかいなことになってんの?」

「まぁ、なんだかんだでよくさせてもらってるよ。」

「んで、誰よ。」

「あぁ・・春の大陸のとある場所のトップかな?」

「・・・トップ?」

「・・・・」

「・・・ん?タイラ、どしたん?」

「なぁ、俺の考えがあってたらさ、君・・王太子ってやつか?」

ひらりん凄いな。

俺の遠回し?な言い方一つでさっさと言い当てた。

「うん。」

そして、隠す気が皆無なチェルニちゃんが即答。

全員「・・・・」

「一応、これが証拠。」

「綺麗な剣だね。」

「あ、これが儀礼剣ってやつか?」

「うん。デザインは王太子専用だからちょっと違うけど。」

「そうなのか・・儀礼剣って、腰に下げるような長剣だと思ってたんだが。」

「ただのお飾りなのに、そんなサイズだと邪魔でしょ?」

「たしかに。」



「アレ?王太子って、次期国王様だよね?」

「だな・・・ん?そんな子を違法なやり方で拉致したの?」

「・・国際問題ってやつじゃね?」

「それも追加の罪の1つなんだよね。おまけに、この子、とんでもないレベルで溺愛されてるから嬉々としてこの国に戦争吹っ掛ける気満々で準備進めてると思う。」

全員「・・・・」

爆弾発言させてもらうと性別は女じゃないんだよなぁ、おまけに年齢は俺よりも年上。

まぁそっちはいいや。

「あ、そうだ。こっちだと名字がなぜかステータスからいなくなってるから名前で呼んで欲しい。」

「わかった。俺らも同じく名前で呼んでくれ。」

「そっちの二人も?」

「うん。」

「構わないぞ。」

「じゃあ、ヒグラシと、ナデシコと、ひらりんだな!」

「ちょぉい!!なんで俺だけそれなんだよ!」

「なんて言うか、凄いしっくりしたというか。」

「しっくりこないで?」

「・・・ん?」

「ちみっこ、どうした?」

「お兄さんのナニカが書き換わったような感覚が漂ってきた。」

「え?」

「漂ってくるモノなの?」

「この子、野生の勘がえげつないレベルで高性能だから。」

「あぁ・・ちょっと見るから待ってくれ。」

「うん。」

「・・・・・!?」

「どしたん。」

「嘘だろ・・嘘だろぉ!?」

「どうしたの?」

「ステータス上の名前が、俺、ひらりんになってるんだけど!?林平ってかけらも残ってないんだけど!?」

異世界メンバー「あははは!!!」

「笑うんじゃねぇよ!!」

「あぁあ。まだ大丈夫。」

「ちなみに聞くが、レイ。何がだ。」

「この子の保護者の1人が、ステータス上の副業で、ツッコミマスターって乗ってるから。」

異世界メンバー「・・・」

「何がどうなったらそんな不名誉なものが副業になるの?」

「主にこの子が原因。」

「ちみっこが何した?」

「私がと言うより、称号かな?」

「称号?」



天然ボケ(無自覚)

本人に自覚がないのでツッコミ担当の人は諦めてください。



「ってやつ。」

「あぁ・・可哀想に。」

「ステータスにもあきらめろって言われるって相当心にダメージ来るぞ。」

「それよりも、その子!抱っこしたい!」

「・・・ナデシコ。いきなりどうした。」

「普段のお淑やかぁな物静かなところどこやった?」

「だって!こんなに可愛いんだよ!?」

「いや、可愛いのは認めるが・・落ち着けよ。」

「テレビにだっていないレベルのかわいさだよ!?ひらりんが猫カフェで毎週デレッデレになるレベルだよ!?」

「うるせぇよ!?余計なお世話だ!って、ひらりん呼ぶな!」

「良いじゃん、ひらりん。見た目で距離とられるんだからちょうど良いって。」

「うぐっ・・・むぅ・・・それならせめて、りんって呼んでくれ。ひらりんは何って言うか・・心にクル。」

「で、どうする?」

俺はともかく本人に聞く。

「構わないけど。」

「さいですか・・どうぞ。」

チェルニちゃんを手渡しすると凄くうれしそうにナデシコは受け取ったら膝に乗せて大変幸せそうに頬ずりしてる。

「・・・なんで、ちみっこは初対面の相手にそんなことされて落ち着いてんの?」

「いつものことだからかな。」

「あぁ・・。」

「ねぇ、お名前言えるかな?」

わぁ・・思い切り幼女扱いされてる・・本人は気にしてないけど。

「軽いタイプ?それとも、本格的なタイプ?お好みはいかが致しましょうか?」

「え?」

「自己紹介に軽いも重いもあるの?」

「俺に言ったときのは?」

「軽いタイプ。」

「個人的には重いタイプが聞いてみたい。」

「あ、俺も。」

「それに、氷付けにされてたりさっきからスルーしてたけど斬撃をポンポン飛ばされて黙らせて顔を青ざめてる連中にも答える関係でちょうど良いと思う。」

「確かに。」

言ってなかったけど、なんかチェルニちゃんたち相手に何か言おうとするとチェルニちゃんがぎりぎりかすれるくらいに斬撃を1人に対して10近く飛ばして黙らせてたんだよね。

「と言うか・・このちみっこ・・強いだろ?」

「うん。ご想像通りどころかそれ以上かもね。」

「英才養育ってやつか?」

「たぶん?後は本人の頑張り?」

5年ほど記憶喪失を引き金に野生化してたのも原因っぽいけど。

「なるほど。物騒な世界だし、割と普通なのかもな。」

「とりあえず、自己紹介してもらっても?」

「とりあえず、呼び出すね。」

「何を?」

「戦友?」

「なぜに疑問系。」


戦友・・?

あ、シリウスさんか。

確かに右腕とか親友とか言うより戦友と言った方が合ってるかも。

仲良しなのは確かだけど。


で、ものすごく名残惜しそうな表情をしたナデシコ(頭をチェルニちゃんに撫でられて速効でご機嫌直った)の元から抜け出したチェルニちゃんは、忍刀に自分の血をすっと一塗りして、魔力を刀に込めて天に掲げて叫んだ。

いや、唱えた。

間違いなくこれが召喚魔法の詠唱だ!


「魂の盟約に従い、我が元へはせ参じよ!」

ゴゴゴゴゴ!と、石で出来た巨大な扉がどこからともかく現れた。

その扉には、精巧な彫刻が描かれていて誰が見ても、とんでもないモノが呼び出されるモノだと判断してしまうモノだ。

「来い!地獄の門番!シリウス!!」

ギィィィィと、扉が開かれ、そこからのそり、のそりと。

所々ドラゴンを彷彿とさせる鱗を帯びた、巨大なケルベロスが現れた。


全員「っ!?」


「ドラグニルケルベロス、地獄の門番のシリウス。ただいま御前に。主よ、何なりと。」

「無事に呼び出せたみたいだね。」

「うむ。主よ、とりあえず無事か?」

「大丈夫だよ。それこそそっちは大丈夫だった?」

「うむ。リリィが率先して現場の暴走組の指揮を執り、騎士団一同に女神様と拝まれていた。」

「そこはいつも通りなんだね。」

「主が不在でさみしそうではあったが、主の家族が暴走しやすい故に落ち込む隙が微塵もなく、フィリアが抱きついて、シュテル殿が撫で回していた。」

「とりあえず、落ち込む余裕もなさそうなのはまぁ、結果オーライかな。」

「それで、主、こちらはどういう状況なのだ?」

「ターゲットは、あの偉そうなイノシシさんとその周りのごてごてした連中と騎士っぽい連中だけで、他は問題なし。」

「なるほど。それで、レイが地面に凍り付けで縫い付けているのだな。承知した。」




「な・・・なぁ・・レイ。お前んとこの子・・マジで何者だ?」

「えげつない気配がぷんぷんするんだけど?」

「アレ・・何?ケルベロス?」

「うん。簡単に言うと、神獣で、あの子の戦友ポジションの右腕って感じかな。」

異世界メンバー「神獣!?」

「最強の生き物ポジションの!?」

「そうそう。」




「えぇい!いい加減にしろ!貴様!一体何者だ!!」

「我が名はチェルニ。チェルニ・クリアネス。」

びしっっと、フリーズする音が聞こえるほど全員が引きつった表情で固まった。

「ご察しの通り、クリアネス王国の王太子だ。よく、転移魔法を反した使い方を行った挙げ句、世界の禁忌たる異世界転移魔法を使ったな。我が国に喧嘩を売っているのだろう?こちらも、戦争の準備は進めている。もしくは、私が1人で貴君らの国を相手してやろうか?」

全員「・・・」

ガチモードの雰囲気なチェルニちゃんはやっぱりかっこいい。

幼い姿なんて全く気にならなくなるくらい覇気がある。



「な、なぁ・・レイ・・。クリアネス王国って・・あの?」

「あのって言うのが何をさしてるかわからないけど春の大陸の大国なのは確かだよ。」

学んだり鍛えたりする場所としては世界随一的で、人だろうが人外だろうが問わず襲撃的なことはイコール実戦訓練にちょうど良い的な襲うがわからしたら酷い扱いが当たり前的なことをフィリアたちから聞いてはいるけど。

「マジか・・・あの実力主義の最強国家かよ・・。」

「正義の国とか、敵認定されるイコール存在する価値のない国という意味だとも言われるあの最強国家・・・。」

「おまけに学ぶことや鍛えることをモットーとした国だから、正義感あふれる人たちが勝手に増殖する世界で最もヤバい国。」

どんだけえげつない認定されてるんだろう。

「貴様1人でだと!?やれるモノならやってm・・っ!?」

「今すぐにその首、切り落としてやっても良いんだぞ?」

イノシシ王が瞬きした直後には懐に潜り込んだチェルニちゃんが首筋に刀を突きつけていた。


「・・・見えなかった。」

「同じく・・。」

「チェルニちゃん・・私たちが想像するよりも圧倒的に強いよね?」

「初期動作も初期微動も何も感じ取れなかった・・。マジかよ。最強国家って比喩でも何でもなく文字通りかよ・・。」

異世界メンバーが全員絶句していた。

チェルニちゃんの実力をある程度把握出来たらしい。


その後、騎士団が総勢でチェルニちゃんを襲おうとしたけど全員抵抗の「て」の字もさせてもらえずにボコボコにかろうじて死んでない程度にボコられた。

で、シリウスが割と本気で威嚇して心をベッキベキにへし折ってある意味とどめをさしたところで全員適当に牢屋に放り込まれた。

ちなみに放り込んだのは俺とかひらりんとかだよ。

理由?

チェルニちゃんの素の力だと重くて持ち上がらずに引き摺る形だったのと人数が多かったから見かねて手伝ったというのが本当。

ナデシコは、そんなチェルニちゃんが可愛いと幸せそうに見てるだけでボコられてることに関しては全く気にしてなかった。

どうやら、日々ゲスな視線を向けられていつ始末しようかと思ってたと真顔で言うほど鬱憤が溜ってたらしい。

ナデシコ、普通に美少女だからね。



「な、なぜ・・・私が・・」

「魔団長みんなに頼られてるし慕われてるし、指示は的確だからちょうど良いんじゃね?」

「魔団長は辞めてくれ・・。」



あれから、4日ほど経過した。


魔団長こと、魔術師団長のおっちゃんがチェルニちゃんの野生の勘による命令でこの国、ストム国を王様ポジションで納めることになりました。

王様だったイノシシさんはどうしたって?

引き摺られて牢屋に放り込まれたわけだけど、その後、チェルニちゃんがあちこちからどこからともなくよろしくない証拠をいっぱい拾ってきて、それを元に社会的にも始末完了しちゃったんだよね。


で、じゃあこの国・・と言うよりこの国に住んでる国民が困るし、魔術師団長のおっちゃんが代わりにこの国を守ってね?

ってなった。(強制)

それに、この人、ひらりんが言ったとおり、人望は身分問わずあるし、何気に公爵家の次男坊なんだよ。

だからちょうど良い。


一応補佐として、宰相がしてくれることになってる。

宰相である、じいさんは普通に頭が良いし、仕事もバリバリ出来る人だった。

なのになぜにあんなことに?となったけど、どうやらこの国は王様が偉いんだから何があろうとも王に従え、王が白だと言えば黒でも白になるという感じだったせいで逆らえなかったようだ。

なので、適当に手を抜いて仕事をしてたそうな。(ささやかな抵抗)


ちなみに、経緯とか諸々はチェルニちゃんの手持ちにあった通信の魔道具でクリアネス王国側には報告済み。

クリアネス王国とのお話し合いの結果、この国はこの国の特産品?とかをかなり安い金額でクリアネス王国と貿易することになった。

かなり安いからこの国側的には利益なんて出るはずもないレベルだとか。

それが罰で、やらかした一同に関しては両腕を切り落とされた状態で奴隷落ちすることになった。

まぁ、イノシシ王に関しては罪が多すぎたこともあり、首つりによる処刑されちゃったけど、それはしょうがなかったらしい。

で、チェルニちゃんという名の王太子を拉致ったり、法律を犯したりした部分とかに関してはその関連資料を1かけら残さずクリアネス王国へ譲渡することと、再利用しないように記憶を(どうやったのか知らないけど)消し飛ばすことだったようだ。

それとプラスして、それなりの額のお金が動いたようだよ。


ちなみに、この国の国民に関しては上がそんな大騒ぎだというのに全く気にしてなかった。

・・大変たくましく育っているようです。



「ですので、異世界より呼びだされ・・いえ、拉致された皆様に関しましては、正直申しますと元の世界へお返しすることが出来ないので、賠償金をお支払いするのと同時にお好きなようにお過ごし下さい。」

「じゃあ、俺らここから出て行って、このちみっこのところに行っても良いわけだ?」

「おっしゃるとおりです。」

賠償金として、結構良い装備と旅に便利そうな魔道具、後、クリアネス王国まで移動するのにかかるアレこれな金額を軽く対処出来るくらいのお金が異世界メンバーに渡された。

俺にも一応渡されたけど、お金だけは一応もらって装備とかはもらってない。

お金ももらうつもりがなかったけど、もらわないと色々と、世間体とかあるからってことで・・ね。


そんな感じで、異世界メンバーはクリアネス王国へ帰るチェルニちゃんに付いてくることになり、他の子の国の人たちは犯罪を犯したバカ共がいなくなってすっきりしつつも人手不足で忙しいようだけど、昔と違って楽しく働けてると笑顔でみんな言ってたので、この国の住人としては結果的には良い方向に進んだようだ。


さて、やっとクリアネス王国へ迎えるよ。

何気にたどり着いたかと思ったら強制的にUターンさせられたり振り出しに戻されたりした気分だよ。

多肉さんは、今からの時期と冬の時期はいわゆる停滞期に入るらしく成長がとんでもなくのんびりするんだとか。

と言うわけで画像もスパンが長くなります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ