転移魔方陣を抜けて先は雪国でした(むしろ極寒の大陸) 挿絵
--レイ--
ドラゴンの群れを殲滅し、俺とチェルニちゃん、そしてチェルニちゃんの懐に潜り込んでいたシャルは揃って全身血まみれ(返り血)の状態で転移魔法によって強制的に拉致された。
で、光が収まったかと思ったら・・
全員「ついに・・・成功しt・・ぎぃぃやぁぁぁぁぁ!!!!」
悲鳴を思いっきり上げられた。
・・そりゃあそうだよね。
俺たち血まみれだもん。
「んぅ?」
疲れて俺の背中におんぶされた状態で疲れてうとうとしていたチェルニちゃんがなんか可愛い鳴き声を出した。
「寝ていて良いよ。何かあれば俺がどうにかするから。」
たくさん運動(正しくは暴れただけ)して疲れてるのもあるだろうけど、時間を見るとお昼寝の時間からそこそこ過ぎてた。
そりゃあおねむなわけだ。
「ぅん」
大変素直に返事っぽい鳴き声を上げてそのままチェルニちゃんは寝た。(関係ないけど、チェルニちゃんすっごい軽いなぁ・・見た目以上に)
で、周りにいる連中全員が、どうしようという顔になってる。
俺たちの治療を先にするべきか、汚れを落とすべきか、もしくは呼ばれているであろう場所に報告しに行くか。
どれを優先するべきかすっごい悩んでる。
ってアレ?
これ、話し合いは必要だけどとりあえず最低限の安全確保するためなら黙らせられるんじゃね?
都合が良いことにチェルニちゃんは寝てるし、シャルが尻尾でチェルニちゃんの耳を塞いでくれて、目で俺に良いようにやれと言ってる気がするし。
俺も、良い感じに血まみれで疲れてるし。
「治療する道具はある。だからまずは湯船へ連れて行ってもらえないか?」
「え、だ、だが・・むぅ」
魔術師団的な感じのチームの隊長っぽい感じの40手前のおじさんと、護衛代わりなのかガタイの良い顔も厳ついおっさんが俺の話を代表として聞いてくれた。
「じゃあ逆に聞くけど、こんな血まみれで家の子がこんなにぐったりしてるのにお偉いさんのところに連れて行った挙げ句、目の前で吐血して倒れたりしても良いの?そうなったらせっかく呼び出したって言うのに監督不行き届きとかで怒られるだけじゃ済まないことになるんじゃない?」
ぐったりしてるのは俺で、チェルニちゃんは正しく言うと寝てるだけだけど具体的に言ったわけじゃないから嘘は言ってない。
「た、たしかに・・」
「それにそっちだって、話し合う時間は欲しいだろうし、こう言ったらなんだけど魔力とか色々使い切って疲れてるだろ?俺たちを待ってる間、軽く休みながら話し合えば情報もまとまるし、俺たちだってとりあえずは落ち着く。互いにとっても都合が良いんじゃないか?」
そっちだって疲れてるだろ?休みたいだろう?と誘惑っぽいことをしてみると、すっごいぐらついてた。
「確かに・・ちなみに、その間に逃げたりとかは・・」
まぁ、それは当然聞くよね・・けど、バカ正直に聞いてもまともな答えは上がらないし当てにならないと思うよ?普通。
「怪我とヨゴレをどうにかしただけの状態で普通逃げるか?体力も使い切っていて、ここがどこかもわからない。そんな状態になったらあんたらは逃げるか?」
まぁ、逃げないからわかりやすい例題を上げてみる。
「・・まずは体力の回復と現場の情報収集を優先するな。」
「だろ?」
「・・わかった。一応数名のメイドを案内と監視代わりにつけるが構わないな?」
案内はわかるけど、監視って素直に言う時点でこちらの気持ちを汲んでくれてるんだろう。
「構わないよ。と言うか、時間もこんなことになってて落ち着かないからお偉いさんとの話は、明日の昼前とかで良い?」
「まぁ、良いだろう。こちらで、呼び出しに成功はしたがその場で呼び出せるような状態ではなかったため、1晩休ませざるをえなかったと伝えておこう。」
「それでいいよ。」
意外と話が通じる人でよかった。
というよりは、チェルニちゃんが寝ていてよかった。
じゃなかったら、何をやらかすかわからないし。
すっごい好戦的だから速攻で始末しに行きそうだし。
ちなみに、チェルニちゃんが寝ちゃったのと、俺たちが全身血まみれと言うこともあって互いに小声だよ。
・・幼い子供には優しい人たちらしく、チェルニちゃんをチラチラと心配そうに見てたし。
「とりあえず案内させるが・・ホントに大丈夫なのか?お主もその子も・・こちらで用意させるモノがあればさせるが・・。」
ガチで心配そうに俺とチェルニちゃんを見ながら気を遣ってくれる魔術師団長さん(師団長なのは確認済み)と、周りの人たち全員。
「道具はあるし、呼び出される前に一応応急処置は終わってるからさ。それ以外は全部後回しになったから正直体力的にきつくってさ。」
グランツからもらったチェルニちゃん専用のマジックバッグにはガチでなんでも入ってるらしいからそういうのも入ってると思うし、俺も小さめだけどマジックバッグを持ってるし、その中に一人旅出来るようにするための必需品は一応一通り入ってるし、お金も含めてね。
おまけに、クリアネス王国中であらゆるジャンルで頂点を目指して日々精進してる人たちの力作が定期的にチェルニちゃん宛に届くらしく、それらも放り込んであったりするらしい。
とにかくなんでも入ってると言う認識で良いらしいけど。
俺のマジックバッグは、薄型のホルスターみたいな感じのやつで、せいぜい軽自動車1台くらい入るくらいの大きさだよ。(グランツとフィリアから友人になった記念とかでもらった)
上着の内側に斜めがけで取り付けるんだけど、凄い目立たないんだよね。
こういう形状のマジックバッグは存在しないと言うのと、服の下で傍目からは目立たないようにする方面でクリアネス王国で開発した試作品だからその容量しか入らないって、ちょっと申し訳なさそうだったけどただで凄い実用的なモノをもらったんだから凄くうれしかったから全力でうれしいと言うことを伝えてお礼も言ったよ。
内側に身につけていてもその上から防具を身につけていてもサッと簡単に取り出せるようにできてるから凄い便利だよ。(そこもこだわりの1つらしい)
防具は別として俺、元々ゆったりした感じの服を着ることが多いのもあるけど。
「そうか。そちらも、誘拐も同然のことをしでかした側が用意したモノを安易に使えはしないだろうしな。」
・・ん?
こんなに親切な人たちばかりなのに何で、違法っぽいやつ(俺たちを拉致した転移魔法のこと)と、禁忌らしいこと(地球から拉致してきた異世界召喚魔法のこと)をしでかしたんだ?
なんて言うか、普通に反対してやらない人たちのように感じるし、何よりチェルニちゃんが安心して寝てるって言うのが何よりの証拠。
・・この子、俺がおんぶしてるとは言っても、そんじょそこらの連中が近くにいたら、寝てるふりして速攻で寝首をかくくらいは手軽にヤルくらい殺意満々なのに、ガチで寝てる。
シャルが尻尾で耳を塞いでいるのはあるけどそれでもこの子の勘は野生動物並みと言っても過言じゃない。
「とりあえず、案内してもらっても良い?」
「そうだな。一応我らも状況確認という名目で君たちを案内する場所の近くの部屋にいる故に何かあれば呼んでくれ。」
「わかった。」
とりあえず、お風呂で全身血まみれなのでそれを綺麗にするために、チェルニちゃんを起こしてから洗いました。
その後、軽くやりとりしてから空き部屋を借りて、1晩過ごすことになったよ。
ご飯は、スープと、パンとチーズ、サラダにあぶった厚切りベーコンで、普通においしかったけど。
で、着ていたモノはなぜかチェルニちゃんのマジックバッグの中に業務用炊飯器っぽい見た目の物体で綺麗にされることになった。
チェルニちゃんによると、そこに綺麗にしたいモノを入れてスイッチを押すとあらかじめチャージしておいた魔力を使ってあらゆるヨゴレを消して、多少のほつれや破れを直したりしてくれるんだそうな。
「そう言えば、あれから凄く体が軽い気がするんだけど。」
あれからと言うのは、ドラゴンの群れを倒した後からと言うこと。
なんとなく、体が軽いというか調子が良いというかとチェルニちゃんに尋ねると教えてくれた。
「あれだけの数のドラゴンの血を全身に浴びまくったから。」
「・・・あぁ、そう言えばほんのりといろんな病気とかの耐性を作ってくれるんだっけ?」
「そう。1つ1つはたいしたことなくても十数体は倒したでしょ?」
「まぁ、そのくらいは。」
「その数であれだけたっぷり全身に浴びたら当然そうなると思う。悪いことじゃないから。」
「そうだね。」
言われて思い出した。
ドラゴンの血って、いろんな耐性を作り出す効果があったんだっけ?
「それって、チェルニちゃんの属性魔法の劣化版みたいなイメージで良いの?」
「そんな感じで良いよ。たぶん、今ステータスを見たら変化してるかも。」
「どういうこと?」
「とりあえず見てみれば?」
「そうする。」
名前:レイ・ミーティア(二つ名:氷の悪魔騎士)
ランク:C
体質:冷感
性別:♂
年齢:15
種族:氷晶人
身分:妖精王専属騎士、氷神の神子、ミーティア公爵家令息
職業:造形師
副業:作家ひやりん
属性:冷気、氷晶
体力:A
魔力:A+
攻撃:B-
防御:S+
俊敏:E-
練度:B+
攻撃1:【杖術】【盾術】【大鎌】【薙刀】【造形】
攻撃2:【冷気操作】【氷晶精製】【氷晶操作】【凍結】【浮遊盾】【氷壁】
特性1:【感情強化】【硬度強化】
補助1:【主夫】
自動1:【氷系統無効化】【威圧】【堅忍】【絶倫】【守護者】
自動2:【夜目】【氷晶魔眼】
奥義 :【絶対零度】
衣類:氷魔の防具シリーズ、庇護のインナー
武器:氷神のスタッフ
装飾:解毒チョーカー、守護者のリング
証:ミーティア公爵家の儀礼剣
加護
氷神の加護、妖精王の守護者
称号
異世界より拉致されし者、妖精の眷属、冷気に愛されし者、氷の王子様、クリアネス王国ミーティア公爵家令息(養子)、妖精王の眷属
身分
妖精の眷属
ほぼ妖精と言っても過言ではない存在の護衛的ポジション
寿命が軽く5倍に伸びたり魔力回復速度が通常の1.5倍になったりする。
↓
妖精王専属騎士
通常の妖精の眷属よりも周囲の状況をどんな状態でも認識することが出来る。
肉体の老化は、契約者とイコールになる。
【守護者】
守ることに関しての全てのスキルの威力が通常の2倍となる。
守るべき対象がいるとき、ステータスの防御も2倍加し、肉体への負担が半減する。
【硬度強化】
使用する魔力を増加させることで自身のスキルで生み出したモノの硬度を高める。
消費する魔力が多ければ多いほど硬度は高まる。
加護
妖精王の守護者
妖精王を守るために存在する妖精騎士の中でも最も高い地位の存在。
自身と妖精王に関係する悪意を感じ取りやすくなる。
妖精王の傍にいるとき、魔力練度が1段階高まる。
ステータスもそこそこ高くなってるとか、本格的に守護者らしい感じに化けてきたのはさておき・・。
「この身分は?」
チェルニちゃんが言うには、妖精族は上から順に
妖精王
妖精王専属騎士
妖精
妖精専属騎士
妖精騎士
妖精族
こんな感じになってるらしい。
妖精騎士は、妖精を守るために存在する種族で妖精が魔力操作に長けている存在だとすると妖精騎士は戦うことに関する技術を身につけやすいらしい。
で、一部の妖精専属になるか否かで、妖精の中での身分が変わるようだ。
妖精界での身分は、上が絶対の存在らしい。
下克上とかないのか聞いてみたけど、そういうことが起こるなら最初から上位の存在に至れないし、そう言う考え事態が起きないのが普通。
そう言う考えは人間だけ。
とのこと。
つまりは、条件を満たしていてもそう言う俗な考えがあるとその身分には慣れないようになってるらしい。
後、俺は元々妖精騎士というランクだったのが、上から2番目のに一気にランクアップしたようなモノらしい。
で、一番下の妖精族はフィリアたちと一緒にいたあの馬代わりになってた鳥たちみたいな妖精の血を一部引き継いでいる存在のこと。
言い方を悪くすれば、妖精の血が薄まった存在。
妖精族は、あの鳥たちみたいな動物だったり、人型だったり割と色々いるらしい。
「それで最も有名な妖精族と言えばエルフだよ。」
「エルフって妖精族だったんだ?」
「何だと思ってたの?」
「俺の故郷だと祖先に精霊がいたとかそんな感じの言い伝えがあったからそんな感じなぁと。」
「なるほど。精霊はそもそも遺伝子が強すぎてちょっとやそっとのよその血が混ざっても別種族になんかならないよ。」
「それだけ特別な存在なんだね。」
「聖域を作り出し、守る種族だし。私たちはそう言う場所を見つけて気に入ったら住み着くだけだし。」
「なるほど・・。ってことは、エルフの人がチェルニちゃんを見つけたら・・。」
上下関係が絶対な種族で、同種だったら絶対にどういう身分か感じ取ることが出来るってことは・・と、ちょっと思い至ったことがあって聞いてみた。
すると、チェルニちゃんが苦笑いしながら答えてくれた。
「その通り。当時、私が妖精王だと、知らなかった頃に私を見た瞬間土下座して、そのまま祈られたよ。・・当時は、王太子の方で過剰に反応しただけかと思ってたけど。」
「あぁ・・。」
予想通りだった・・。
過剰に崇拝されるのね・・と言うか、既に経験者だった。
でも、妖精王じゃなかったとしても崇拝されてる気がするけど。
「アレを崇拝というのかはいささか疑問だけどね。可愛がられてたのは確かだけど、崇拝するなら野良猫呼びはしないでしょうよ。」
「あぁ・・すっごい反応に困るね、確かに。」
崇拝されるなら殿下とかチェルニ様とか呼ぶだろうに、野良猫様呼ばわりだしね・・。
「と言うか、俺のステータス。一部アホみたいに上がってるのがあるんだけど。」
「あぁ・・ドラゴン倒して私の専属としての繋がりが強くなったのと、ドラゴンと相性がよかったんだろうね。」
「ドラゴンとの相性・・どういうこと?」
「まず、レイが改めて私のことを認識して、認めたことで私との繋がりが強くなった。そのおかげで強化されたのが1つ。後は、ドラゴンの血を大量に浴びたでしょ?」
「うん。」
「アレ、一部の人が過剰に強化されるケースがあるんだけど、そのケースに当たったみたい。」
「そう言えばそういうことが書いてあった気がする。」
「後は、私の専属だから私の属性魔法の影響のお裾分けみたいなのが種族としての位が上がったことで、起きたのかも。」
「なるほど・・。そっちのお裾分けの方が個人的にはしっくりくる。・・とりあえず、悪いことじゃないから気にしないことにするよ。」
「それでいいと思うよ。」
「・・・」
「どうしたの?」
「いや、気付いたら人間やめてたなぁって。」
「不可抗力だけど、いやだった?人間そのものにレイは興味なさそうだったけど。」
「後悔はしてないし、むしろありがたいかな。チェルニちゃんが言ったとおり、人間自体俺、好きになれないし。リリィさんとかアルジェたちはある意味特別なんだろうけどね。」
「私の遠縁だから、血は薄いけど妖精族という枠組みではあるし。」
「・・そう言えばそうだった。となると、リリィさんが特別?セバスさんは同種だったけど。」
たしか、ハーフエルフだし。
「だろうね。でも、リリィに関しては同種じゃないけどそれに近い種族が祖先にいる気がする。」
「どういうこと?」
「加護持ちになれたことがきっかけのような気もするけど、私の母様たちみたいに祖先に水に関するナニカがいた気がするんだ。そういう風に見えるんだよ。」
「そっか・・。水の精霊とか、はたまた神獣、聖獣とか?」
「可能性はある。調べようがないからそんな気がするだけだし、ステータスにも乗らないほどの遠いモノだろうから。」
「そうか、じゃあここだけの話にしよう。・・マスターが窒息の刑に俺らを処すから。」
「だろうね。私の場合はお仕置きじゃなくてもお胸に埋められるけど。」
「あぁ・・リリィさんの癒しだからねぇ。」
チェルニちゃんは苦笑いしてるけど、嫌だというわけじゃないみたいだ。
あ、そうだ。
「・・リリィさんがいないから聞くけど。」
聞くというか、ずっと聞きたかったことがあったんだよ。
さすがにリリィさんがいるときに聞けない内容だったし。
「ん?」
こてんと首を傾げるチェルニちゃんはやっぱり可愛い。
「リリィさんのあの巨乳に埋められるのって、チェルニちゃん好きなの?」
だって、リリィさんがいるときに聞いたらセクハラになりそう・・というか、セクハラになるじゃん。
「嫌いじゃない・・こんな見た目だけど、一応男だし・・。最初の頃は、力加減がわかってないみたいだったのとガチでお仕置きだったみたいだから割と本気で息苦しかったよ。色々と天国なのに、息苦しいからすぐ傍に地獄があるんだ。」
ちょっぴり頬を赤く染めながら、ぷいっとそっぽを向いて教えてくれたチェルニちゃんは幸せそうだった。
「あぁ・・わかる気がする。」
「でも、最近はお仕置きという言い訳でリリィがやりたくてやってると確信してる。」
「わかる。すごい幸せそうだったもの。」
「後、力加減を覚えたみたいでぎりぎり息苦しくないくらいを維持されるんだよ。」
「そうなんだ・・。」
「・・レイも男なら、体験してみたいとか思うの?」
「あぁ、否定はしない。けど、チェルニちゃんとリリィさんのやりとりを見てるとうらやましいと思うかと言われるとなんとも言えないなぁ。されたらうれしいとは思うだろうけど。」
「ふぅん。ふわぁ。」
「とりあえず寝ようか。」
「ん」
とりあえず寝て体力を回復しよう。
お偉いさんとの話し合いとかシリウスを呼び出したりとか色々あるし。
で翌日。
一応不法侵入してくるアホがいないか軽く警戒しながら寝てたけど問題なかった。
と言うより、シャルが警戒してくれてたからある程度はじっくり寝ることが出来て感謝だ。
シャルは、用がないと基本的に浅く寝た状態で周囲を警戒してる状態だから割と夜更かしとかは問題ないんだよね。
で、向かう先は謁見の間だと言われながら魔術師団長さんに案内されながらある程度状況を確認してた。
一応、朝食食べるときから昨日軽く打ち合わせしている時に互いの情報は交換済みだよ。
「で、ドラゴン倒したら小さい球が1つ出てきたんだよ。それを捨てたら光ってこっちに飛ばされたんだよ。」
「あぁ・・そういうことか。」
聞いた話によるとあの魔道具は、元々は緊急時にそれを使うことで瞬時にこの国に帰還出来るようにするという所謂緊急脱出装置みたいなモノだったらしい。
「それを陛下に奪われてしまい、次から作成することが許されなくなったのだ。・・作成手順も全て破棄させられたが、一応私の頭の中に全ての手順は入っているが。」
「それを、元々の使用方法とは違ったやり方で悪用されて、何の因果かドラゴンに食われて持ち去られてどこに行ったかわからず・・で、俺たちが偶然見つけてしまったと。」
まぁ、本当は鳥か狼かなんかが持っていったか、食べてしまい、それを最終的にドラゴンが食べたって流れが正しいんだろうけど。
「・・そういうことだ。」
「ならなんであのとき、成功って言ってたの?」
「・・別の実験をしていたのだ。そっちだと勘違いした。」
モノの輸送をもっと簡単に出来ないかって、転移魔法以外でのモノを運ぶ方法を色々と実験してたらしく、擬似的に転移魔法のようなモノを別の魔法で作りだそう。
それなら転移魔法とは別物だから、と言うことで色々やってる途中で俺たちが登場しちゃったから。
擬似的に転移魔法を作り出すことがようやく出来たやったー!
と思ったら違った!血まみれの人が出てきたぁ!
ぎゃぁぁ!!!
ってことだったらしい。
「ねぇ、チェルニちゃん。こういう場合って、どういう風になるの?」
自分で歩くつもりがないらしく、俺におんぶを要求してきたので俺の背中にいます。
まぁ、チェルニちゃん軽いし嫌だなんて拒否するつもりは全くないから気にしてないけど。
それと、関係ないけどチェルニちゃんって甘くてさわやかな果物みたいな香りがする。
リリィさんたち曰く体臭らしいんだけど、直接匂いを嗅いでもそう言う匂いはしないのに近くにいるとなんとなくなぜか香ってくると言うある意味での謎。
「その魔道具を王様が奪ったって証拠ある?」
「む・・一応あるぞ。宰相を経由してレシピを破棄し、権利を全て陛下へ譲ると言う契約書を書かされた。それは、写しをこちらに渡されている故にな。宰相もそれがなくなるとこちらが作れる故に破棄することはあり得ないだろう。」
「じゃあ、王様と宰相と、実際にドラゴンに食べられた結果となった実行犯?に転移魔法の扱いで有罪に出来る。」
「転移魔法って、所謂取り扱い要注意ってやつなんだっけ?」
「そう。さっき言ってた緊急時の脱出用としてならその使用用途は違法じゃないから問題なし。けど、それを悪用して権利を奪ったことで、団長さんとこに責任転嫁はできないし、そんな魔道具を紛失させた時点で、管理部分でアウト。」
「なるほど。おまけに、チェルニちゃんというある意味地雷を拉致しちゃったわけだ。間違いなくあっちはそれに加えて、誘拐犯だから。」
「そう。」
「なるほど。じゃあ、相手の出方次第で更に罪を上乗せ出来るわけだね。」
「まぁ、そこは任せて。相手に吐かせるだけ吐かせるから」
「うわぁ・・。相手に喋らせるの得意だもんねぇ・・。」
何をどうしたらそうなるのか、はたまたその絶世の美貌が凄いのか無言でにこりと微笑むだけでなぜか、相手がぺらぺら何でも喋っちゃうのだ・・。
この子のことだから、他にも喋らせるようにするワザをいくつか持ってるだろうし・・。
・・リリィさんが、可愛いはたちが悪いって言ってたけど、最強ではなくたちが悪いと言ってる部分が凄いわかる。
「・・すまないが、チェルニ殿が地雷とはどういうことだ?」
団長さーん顔が引きつってますよー。(気持ちはわかる)
「あ、言ってなかったっけ?細かい部分は内緒だけど、この子、次期国王様なんだよね。」
「・・・・・」
小国か大国か、とかは何にも言ってないから王様1つで、国の大きさでそのヤバさが変わるわけで、この国は一応冬の大陸ないではトップの大国。
小国の王様よりも大国の王様の方が上だからたかが小国が・・って感じで舐めてたらアレだけど。
実際は、大国も大国。
実績は世界トップレベルらしい、クリアネス王国の王太子殿下だ。
その時点でチェルニちゃんが圧倒的に上。
おまけに、妖精王様だ。
自然を司る存在とも言えるし、この子の一声で世界中の妖精族全てを動かすことだって出来ちゃう権利を持ってるから、それだけでも十分脅威。
「国際問題がぁ・・・・」
膝から崩れ落ち、体勢をOTLの状態にした状態で、大変お顔を真っ青にして取り乱しておられます。
あぁ・・・。
可哀想だから言わないけど、残念ながらフィリアたち嬉々としてこの国に宣戦布告をしてけんか吹っ掛ける気満々だったよ。
後、可哀そうだから口にしないけどチェルニちゃんラブな人たちがたくさんいるからほぼ間違いなく嬉々として戦争吹っ掛ける準備を着々と進めていると思ってる。
だよね?
と、無言でチェルニちゃんをちらっと見ると深く頷いた。
やはりご本人も俺と同意見らしい。
うん、この国終わったな。
ほら、とりあえずお偉いさんの元に連れてってよ。
と口にするとがっくりとうなだれつつも案内してくれる。
そこでチェルニちゃんが慰め?た。
「大丈夫。今回の件は全部この国のトップである、おじさんの権利を全て奪い取った馬鹿の責任だからおじさんは一切のお咎めなしにしかならないし、罪を擦り付けようなんてしたらさっさと始末してあげる。」
「・・・・はぁ、この国も終わりか。」
どうやら、チェルニちゃんが王太子様だとわかったらしい・・・でも、今俺たちがいるところよりも大きな国か小さな国かという点は頭からすっぽ抜けてるようだ。
で、謁見の間に到着した。
さて、ここからが本番だ。
・・・にしても
俺、確かにこの国にいた覚えはなんとなくあるんだけど、国名どころかどの身分の人が何て名前だったか全く覚えてないや。
後、俺のことに誰1人として気づいてないという事実(笑)
アレかな?
生活習慣と言うか栄養管理と言うか、そういう部分が改善されて大変身?したせいで同一人物とは全く思われてないのか、気づかれてないのか。
もしくは、チェルニちゃんの存在がすごくて俺がこの国からポイ捨てされた異世界人だとイコールで思われてないのか。
まぁ、いいや。
後で暴露して全員を驚かせちゃえ。




