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放浪の木刀使い~記憶喪失は主に周囲の人が気にするらしい~  作者: ミコト
これがホントの千客万来(求めてない)

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22/45

気付いたら人間を拾ってました

--チェルニ--

あぁ、よく寝た。

なんか寝てる途中でイラッとして何かを殲滅したような気がするけど気のせいかな?

たぶん気のせいだよね。

血のにおいは一応しないし。


それと、ここどこだろ?

どこのお宿?

と言うかどこの町?


後、なんでリリィさんはご機嫌斜めなの?

「はぁ・・・ここは通りすがりに立ち寄った町よ。で、今宿の部屋を借りたところ。」

「ふぅん。」

「で、そっちはスルーなの?」

「ん?」

隣を見てみると、どこか挙動不審というかどうしたら良いかわからないという感じでアワアワしてる男の人がいる。

年齢は・・・見た目、リリィさんくらい?

「どなた?」

「あんたが拾ったのよ。」

「え、えぇっと・・拾われました。」

「僕が拾ったの?」

セバスさんもそのお兄さんもうんうんと頷いた。

一応拾われた本人に状況を聞いてみる。

「えっと・・気付いたらでっかい頭3つの狼の背中の上で君の抱き枕にされてて・・・そこの美女になぜか安易に抱き枕になるなと説教されたところ。」

「リリィさん。その説教は理不尽だと思う。」

「うっさいわ。拾った元凶が。」

「それと・・・セバスさんに教えてもらったんだけど、そこの美女と君が夫婦で、君が・・その・・男の子だってホント?」

「ホントですよ?」

「マジか・・ガチの男の娘か。」

「そう言えば、お兄さんは何で降ってきたの?」




--降ってきた青年--

う~ん・・・どういう状況と言えば良いんだろう。

とりあえず、幼女・・じゃなかった少女・・でもない、男の娘・・・うん、やっぱり美少女にしか見えないな。

その子をなぜか俺が膝枕してるという謎の状況。



あ!

「俺に触れてても大丈夫なの!?」

すっごいナチュラルに抱き枕にされてたから忘れてた!!

俺の体質のこと。

「ん?」

・・・すっごい不思議そうに可愛く首を傾げられた。

「えぇっと・・・?」

そこで首を傾げられて、どうリアクションしろと?

可愛いと頭を撫でれば良いのか?

と言うか、男の娘だって言うのは聞いたし、結婚してるんだから成人してるんだとは思うけど・・この子何歳?

「大丈夫ってこのひんやり体質のことです?」

ひんやり・・・まぁ・・うん、そうなんだけど・・何だろう、すごく毒気を抜かれるなこの子。

「とりあえず、自己紹介しましょうか。私とセバスたちは既にやりとり済みよ・・あんたがお昼寝中に。」

そこの渋かっこいいセバスさんにも感動したり、リアルケルベロス(しかもしゃべる)とかリアルドラゴンとの遭遇にも感動したのもさておき、巨乳美女にもいろんな意味で驚かされたけど・・。


目を覚ましたら美少女にしか見えない男の娘の抱き枕にされてて、その状態で混乱してるって言うのに、安易に抱き枕になるなと説教を食らったよ。

・・すっごい理不尽だと思う。

抱き枕になるなって・・・無茶だよね?

気付いたらそうなってたんだからさ・・意識失ってる最中の部分まで制御は無理です。

でも、反論することも許されずに説教されました。


・・目の前で揺れる美女の男のロマンの塊に癒やされたのは内緒です。


「で、ほらさっさとどこの誰か、なんで降ってきたか説明しなさいよ。チェルニに二度説明するのが面倒であえて聞いてなかったんだから。」

あ、やっぱりそうだったんだ。

と言うか何でしゃべってないのに普通にやりとりしてるんだろ・・俺。

「リリィさんは、エスパー系ツッコミマスターだからです。」

「うっさいわ。野良猫扱いされるあんたは黙ってなさい。」

エスパー系ツッコミマスター・・なるほど。

そういう感じの美女か。


・・色々と新しいジャンルの美女だ。

「言いたいことがあるなら聞くわよ?」

「・・なんでもないです。」

その冷たい笑みはやめて下さい。

その美貌もあって背筋が凍ります。


んで、野良猫扱いされる男の娘か・・こっちもこっちで不思議ちゃん枠か。

でなんでこの子、俺に膝枕された状態のままなんだろうか。


「とりあえず、自己紹介から・・俺、霧雨零きりさめれいって言います。15歳です。」

「あら、ぎりぎり成人してたのね。」

中学を卒業したばっかりだったんだけどね・・。

と言うか、15歳で成人なんだこの世界。

「まず、俺・・生まれつき特殊な体質をしてるんです。」

「それって、チェルニがひんやりって言ってるやつ?」

「はい。俺は、冷感体質って呼んでます。何も意識をしなくても常に冷気を纏った状態なんです。」

「でも、途中チェルニにくっついてて大丈夫か聞いてたってことはそれだけじゃないんでしょ?」

やっぱり頭良いなぁ・・この巨乳美女。

「・・・その通りです。その、感情が高ぶると周囲のモノを問答無用で凍らせてしまう・・・と言うか、凍傷にさせたりするんです。」

「あぁ・・なるほど。それでチェルニが凍傷になってないか心配だったのね。」

「はい・・すっごい不思議そうな表情をもらいましたけど。」

可愛かったけど・・と言うか可愛いけど。

つい手が動いて頭を撫でてるけど・・膝枕してるしそのくらい良いよね?

周りもダメとは言ってないし。

「まぁ・・その子、色々と耐性を持ってたり魔法を纏わせるスペシャリストだったりするし。」

「なるほど・・」

やっぱりこの子が特殊なのか。

「それで・・実は俺・・この世界とは違う世界からやってきたんです。」

「!?」

「異世界人!?」

おぉぅ・・想像通りの驚愕という表情をセバスさんとリリィさんからもらった。

・・って、アレ?

もう1人からの驚愕のリアクションがない・・と、俺の膝を枕にゴロゴロしてくつろぎながら黒猫をブラッシングしてた男の娘・・チェルニちゃん(見た目的にどうしても君付けは・・)を見てみると、ふぅんという感じで特に驚いてない。


・・・すっごい肝の据わった子だな。

「えぇっと・・驚かないの?」

「匂いが違う世界っぽい感じだったのでかなぁとうすうす感じてましたし。」

「・・・そうなんだ」

突っ込まない。

突っ込まないぞぉ?

異世界っぽい匂いって何だって突っ込まないぞー?


とりあえず、可愛いから頭を撫でる。

この子の髪さらさらで触り心地良いなぁ。

「・・異世界からやってきたと言うより異世界から拉致されてきたって心情ですけど。」

「ほう?」

「・・どこのバカがやらかしたわけ?」

ギラン!という感じで目が鋭くなる2名。

「え、えぇっと・・どこかは聞けなかったのでわからないですけど、寒い大陸の大きな国なのは確かです。」

「・・冬の大陸ですか。」

「あぁ・・そこの大国ねぇ・・色々ときな臭い噂は聞いてたけど。」

「で、レイお兄さんはそこの屑ボスに異世界から召喚されてここに捨てられた感じです?」

こてんと首を傾げながら尋ねる男の娘が可愛いだけどどうすれば良いと思う?

とりあえず撫でるか。

すっごい癒やされるんだけどこの子・・。

て言うか、屑ボスって・・すっごい言い方するね。

ただ国王と呼びたくない・・と言うより人間扱いしたくないという雰囲気を感じる。


「まぁ、大まかに言えばそんな感じ。・・いきなり召喚されたかと思ったら片っ端からじろじろ見られて、俺は外れ認定されたんだ。」

「片っ端からってことは、他に誰かいたの?」

「はい。3人ほど。俺と同級生の男女です。」

名前は・・何だっけ・・・。

「あまり仲良くなかった感じ?」

「・・俺のいた世界では魔法なんて空想上のモノなんだ。だからそんな中俺の冷感体質は悪目立ちするからね。」

幼い頃は雪女とか氷野郎とか色々言われた。

それから俺は、全ての人間に関心を向けることをやめた。

唯一、俺のことを案じてくれていた両親は幼い頃に病気で亡くなった。

けど、後見人のおじさんは金だけは定期的に口座に入れてくれるからバイトも休みの日だけやれば生きていけた。

まぁ、金をくれるだけありがたかったけどそこまで仲が良いわけじゃなかったし・・正直信用出来ないし。

そんな人生を送ってきてたから同級生だと言って仲良くなる気なんて微塵もないから同時に名前を覚える必要がない。

そう幼い頃から思ってきた結果、相当仲の良い人間じゃないと名前を記憶出来ないようになってしまった。

困ってないから気にしてないが。



・・そう考えるとこの人たちの名前はスルリと覚えられたな。

あぁ・・俺の体質とか全く気にせずに普通に接してくれるからか。

「なるほどね・・そりゃあ仲良くなれるわけないわね。」

「自身と違う異物を嫌う傾向にありますからね。」

リリィさんとセバスさんの言う意見に凄く賛同する。

ん?

チェルニちゃん何?

え?果物くれるの?

・・ありがと・・あ、おいしい。

凄い不思議な味がする・・和梨のような林檎のような、スイカのような・・・何これ?

どの環境でもしっかり育ち、凄く成長速度が早くて一度に大量に鈴なりになるし、普通においしいから重宝され、一番あちこちで売られている確率が高い果物なの?

なるほど・・戦いが多い世界っぽいし、飢饉云々を考えると凄くありがたいモノだな確かに。

水分もしっかり取れるし腹も膨れるし尚且つおいしい。



「で、その3人は良いワザとかを持ってたみたいだけど俺は雑魚認定されたよ。それから、雑魚でも肉壁くらいにはなるだろとか言って訓練と言うなの拷問されながら、怪我を治すワザの実験台にされたり、魔法の的になったりする日が続いてるある日に、俺を鍛えるよりもえさ代の方が高くなるからいらんって魔方陣っぽいのに投げ捨てられたんだ。」

数日間ほどそこにいたけど、結局国の名前は聞きそびれてたな・・今思い至ったよ。

でも、料理長さんは優しくはなかったけど俺に無言でおいしい料理を大量にくれたのは凄く感謝してる。

・・そっちも名前聞きそびれたけど。

「で、その魔方陣の行き先がちょうどこの町の上空だったってわけね。」

「はい・・。」

そう言えば3人いる中の1人の女が他の連中と違って俺を治療しながらもなぜか俺に謝ってたな。

何にも手助けなんてせずにただ傍観してた挙げ句に怪我を治すだけの女が謝るって全く意味がわからなかったな。

まぁ、どうでも良いか。

「どうします?その国滅ぼしときます?」

「・・・・考えさせて?」

可愛い顔してサラッとエグいこと言ったんですけどこの子。

とりあえず頭を撫でよう。

可愛いから。

後、現実逃避のために。

「ちなみに、レイ、あんた今後どうするのよ。」

「今後・・・」

そうだ。

俺、一文無しで捨てられたのに加えて、もやしじゃん。

武器も防具もない住むとこも・・金稼ぎも出来ない!?

なんてこった!

「じゃあ、僕たちと一緒に行きます?」

「・・良いの?」

「構いませんよ?」

「まぁ、チェルニが寝ぼけて抱き枕にするくらいだから心配ないわよね。」

「そうですね。」

「えぇっと・・どういうことですか?」

この子の抱き枕にされたことの何が俺を信用する判断材料になるの?

「その子ね・・味方以外の人間が寝てる最中に近づいてきたら問答無用で仕留める寝癖があるのよ。」

「・・・寝癖」

それは寝癖というのだろうか。

と言うか、物騒な寝癖だな。

「つまり、チェルニがくっついてる時点であんたは善人ってことよ。」

「なるほど・・。」

とりあえず、野良猫とか言われてたし、可愛いことも踏まえて野良猫と言うより山猫と思うことにしよう。


「じゃあ、僕のペットになります?」

「・・・ペットはやめときます。」

可愛い顔でこてんと首を傾げて可愛い仕草で誘惑しないで?

思わず、頷いてしまいそうになったじゃないか。

「おいしいご飯もお洋服も住む場所もサービスしますよ?」

「・・誘惑しないで?」

「??うん。」

あぁ・・良くわかってないという顔をしてる・・・無自覚かぁ・・色々と恐ろしい子だわぁ。

「とりあえず、私たちの目的を教えるわね。」

なんか可哀想な視線をセバスさんから向けられてる気がするけど頑張って気のせいということにしよう。

「はい」

「今、この大陸・・春の大陸って言うんだけどこの大陸にある大国であるクリアネス王国に向かってる途中なの。・・そこがチェルニの国でね。その子の記憶探しに。」

「大国の子なんだ・・って、記憶?」

「その子・・・記憶喪失なのよ・・どこの誰なのか自分の名前すらもね。・・かろうじてギルドカードで住んでた場所と名前はわかったんだけど。」

ギルドカードって、話の流れ的に身分証明書的なモノっぽいと推測する。

「・・・」

意外とハードな人生送ってるなぁこの子。

と言うか記憶喪失ってガチで何にもわかりません、ここはどこわたしはだ~れ?ってレベルかよ・・やべぇなそれ。

と、しんみりとしてこの子の頭を撫でてるとシリアスは・・・脱走した。

「だと言うのにこのアホ・・物忘れの延長戦くらいの感覚で5年間も放置して世界中を彷徨いてるし・・」

「え?」

物忘れ扱いして良いレベルを超えてると思うんだけど?

「だから私が引きずってそいつの故郷に持って行ってる途中なのよ。故郷に行けば記憶の手がかりになるじゃないかってね。」

引きずって・・・扱い方が・・気持ちはわかるけど。

「なるほど。」

警戒心の強さとか可愛いところとか別として、行動そのものも野良猫っぽい。

・・・なるほど、凄くしっくりくる呼び名だ。

「記憶が戻るか否かは、さておき、クリアネス王国に住むか、再度世界中を旅するかはそのとき次第という感じにはなるわ。」

「なるほど・・。」

リリィさんがツッコミマスターになった理由がわかった気がした。

あ、セバスさんありがとうございます。

うわぁ・・・すごい良い香りのコーヒー。

俺・・コーヒー凄い好きなんだよなぁ・・1人でいるのが当たり前な人生歩んでる中で、唯一この香りがいやしてくれるんだよ。

そんな中での俺の趣味は、あちこちのコーヒー店に言って飲み比べすること。

どのお店の味はどうだった、あのお店の味はこうだった。

って、1日に何店も行くわけじゃないけど。

あ、おいしい。

凄くおいしい。

砂糖はなしでって言ったんだけど、ミルク少なめのカフェオレにしてくれたらしい。

・・ブラックに挑戦してみようと背伸びしてたんだけど結果オーライ。


砂糖なしのカフェオレって何気に初体験だけど飲みやすくておいしい。

普段は微糖でミルクなしで飲むことが多くて、ブラックは香りは好きでも味は少しだけその大人の味に慣れないから早くブラックが楽しめる年になりたいと密かに思ってたけど、砂糖なしのカフェオレ・・一番好きかもしれない。

あ、チェルニちゃん・・これ何?

え?それと合うお菓子?

ありがと・・・確かにあう、おいしい。



・・って、ん?

「チェルニちゃんの国?・・故郷じゃなくて?」

まるでチェルニちゃんが国の代表ですと言ってるように聞こえる言い方に引っかかった。

「その子の国で合ってるわ。」

それに続いて飛んできた台詞に俺はガチで驚いた。

「だってその子・・その国の第一王子だもの。」

「ちなみに、リリィ様は別の国ですが公爵家令嬢です。そして、クリアネス王国は世界中でトップレベルの大国ですよ。」

「・・えぇ!?」

王子様!?


王子様なの!?

確かに男の娘だって聞いてたけど、見た目的にはお姫様の方が似合うのに!!

・・と言うか、すごい気さくと言うかおおらかというか・・マイペースな猫か妹にしか見えないから王族に全く見えない。

「ついでに言うと、その子私より年上よ?」

「・・・・女性に尋ねるのはタブーなのは知ってるんですけど、リリィさんっておいくつで?」

「私は気にしないけど確かにタブーね、あなたより3つ年上よ。」

「この子は?」

「私の2つ上」

・・・・・えぇっと、俺が15

3つ上でリリィさんは18・・高校卒業レベル。

で、その2つ上だから20・・・・は!?

二十歳!?

この可愛い美少女が!?

幼女とぎりぎり呼べるレベルの美少女が!?

なんか傾国のなんとかとか言ってもおかしくない美貌の幼女が!?


身分以上にびっくりなんですけど!?


と言うか、俺・・身分的にも年齢的にもすっごい失礼なことを現在進行形でしてない?

普通に膝枕しながら頭を撫でてるんだけど・・妹か飼い猫扱い並みに。

「その扱いで問題ないわよ。」

・・・扱いに関してはそれで構わないらしい。

と言うよりマスタ-、俺の頭の中を読まないで下さい。

「マスター言うな。」

「ツッコミマスターのマスターじゃなくて、主的な呼び方に聞こえるね。」

「にゃんこは黙ってなさい。」

野良猫どころかとうとうにゃんこ扱いされ始めたぞ・・この子。


・・いいんだ・・と言うか良いの?

王子様の扱いこれでいいの?

「良いのよ。どうもその子、野良猫殿下って呼ばれてたっぽいから。」

「野良猫殿下・・・」

なんてぴったりな。


「色々と疲れてるだろうし、今日はこのまま宿で休みましょう。レイのギルドカードは明日作りに行きましょう。自衛出来る術はあった方が良いし、カードはあった方が町の出入りが楽だし。」

「まずは自身が何が得意で何が不得意か知ることが大事ですからね。」

「よろしくお願いします。」

ファンタジーの定番とも言えるモノだからちょっと楽しみだ。

「と言うか、あんたが一番年下ではあるけど敬語じゃなくて良いわよ。」

「えっと・・良いの?」

「構わないわ。その子も構わないだろうし。」

下を見るとコクリと頷かれた。



「じゃあ・・よろしく。」

笑顔でみんなが頷いてくれる。

・・天国にいる父さん、母さん。

初めて、敬語なしで呼べるくらい仲の良い友達が出来たよ。


「と言うか・・あんたが故郷でどういう扱いされてたのかなんとなく察したけど・・むかつくわね。」

俺がなんて言うか、敬語も含めてかなり腰の低いやりとりと、やたらと人と距離をとろうとする部分で察したらしいリリィさんから寒気のする気配がするけど、俺のために憤ってくれるのは正直うれしい。

・・両親以来だな、そんな人が存在するのは。


・・まぁ、確かに故郷では虐められてたな。

正しく言うと、小学校までは虐められ、中学では存在しない者として扱われてたから、ある意味平和だった。

モノが壊れるでもなくなるわけでもなかったし、ヒソヒソと何か言われてたわけでもなくただただスルーされてただけだし。

おかげで休み時間も駆使してバイトをしてても誰も邪魔しなかったから助かった。

え?

何のバイトかって?

こう言ったら恥ずかしいけど実は俺・・作家なんだよね。

”ひやりん”って名前のペンネームで恋愛モノの本を書いてるんだ。

俺自身が孤独だったからその思いを本にぶつけたというのが正しいけど。

まぁ、中学卒業と共に新刊を出すのをやめて普通に働こうと思ってたからちょうどやめたところだったけど。

新しい話を出す前にちょうどきりよくその出してる話が完結したからさ。

そこそこ売れたよ?

数ヶ月くらいなら節約すれば食べて生きていけるくらいは。

そう言えば、数人くらいファンタレターをくれた人がいたっけ?

現実の俺を知らないと言うこともあって純粋に慕ってくれてたみたいで地味にうれしかったなぁ。


買い物するときも会話はせずとも普通に舌打ちとかされずに買い物出来たしお店の人も一定の距離を開けた状態で営業スマイルは崩れなかったし。

「で、思ったんだけど、あんたがその暑苦しい格好をしてたのはその体質のせい?」

「そうですね。ヘタに触られて凍傷になられても困るので。」

普段から長袖長ズボンに、膝下まである長い靴下に同じレベルのブーツに肘辺りまである少々厚手の手袋にマフラーにニット帽と完全に真冬の格好と言っても過言ではない状態になってる。

「せめてマフラーと帽子は外しなさい。それに、手袋も邪魔だわ。」

「け、けど・・」

「大丈夫よ。シリウスが近くにいるんだから誰も近づかないわ。」

「あぁ・・・」

あのケルベロスがシリウスと言うらしい。


何気に、何年ぶりだ?

これらの装備を外して外を歩くの。

「近寄られるのが怖いなら、僕と一緒にシリウスの背中の上にいたら誰も近づかないよ?」

「・・確かに。」

物理的にもでっかいし、威圧感が見た目的にもばっちりあるし。


「・・もしかしたら、そのひんやりをある程度制御出来るかも」

「ホントに!?」

これが制御出来る方法があるの!?

「うん。体質だから完全になくすのはたぶん無理だけどそれらをある程度操作出来るようになれば抑制くらいは出来ないかなって。」

「それでも良い!頼む!」

「良いですよー」

軽っ・・。

俺の鬼気迫った頼みをすっごい軽~く流された・・。


それから、俺はチェルニちゃんに魔力と呼ばれるモノの扱い方を教わった。

凄く教え方は上手でわかりやすかった。

体の中に流れる血液ともう1つあるモノで、精神力の親戚みたいなモノらしく、いろんな魔法やワザを扱うときに使うモノらしい。


魔力を体内から生成して練り上げ、体の必要な場所に移動させる。

これで纏えばそのまま身体強化で、それを自身の属性魔法という俺の魔法!って感じのモノに変換すれば俺が想像してるような魔法!って感じのに出来るらしい。


そこから、どうやって俺の体質を抑制させるかは自身のイメージ次第らしいので細かい指示だしが出来ないらしいことを謝ってたけど・・そんな可愛い顔でシュンとした表情はやめて?

・・すごいグッとくるから。

そして、ギルドに向かう頃にはなんとなく体に纏ってる冷気を俺の魔力を経由して感じ取ることが出来たため、1メートルくらいに近づいたらひんやりしてるのがわかるという距離が80センチまで縮めることに成功した。

・・凄い微妙だけど鍛えればもっと制御出来るらしく、初回でそこまで出来るのはかなり俺は器用らしい。

魔力操作に関しては、チェルニちゃんが随一って感じらしいので俺はチェルニちゃんの弟子ポジションになるようだ。


ただ、魔力の扱い方というか流し方?を教わるときにチェルニちゃんと手を握り合って魔力を体の中を循環させ合うというのをしたんだけど・・アレヤバいんですけど。

なんか、手はちっちゃいし柔らかいし、魔力は暖かくて凄く気持ちがよくて心が蕩けそうになるし。

本人がとんでもなく可愛いし。

まぁ、おかげで魔力操作を覚えたから結果オーライだと思う。

でも、気のせいかな?

その後くらいからやけに体の調子が良いのは。



ちなみに余談だけど、お風呂は性別的に同性(一応)だから一緒に入りたいと言うチェルニちゃんからのお願いによって一緒に入ったんだけどすごく心臓に悪かった・・常に直視できなかった。(心臓に悪い方タオルは巻いてもらった)

・・確かに男だったのは実物が見れたからわかったんだけど意外と大kゲフン・・ついてても美少女にしか見えないからすっごいドキドキした。

頑張って妹だと思い込ませてなだめました。

秘かに暴れる心臓を抑えてるとセバスさんがポンと肩をたたいて透き通ったような感じの笑みを浮かべて頷いてた。


あぁ・・誰もが通る道なんですね。


それと、ご飯はやたらと栄養満点と言う感じのものを腹が破裂するかと思うくらい食わされた。

どうやら痩せすぎてるように見えたらしい。

まぁ、確かにご飯は普段から最低限食べるという感じで満腹になるまで食べるということが金の節約関係で皆無だったから常に空腹なのは割と普通だった。

ホント最低限しかお金なかったし。

あ、コーヒー店巡りのは俺がバイトしたお金だよ?

食費とかは仕送りから出してるから節約してるって感じ。


で、ずっとスルーしてたんだけど・・なんでこの子ニャンコと普通におしゃべりしてるの?

何言ってるかさっぱりわからないんだけど、可愛いけど。

やっぱり不思議ちゃんだ。


「で、髪どうすんの?切る?」

男にしては髪が長いという部分でリリィさんが気になったらしくさっきのセリフです。

「えぇっと・・切らない方向でお願いしたいです。」

髪は真っ白なんだよね俺。

で、背中の真ん中くらいまであったりするんだよ。

後、瞳の色がすっごい淡い碧眼なんだよ。

でも、生前両親がほめてくれた髪なんだ。

だからできるだけこの長さを維持したい。

「じゃあ整える感じね。」

と言う感じで、鋏を持った人がどこからともなくやって来て俺の髪を整えてくれた。

長さは確かに変わらないんだけど、足元に落ちる大量の髪を見るとどこを切ったんだろう?と思う。

でもすごくすっきりした気がする。


「とりあえずギルドカードの作成とレイの装備を整える必要があるわね。」

「すみませんお金まで出してもらって・・。」

働いて返すからと言い返そうとしたら拒否された。

「気にしなくていいわ。逆にお金の使い道に困ってたからちょうどよかったから。」

「そ、そうなんですか。」

貴族はお金を使うのも仕事とか言ってたけどそれなのだろうか。

「じゃあ、とりあえずこれあげる。」

「ありがと・・・この首輪?チョーカー?は?」

「チョーカーですよ。それを付けてると状態異常関係にかかっても時間はかかるけど治してくれます。」

「それはすごくありがたい・・ありがとう。」

「チェルニ・・それ何?聞いたことないんだけど。」

「前に倒した物真似さんの素材を使って作ってもらったのをもらったんだけどさっきまで忘れてた。」

「あぁ・・あんたには必要ないモノだしね。・・またとんでもないやつを倒してやがったし」(遠い目)

「うん」

こんなすごい装備がいらない・・他に解毒?する技があるってことなのかな?

後、軽く物真似さんという生き物はリリィさんのリアクション的にかなり高ランクでヤバい生き物っぽい気がする。



とりあえず、さっさと寝ろと言われてるし(夕飯を食べた直後くらい)寝ます。

みてみんの方で、新しく挿絵を投稿しました。

こちらにうPするのは、ストーリー的にもうしばらく後になります。


気になる方は覗いてみてください。




後、主人公がすごく軽く物まねさんとか言ってるけど、

目視した相手の姿形を真似るだけではなく、扱う魔法や武器に技術まで見せたワザも全て完璧に物まねしてしまうのに加えて、非常に暴食なとんでもなく面倒くさい災厄レベルの魔物です。

それに気付いたリリィさんはむしろいつものことかぁと遠い目をしてたりします。

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