船とは、陸上生物以外からすると動く弁当箱にしか見えないらしい
セバスさんの御両親についてお話をしたりリリィさんの副業がとうとうツッコミマスターになったりした。
で、ちょっとなんとな~く気になって僕は自分のステータスを覗いてみた。
名前:チェルニ・クリアネス(二つ名:木刀の歌姫)
ランク:S★
バディ:白夜
獣魔:シャル(猫っぽいナニカ)装備:ヘカテのタリスマン
性別:男の娘
年齢:20
種族:小半妖精
身分:クリアネス王国第一王子
職業:魔法侍
副業:歌手、作詞家、作曲家
属性:全耐性
体力:S+
魔力:S+
攻撃:S-
防御:A
俊敏:SS+
練度:S-
攻撃1:【刀術】【木刀術】【足技】【飛刀】
攻撃2:【属性纏い】【衝撃波】【刀舞】【受け流しの極み】
特性1:【脚力強化】【魔力強化】【五感強化】【耐性強化】【打撃強化】【突貫強化】
特性2:【魔力譲渡】【疲労軽減】
補助1:【忍者】【勤勉】【調合】【舞踏】【メイド業】
補助2:【自己再生】【自力解毒】【両利き】【技巧】
自動1:【猫感知】【猫察知】【猫探知】【全魔法耐性】【絶倫(極)】【王の逆鱗】
自動2:【野生の勘】【虫の知らせ】【体験学習】【猫の目】
衣類:アルテミスのキトン、癒しのニーハイソックス、猫好きブーツ、純潔のキャミソール、純潔のストリングショーツ、忍の口当て
武器:魔断の神木刀
装飾:結婚指輪、神秘の髪紐
証:フォレスト王国フォロスト公爵家のコイン、フォレスト王国王家のコイン
加護
神々のお気に入り
称号1
天然ボケ(無自覚)、迷子(不治)、お気楽マイペース、性別迷子、童顔、猫は親友、一途な百合もどき
リリィ・フォロストの夫、フォレスト王国フォロスト公爵家令嬢の夫
称号2
愛され男の娘、救いの天使、義賊:殺戮猫、木彫りの黒猫教団教祖、野良猫殿下
謎の水筒とフライパンは一番有効活用出来そうなセバスさんに渡してるよ。
称号部分に記憶のないものが混ざってた。
それとこんなワザを覚えてた。
セバスさんにステータスが1の欄と2の欄に別れた意味があるのか聞いてみたけど、特に意味はなく数が一定以上増えると見やすく整頓されてるだけらしいのでワザ事態に変化はなくタダ表示させるときのジャンルが微妙に1と2で違いがあるらしい。
義賊:殺戮猫
世界に蔓延る法的に中々始末出来ない悪や災厄レベルの魔物などのあらゆる脅威を殲滅する影の英雄
敵対者に対してキレが良くなる。
木彫りの黒猫教団教祖
木彫りの黒猫教団とは、殺戮猫を崇める崇拝者集団であり、
殺戮猫こそが教祖である。
殺戮猫を名乗る偽キャットを殲滅し、殺戮猫の偉業に関する情報を集め、メンバー同士限定で共有し、褒め称え喜ぶだけの無害な集団のため、仲間にするために無関係者を強引に引きずり込むことは一切しない
野良猫殿下
大国の王子様なのに野良猫のようにあちこちをフラフラする先の行動が読めない人物に捧げられる称号
自身に関係している範囲限定で身分による差別が良い意味でも悪い意味でも出にくくする。
【木刀術】
木刀を扱う技術であり、数をこなせばこなすだけ熟練度は上がる
木刀を使用しているとき限定で刀術以上に熟練度が向上しやすくなる
【受け流しの極み】
攻撃から周囲の意識までありとあらゆるモノを受け流すことに特化したワザ。
数をこなせばこなすほど熟練度は上がりやすくなる。
【疲労軽減】
自身にたまる疲労を通常の倍の速度で回復させる。
呼吸を整えた状態の場合、更に倍の速度で回復する。
【王の逆鱗】
敵対者に恐怖の感情を与える【威圧】と
自身の仲間かそれに類似した対象、もしくは保護対象者に安心感と頼もしさ、そして絶対的な上位者として認識させる【覇気】
それらが混合したワザであり、真の国王となる素質を持つ者だけが所持することを許される上位ワザである。
【威圧】と【覇気】が合わさっただけの威力よりも軽く倍は威力が高い。
発動させる際には、自身の感情を魔力にのせることで発動するが、感情が高ぶると魔力にのせずとも勝手に発動することがある。
「・・・・」
「チェルニったら既に教祖になってたのね。」
「まぁ、殺戮猫としての偉業を考えると当然かと。確か冬の大陸以外の3大陸中で最も有名な伝説の人物ですので。」
「あぁ・・なるほど。それと、この【王の逆鱗】ってワザ・・」
「えぇ。この技を持つ方は必ず人の上に立つ立場になる運命であり、賢王と呼ばれる確率が非常に高いとされるまさしく王となる素質を持つ人だけに必ず出現ワザですよ。このワザの有無で配下の態度が自然と変わります。それも通常であればよろしくない考えのモノが集まるはずがそう言う者たちが軒並みいなくなるほどの。」
「・・・すごいわね。後、上の立場になる運命ってどういうこと?」
「本人が無自覚にと言うことですよ。そして不思議なことに幸せな運命を最終的に巡りやすくなるとも言われております。」
「あらロマンティック。けど、上の立場って言うのはなんとなくわかるわ。」
「確かに。今時点でもこの船の船員たちがほぼ全員崇拝者になってますからね。」
「えぇ。おまけに指示の出し方も宥め方も的確。」
「さすがの一言ですね。それと、このワザは戦闘関係でも非常に優れてますよ。敵対者に恐怖を与えることで動きを鈍らせ、仲間には鼓舞される。これはチーム戦において非常に重要なものになります。」
「確かに、補助魔法の有無みたいな感じでしょ?」
「役割としては似たようなモノですね。優秀なリーダーの存在の有無くらいのイメージでしょうか。」
「あぁ、そっちの方がわかりやすいかも。・・・後、称号がとっちらかってるわね。」
「周りからどういう風に認識されているのか凄い色々と考えさせられますね。」
「野良猫殿下って・・・今のチェルニそのまんまじゃないの。」
「殿下としての自覚が皆無の状態でフラフラとあちこちを放浪したのでしょうね・・今のように当時から。」
「凄い簡単にイメージ出来るわ。」
「そしてそんなリリィ様はそんな野良猫殿下を操縦出来る唯一の存在だと言うことですね。」
「そうなるわね・・別の意味で責任重大じゃないのよ。」
「頑張って下さい。」
「セバスも手伝ってちょうだいよ。」
「私は生活のサポートはしますが、チェルニ様の放浪に対してのサポートはせずに隣で楽しく見物させていただきますので頑張って下さい。」
「・・・・」
僕が絶句してフリーズしてる間に2人は言いたい放題。
・・・・はぁ、言ってどうにかなる問題でもないし気にしないことにしようそうしよう。
だとしても、何でいきなりこんな凄いワザを覚えたんだろう?
王子としての自覚が皆無なのに。
ワザに関しては、僕が木刀をメインに使っているからと言うのと、リリィさんとの模擬戦でリリィさんは放ってくる水の魔法を木刀で受け流したりする回数が増えたことが影響していると思う。
他にも魔物と戦うときリリィさんに経験を積ませるために敵の攻撃をリリィさんから守るためにひたすら受け流し続けたりしてたし、周囲から無駄に集まる視線を操作して周りに流してたからその辺りが影響しているような気はするけど、かなり有用なモノみたいだからもっと頑張ろう。
船では、定期的に劇場で歌をセバスさんたちと歌い、演奏したり歌を作ったり、あちこちのお店に顔を出したり食べ歩きしたり、お部屋でゴロゴロしたりと大変のんびりとした日々を過ごしてます。
あ、模擬戦とか訓練もしっかりしてるよ?
だとしてもいつの間に僕は教祖になってしまったんだろう・・・。
後言わないけど、木彫りの黒猫って
木彫り=僕の木刀
黒猫=シャル、もしくは殺戮猫
ってことだよね?
言われないと気付かないから凄い上手い言い回しをしたとは思うけど・・・けど、他人に迷惑をかけないタイプだから聞かなかったことにしようそうしよう。
「と言うより、僕の種族変化してるの気のせい?」
「あら?ホントだわ・・・」
「詳細をみてみましょう。」
「うん」
小半妖精
半妖精と違い、4分の1人間の血が流れている。
半妖精よりも魔力回復速度が優れて、周囲に溶け込みやすい。
何かのきっかけで羽が生えたりする。
羽は3対であり、上から順に透明な緑から青へのグラデーション
「なんで人間の血が薄くなってるの?」
「確かに・・変なことは何もなかったし、血を多く流したみたいなこともなかったし。」
「チェルニ様の中に流れている妖精としてのナニカが目覚めだしたり覚醒したりしたと判断した方がしっくりはしますね。」
「確かに・・それなのに第一王子なんだから・・あなたの御両親って、ホントに人間?」
「記憶のない人間に聞かれても困るんだけど。」
正直僕も謎に思ってるよ。
でも、記憶に残ってない部分を聞かれても困るし。
「あぁぁもうぉぉ!!クリアネス王国に着いたら陛下だろうか何だろうが首を洗って待ってなさい!話を聞かせてもらうんだからぁぁぁ!!!」
と言うか、口にしないけど・・・何かのきっかけで羽が生えるって・・・えぇ・・確かに良く何で羽が生えてないの?って聞かれることは多かったけど、そんな要望を神様が叶えてるだけってオチはないよね?
ね?
と、僕の考えていることを軽く見抜くツッコミマスターに目を向けたけど、さっと目を背けられた。
・・・・人ごとだと思ってぇ!
僕をそうするなら神様!
そっちのツッコミマスターにも天使のわっかとかなんかそれっぽいのをお願いします!!
僕1人だけはいやです、せめて巻き込み要員が欲しいです!
と頭の中で嘆いてたら横から勝手に巻き込むなってツッコミが聞こえたけどスルーします。
ちなみに、シャルとリベラにも相談してみたところ。
シャル「にゃう?」(ひと?)
リベラ「がう?」(妖精じゃなくて?)
ものすごい不思議そうにそんなリアクションをされてしまった。
「・・・・・」
「し、シャルに・・り、リベラも何を言っているのかしら?」
リリィさんもさすがに引きつった表情で2匹に尋ねる。
「にゃう」(元々チェルニは妖精)
「がう」(人の肉体に妖精の魂が入ってるからかろうじて人なだけ)
「っ!?どういうこと!?」
ホントどういうこと?
「にゃう(こまかいことはしらなーい)」
「がう」(魂に引っ張られて人の肉体が変異し続けてるだけ。後は知らん)
「・・・・僕ってホント何なの?」
「・・これは何が何でもクリアネス王国の王様と王妃様に聞く必要があるわね。」
「そうですね・・せめて記憶喪失だけでも治ればある程度の証拠があるのでしょうが・・。」
悲報・・僕は人じゃなかったらしい。
と言うか、セバスさんはリリィさんみたいに翻訳の魔道具を持ってないのに普通にシャルとリベラの会話を理解している件について聞いてみたところ、長年の感らしいです。
「シャル・・つまりは僕は、元々妖精なのに人の肉体に宿った・・それは、この肉体を乗っ取ったってこと?」
「にゃう」(妖精から人に転生しただけだから乗っ取りじゃない)
「僕って転生してたの?」
「にゃう」(記憶はなしで特性と能力だけ引き継いでる。)
「がう」(転生前の力が強すぎて前世の特性が表に出てるから今の種族になってるし、変化し続けてる)
つまりは、前世で強い妖精で人として生まれ変わったけど、記憶以外の内面部分をまるまる引き継いだ結果、そっち(前世)の部分が強くて純粋な人ではなくなり、変異した結果、今の僕の種族になったってことか。
リリィさんも何気に人から別のモノに変化したりしてたからアレと似たようなモノか、それの強化版みたいなモノらしい。
認識はそれであってるらしい。
「そっか・・・とりあえず、気にしないことにする。」
今悩んでも変わらないし特に人であることにこだわったことないし別に困らないし。
「にゃう」(それが良い)
「がう」(過去は気にしたら負け)
「あんたたちね・・もう少し落ち込むか宥めるかしなさいよ・・スルーを推奨するんじゃないわよ。」
ちなみにリリィさんもそう言う部分は特に気にしてないけど、今気にしているのはシャルとリベラのリアクションの方。
「にゃう(気にしてどうにかなるならどうぞ)」
「がう」(反論出来るモノならやってみな)
「んぐぐぐぐ・・・って言うかもふもふペアは何でそんなこと知ってんのよ。」
「にゃう」(野生の勘)
「がう」(同じく)
本気でそうらしいので、それ以上に詳しくはないようだ。
後、種族的(片方は謎種族だけど)にもそう言う部分を感じ取ることが出来るし、敏感なんだとか。
「・・・・」
出来ないのでリリィさんは悶えるだけだった。
ちなみに、セバスさんは楽しげに眺めながら紅茶を飲んでる。
あ、セバスさん僕コーヒー飲みたい。
砂糖なしのミルク追加でお願いします。
セバスさんはお世話好きなので頼むと凄いうれしそうにしてくれる。
それに、凄くおいしいんだよね。
お料理の飲み物も。
後、コーヒー用の豆を数種類と紅茶用の茶葉を数種類仕入れてくれたらしいので、色々と楽しめるらしいので楽しみ。
お金は無駄にたくさんあるからどうにかして減らして欲しいって感じでセバスさんに丸投げしたよ。
僕たちがお金を中々消費出来ないことも含めて言ってあるので、贅沢に食費や飲み物代に使用しましょうって言ってくれたので豪華なご飯と飲み物が出そうで楽しみ。
そう言えば、ウロウロシャルとしてた時になんとなく食べてた草は、一部は傷薬に使えて一部は解毒とかに使えたり、主にお薬に使うモノだったらしく、セバスさんに絶句され、リリィさんには一部そこそこのお値段のモノが混ざってたとつっこみが入ったけど気にしない。
だって、散々大物とボロボロになりながら戦いまくったおかげなのか何なのか、僕の持つワザの影響で怪我も状態異常も時間がたてば治るし、治した時点で耐性が出来るし、僕の属性魔法的にも耐性が二重に出来るからそんじょそこらの毒や怪我だと数分もすれば勝手に治るしねぇ。
だから、そういうのはほとんど使う必要がなかったりするんだよ。
そこで、シャルが突然ピンっと尻尾を動かした後お耳をひょこひょこ動かす。
それをみて僕も周囲の気配を読むことに集中する。
「ん?シャルにチェルニはどうしたの?」
僕とシャルの行動に気になったリリィさんだけど瞬時に何かを察したセバスさんが止める。
「リリィ様、今はやめた方がよろしいかと。」
「なんでよ。」
「何か異常を察知したのかと思います。私よりも気配に敏感らしいお二人が先に察知したのかと。」
「なるほど・・。」
「にゃう」
「だよね。」
「で?」
「シャルと二人で確認したけど周囲と上空に色々集まりだしてる。・・・嫌な気配だよ。」
「チェルニが嫌だって言うってことは、少なくとも敵ってことね。人かどうかはさておき。」
リリィさんは僕が敵を嫌うことを知ってるから察してくれた。
「とりあえず、外へ向かいましょう」
外に出ると、周りには多種多様な魔物がわんさか
上空には空飛ぶお船「飛行船よ」・・数機のでっかい飛行船がいました。
「敵ね」
「敵ですね。おそらく空賊かと」
「空賊?」
「山にいたら山賊、海にいたら海賊、空にいるので空賊と呼んでるだけで言ってしまえばただの賊ですよ。」
「なるほど。とりあえず、どれから対処します?」
「とりあえず、私が飛行船を落としましょうか?」
「セバスさんの弓の腕前みたかったからちょうど良いかも?無理はしなくて良いけど。」
「そう言えば私、セバスが弓で戦ってるのみた記憶ないかも。」
「そうですね。大抵ナイフや短剣を投げるだけでどうにかなりましたからね。」
よいしょっとでっかい大弓を構え、魔力をセバスさんが流し込むと魔力で出来た矢が出来る。
その矢は、少々短いほどの槍サイズ。
「矢にしてはおっきいね。」
「込めた魔力量に合わせて飛距離が伸びるのですが、それに合わせてサイズも少々大きくなるんですよ。」
「なるほど。」
「では、ターゲットは5つですか。なかなかの大物ですね。」
そう言いながら、パシュンと矢を1つ放つと、飛行船に当たり、そのままなぜか爆発して海に落ちた。
その後も、残りの飛行船に同じように狙い撃ち、爆破して海に落としてた。
ちなみに、
「あ、もったいないので回収しておきますね。」
とか言いながら、とんでもなく長い紐をくっつけた矢を落ちた飛行船に放って刺さった後、そのまま異空間に収納してた。(ぎりぎり沈みきる前くらいで)
「間接的にでも触れていればどんなモノでも収納出来るんです。近くにあれば触れずとも出来るのですが。まぁ、生きている動物や人は無理ですが死んでしまえば可能です。」
「それは凄いけど何で飛行船が爆発したの?」
「狙い撃った部分がちょうど動力源の部分でしたので。」
「あぁ、そこに刺さって、衝撃でドカンってわけね。良くもまぁあんな距離を狙い撃てたわね。」
「慣れですね。それと、周りにいる魔物はいかが致しましょうか?」
「じゃあ、私がやるわ。回収はセバスがしてくれるのよね?」
「お任せ下さい。」
リリィさんは杖を取り出し、構えた後、周囲に水の玉をいくつも作り出す。
そして、それらを勢いよく発射させ、敵の眉間をきれいに貫通させる。
他にも数撃心臓部分にも当てる。
それを、何度も繰り返していく。
それで、大体の敵は殲滅出来たのだが・・・
「あのスライム・・核がないわ・・どうしましょう。」
「アレはアクアスライムですね。」
「アクアスライム?」
「スライム系では非常に珍しい水の中に済むスライムで、全身の水が抜けきれない限りどこまでも復元し続けるスライムです。」
「うわぁ・・海にいたら無敵じゃん。」
「ですので、本体に宿る魔力を空にするまでの持久戦がメインになるので、大変みんな嫌がる魔物です。」
うへぇと嫌そうな顔をするリリィさんの横でふと思ったことがあり聞いてみる。
「セバスさん、水が抜けきったら死んじゃうんだよね?」
「そうですね。」
「リリィさん、相手の体内の水を抜き取るように水を操作って出来る?」
「え?・・・考えたことなかったわ。遠距離では無理ね・・。けど、私の魔法を経由すれば間接的にならいけるかも。ちょっとやってみるわ。」
そう言って、水を数個玉を作り、そいつにぶつけ、とぷんと体内に沈み込んだが、
「こうやって・・・こう!・・ふぅっ!」
すると、刺さったリリィさんの水があったと思われる部分から急激にスライムがしぼみ始め、最終的に消え去った。
「ホントにいけたわ。」
「お見事です。」
「これ・・体に水が含んでる生物に対しての必殺技になる気がする。」
「水を含むという言い方ですと、人間なんて血液が半分以上と言われているのでまさしく生物特効ワザですね。」
僕とセバスさんがそう言い合っていると、リリィさんが顔が引きつってる。
「・・なんとなくで出来ちゃったけど、とんでもないワザを覚えてしまったわ。」
「ちなみにさっきのワザ、敵の強さで威力は変化しそう?」
「そうね・・相手が強ければそれだけ時間はかかるし、体内まで刺さらないと意味がなさそう。それに、相手が体内の魔力を動かしたりして私の魔法を体内で拡散されたりしたらたぶんレジストされちゃうわね。」
「なるほど・・」
「けど、僕とセバスさんで隙を作ってそれをやっちゃえば完全でなくても効いても効かなくても十分隙を作るワザには少なくともなるよね?」
「そうですね。効いても効かずとも大変使い勝手の良いワザかと。」
「そうね。」
「とりあえず、静かになったし部屋に戻ろ?」
「そうね」
「そうですね。」
ちなみに、その後数日おきに似たようなことに遭遇したけど同じように始末して、セバスさんに回収してもらいました。
途中、シャルがビームを発射して始末するということもあったけど。
空賊も同様に何度も襲ってきたけど、人間が出てくるまで待つのが面倒でシャルのビームかセバスさんの弓か、リリィさんの水での遠距離攻撃で海に速効で沈みました。
ゴミ回収はきちんとセバスさんがしてくれました。
後に、結構な賞金首がチラホラ混ざってたとかでお金が増えるけど、セバスさんが高級な食材とか素材にと消費するタイプのをガンガン買い込んだり、募金したりしてちゃっちゃと対処してくれました。
ちなみに、僕は遠距離ワザは【飛刀】と【衝撃波】を飛ばすくらいなので、全くではないけど出番はだいぶ少なかったよ。
遠距離ワザと言うより中距離ワザってくらいしか飛ばないしね。
一応海の上を走ったり出来るから問題ないと言えばないけど空に逃げられたら距離次第では届かないんだよねぇ・・。
空が飛べたら問題ないんだけど、今のところはまぁ・・とりあえずいいかな。
リリィさんとセバスさんには頑張りすぎだからたまには休んでろと言われたけど。
否定というか抵抗しようとしたらリリィさんのお胸にもにゅっと沈められて強制的に黙らされたけど。
後、大量のお金は半分くらいはこのお船の撃退用魔道具の設置のために使うように渡しておいたよ。
飛行船の残骸とかも素材として使えるらしいのでそのまま転用出来るらしいので丸投げ(正しくはゴミの有効活用)したけど、みんなWinWinだからおーるおっけー。
それから僕は色々考えたいことがあって空を見上げることが増えた。
その間、リリィさんに抱っこされたり撫で回されたりおっぱい枕してくれたりするけどいつものことだから気にしない。
「最近空をよく見てるけどどうしたの?」
「空を飛ぶって気持ち良いのかなって。」
「空?」
「うん。もしも鳥のように空が飛べたら世界がまた違うように見えるのかなって。」
「そうねぇ。人はないものを羨む生き物らしいわよ。けど、夢を追い求め、努力し続けたからいろんな魔道具や乗り物が増えた。だから、チェルニが望めばいつか空を飛べるわよ。」
「うん。」
そのとき、背中がもぞっとしたけど、一瞬だったから気のせいだということにした。
とまぁ、そんな感じでお船での生活は続いたけど、無事にスケジュール通りに1月ほどで春の大陸に到着したよ。
「色々とお世話になりました。」
「いえ、こちらこそ助けていただいて感謝いたします。」
「ありがとうね。」
「また会えることを楽しみにしますね。」
「えぇ。また何か縁がありましたら。」
「いただいた品やお金を使用してこの船やその他の船をより安全に出来るように改良いたしますので!是非また!」
「えぇ。今後の旅が安全なものになるように有効活用してもらえるとこちらも助かります。」
「はい!」
飛行船の残骸とか、飛行船に乗ってたブツとか乗ってた人たち(実は指名手配犯だった)によって出来たお金を、お船に取り付けるタイプの敵の撃退するための魔道具とかの武器を設置するためと言う名目での寄付することで無駄に貯まりそうになってた今回発生したお金をまるまる処理させることにしたんです。
他にも魔物のアレこれがあったけど、そっちは孤児とかそう言う困ってる人たちの方に寄付する予定。
で、僕たちの寄付は僕たちの気持ちをくみ取った船長さんが今後、船を襲われたときに乗っている人たちを守るためにもなるとわかってきちんと有効活用すると宣言してくれたというわけです。
まぁ、飛行船の残骸からお金まで含むと大変えげつない額になったわけなので、あの船長さんが行動する範囲内であればお船代はお部屋のランクを無視して当分はタダになったけど、気のせいということにしよう。
そうホイホイ使うことは多くはないだろうし、船長さんもあの人1人ってわけじゃないしね。
「ついに、春の大陸ね。」
「だね。」
「春の大陸の港町はかなり大きな規模だと聞きますので、とりあえず宿を取ってから数日ほど観光致しましょう。急ぐ旅ではありませんし、良いモノがあるかもしれません。」
「だね。」
「そうね。食べ物も大陸の違いで違いがあるか確かめるのも楽しそうだわ。」
「地方料理的な?」
「そんな感じね。」
「あちこちの場所から集う場所ですので色々楽しめそうですね。」
宿は、大きな港町だと言われるだけあって結構あっさりとあった。
お金が無駄に貯まり続けるとリリィさんと共に嘆いたこともあり、宿は最高級のモノを取ることで対処。
ご飯もセバスさんが言ったように複数の地方の料理があったので色々楽しめたしおいしかったよ。
他にも、港町で食べ歩きしたり買い物したりして観光したよ。
茶葉とかコーヒー豆とか麦とかそう言う消耗品?もいろんな種類があったみたいでたくさんいろんなのを購入出来たし、スパイスというか香辛料もたくさん仕入れることが出来た。
後、僕とリリィさんはバディを組んでるわけでセバスさんどうする?
ってなったけど、ソロで付き添う感じで問題ないってなった。
依頼を受けるときの報酬とかが、無くなっちゃうけど?
と思ったけど、同じ場所宛の依頼だったり、共同で同じ依頼を受けるという形にするから問題なしになった。
元々依頼は、パーティを組んでないと一緒に受けることが出来ないと言うわけではなく、例えば2人のソロがいたとして、一緒に受けて、報酬を半分こって本人たちが納得すればOKだったりするわけです。
さて、これからいよいよクリアネス王国へ向けて出発だね。