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問題です


ユスターシュ・ランバルディアは先国王の7番目の弟で、末弟でもある。


先国王の弟妹は全員合わせて12人。



ユスターシュの実母は、隣国から嫁いで来た正妃で、彼の他は、第1王子だった先国王と3番目と4番目の王子、そして王女1人が正妃から生まれている。


父王の側妃は2人。

どちらも当時の国内派閥を考慮して迎えた貴族令嬢だった。


先先代の国王、つまりユスターシュの父が寵愛したのが正妃である彼の母だったこと、正妃から生まれた第1王子と側妃から生まれた第2王子の年の差が10歳ほど離れていたことから、王位継承問題が起きるなど誰も考えなかった。




「・・・眠そうだね?」



いいえ、そういう訳では。

ただ家族関係がややこしそうなので、紙に書かないとどうも頭がついていけなさそうです。



「・・・分かった、私が悪かったよ。自分の家族の事だからつい細々と・・・確かに聞いていると、こんがらがってしまうかもね。

まあ、要約すると、側妃のひとりが自分の産んだ息子を王位につけようと企んだってことだよ」



おお、いきなりスッキリ。

とても分かりやすいです。



「・・・ありがとう。なんだろ、ちょっと嬉しくない」



まあまあ。

では、その側妃の方が何かやらかしたのですね?



「そうなんだ。兄の・・・第2王子の方にはそんな野心などなかった。後ろ盾となっていた家の方もね。

・・・まあそれも、私の力が発現した後で分かったことなんだけど」



では、その側妃さまの独断、ということですね。

その方は、一体なにをしたんですか?



「・・・何だと思う?」



ええ? まさかの質問返し?



「私だけずっと話しっぱなしは、つまらないからね」



うう。では、ではですね。

ええと、第2王子の優秀さを猛烈アピールし始めたとか?



「知ってはいたが、あなたは平和な人だな」



何でですか。それ絶対、褒めてないですよね。

ええと、それでは・・・憎き第1王子に呪いの手紙を送った! しかも恐怖のわら人形付き! これならどうです?


髪を振り乱した側妃が、自らトンテンカンテンと釘を刺したわら人形を、呪いの手紙に添えて相手に送りつけるのだ。これは怖い、怖すぎるでしょう。



「はは、何とも可愛らしい嫌がらせだな。あの側妃もその程度にしていたら、笑い事で済ませられたのに」



・・・もっと凄いんですか? ええ? これ以上とか、想像がつかないのですが。



「あなたの基準で考えていたら、100年経っても答えは出ないと思うよ。

これまでに読んだ小説とかを参考にしたらどう? 王位が欲しいけれど、他の王子が邪魔だった場合・・・?」



・・・もしかして・・・暗殺、とか?



「正解」



うわ・・・

小説とかと違って、実体験を聞くのはやっぱり怖いですね。



「だよね。しかもその側妃は、邪魔者を全員殺そうとしててさ」



ぜ、全員?



「そう。王位継承権を持つ王子たち全員。もちろん自分の息子を除いてね」



怖いことを考えますね・・・あら? ということは、もしかしてユスターシュさまも・・・?



「うん。暗殺の対象に入ってたよ」



・・・それって、その時に裁定者の能力が発現しなかったら、大変なことになってたんじゃないですか?



「そうだね。王家の直系が途絶えかねなかったし、下手したら隣国と戦争が始まっていたかも」



・・・だから、能力が発現した、と?



「きっと、そういう事なんだろうな・・・だから仕方のない事だとは、思っているんだけど・・・ね」



ユスターシュは立ち上がると、新しくお茶を淹れた。


香り立つお茶をひと口飲むと、ユスターシュは息をひとつ吐いてから、こう続けた。



「はい、じゃあ次の問題ね。

その側妃はある日、お茶会を開いて王子たち全員を招待したんだ。私も3番目の兄に連れられて、その茶会の会場に向かっていた。

さて、側妃はどんな方法で王子たちの暗殺を考えてたと思う?」




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― 新着の感想 ―
[良い点] 会話してるようで実は口に出してない横着っぷり(笑)。深刻さがちっとも伝わらない可哀想なユスターシュさん。ガンバ。 続き楽しみにお待ちしています~♪
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