第4章 第3節『独立自治区トラッシュタウン』
アヴニール王国、王都。オリエ達が滞在している宿。
オリエ、ラパン、マルティ、ソレイユ、ガテムレックスの5人は、これからの動きについて話し合いの席を設けていた。
「トラッシュタウン…ですか」
「知ってるか? ガテムレックス」
「知っていると言えば知っていますが、行ったことはありません。国内にあるものの、独立自治区ですからね、あそこは」
「独立自治区?」
「ええ。独自の技術を持っているようで、区域外との貿易無しに生活が送れるようです。ある意味本当に独立しているような街ですね」
「国王は放っといてるのか?」
「500年前に突如現れたというその街ですが、当時の国王とお互いの立場について何か取り決めをしたそうです。詳細は分かりませんが、アヴニール王国としてはその街は存在しないものとして扱っているような感じですね」
「ふーむ。人の行き来とかないのか? せめてどんな街か分かればいいんだが」
「人の行き来自体は制限していない筈ですが、かなり僻地にありますからね。そうそういないんじゃないでしょうか。話も聞いたことないですね」
「そうか……。まぁいいや、とりあえず行ってみっか!」
「「「おー!!!」」」
ラパンとソレイユは元気に手を挙げる。
マルティは不敵な笑みを浮かべ、腕を組んだ。
「え、だれも反対しないんですか!?」
ガテムレックスは、勢いよくオリエから他のメンバーに目を移す。
「オリエくんを信頼してるから!」
「オリエ様のためなら火の中水の中! です!」
「まぁ、否定する理由もねーしな」
「そ、そうですか……。オリエ君、そのローズロッサという人は確実に仲間になってくれるのでしょうか? 保証もないのに無駄に危険を冒すことは賛成できません。トラッシュタウンについては、あまりにも情報がなさすぎる」
「うーん。確実とまでは言えないが、おそらく。話を聞くにそいつは俺と同郷の可能性が高い。で、それならこの国の人間よりは俺たちの考えに賛同してくれる可能性も高いと思う」
「……それは確かなんですね?」
「……心配する気持ちは分かる。けど、こいつらそんなにヤワじゃないよ」
(オリエ君の話は確定情報ではない。……が、その意志を全否定はできないですね)
「分かりました。行きましょう、皆さん」
「ったく、心配性だなぁ。ガテムレックスよぉ」
「メンバー全員がリーダーに賛同するチームは危険ですよ。ワンマンチームには限界があります」
「けっ、んなことはわーってるっての! 今回はたまたまだろうがよ」
マルティは窓の外に視線を移す。
「あいつが道、間違えそうになったら、ちゃんと俺が止めてやるよ」
「それは頼もしい限りです」
ガテムレックスは笑みを漏らしながら切り返した。
嘲笑ではない、穏やかな笑みを。
「ふん」
マルティは窓の外を見たまま、素っ気なく鼻を鳴らした。
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独立自治区、トラッシュタウン。
そこは、食事、生活用品、娯楽、何もかもが神から供給される、完成された世界。
人々は、毎日の神への祈りを忘れない。
この街に死という概念は無く、天に昇ること、即ち、自らを生かす神の国に行くことが彼らの悲願である。
この街の事情は、王国の誰も知らない。
往来は制限されてなどいない。
しかし、誰もこの街のことを話さない。
この街の人間は街の外に出ないし、
外からこの街に入った人間はたった1人の例外を除き、その全てが天に昇ったからだ。
だから、街の住民は思っている。外から来た人間は、皆、聖なる存在であると。
神の国に招かれるに足る、神に連なる存在であると。
そしてまた新たに5人の聖人が、この地に足を踏み入れた。
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トラッシュタウン、歓楽街。
街の様子は王国と変わらず中世西洋風の外観だが、この歓楽街はオリエンタルな雰囲気を漂わせている。
オリエ達が着いたのは暗くなり始めた時間帯だった。
街に浮かぶほんのり明るい提灯に、色がハッキリした、主張の強い店々の看板。
光が灯ったその街の景観は、いつか見た横浜の中華街のようだとオリエは思った。
目に痛いほどの街の輝きはしかし、目を離せない程度には見入ってしまうものだった。
オリエ達は、そんな煌びやかな歓楽街を見渡せる、とある店のテラス席に座っている。
チャイナドレスの様な赤い衣に身を包んだ若い女性が、5人が囲むテーブルに料理を運んできた。
様々な肉、野菜。それにかかった香辛料。赤や黄色で彩られた目にも鮮やかな料理の数々。
マルティは目を輝かせながら、獣のようにダラダラとヨダレを垂らしている。
「お客さん! まだまだあるからいっぱい飲み食いしてってネ!」
チャイナドレスの女性は、ウインクしてテーブルを去っていく。
オリエ達はこの街につくや否や、住民達に担ぎ上げられ、ここに連れてこられていたのだった。
「えーと、俺たちあんまりお金使いたくないんだけど……」
オリエは、テーブルの横に立つ二十代ほどの女性に声をかけた。
「旅の方から料金はいただきません! 私たちの街は"おもてなし"がモットーなので!」
「じゃあ食っていいな! いいよな!?」
「はい、存分に……」
マルティは返事も待たず、大量の肉を口に詰め込んだ。
喉に詰まりかけては酒を飲み、また大量に口に詰めてを繰り返している。
それを尻目に、オリエはその女性にまた話しかける。
「その、この街にローズロッサって女がいると思うんだが、紹介してもらえないか?」
ドンガラガッシャーーン、と、背後から何者かが転げ落ちた音が聞こえた。
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活動報告にキャラ設定②(シャンソン)をアップしました。
シャンソン、公務で動けないキャラにしてしまったせいで、絡み少なくて悲しみ。
オリエとサシ飲みしながら、ラパンの良いところトークを二人で延々としててほしい。
今週も日曜投稿します。明日(6/14)9時に投稿予定です。ローズロッサ登場回!




