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第2章 終 節『男の娘と戦いの始まり』

 霊峰モンテオール山頂。神の国。最高神の神殿。


 会議を終えたヒュドラが、最高神に報告を行うために参上していた。


「最高神マリーダ様。マルティコラスの処置について報告に参りました」


 最高神と呼ばれた()は、ニッと笑って答える。


「良い良い。全部聞こえてたから。あんまり私に気ぃ使わなくていいんだよヒュドラ君?」


「いえ、そういう訳には……」


「お堅いなぁ。まぁそういうところは信頼してるけどね。で、ガルダちゃんが行ったのね。多分失敗すると思うよ彼女」


「それはどういう……」


「マルティちゃんと一緒にいる3人が全員ギフトを使えるからさ。単純でしょ?」


「な……。それは……」


「まぁ、まだ使いこなしてる感じではないけどね、3人とも。……けど、オリエハジメ君。彼には期待してるんだぁ。なんといっても、異世界から来てわずか1週間で私からのギフトを開いたんだから」


「1週間で、ですか……」


「そう。見込みがあるでしょ? あとねぇ、他の神には言わないでほしいんだけど、彼、私たちに挑戦しようと思ってるみたいだよ」


「挑戦!? 下界人ごときが我々にですか!? いくらギフトを発現させようが、所詮は下界人。我々に楯突こうなど100年……」


「今はそうだろうね。けど、今後どうなるか楽しみだと思わない? 本当に私たちに挑戦してきたら、数百年ぶりの娯楽になるよ」


「まさかそのために異世界から召喚されたのですか?」


「いやいや。いくら私でも意図的に向こうから引っ張ってくることはできないさ。たまたまだよ。けど、早く会ってみたいなぁオリエハジメ君」


 その笑顔は男にしてはやたらと可憐であった。

 もちもちとした褐色の肌に、スミレ色の艶のあるシャギーが入ったショートヘアー。

 桃色の瞳は、老若男女問わず、見る者全てを引き込むだろう。


 最高神マリーダ。彼は、紛うことなき"男の娘"だったーー。


「ラヴァルテッド君にお願いしてうまく誘導してもらったから扱いやすくなったね。彼から連絡を入れさせれば、好きなところに動かせるよ」


 ラヴァルテッド・ランカスター。ラパンの父であり、アヴニール王国の国王である。

 ラパンを王都から追放し、地方を回らせるよう仕向けたのは、他ならぬ最高神マリーダだった。


「受動的に娯楽を待つだけじゃあつまらないからね。こっちからも仕掛けないと。……それに、ガルダちゃん……というか君たち、オリエ君の居場所完全にはつかんでないんでしょ?」


「そう……ですね。おおよその位置しかわかっておりません」


「それじゃあ、ラヴァル君に頼んで彼らを近くの街に移動してもらおうか。そしたら、確実に会えるでしょ」


「お力添えいただき感謝いたします。すべてを与えたもう神、最高神マリーダを褒め称えん!!」


「もー。そういうのいらないっていつも言ってるのに、君ってば私の言うこと全然聞いてないでしょ。……まぁいいや。じゃあ、場所はリヤンにしようか」


「は! ガルダにもそのように伝えます。して、マリーダ様。各地方への"ラヴィ"投入計画ですが……」


「あー、そっちは遅らせない? せっかく新しい娯楽が向こうから顔出してくれたんだもの。そっちはこの娯楽が終わってからでいいと思うんだよ」


「しかし……恐れながら、ラヴァルテッド氏との約束の期日は目前に迫っております故……」


 椅子に座り、窓から外を見ていた最高神マリーダがヒュドラの方を向く。ヒュドラは立ち上がれないほどの重圧を感じ、それ以上喋ることができない。


「あのさぁ。どうして私があいつごときとの約束を守らないといけないわけ? あいつとの話し合いの時は、私が気まぐれで一部の人間だけ生かしてあげるって言っただけだよね? 別に全員殺しても構わないんだよ?」


「そ、それは……。アヴニール王国外の国の情報を効率的に得るためにも、国王の存在は重要ですので、何卒それだけは……」


「あぁそうか。そういえばそんな理由もあったね。……すっかり忘れてたよ。ごめんごめん、これは私が悪いね」


 たはーっ、という顔をして頭をかくマリーダ。

 重圧が解けたヒュドラはどっと汗を噴き出した。


「うーん。まぁでも遅らせるのはいいでしょ? 私、国が亡びるところよりもオリエ君の成長物語が見たくなっちゃったからさ」


「……承知いたしました。最高神マリーダ様の仰せの通りに」


 ヒュドラは役目を終え、最高神の神殿を去っていく。


「さーて、オリエ君。君はどこまで私たちに迫れるかなー。……まずは、神速のガルダちゃん。どうやって戦うか見物だねぇ」


(それに……私以外の()()()にご執心だなんて、妬いちゃうなぁ、オリエ君……)


 可憐な褐色の男の娘、マリーダ。実年齢1,200歳。最高神にして、神の国を建国した創造神。

 彼は、とある異世界転移者に興味を持ち、暇つぶしに始めかけた近隣国との戦争を延期した。


 異世界転移者の名はオリエハジメ。


 (オリエ)の与り知らぬ霊峰の山頂にて、彼らと神との戦いの幕が切って落とされたのだったーー。

ご覧いただきありがとうございます。


良かったよーという方はブクマ・評価いただけますとめっちゃ嬉しいです。


今回で2章は終了です。

次回は幕間を挟み、次々回から3章スタートします。


次回は明日(5/9)16時頃の更新予定です。よろしければご覧ください。

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