死神の遊び(1)
短編小説(読み切りタイプ)です。
死神の遊びはシーリズ作品ですので
第2章もお楽しみに
第1章 予知と夢
「わたしは、昔からよく夢をみるんです。
それは必ず数日後にもしくは数ヶ月後に現実になるの。
だから自分でも怖い」
そう話すのは中学3年生 簪みなみ(かんざし みなみ。)
みなみ「小さな時からずっとなの。初めて行く所を夢で見て
例えば旅先であそこ曲がったら
タバコ屋さんがある。ってお父さんに言ったら
ほんとにあってびっくりされたの。
そんな事は何回もあった。」
そして、今回見た夢は…夜道を歩いていると、フードを
被った男が前から来て友達を刃物で刺したの。
ふふふって不気味に笑いながら。とのことだった。
でも、その夢は、次の日もまたその次の日も…
数ヶ月たっても現実にはならず、みなみ自身も忘れていた。
そんなある日、友達の山本 つかさ(やまもと つかさ)と
一緒に塾の帰り、家路を歩いている時の事だった。
つかさ「あ〜。ほんと最近、
先生たちのスパルタ感やばめ。」
みなみ「だよね。もう真っ暗だぁ。
あんまり遅くなるの嫌なのに。」
塾の先生たちの愚痴をこれでもかってくらい。言うつかさ。
みなみ「まぁ、一応うちらの塾ってレベル高めだし。
高校受験前だし。」
つかさ「うん。私もわかるよ?でもハゲツル無駄話し
多いよ。それがなかったら、もっと早く帰れるよ。」
みなみ「確かに…うち暗いの無理だから早く帰りたい。」
つかさ「ほんとだよ。まぁ、先生たちも仕事だから
成績出さなきゃならないのはさ私でもわかるけど。
・・・でも」
最近セリフが大人だなぁっと感じながら、聞くみなみ。
すると…
つかさ「あれ…なんだろう? 黒い…ひと?」
みなみ「どうしたの?つかさちゃん。」
黙って前を見るつかさの視線の先を見たみなみは
一瞬で夢の事を思い出し、つかさの手を引き走り出す。
みなみ「つかさちゃん こっち。」
無我夢中で走るみなみを見て、黙ってついていく。
どれくらいの距離を走ったのか分からないが、
撹乱させるべく色んな所を曲った。息を切らす2人。
つかさ「(ハァハァ)いきなりどうしたの?(ハァハァ)」
みなみ「前に行った事覚えてる?(ハァハァ)
夢のこと言ったよね?」
少し間があく2人の会話。
つかさ「あっ! 思い出した…あの友達が刺された夢。」
みなみ「そう。それ!
確証はないけど、嫌な予感がしたの。」
つかさ「そうゆうことか。」
話しを聞きながら、あたりを見渡す。
つかさ「じゃぁ、ここからは、別行動で帰ろ。」
みなみ「えっ。暗いの怖いよ。」
つかさ「でも、そうしたら夢とは異なるし、
なにより私、こっちのほうが近いから、
みなみはあっちでしょ。」
必死に走ってきた為、場所が分からなかったが、
確かにつかさの家の近くだった。
みなみ「ほんとだ。それなら仕方ないね。
それに別々だったら夢と同じことには
絶対にならないから安心だね。」
つかさ「でしょ。でも、みなみも気をつけて帰るんだよ。」
みなみ「ありがとう。
つかさちゃんも近いけど気をつけてね。またぁ。」
つかさ「うん。明日ね。」
そうして2人は別々に分かれて帰ることとなった。
みなみが1人で歩いていると前からフードを被った人が現れ
???「見つけたよ。あれ?
きみ1人?もしかしてお友達帰った?」
みなみ「巻いたと思ったのに。どうして…」
???「困るなぁ。せっかく夢で君とはあってるのに。。。
違うことしないでよ。」
みなみ「な なんで! ゆめのこと…」
???「それはお答えしない。でも…
これじゃぁ あの娘の命貰えない。
やっぱり、君からじゃないとだめなのか。」
そう言いながらフードを被った男はみなみへと近づく。
みなみ「お願い…来ないで。 来ないで!!」
すると…男は。
???「大丈夫。君は刺したりしないよ。安心して。
ただ次見る夢は……。
覚める事のない永遠の夢になるだろうけど。」
そう言い残し、フードの男はみなみの横を通り、
消えていった。
その日の晩、みなみは夢をみた。 すると…
???「待っていたよ。みなみちゃん。」
夢の中で待っていたのは、フードの男だった。
みなみ「なんで? 夢の中にまでいるのよ。」
???「何言ってるんだよ。対話こそしてないが、
はじめましても夢の中じゃないか。
それに…あの夜道で言っただろ。
次見る夢は覚める事のないって。」
みなみ「嘘でしょ。覚めない夢なんてありえないもん。」
???「普通はそうだね。でも、
死神に魅入られたら、覚めない夢もあるんだよ。」
すると、頭のフードを脱ぐとそこには、
ガイコツで煙草を吸っていた。
そして死神は、指を指す。
死神「この光が人が見えるかい?これは君の意識の糸。
この糸が夢と現実を繋いでる。
つまりだ。これが切れたとき、君は現実に戻る
ことなく、夢の中に閉じ込められる。」
不気味な笑みを浮かべて、意識の糸の説明をする死神。
みなみ「やめて。やだよ。まだ死にたくない。
どうして…うちなの?」
泣きながら、必死に抵抗の意思を見せる。
死神「理由はない。ただ君が死神に魅入られただけ。
それと死ぬわけじゃない。夢の中で僕と永遠に遊ぶのさ。」
そう語りながら、死神はみなみの意識の糸を大鎌で断ち切った。
みなみ「やめて…… あっ……。」
すでに切られた意識の糸をみて、声を失う。
死神「悲しむことはないよ。
君は永遠に僕と遊ぶ事ができるからね。」
その頃、現実では、
母「みなみ いつまで寝てるの? 学校遅れるわよ?
ちょっとみなみ!」
ベットの上のみなみの表情はとてもきれいな寝顔で
涙を流していた。
そして、みなみの両親はいつまで経っても目覚めない
我が子の異変に気づき、病院へ。
ただ、病院でもどの検査をしても正常値の為 原因は不明。
世の中のでは、”目覚めぬ病”とし、大きく報道された。
―夢の中―
死神「どうだい。夢の世界も悪くはないだろう?」
みなみ「…………………。」
死神「そのうちなれるさ。
どのみち君はずっと僕と遊ぶんだから。」
ピピッピピ! ピピッピピ!!
死神「おっと 時間だ。」
音がなると共に夢の世界から煙のように消えていく。
死神「次はどんな遊びをしようかな。フフフ」
死神は今日も不気味に笑っていた。
次回 第2章 恋の争いは怖いもの。お楽しみに!