ハズれスキル「空爆要請」のせいでパーティー追放されたけど~実は最強だったのでソロでも無双しちゃいます~
ここは巨大な魔物の蠢く剣と魔法の世界。
幼い頃から冒険者になることが夢だった僕は、15で村を飛び出して冒険者となった。
この世界の住民は1人1人特別な力「ギフト」を授かっている。
僕もまた教会でギフトを授かり、駆け出し同士でパーティーを組んで冒険者稼業に励んでいた。
辛い事も嬉しい事も。みんなで力を合わせて乗り越えてきたんだ。
それが……まさかあんな風に思われていただなんて……
「レイ……お前は追放だ……」
「な、なんだって? 一体どうして!?」
ある日のこと。いつものようにジャイアントスパイダーの討伐を終えて、俺達は酒場で飲んでいた。
すると突然、パーティーのリーダーでレンジャーのアカヘルがクビを言い渡してきたのだ。
「どうしてだと? てめぇふざけんじゃねぇぞ!」
パーティーの盾役でもあり、前衛の剣士を務めるオーフェンがまるで敵を見るかのような目で僕を睨みつける。
「危ないのよ! アンタのスキルは! 私達がどんだけ殺されかけたと思ってるの?」
女魔法使いのフライヤも味方をしてくれそうにない。
僕のギフトは召喚魔法に分類させるもので、「空爆要請」と言う誰も聞いたことがない世界にたった一つだけのスキルだった。
これは物凄い速さで空を飛ぶ鉄の鳥を異世界から呼び出し、その鳥が放つ攻撃魔法によって敵を倒すと言うもの。
世界で唯一のユニークスキルに僕は歓喜した。そして、実際このスキルは恐ろしい破壊力を持っていた。
だが……冒険を続けるうちに、徐々にその欠点が露になってくる。攻撃範囲があまりにも広すぎて……しかも大雑把だったのだ。
空を飛ぶ鉄の鳥の高度は高く、地上とは距離が離れている。
そこで召喚魔法の際に、対として出現する魔道具を使って座標を指定するんだけど……これの使い方がまた難しい。
なにせ上空からと地上からじゃ見え方が違うので、爆撃がどの範囲に降り注ぐのか把握しづらい。それに要請してから攻撃が始まるまでのタイムラグもネックだ。
そんな欠点もあって、僕は幾度となく味方を爆撃してしまっていたんだが……
「そ、そんな! 確かに誤爆して君達を危ない目に合わせてしまったこともあったよ? でも、でも……僕はそれ以上に敵を倒してきたじゃないか!」
そう。そんな欠点も受け入れたうえで、みんな僕の火力に頼ってくれていたはずだったんだ。それが、それなのに……
「確かに以前はそうだった…… だが、俺達ももう駆け出しじゃあない。ランクが上がって強敵を相手にするようになった。するとどうだ。お前のスキルはもう一撃では敵を倒してきれない。
にも関わらず派手な爆音と衝撃で敵を異常におびき寄せるもんだから、そのせいで俺達はいつも敵に囲まれて苦戦しているじゃないか」
リーダーのアカヘルは射手のギフトを持つパーティーの後衛だ。それを僕が敵をおびき寄せ過ぎるせいで、囲まれて接近戦を強いられるのが嫌でたまらなかったみたいだ。
これには流石にグウの音も出なかった……もはや僕のスキルはこのパーティーには必要ないらしい。
「わかった……出ていくよ……」
そして僕はトボトボと酒場をあとにした。
だが、彼らは知らない。君達や敵が強くなったように、僕もまた成長していたことを……
「今夜……ここにパーティーのみんなが泊っているはずだな……」
その日の深夜。僕は宿屋の裏路地へ来ていた。周囲に目撃者がいないか入念に確認する。
そして……
「召喚……空爆要請!」
ブォン
異界のゲートが開き、中から筒状の発煙筒を取り出す。
『こちら砲兵隊。展開準備ヨシ。いつでもいけます。どうぞー』
発煙筒を手に取ると、脳内に異世界の呪文が流れだす。
僕は最近スキルレベルが上がったことで、この新たな力を手に入れていた。
新しい魔法はあまりにも威力が強すぎて、誤爆したら今度こそ間違いなく仲間を殺してしまうと言う予感があった。
しかも発煙筒の射程距離が短く、敵に接近する必要があったので危険すぎて実戦で使うことはなかったんだ。
僕は仲間達に遠慮して自重していた……だけどそれももう終わりだ。だって、僕たちは既に仲間じゃないのだから。
見せてやろうじゃないか……自重して封印していた。僕の本当の力を!
「えいっ!」
ヒュッ…… コン コン コン……
発煙筒が転がり、宿屋の屋根の上で止まった。
脳内に異世界の呪文が流れ出す。
それは規則正しく、ハキハキとしながらも現実味の無い……どこか、遠い世界からの呼びかけのようで……
『目標確認! 発射体勢ヨシ! 3……2……1…… カノン砲! 撃てぇぇぇぇぇ!!!』
ゲートが開き、異世界の砲弾が呼び出される。
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン………………
ドゴォォォォォォン!!
ドゴォォォォォォン!!!!
ドゴォォォォォォン!!!!!!
鉄の鳥ではとてもその反動に耐えきれない、あまりにも狂気じみた大質量の砲弾が宿屋を襲う。
レンガ作りの屋根なんか最初の一撃で木っ端微塵だ。
何十発と降り注ぐ砲弾がありとあらゆる人の営みを粉々に粉砕する。
耳がキーンとなる轟音と、体が浮き上がる衝撃。
その日、僕は神の鉄槌を見たんだ。
やがて砲撃が終わると……宿屋の中には肉塊と呼べるようなかけらすら残っていなかった。
「す、すごい……なんて威力なんだ」
感動にうち震える僕に、天の声が降り注ぐ。
『スキルレベルが上がりました。レベル15までの武器が使用可能になります』
すごい、すごいぞ……更なる力を手にすることが出来るのか。
こうして僕はパーティーを追放された。これからは1人で戦わなきゃいけない。
でも大丈夫。僕にはこの、最強のスキルがあるのだから……
お読みくださりありがとうございました。
もし評価頂けたら今やってるやつの後で連載するかもしれませんので、ポチポチっと押していってくださると嬉しいです。
73ポイント同着で惜しくもランキング入りはなりませんでした。ですが、応援していただいた方に感謝いたします。
流石にちょっと短すぎたかもしれません。頭のおかしい内容なので、手抜き感が見えると台無しになってしまいます。
真面目にバカっぽい厨二をやるためにも、表現をもっと練りこんで熟考していきたいと思います。
この度は手に取って頂いてありがとうございました。
11/05 100ポイント超えました。ありがとうございます。
う~ん。どうしよう……完全にこのままではダメなんだろうけど、多少設定を変更していけなくもないのか……?
11/19
150ポイント超えました。ありがとうございます。えぇっと、主人公を召喚士にして、詠唱にメチャ時間がかかる設定にして、仲間がいつも話聞いてくれない&勝手に戦闘を始める設定にして。追放された先で出会った美少女剣士が護衛してくれる事で才能が開花するって話に……