表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

幸せの形


3年後。


ブラギの都市部に設置された2万人も入れる大きな会場で、ライブが行われた。


客席は満員。機材席を解放し、立ち見までいる。


このたくさんの人々が集まった理由。


それはー



会場が一瞬暗くなってから、テンポの良い音楽と共に、照明がめざましくあちらこちらを照らし始める。

ステージの真ん中に一人の女の子が現れる。

すると、会場が揺れるほど客が騒ぎ出す。


「笑美ちゃああああああああああん!!!」


「みんなー!今日は来てくれてありがとうー!!いっぱい楽しんで、一緒に幸せになろうー!」


「うぁぁぁぁおおぉぉぉぉぉ!!」


そう。煌笑美こと笑美ちゃんは、この世界でトップアイドルとなった。

3年間色々なことがあった。

アイドルというものが存在しないこの世界で、初めてのアイドルとしてたくさんの人に声を届けることの難しさ、人を殺めたこともある笑美ちゃんを批判する者も多くいたし、本人もその罪悪感に潰れそうになったこともある。

ただ、それでも応援してくれる人もたくさんいた。

それが、笑美ちゃんの心の支えとなって、ここまで諦めずにやってくることができた。

笑美ちゃんの気持ちが伝わったのか、次第にファンは増えてゆき、アイドルというものも受け入れられるようになる。

そして、戦争をすることによって自らの財力を見せつけて楽しんできた富豪たちも、笑美ちゃんに夢中になり、どちらの方がCDを多く買ったか、グッズを持っているかという争い方に変わり、命が無駄にされてしまうこともなくなった。

今まで富豪たちの駒として使われてきた者たちは、今はそのCDやらを買うための要員として使われているので、職を失った人もいない。


「お疲れ様でしたー!」


4時間に渡るライブを終えて、廊下や色んなところにいるスタッフに挨拶しながら、汗だくの笑美ちゃんが控え室に戻ってくる。


「お疲れ。笑美ちゃん。」


笑美ちゃんは、控え室に入って私の顔を見るや否や、膝から崩れ落ちる。


「大丈夫?!疲れちゃった??」


「響さん…わたし…やりました…やりましたよ!もう、皆さんの笑顔が…眩しくて眩しくて…嬉しくて…」


笑美ちゃんは体を震わせながらも、とびっきり幸せそうな笑顔でそう言った。


「うん、よくやったね。最高だったよ。本当に。この世界で…いや、どの世界に行っても、笑美ちゃんがナンバーワンだと思う。」


「ありがとうございます…響さんがいたから…早紀さんがいたから…私、ここまで来れました…」


笑美ちゃんは、響渡ではなく中身の私、安達早紀の名を呼んで泣きそうになりながら言った。」


「ねぇ、早紀さん。」


「ん?どうしたの?」


「私、アイドル辞めます。」


「へ?なんで?」


突然の告白に、声が裏返る。


「私、好きな人ができたんです。とても愛おしい方がいるんです。ずっと近くにいらしたんですが、今日ステキなライブをして、その時ふと気付いたんです。胸がドキドキして、苦しくて。」


「それって…え?誰?私の知ってる人?」


「はい。響渡さん。いえ、早紀さん。貴方です。」


あまりに意外な出来事に一瞬頭がフリーズする。


「え…え?!でも…笑美ちゃん、私確かに見た目は男だけど、中身は知っての通り、安達早紀…女だよ…?」


「はい。存じております。私は響渡さんではなく、安達早紀さんのことをお慕い申し上げております。」


笑美ちゃんは、少し頰を赤らめ、変わらず体を震わせながらも、真っ直ぐ真剣な眼差しで告白する。


「そんな…だって…」


「…やっぱり…ご迷惑でしたか?」


「そんなことない!すごく、すごく嬉しい!!けど、私みたいなのが笑美ちゃんと付き合うなんて…申し訳なさすぎるというか…」


私が動揺しながら言うと、笑美ちゃんは微笑みながら、そっと私の手を握ってきた。


「申し訳ないなんてことはありません。寧ろ、私の方が早紀さんと結ばれるなんて勿体ないくらいです。嫌なら、断っていただいても大丈夫ですので、お返事、いただけますか?」


少し眉を下げながらそう言われ、私は気持ちが抑えきれなくなって、咄嗟に笑美ちゃんを抱きしめた。


「お付き合い、させてください。私も、笑美ちゃんが好き…大好き…愛してる…。」


「ありがとうございます。とても、とても嬉しいです。私も早紀さんのこと愛しています。」


笑美ちゃんは優しく抱き返しながら泣き始めた。

私はみっともなく泣きながら、笑美ちゃんとそっと口付けを交わした。



「ふふ。目を逸らしちゃダメですからね。余所見なんて絶対にさせないですから。」


「もちろん!笑美ちゃんじゃなきゃ嫌だから。」


「ありがとうございます。照れちゃいますね。」


「そうだね。よーし!じゃあ、笑美ちゃんのアイドル卒業公演企画しないとね!最後は今までで一番に輝こう!」


「はい!もちろんです!私の幸せな気持ち、皆さんにも届くように!全力で!」


その後すぐにネット、テレビ、新聞、様々なメディアで笑美ちゃんの卒業発表、理由等が発表され、2か月経った頃に卒業公演は行われた。

卒業の理由が発表された頃は、結局男か…などと批判されていたけど、笑美ちゃんの人の良さと純粋さと何より幸せそうな笑顔が批判していたファンの人々をも納得させ、公演当日は大半の人が自分の娘のお嫁に行く姿を見送る親のように、涙していた。


人によって幸せの形が違うように、アイドルにとっての幸せの形も人それぞれで、賛否両論あるけれど、当の本人が笑っていられるのなら、私はそれが一番だと思う。


私はアイドルとしても、女としても、一番幸せな道を進んできたと思う。

この後、響渡と意識が交代交代になり、響渡も笑美ちゃんを好きになったりして色々大変になるんだけど、それはまた別の機会があれば。

「異世界もの書いてなろうにあげて〜」と言われたものの、学が無いので、異世界に転生したらこれはどうなるんだ?あれはどうなるんだ?と考えても中々答えが見つからず、今回で完結ということになりました。


頭の中では笑美と早紀のストーリーがひたすら繰り広げられていて、その中で二人が少しずつ近くなっていく感じがあったので、最後は結ばれる形にしたいなと思い、このような話になりました。


見る人もほとんどいないとは思いますが、自己満足小説をまた暇な時に書いていこうかなと思います。


次は異世界ものとかいうお願いは忘れて書きたい

ように書けたらなと…。


短い話でしたが読んでくださり、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ