第一部
なぜどいつもこいつも俺に無能っていうんだ、
俺は天才だ生まれついての天才なんだ。だが誰も気が付いていないだけなんだ。
いつか本当の力を見せてやるぜ、本当のな・・・・
俺は大多和誠二、玉井高校普通科2年の比較的よくいる奴らよりは出来のいい男子高校生だ。
趣味はない、しいて言うならば人間観察と読書だろうか。
言っておくが俺は格が違う、あそこで寝ているバカ面したバカとは出来が違うんだ。
今日はいつも通りの通学路を通りいつも通り学校へ来た、1年生は2階、3年生は1階なのに俺ら2年生はなぜ3階なんだ、最も歩かなければいけないじゃないか、なんで虐げられているんだ。
そう思いながらいつもの通り席に着いた。
オオカミは群れない、撃墜王の孤独、ACES IS HIGH、当然ながら優れた俺の周りに集ってくる奴なんかいない。
もちろん俺にも群れるつもりなんかない、決してうらやましくなんかない。ガヤガヤと騒ぐ愚民どもの中で優れた俺は聖書を取り出して読み始めた。
聖書はいい、最も多くの人に読まれている、そして聖書は俺のバイブルだ。読んでいるときは時間がたつのも早い。
そして一時間目が始まる、新緑の季節の風に舞い上がる前髪からちらりと閃光を放った額が俺の視界を遮る、国語の金子だ。国語の金子はニコニコしながら模試の結果を配り始めた。
「クソ、今日は模試の返却か」
正直俺は勉強ができない、英語や世界史は暗記だ、何の役にも立たたない。
数学も何の役にも立たない、当然現代文は何の役にも立たない。
周りですごい笑顔の愚図がニコニコしながら点数を聞きあっている、俺は名を呼ばれ答案をもらった、案の定の結果だった。
どうして人生はうまくいかないんだ、俺はこんなにも優れているのに、そう放心していると授業が終わった、俺は国語の金子から呼び出されていたが無視して帰ることにした、その時向かいからトラックが突っ込んできた。
文部科学省規定新体力テストの反復横跳びなら自身がある俺も突っ込んでくるトラックに反応することはできなかった。
「あれはいすゞの4代目エルフ・・・・」
そう思いながら、俺の意識は暗黒の暗い暗闇にへと消えていった。