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プロローグ
ここは皆様が暮らしている世界とは違う世界。
魔法と機械が混在して時に共生し、時に敵になった歴史のある世界。
そんな世界で1つの転換期が訪れようとしていた。
「「おーい」」と自分を呼ぶ声がする。
窓を開け見下ろすと幼馴染みの兄妹がいた。
「おいラック、一緒に遊ぼうぜ」
「あそぼー」
同じくらいの年のカイルが俺の名前を呼び、ひとまわり年が違う妹のミリが拙い言葉使いで俺を呼ぶ。
その声を聞きすぐに下の階に降りて支度をして外に出る。
「いつもいきなり過ぎるだろ」
「何言ってんだ。すぐに降りてきた癖に」
「ラックお兄ちゃん、おはよう」
「おはよう、ミリ。」と言いミリの頭をクシャっと撫でる。
「で、今日は何を見つけたんだ?」
「それがな、まだあるかもしれないって段階なんだけど」
「それはいつも通りだな」
「まぁ、そうなんだけど。勇者の靴がこの近くにあるかもって噂があっただろ」
「ちょうど1年前だっけ。湖の底に沈んでるかもしれないってやつ」
「そう、それそれ」
「お兄ちゃん、それなぁに?」
「あぁそういえばまだミリは小さいからって行かせなかったな。この村から勇者が生まれたっていうのは聞いたことがあるだろ」
「うん」
「その勇者が魔王を倒して帰って来た時にこれからの平和を願ってすべての装備を世界各地に捨てていったっていう伝説があるんだけどもしもの事があったらと考えた勇者がこの村から勇敢な者が現れることを信じて一番扱いやすい靴の装備を村の湖に捨てたんだけど」
「そのときにカイルが俺を連れて湖に行ったんだよ。全く成果は無かったけどな」
「まぁ年に1度のこの時期に毎年行ってみようかなって思って」
「自信無いのかよ」
「いいじゃん、そんな日があっても」
こんなやり取りがほぼ毎日だ。
カイルは冒険好きでいつも俺を誘って辺りを散策する。
最近はミリも大きくなったので一緒についてきている。
毎日3人で遊び、日々を過ごしてきた。