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007 : 殺意

 急展開です!

 俺らはもう家が見える場所まで来ていた。俺の両親やアイナの両親、近所の人たち、そしてアオ爺たちが俺らの帰りを待っている。その時には俺らのことも伝えないとな。


 「ハクヤ、なんか顔がキモくなってる」


 やべー、ワクワクを隠しきれず顔に出てた。だけど俺の今の顔ってそんな気持ち悪かったのか?少し悲しくなる。でもそれを消し去るくらい俺のテンションはマックスだ。少し親に伝えるのは恥ずかしいが、どうせ言うのなら早いほうがいいだろ。


 「ねぇ、私達が恋仲だって言うのは皆には内緒にしない?」

 「えっ!なんで?皆に知られるのが恥ずかしいとか?それとも相手が俺だから知られるのが嫌だからか」

 「違う違う。ただお父さんやお母さんには結婚するときにサプライズとして知ってほしくて……駄目、かなぁ」


 アイナは首を傾げて可愛くきいてくる。そんな可愛い顔されて言われたら、断るにも断れないだろ。


 「駄目、じゃない。俺もそれがいいと思う」

 「やった!やっぱり私達馬が合うね」


 そんな会話をしていると、「ハクヤー!アイナー!はーやーくー!」という声が遠くから聞こえてくる。せかされるので駆け足で皆の待つ場所へ向かう。


 皆が拍手で迎えてくれる。パチパチパチと歓迎されるのは嫌ではないな。アイナもそのようで笑顔で皆に手を振っている。


 「おかえりなさいハクヤ」

 「ただいま」


 母さんは俺が大人になっても母さんだ。今まで通り優しく話しかけてくる。それから父さん、おばさん、おじさんと、ふたりで挨拶をしていき、ラストはアオ爺だ。


 「ただいまアオ爺」

 「儀式はどうだったかい?周りに祝福されるのも悪くないじゃろ」

 「あぁ、悪くないな。むしろ楽しかった」


 アオ爺は笑みを浮かべて頭を撫でてくる。しわくちゃな手だがその手からは強さを感じる。


 「今日はまだまだ長いぞー!さぁさぁ」


 こんな楽しい時間は生まれて初めてだ。

 ……だが、

 遠くから村人がこちらに走ってくる。するとその後ろから狼のような獣が走ってくる。


 「なぁ、アオ爺。あれってもしかして……」

 「そのもしかしてじゃ。だが、なぜ魔物が……」


 この村には結界が張ってあり魔物は入れないはずなのに


 「そんなにビビることはない。一匹くらいならワシ一人でも……、ってどういうことじゃ!」


 敵は一匹ではなかった。敵の数は6。アオ爺一人じゃ無理だ。この村の兵士たち全員で相手をしても無理だ。


 「皆!逃げろー!!!」


 俺らは全員で、走って逃げ出す。だけど俺ら全員心の中では気づいていた。逃げ切れないことを……

 どんどん獣たちは近づいてきている。今わかったことだが、あの獣尋常じゃなくでかい。人を丸呑みにできるんじゃないのか?って思うくらいでかい。そんな獣がどんどんと近づいてくる。


 「キャァァァーー!!」


 一人の村の女性が叫ぶ。そのくらい怖いのだ。この村では事件という事件が起こったことがなかったので皆こういう事態に慣れていない。まぁ、慣れててもこうなると思うけど。

 ドガガガァ!グチャ!キャァァー!ウワッ!ガルルル!ワオーーン!

 色々な声が混ざる。後ろでは何が起きているんだ。だが振り返っちゃ駄目だ。振り返ったら足が竦んで動けなくなる。そのことを伝えなくても皆わかっている。だから皆必死で、死にたくなくて走る。

 そんな中


 「キャッ!」


 という聞き覚えのある声が聞こえる。この声はアイナだ。


 「アイナ!」


 俺は後ろを向く。するとアイナは倒れていた。アイナの足を見ると足首が青くなっている。多分足を捻ったのだろう。俺はアイナの元に駆けよる。だがアイナはそれを望んではいなかった。


 「来ないで!」

 「なんで!そんなことしたらアイナが!」

 「わかってる。だけど私を助けたらハクヤまで……そんなのヤダ!」


 どうすればいいんだよ。こんな時どんな判断を下せばいいんだよ!


 「ハクヤ!早く逃げて……」

 「無理だよ!愛してる人を見捨てるなんて俺には……」

 「ハクヤ!愛してるからこそあなたに生きて欲しいの!だから……逃げて」

 「ヤダ!アイナはわかってない。残される人の辛さを……てか逃げるって言っても無理っぽいしな」


 獣は俺らに照準を定めたようだ。クソ、こんなところで死ぬのか……嫌だ!逃げ切ってやる。


 「【ライトニング】!」


 あたりが明るくなる。獣はビビリ草むらに飛び込んだり家の影に隠れる。いまだ!


 「アイナ!行くぞ」


 アイナの方を振り返るとアイナはそこにはいなかった。

そこには一匹の獣がいた。そいつは満足げな顔をしている。


 「食われた……アイナが?」


 俺が困惑している中、獣たちは俺の周りに集まってきている。俺はやっと状況を理解する。


 「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!!!ウァァァァァァァァァァーーーーーーー!!!!!!!!」


 俺のその雄叫びに答えたように獣も吠えて襲いかかって来る。


 「アイナ……アイナを返せぇーー!」

 楽しく読んでいただけたら光栄です!

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