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006 : 告白

すみません。携帯が壊れて遅れました。これからは気をつけます。

 儀式も終盤に差し掛かり、そろそろ俺の家につく頃だ。アイナの家は俺の家の真向かいにあるから、多分両家の親が俺らの帰りを待っているだろう。俺らは少し疲れたから道の横にあったベンチに座る。


 「ねぇハクヤ、大人になったって自覚ある?」

「あんま、ねぇな。てか、まだ俺らは大人っていう肩書きを貰っただけで、これから本当の大人に近づいていくんじゃねーのか」


 やべー、いっといてなんだけどメッチャ恥ずかしい。アイナを見ると笑いを堪えている。そろそろ限界そうだ。


 「ぶっ、ぶはははは!なにそれハクヤが言うと気持ちわる!」

 「悪かったですね。俺なんかがこんなこと言って!」

 「でもいってることはあってると思う。私達は大人になったけど、まだ結婚はできないし、まだ成長もしきってないしね」


 俺はその言葉を聞いて反射的にアイナの胸を見てしまう。やべー、マジやべー!俺は恐る恐る視線を戻すとアイナは……アイナは泣いていた。


 「えっ!なんで!?」

 「どうしてそんな目で私を見るの。私だってわかってるもん。自分の胸がちっちゃいことくらい。私だって努力してるもん。なのになんで!なんで……」


 俺は黙る、いや違う、黙ることしかできないのだ。なぜ俺は気づかなかったのか。いや多分ずっと前から気づいていたと思う。アイナは女の子だ。俺はアイナのことを女の子として見たことがあっただろうか。小さい頃から一緒で兄弟?って感じだったな。

 俺はアイナをひとりの少女として見てみる。整った顔、綺麗な肌、長い睫毛、ぷっくりとした唇、スラッとしてスタイルがいい。こいつの、アイナのどこが女っぽく無いって言えるんだ。むしろ女の子の憧れ的存在じゃないか。胸だって小さいっていってもちゃんと発達してる。どこをどう見たって女だ。


 「別にちっちゃくたっていいじゃん。女の魅力は胸だけじゃない。てか、アイナは胸がなくたって十分魅力的だよ」


 そう言って俺は彼女の頬を伝っている涙を拭う。


 「ほら、そんなに泣いてるとメイクが崩れるぞ」

 「泣いてない!ちょっと目がゴミに入っただけ」


 目がゴミに入ったって、どうやったらそんなことになるんだよ。俺はこみ上げてくる笑いを堪える。このことを言ったら殺されそうだからな。


 「てか何、今さっきのって告白なの?」


 アイナは顔を真っ赤に染めながらきいてくる。俺は身体に電流が流れたような衝撃を受けた。俺がアイナが好き、だって。確かにアイナは魅力的だ。少し野性的だが、それも彼女の個性だし、昔いじめられてたってのもよくよく考えてみたら彼女なりの優しさだったのかもしれない。もしかして俺ってアイナのことが……


 「私はハクヤのこと嫌いじゃない……いや、そんないい方ズルイよね。ハッキリ言います。私はハクヤが大好き。この世の誰より大好き。ハクヤのその顔が好き、目が好き、体格が好き、性格が好き、暖かい手が好き、全部が好き、大好き。」


 俺は……、何を迷ってんだよ!自分が思ってることを言えよ!お前は男だろ、男なら男らしく言え!!


 「アイナ!お、俺は、いや俺もお前のことが好きだ!」


 俺は自分の発言が恥ずかしくて死にそうになる。だけどこの言葉に後悔はない。だから


 「もう一度言わせてもらう。俺はアイナのことが大好きだァァァーーー!!!」


 俺は自分の思いをぶちまけた。するとアイナは泣き出す。え、なんで?なんか変なこといったか?だけどそんな心配は無用でアイナは笑みを浮かべる。


 「どこが好き?」

 「どこって全部だよ」

 「もっと詳しく」

 「えっと可愛くて愛くるしい顔が好き、長い睫毛の潤った目が好き、透き通ったキレイな白い肌が好き、すらっとしてスタイルがいいところが好き、君の程よい胸が好き」


 アイナはムッとした表情を浮かべる。そして自分の胸に手をあてる。


 「最後のはいらない気がする」

 「そんなこと無い。俺、どっちかというとちっちゃいほうが好きだし」


 まぁ、どっちかというとだけど。別にあってもなくてもいいじゃんって考えの人だからな、俺。


 「ねぇハクヤ、私と結婚したい?」

 「うん、だけどまだ先のことだよ。アオ爺だって言ってたじゃん、結婚は18からって」

 「じゃあ、約束しよ。小指出して」


 俺は小指を差し出す。するとアイナは自分の小指と俺の小指に絡める。アイナの指と触れ合うと緊張して汗をかきそうで困る。


 「えっと、18歳になったら私と結婚する。破ったり浮気なんてしたらただじゃ済まないから」

 「あぁ、誓うよ」


 俺らは指を離す。するとすぐに今度は全部の指を絡めてくる。ヤバイ、汗がヤバイ。メッチャ恥ずかしい。アイナを見ると、アイナは別に気にしているようではないので一安心だ。すると今度は肩があたるくらいの距離まで詰めてくる。


 「ハクヤは子供何人欲しい?私は2人かな」

 「俺も、できれば女、男1人ずつがいいな」

 「私はどっちでもいいかな。私達の家族になってくれるんだったらどっちでもいい」


 家族か、すごくでかいな。まだ自分がアイナと家族になる一歩を踏み出したって実感がわかない。多分いきなり過ぎだからだ。まぁ、ゆっくりでいいだろ。今はこの儀式を終わらせることを考えよう。


 「よし、休憩終了。そろそろ行くか」

 「うん。お母さんたちが待ってる。あと、大人へ近づかないとね」


 こいつー、まだ覚えていやがった。俺は恥ずかしさを抱えながら大人への第一の場所へ向かい始める。

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