041 : 王都
スイマセン。かなり遅れました。テストも終わったのでこれからは今まで通り書いていきます。
それと、初感想頂きました。とてもうれしかったです!
「なんてこった……」
俺はその言葉しか出てこない。すごい!!やばい!!を超えて、なんてこった、だ。もう予想外、規格外、どうしようもないくらいデカイぞ。
「これが王都なのか……」
そう、王都。とてつもなくでかい王都。とてつもなく活気に溢れる王都。まぁ、よく言えばこうだが、1つだけクレームを言えば、うるさすぎる。耳が痛い。俺は手で耳を覆い隠す。が、ブラウンが話し始めるので、聞くためにすぐに両手をポケットにしまう。
「ここは王都、フエルオステン。東の大陸の中では一番のでかさの国だ。工業面では前に通ってきた街の方が凄いが、ここは冒険者や、生産職が集う街だ」
「ってことは魔王がどんな奴なのか、どんなことをしているのか、情報を持っているやつがいるかもな」
「いることにはいる。だが、そんな情報は高いぞ。情報量とかいうお金がかかるからな」
そんな料金システムもあるのか。俺の村には無いものだからあまり馴染みがない。
そうなるとお金がいるが、今の俺にはそんなお金がない。創ってもいいが、流石にお金だと細かく見てきそうなのでバレる。バレても見つからなければいいが、俺の良心が犯罪はやめておけというので、そこは留める。
「よし!まずは腹ごしらえからだ」
「もう俺は何も言わん。勝手にしてくれ」
これまで立ち寄る街、全部でこれを言っている。流石に免疫がついてくるよな。
俺たちは街を少しだけ歩き、あまり人気のないカフェらしきところに入る。あまり主張は激しくなく、木造建築で、ちょっとした古民家的なカフェだ。とても俺好みで、どこか懐かしさをあたえてくれる。
「おじさん久しぶりだなー」
ブラウンは常連のように入っていく。いや、多分普通に常連なのだろう。返事が帰ってこないまま、普通においてあるテーブルには座らず、上に行く階段を登っていく。俺もそれについていくが、まだあまり知らない店なので、少し緊張する。一応、お邪魔しまーす、とだけはいっておく。
2階も1階と同じ感じだ。だが、1つだけ違うのは、人がいたことだ。
「おい。勝手に上がってくんな。後、俺はおっさんじゃねー。まだ25だぞ。まだ、お前の方がおっさんに見えるわ」
「それはない。十分お前の方が、老けてるぞ、シュリ」
そんな会話をしながら1つだけあるテーブルにつく。
どちらもどちらだ。俺から見れば、というか普通の人が見ても、ちょっと大人びたカッコイイ人なのに、こいつらは自分のかっこよさを認めあってないな。
「なぁどっちが老けてると思うか?ハクヤ」
「どっちって言われても、そんなもん、人が決めても喜ばれるもんじゃねーだろ。自分が若いと思ってれば、自分が若いってことだよ」
「いいこと言ってそうだが、あんまし意味がわからん」
安定のアホさ加減だなと、安心する。いや、安心しちゃいけねぇーな。
「お前言う事言うじゃねーか。ハクヤと言ったか?」
「はい」
この人はまだ、まともそうだな。外見も真面目そうな感じだし、絡みも適度をちゃんとわかっている。
やっと巡り会えた、まともな人に……
こんなことを思い。心をホッとさせる。といっても、これまで旅の途中でまともに話した人は、ブラウンしかいなかったけど。
「気に入った。飯作ってやんよ。じゃんじゃん食ってけよ?」
「おい!ずるいぞ、お前だけ。俺も頼む」
「お前は勘定払えよ」
「断る」
そんなブラウンのふざけた返事を無視して、厨房があると思わしき、隣の部屋にうつる。
緊張が一気に解けて、安心が肩にあった、不安を跳ね飛ばしていく。
「あのシュリさんって人、いい人だな」
「まぁな。ここは馴染みの店だからな。そしてここの料理は美味い。お前の料理より、美味しいと思うぞ」
「俺のは料理って言わないが、あれより美味いってことは……かなり気になる」
俺は料理を期待して待つことにする。ブラウンの言うことだからあまり信頼性がないが、俺の印象的にはできる人と感じたので、不安はあまりなかった。
5分後。
「簡単に作ってきた。ほらよ」
俺らが座っていたテーブルに、料理を置く。
その料理はオムライスだ。とても美味しそうだ。俺達の感想を聞かずに厨房に戻っていく。
俺はスプーンでオムライスを一口、口に運ぶ。
「ヤバ。美味すぎる。卵がふわふわだ」
「だろー。こいつメチャクチャ器用なんだよ」
ブラウンの方を見るが、オムライスにがっついて食べている。一切味わっている雰囲気がない。こいつは少し落ち着いて食べられないのか?そしてすぐに皿の白い部分が出てくる。
「おかわり!!」
ブラウンは厨房に響くように大声で叫ぶ。
シュリはそれをわかってたかのように、肉や魚、野菜、パンなどを持ってくる。
「ほらよ。たんまり食っとけ」
「ありがとうございます!頂きます」
ブラウンは感謝を込めて食べ始める。食べることしか頭にない馬鹿は、もう周りが見えていないだろう。本当に見えてないか確かめてやろうと思ったが、あまりにも美味しそうに食べるのでためらう。
「本当に苦労しますよね」
俺は自分の不満を漏らす。そんな俺を同類な人間だという、悲しみの目で見てくる。
「お前も俺の、仲間だったのか」
二人の中で確かな信頼関係がこんなことで生まれてしまった。
2章は森、今回は街です。少し人物が増えていき、華やかになっていくと思います!