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転生しきれなかった魔王はこの世界で勇者になっちゃいました  作者: 咲白 正則
第二章 師匠と弟子
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037 : 暗闇

 俺の体に魂が戻っていく。それはすんなりと体に馴染んていく。

 俺は、はっ!と、目を覚ます。今までの、暗闇にいた時間がなかったように、俺は闘いに入っていく。


 「おっ!なんか急に変わったな。何か掴んだのか?」

 「いや、つかめる場所まで来ただけだよ。あとは掴むだけだ」


 俺は、動きに誘いや、罠、強弱などを混ぜて惑わす。だが、やっぱりブラウンの服にさえかすることもない。それは今まで通りだ。

 ってことは、身体強化の能力なんかじゃないのか。神器はどう俺に適応したのか。早く知りたい。試してみたい。


 俺は必死になって考える。だが、そんな思考に間を指してきたのが、ブラウンの言葉だ。


 能力ってのは探しても見つかるもんじゃない


 その言葉が、俺の思考を止める。どうしたらいいんだ。今の状況を打破するためには、能力を見つけるしかないんだ。だが、それは難しい。


 「どうした、急に動きが悪くなってきてるぞ?」


 俺は、その悪くなった動きを元に戻すために、俺は考える。俺は開けていても何も映さない目を閉じる。


 すると、頭に何か、ぼんやりと浮かんでくる。


 「こ、これはなんだ?」


 浮かんでいた光景は壁を映し、手を映し、土を映し、人らしきものを映している。

 その見えているものは、次第にはっきりとしてくるが、霧でもかかっているかのような、モヤがかかっている。これはまさか……


 「どうしたんだ?」

 「いや、ちょっとお前を倒すビジョンが見えたんだよ」

 「ふっ。ほざいとけ」


 俺は出てきた作戦と、自分の能力を確かめる。


 今、俺の頭に浮かんでいるのは多分、俺のいる箱の中の映像だ。ってことは、目を閉じることで俺は、見えていない光景を見ることができるってことか?よくは分からないが、今の状況にとってはラッキーなことだ。

 そして、作戦だ。この能力を活かした上で、あいつを罠に仕掛ける。

 殺れる、これなら……

 俺は攻撃をするのを止めて、立ち止まる。


 「行くぜ!ラストスパートだ!《レイン》」


 俺はこの箱の中で、雨雲を創り、雨を起こす。それは地面に染み込んでいき、次第に水たまりを作っていく。


 「これで俺の、動きを鈍らせようってか?こんなの、何度も修行のときに経験してんだよ」

 「いや、お前は確実に鈍るさ。お前がやってきていた修行ってのは、いつもとの差を縮めるってもんだろ?なら、そこにはいつもと違う動きが生じる。ってことはすきが生まれるってことだ!」


 俺はブラウンに襲いかかる。だが、ブラウンは今までどおりかわしていく。今までと足運びが違く、泥濘に足を取られたり、滑ったりしないようになるべく軽い動作などしている。流石、修行してるだけあって、今までと強さは変わりない。だが、今までと違うってことは何処かにすきがあるはずだ。

 みろ。目を凝らして、ブラウンの端から端まで見るんだ。

 だが、俺の目は、ブラウンのすきを捉えることはなかった。


 「どうしてだ?なんですきがない?」

 「だから修行したって言ったじゃないか。俺はそんなこと想定してんだよ。どんだけ馬鹿だと思ってんだよ」


 そりゃそうか。俺が馬鹿すぎた。ブラウンがいくら馬鹿でも、戦闘センスだけなら、世界トップレベルの天才なんだ。そのくらい想定してただろう。俺が馬鹿すぎた。


 「クソ……だが、まだだ。雨よ強くなれ。もっと!もっと!!」

 「お前、雨を強くしたところで……」


 ブラウンは足下の変化に気づく。

 今、俺達の足下は10センチくらいの水が浮いてきている。


 「これならどうだ?流石に動きは鈍るはずだ」

 「だが、お前だってこの状況は同じだろ?」

 「いや、俺は違うよ。《飛行フライ》」

 「そうきたか!」

 「これからが、この作戦の本領だ。《ウォーター》」


 俺は大量の水を創り出す。魔力を使って創ってもいいが、それだと量が明らかに足りない。だから、神器の力を借りる。

 大量の水は箱の中を満たしていく。そして、ブラウンを溺れさせていく。


 俺は箱の天井の一部分に穴を開け、外に出る。

 もし、この穴から出てくるのであればすぐさまタッチすればいい。だが……


 バシャーン!


 大量の水が、支えを無くし勢い良くあたりの土に広がっていく。


 「あー、やっぱり駄目だったかー」

 「死ぬかと思ったー」

 「いやまだだ!」


 俺は勢い良く飛び出る。俺は手を伸ばして、攻撃を仕掛ける。だが、やっぱりすんなりとかわされる。

 そんな時、ブラウンの動きに変なふらつきが出る。


 「今だ!」


 俺はブラウンの胴体に手を伸ばす。だが、その手は空を斬った。


 「なんでだ!どうして!?って言うとでも思ったか?」


 俺は後ろにするっと手を伸ばす。そして俺は布を掴む。


 「えっ!?どうしてだ?お前見えてないはずだろ?」

 「まぁ、見えてないけど見えてんだよ!」

 「どういうことだよ?」

 「そんなことは後でいい。それより俺は勝ったんだよなー。多分8分くらいだぞ?」


 あの暗闇の世界が5分くらいだ。それを足したら10分は超えているはずだ。だが、その時間は入っていない。ってことは目標には届いてないが、勝ちは勝ちだ。俺は歓喜に浸る。


 「いや、負けてるぞ?」

 「えっ?」


 俺はブラウンの思いもよらぬ一言で、とぼけた声をだしてしまう。


 「どういうことだ?」

誤字脱字などあったら、教えてください

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