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転生しきれなかった魔王はこの世界で勇者になっちゃいました  作者: 咲白 正則
第二章 師匠と弟子
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034 : 浮剣

 俺はブラウンがいた、正面に飛びつく。奇襲だ。だが、俺はこの後、どうなるかわかっている。俺の両手は空を斬る。


 「どこだ?」


 俺は感覚を澄ませてブラウンのいる場所を探す。相手の場所は何処だ。右に微かな空気の動きを感じる。

 右方向に手を伸ばす。だが、それも空を斬る。そんな動きを繰り返す。次は左、右、左、右いや左、前、後ろ、全方向に手を伸ばすが、どうしてもれられない。俺の指は空気を触れるだけだ。


 「おいおい、おしいっていうのもないぞ!どんどんかかってこいよ!」

 「そんなこと言われても、みえねぇから、いちいち静止して集中して探さないといけなくて、難しいんだよ!」

 「そこを鍛えるのが、ここの趣旨とでも思え。お前は何故止まって考えようとする。考えながら行動が難しかったら、その割合を5対5じゃなく、考える方をおおきくしてみろ!それと神器を使うの忘れてるぞ」


 考えるのと行動を、5対5じゃなく、考える方を大きくする。考える方ながら、行動をするのは確かに難しい。正直、今の俺じゃあ、こんな至難の技は無理だ。だが、ブラウンのあの言葉をすることが出来れば、両立することができるかもしれない。

 5対5ではなく、考える方を大きくするってことは、考える方を7、動くのを3って感じにすればいいのだろう。

 だが、動くのを3って、どういうことなのだろうか?

 今までの動きはここだ、と考えたところに手をふるっていた。1だとしたら、適当にふるうってことだろう。じゃあ3だとしたら、少しでも感じだなぁー、くらいのかんじのところにふるって、当たらなかったら次だ。って感じでやっていって、時々、ここだってのができるくらいじゃないのか?まぁ、これなら俺にも出来そうだ。


 俺は早速、やってみる。

 考えてる間に、少し感じたってところに手をやる。

 今、右に風があったな、足音がしたな、ブラウンの匂いがしたな、などを感じたところに手を伸ばすが、やっぱり当たらない。だが、


 「あぶねー!」


 考えてそこだ!っと思ったところに手をやったときは、かなり惜しいときはあった。


 「やるじゃねーか。こんなに早く言われたことを習得するとこなんかは、流石だな」

 「そんな無駄口たたいている暇あんのかよ!おら!」


 俺は喋って出来たスキに拳を叩き込む。だが、それも躱す。そんな余裕は無いはずだが、それを間一髪で躱すのは、流石ブラウンだ。


 「まぁ、この無駄口もハンデと思ってくれ」

 「そんなこと言ってていいのか?俺も、そろそろ本気出してくぜ」


 俺は端っこらしきところに、ブラウンを追い込む。


 「今だ!《ウォール》」


 俺はこの鬼ごっこの範囲を半分にする。それによって俺のチャンスが、かなり増える。


 俺は早速、攻撃を仕掛ける。さっきの7対3の容量も掴めてきたので、簡単に出来るようになってくる。それによって、攻撃速度がとても早くなった。これでブラウンに攻撃を仕掛ける。だが、これも全部空を斬ってしまう。


 「なんでだ!なんでこの距離なのにかすりもしないんだよ!」

 「そんな焦ってても、なんの意味もないぜ!」


 いや、焦るよ!こんなにも勝てる状況なのに、勝機が一つも見えないんだ。怖くて焦ってしまう。


 「お前、どうやって躱してんだよ。結構殴ってるスピード早いはずなのに」

 「なぁ、覚えてるか?前、戦ったとき、俺はそれはお前が見ている世界の中では完璧かもしれないが、俺の世界では全然だ、って言ったの?」


 たしか、そんなのあったな、っと、その光景を、思い出す。


 「それがどうかしたのか?」

 「それが今、また起こってるってことだ」

 「どういうことだ?」

 「じゃあ、俺は今どこにいるか当ててみろ」


 俺は神経を研ぎ澄ませてみる。今、ブラウンがいるのは俺の目の前だ。


 「俺の目の前じゃないのか?」

 「目隠しを取ってみろ」


 俺は、はちまきをとり、広がる光景に唖然とする。

 俺の視界には、宙に浮く剣が写っていた。


 「ど、どういうことだ!?……あっ!これってもしかして、プラスαの能力なのか!?」

 「正解」


 そう言うと、拍手をして、自分の位置を知らせる。ブラウンは俺の上、木の枝に座っていた。


 「俺のプラスαの能力、剣を持たずに動かせる、『浮剣』だ。これで俺のふりさせていた。足音なんかも剣を地面に滑らせたりして、鳴らせてたんだよ」


 そういうことか。ってことは、俺はブラウンの剣に踊らされていただけって、ことなのか。なんて、無意味な攻撃だったんだろうか。


 この戦いで、注意しなければならなかったことは、物の音や風ではなく、声だったようだ。


 負けたことにムカつく。だが、すごく面白い。


 「なあ。第二戦、早くやろうぜ」

 「いいぜ」


 ブラウンは落ちていたコインを拾う。俺も創り出した壁を消す。


 「だが、俺から一つ提案がある。次は俺が逃げてもいいか?」

 「ふーん、そうきたか。いいぞ、面白い。俺が鬼をしてやろう」


 俺には1つ勝利のビジョンが浮かんでいる。そのためにも1つ条件をつけておく。


 「制限時間をつけておかないか。時間がアバウトすぎると、なんか感じが悪いからな」

 「わかった。時間は5分だ」


 俺はコクリと頷く。

 今回はとても自身がある。


 「今回こそは勝たせてもらうぜ!」

 「それはどうかな?」


 ブラウンの指からコインが放たれる。

こんな戦いが、後もう2回あります。楽しんで貰えると嬉しいです。


作者は感想を待っています。気軽に書いてもらえたら嬉しいです

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