031 : 残像
えーと、正月は楽しく過ごせましたか?私は忙しい過ぎて、連載を遅らせてしまいました。誠に申し訳ございません。
「で、お前の能力ってのは何なんだ?」
「お前、見てただろ?見たまんまだよ」
俺はあの光景を思いだす。
ブラウンの前で、勝手にどんどんと魔物たちは、倒れていって、ブラウンは剣を一切奮っていない。いや、振るっていたことには振るっていたが、はじめの剣を見せたようなモーションだけだ。
ブラウンの発言からすると、あそこにブラスαの能力があるということになる。
もう一度あの光景を思い出す。
魔物たちは、剣で斬られたような傷を負い、血を流していった。だが、ブラウンは剣を振るってはいない。振るっていたのは、はじめの剣を見せたような動きの数撃くらいだ。それ以外に彼は剣に一切触れていない。
俺はその記憶から、ブラウンの能力を導き出す。
勝手に倒れる魔物、何もしていないブラウン、剣で斬られたような傷、剣を数回振るう。
この4つのことから、2つの可能性を導き出すことができた。だが、1つはそこまで可能性は高くない。
一つ目は、『見えない速さで、剣を振るって相手を斬り倒す』だ。
だが、これは可能性が高くない方の案だ。これだとはじめの数激のモーションはいらないことになってしまう。あれをただ剣を振るっただけ、と考えてもいいが、それをしたあと、剣をしまったのは何故かという、疑問が生じてしまう。そして、もう一つ、剣には血がついていなかったのだ。ってことは剣を使っていないことになる。だから、これはあまり可能性は高くはない。というかあり得ないだろう。
二つ目は、『斬撃をそのまま残していた』だ。
これは言葉のとおり、斬ったあとを、その場に残していたってことだ。これだと、剣を振ったモーションも、血がついていなかったことも納得できる。だが、こんな能力あっていいのかと、思ってしまう。ブラスαの能力なのに、強すぎる。神器にしていてもおかしくないくらいの力だ。
そして1つ気づいてしまう。ブラウンがこの力を使ったときは、相手の進んでくる力も使っていたが、すべてを斬るあの力も使えばすごいことになるんじゃないのか。いや、もう使っているんじゃ。俺の中で思考が広がっていく。
「おいおい、自分だけの世界に入ってるぞ」
ブラウンは気にもたれかかって座っている。よっぽど暇だったらしく、大きな欠伸を欠いている。
「すまんすまん」
「まぁ、いいけど、俺の能力の見当はついたのか?」
「ああ。お前の能力って、斬撃を残す力じゃないのか?」
ブラウンは拍手をして俺に正解だと言うことを伝えてくる。俺は自分の考えがあっていたことに、安堵の息を漏らす。
「よくわかったなぁー。そう、俺のブラスαの能力は斬撃を残す能力。俺は残撃って呼んでる。読み方一緒だから間違えんなよ」
「じゃあ、あの『すべてを斬り裂く能力』てのは略称はあんのか?」
「あれは全斬裂ってんだよ」
どっちも結構まんまな感じだな、少しは戦闘以外にも頭を使えばいいのに、とそんな期待をするが、かれはそんなことをするはずがない。俺はため息をつく。
「何ため息なんかついてんだよ。別にしてもいいが、俺の前ですんなよ。不幸が伝染る」
「俺のどこが不幸なんだよ?」
「俺みたいな師匠を持ってるところが不幸だろ」
「それを自分で言うか?」
俺は、また、ため息を漏らしてしまう。
「だからため息をつくなって、不幸が伝染るから」
「いや、不幸なのはお前の脳みそだろ」
俺は呆れてまた、ため息をつく。たしかため息は幸運を逃がすっていうのが、一般に知られてるんじゃないのか?なら、ため息を安易につくのはやめておこう。
「ってか、そんなことより、飯にしないか?お腹空いて死にそうなんだが」
「俺の前で死なれても、美味しい飯が食えなくっちゃうからな。しょうがねー」
俺は今日の夕食の献立を考える。面倒くさいし、適当でいいか。俺は簡単に想像できるものを創造する。
「《食料》」
「おっ!カレーじゃん。お前と一緒にいると、なんでも食えるな」
「いや、俺もなんでも創れるって訳じゃないよ。俺が食ったことあるもんなら、それに近いもんは作れるな」
「よし、お前の名前を、無材の料理人ハクヤシェフって呼んでやろう」
「やめてくれ!恥ずかしいし、ダサい」
「いや、これは決定事項だ。……だが、美味しい料理を創ってくれたお礼に、チャンスをあげよう。このカレーを俺より早く食べれたらやめてやろう。よいスタート!」
「ちょっ!ちょっと、まてよ!」
ブラウンは俺から、カレーの入った皿を奪い取り、掻き込むように貪りつく。俺は自分のカレーを用意すら出来ていなかったのでスタートの段階が違う。
俺はこの勝負、健闘はした。健闘はしたが、流石に無理だ。うん、俺は不幸だな。
これからは、連載を遅らせないように頑張ります。




