026 : 格上
俺は木刀を右手で強く握り、宙を斬る。いつも使っている剣とは違い、少し軽いと違和感を感じつつも、急に模擬戦をしようと言われて波打つ鼓動を沈めさせる。
ブラウンはというと適当に握って肩に担ぐように持って、方をポンポンと叩いている。
「よし!その勢いがあるんなら始めるか!俺が3つ数えるからそれを言い終えたらはじめだ」
「わかった」
「じゃあいくぞ。い~ち」
「《肉体強化》」
俺は自分に神器の力を使い、強化を計る。これで差はかなり埋まった。
別に俺はズルはしていない。ブラウンが言ったとおり戦闘開始は数を言い終えたときだ。だが、別に自分の体を強化することは戦闘にはならない。だからこれは許可されるはずだ。
「に~」
ブラウンは何も言わずにカウントを続けていく。その顔にはかすかに微笑みが浮かんでいることだろう。楽しみなのが声でわかる。
俺も手の震えが止まらない。怖さ、という理由もある。だが、それ以上に好奇心が大きすぎた。俺も自然に微笑みを顔に浮かべていた。いつから俺は戦闘狂になったのだろうか?
「さ~ん」
俺は剣を構えて、どんな攻撃も防げるようにする。そして自分の視覚以外の五感を研ぎ澄ませる。
「はじめ!」
カサ
足音で近づいてきてるのを悟る。だが、どこから攻めてくるのかわからない。もっと聴覚、触覚を……
左から風が伝わってくる。攻撃がきている。
ガン!
「グゥ!」
とっさの判断で、俺は木刀の柄で攻撃を防ぐ。だが攻撃の重さで耐えきれずに体がよろける。ヤバイ!これじゃあ次の攻撃が!
俺の右から風を感じる。
「《鉄板》!」
俺は右横腹に鉄板を貼り付け攻撃で骨が折れないようにガードする。だが、攻撃の勢いに耐えることが出来ず、弾き飛ばされた。
クソ!見えないと攻撃ができない。しかもアレ、防御が遅れてたら、骨折じゃなくて死んでたぞ!
「《飛行》」
俺は間を取るために宙へ浮かぶ、5メートルくらい浮かぶ。流石のあいつでもここまでは無理だろうと予想した。
だからは安心して作戦を考える。だが、
「ハクヤ!お前俺をなめすぎだ!」
下から声がしたかと思うと服を捕まれ下に投げ飛ばされる。俺は地面に叩きつけられる。
「グハッ!どうして、てかヤバイ!」
追撃がくる。俺は右に寝返りをするように体を転がす。
ドスン!
俺の左耳に砂が入り込む。危ねー!
「《高速移動》」
俺はこのままいたら接近戦をしていたらヤラれてしまうので、間を取る。
かなりの距離を取る。だが、ブラウンなら数秒あれば来れてしまう。なら
「《透明化》」
俺は透明になり、身を隠す。足音や風を起こさないように静かに何もせずにたつ。これならブラウンにもバレないだろう。
数秒後
足音が聞こえてくる。ブラウンのものだ。ブラウンは俺の存在に一切気づくことなく遠ざかっていく。よし、乗り切った。俺は安堵のため息をつく。
俺はこの不利な状況の打開策を考える。このまま真向法勝負してもかつ可能性は限りなくゼロに近い。この実力差でも勝てる方法を……
俺は頭をフル回転される。
1、『銃を使い遠くから殺る』
→反則になるかもしれないが、あいつは神器の使用許可を出してくれたんだ。使っても大丈夫だろう。だが、多分あいつなら躱すし、音で場所もバレてしまう。却下
2、『一撃自分の体を犠牲にしてそのすきに攻撃を入れる』
→多分一撃で俺は息の根がとまる
3、…
と案を考えていると、俺の前に何かが舞っている。なんだこれ?すると一気に俺の後ろからカサカサという足音が聞こえる。
ヤバイ!
俺はとっさに右に飛びのきなんとか躱すことが出来た。だが、なんで?なんで俺の居場所が?
「ハクヤー!後もうちょい考えが足りなかったなー。もうお前の位置は見えてるぞ?」
「なんで!?俺は隠れてたはずなのに?」
俺は疑問をぶつける。
「それは簡単なことさ、お前の体に身についてるものも一緒に消してしまう、その透明化には弱点があったってこった」
俺は弱点があると言われた透明化を解く。
「その弱点ってなんなんだ?」
「はっ!?お前は馬鹿か!そんなん自分で見つけろ!それにここは戦場だぞ!相手にそんなことを教えてもらうのか?」
そうだ!俺は模擬戦をしている。模擬戦だって戦いは戦いなんだ。そんな甘ったるいことなんて考えてはいけない。
俺は再び戦闘態勢を取る。
「そうだな!まぁ、俺は別に弱点がバレたところで勝つけどね!」
「フフ。そうでなくちゃな」
ブラウンは笑いながら構えを取る。
「第二ラウンド突入だー!」
テスト週間なんで投稿遅れます




