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転生しきれなかった魔王はこの世界で勇者になっちゃいました  作者: 咲白 正則
第二章 師匠と弟子
25/42

025 : 視覚

 俺は今、あのデカイ木の前に立っている。


 昨日つけられた布のせいで視界が遮られて、この木まで来るのにも大騒動だった。


 俺が朝起きるといつもの様な光はなく。目の前に見えるのは白い布。朝、顔を洗おうと思ってもマトモに歩くことすらできない。今、自分が何処に向かっているかわからない。だから俺は一週間だけ、修行のとき以外だけは外してていいと許可を得た。この期間の間にこの状態を慣らさないといけない。


 俺は腰を落として集中する。あの人の様なパンチを繰り出そうと必死にイメージする。右拳をめいいっぱい引き、それを木に向かって繰り出す。


 ベシ!


 木は何もなかったようにその場に聳え立っている。失敗だった。


 「あー!クソ!こんなん無理に決まってんだろ!」


 俺は空に向かって自分の不幸を叫ぶ。そしてそのまま尻もちをつくようにして地面に座る。


 ジンジンする右拳を擦りながらこれから何をしようか考える。


 まず、この木を倒すことに大切なもの。力、技術。この2つは直ぐには身につかない。っていうか、俺にはこの馬鹿でかい木を倒すほどの筋力は手に入れられないだろう。じゃあ、どうしたらこの木を倒すことができるのか……


 俺はそんなめちゃくちゃな難題のもう一つの方も考えてみる。目隠しをしたまま生活する。

 はいー、こんなん無理ー。だって、ブラウンが言っていたとおり、攻撃を音や風で捉えて躱す、ってことをすれば戦うことはできる。その場を動かなかったら筋力トレーニングはできる。ご飯なども手探りしながら頑張ればどうにか頑張れる。だが、移動だけは無理だ。もしもここが草原だったらどうにかなったかもしれない。だが、ここは森、木がいっぱい生えている。こんなところ絶対に移動できないを


 俺は悩む。どうしたらこの危機的状況を打破できるのかを。


 1、『神器の力を使って無理やりここを草原にしちゃう』

     →なんて馬鹿げた案なんだ


 2、『木の周りで生活する』

     →う~ん?出来ないことは無いが動かないっていうのはやだな


 3、『こんな試練なんてやめちゃう』

     →これ、一番ありえん!


 この3つともどれもあんまりいい案ではないが、実行するとしたら2だよな。だが、2を実行した場合、トイレをその場でしなければいけない。絶対にしたくは無いが、これ以上の案が浮かばなければそうするしかない。

 俺はもう一度考える。どうやったらこの目隠し状態で森の中を自由に回ることができるのか?自分がこの状態に慣れるには……いや!違う!俺がこの状態に慣れるのではなく、周りをこの状態に鳴らせばいい。


 俺が思いついた案はこうだ。


 『自分が動きやすいような森にすればいい』


 この案はさっき考えていた2の案に似ているがあそこまで大袈裟なことはしない。ただ、この森の地図を俺が覚えておけば良い。具体的に言うと、俺が生活する範囲の木に印をつけて、俺が今、何処にいるのかを分かるようにすれば俺はこの森を迷うことはない。


 俺は目隠しを外し、空を見上げる。


 「まだ、昼かー。頑張れば日が落ちるまでには終わるかな。《短剣ナイフ》」


 俺は創り出したナイフで自分の試練に使う大きい木に番号をふる。


 ガキガキガキ!


 木に1とほり、俺はその周りの木にも番号をふってどんどんと、試練の木から離れていく。


 俺はヘトヘトになり、試練の木にもたれかかりぐったりとする。

 俺は計1000本くらいの木に番号をふっていった。この木を拠点として、この木から離れていくほど番号は大きくなるように、俺は木を掘っていった。だからもう握力が……


 「この目隠しの試練、目隠し外してるのに筋力トレーニングより疲れる。まだ、この試練始まったばかりなのに達成感ハンパねー!」


 俺はまだ、試練をクリアできていないのに達成感を味わう。今でもこんなに喜べるのにこの試練を達成できたら、と考えるとゾクゾクと身震いが止まらなかった。


 「オイ!ハクヤー!飯にするぞー!」


 俺はブラウンの声がした方へ歩いていく。


     □□□□□     


 俺らは俺が創造したご飯で夕食を終え、その場でゆっくりとしていた。


 「なぁ、ハクヤ。お前なんであんな数字みたいのを木にほってたんだ?」

 「あれは、目隠しして移動するときにあれがあれば迷うことないだろ。だからああしたんだ」


 ブラウンはなるほどと頷く。


 「で、木を倒す試練は倒せば終わるってわかるけど、目隠しの試練って、何をしたら終わるんだ?」

 「そうだなー。目隠しした状態で俺に一撃を食らわせられたら合格にしてやろう」


 その言葉が意味したのは決闘ってことだ。一応、模擬戦だと思うが、あんな木をへし折る力を持ってるんだ、一撃喰らったら骨がへし折れてしまうだろう。


 「嫌だ!そんなの無理に決まってるだろ!」

 「だからハンデとして、神器の使用は許可してやる」


 それならチャンスはあるかもしれない。いや待て、あいつの神器の能力を全部は知らないが、知っている限りの能力では全てを斬り裂く能力だ。あんまあいつが神器を使わなくても意味なくね。


 「で、その模擬戦だが、一日一回だけしてやる。だから始めるぞ!木刀を創ってくれ」


 俺は言われたとおり、木刀を創造する。


 「《木刀ウッドソード》」


 俺は2本木刀を創り出す。その片方を手渡す。


 「じゃあ始めようか!目隠しをつけろ!」

 「え!?やだ!今じゃボコられるだけじゃん!」


 だが、その言葉を無視して戦闘態勢を取る。くそ!やるしかないのか。俺は目を包むようにはちまきを巻く。


 「準備完了!いかしてもらうぜ!ブラウン!」

テストも執筆も頑張ります

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