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転生しきれなかった魔王はこの世界で勇者になっちゃいました  作者: 咲白 正則
第二章 師匠と弟子
24/42

024 : 続行

 俺とブラウンは俺の作った食事を取る。作ったと言っても俺が創り出した訳で別に調理した訳ではない。


 俺らは焚き火の周りに座って、語る。


 「なぁブラウン。俺はこれから何をすればいいんだ?」

 「何って何?」

 「修行だよ。しゅ・きょ・う!」


 俺は強めていう。ホントにこいつは俺の師匠なのかと疑ってしまう。


 「修行か〜?」


 ブラウンは顎の髭を撫でながら考えている。また、どうせデタラメのもんだろうなァ〜、と期待せずに答えを待っていた。

 閉じられていたブラウンの口が開く。


 「そうだなぁ〜?お前まだ俺が初めに出した試練を馬鹿みたいにやってんだよなー?」

 「馬鹿で悪かったなー!」

 「なら、それをやってくれ。あのデカイ木をへし折ったら次の試練を出してやるよ」


 俺は驚いた。あんな適当にいった試練をまだやらせるのか。ブラウンの思考回路がどうなっているのかちょっと頭を割ってみたい気分になる。それほど彼は適当なのだ。


 「あっ!ちょっと待て。もう一つ並行してやってもらいたいことがある」

 「ん??もう一つやるのか?」

 「あぁ、ちょっとお前の力ではちまきくらいの大きさの白い布を創り出してくれないか?」

 「分かった」


 俺は言われたとおり、はちまき状の白い布を想像する。長さは、厚さは、色は、肌触りは、硬さは、そんな細かな部分まで考えて行う。


 「《ハチマキ》」


 俺の目の前に、創造した布が現れ、ひらりと、地面に落ちていく。その地面との途中に右手を出してそれを掴む。


 「ほら」


 俺はブラウンの方に右手をつき出す。だが、彼ははちまきは受け取らなかった。


 「違う違う。これは俺が使うんじゃなくて、お前が使うんだよ」

 「そうなのか?」

 「あぁ。そのはちまきを自分の目を隠すように顔に巻け」

 「え!?どういうことだ?」

 「行ったとおりだ。早く巻け」


 俺は言われるがままに、持っていたはちまきを顔に巻く。


 「これでいいのか?」

 「あぁ。それでこれからずっと過ごせ!」

 「はー!?」

 「あっ!そうだな。顔を洗うときや、ガチで小便、大便が漏れるときだけは、外すのを許可しよう」


 本当にこいつの考えることはわからない。そんなことしたら体を鍛えるどこらか、日常の生活さえ、困難になってしまう。

 俺は反論を訴える。


 「こんなことしたって、体を鍛えることが出来なくて体力が衰えてしまうじゃないか!」

 「そうか?まぁ、例えそうだったとしてもこの試練を、取り下げることはしないがな」


 ブラウンはそう言うと、声高らかに笑う。


 「お前が取り下げなくても俺の方からゴメンだ。こんなの絶対にやっても意味がない」


 俺はそう言って無造作にはちまきを取る。


 「それにあの初めの試練もだ。お前みたいな天才ならあの木をへし折ることができるが、俺みたいな凡人じゃできないに、決まってんだろ!」


 彼はさっきまで、ケラケラと笑っていたが、今はそれとは相反してとても真面目な顔になる。


 「別にお前がしたくなかったらしなかったらいいさ。だが、これだけは言わせてもらう。誰しも皆、強いからって天才って、わけじゃないんだ。俺なんか、お前くらいの歳の頃はお前よりも弱かったと思うぞ。後それに、お前は凡人なんかじゃねぇー。お前には天才になる、素質がある」

 「俺が天才?」

 「そうだ。お前はその神器に選ばれたんだ。神器は決して弱い奴は選ばん。だからお前は強いってことだ。それかお前は強くなるってことだ」


 俺はブラウンを、見る目を変えた。こんな阿呆みたいな師匠だけど、こいつは師匠なんだ。どんなに馬鹿だろうが、阿呆だろうが、こいつは強い。こいつは凄い。俺はそれを確認した。


 「だから、お前が嫌じゃなかったら俺に付いて来い。俺がお前を強くしてやる」

 「ついていけば本当に強くなれるんだよな?」

 「強くなれるさ。お前がその気になればな」


 俺は覚悟を決める。多分これからは生半可の覚悟じゃ乗り切れない。それだけきつくなっていく。それに今がこんな馬鹿げた試練だ。これからもっとおかしくなっていくことだろう。だから俺は覚悟を決めた。だから、俺は


 「じゃあ、俺はお前についていく」

 「そうか。ならそのはちまきをつけろ」


 俺は言われたとおり、再度同じところにはちまきを巻く。


 俺の、視界は布の色と同じで、白色に染まる。少し厚めに作っていたので透けることもなく、本当に白だけが俺の目の前に広がる。だから、俺は目を瞑る。開けてても意味がないからだ。


 「じゃあ」


 なんかブラウンはひとりでになんか言う。その直後、


 バシ


 「いったー!」


 俺はブラウンに顔を殴られた。流石に加減はしていて怪我は無いが、それでも痛いものは痛い。


 「何すんだよ!」

 「いや、これがこの試練なんだよ。この試練は音や風、嗅覚などを、フル活用して、目が見えなくても、いつも通りの力が発揮できるようになるって言う試練だ」


 意外だった。こいつが、ちゃんと意味を持った試練を出すなんて。


 この試練、俺はいつになったらできるだろうか?こんなのすぐには身に着けられない。何ヶ月、いや何年と掛かるかもしれない。これが俺が強くなるための修行の一つならば、俺はこの修行を終えるまで何年もの時を費やすのだろうか?

 俺は自分がこの修行を終えれるのかが、不安になる。


 「だから」


 また、ブラウンはひとりでになんかいった。

 くる。何か攻撃がくる。俺は伏せてその拳?を躱す?


 「いい読みだ」


 俺は本当に躱せたようだ。


 「だが、甘い」

 「えっ!?」


 ドス!


 俺は背中に攻撃を、喰らう。多分これは踵だ。俺は転がりながら激痛を和らげようとする。


 「何すんだよ!俺躱したじゃん!」

 「何、甘いこと言ってんだ。次のことも考えないと」


 なら、最初から俺に何発か攻撃するぞって言えよ!躱せるわけ無いじゃん。

 俺は心の中で嘆いた。

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