019 : 悪臭
俺は不快感で目を覚ます。臭い。なんかプーンと匂う。俺は透明化を解き、周りを見渡す。だが木や草、木の葉などしか見当たらない。
俺は自分自身に目を向ける。するとそこにあったのは、UNKOだった。
あれ?俺漏らしちゃった?……いや違う。UNKOがついてるのは俺の足元だ。尻から離れすぎている。考えられるのは2つ。
1、『元からあったのに気づかずに寝た』
2、『何者かが、俺の身体に糞をしていった』
1は匂いで気づくか。なら2だな。2なら、俺が透明化していたから気づかず、獣かなんかが、UNKOをするのも納得?がいく。だが、今まで匂ってきた中で一番強烈だ。草食系の魔物ではない。てことはこの森には肉食系の魔物がいるってことか。許さん!見つけることが出来たら、お仕置きしてやる!
俺はUNKOで臭くなった服を変えるために一旦、服装変化を解く。すると、俺は素っ裸になっていた。あれ?おかしいなぁー?俺のもとの服はどこにいったのか。
俺は服装変化で変化させたもとの服は消えてしまうのだろうと推測する。まぁ、別にあの服、貰いものだったし、お気に入りでも無かったからどうでも良かったけど。無くなるのはなんか寂しいを
俺は寒すぎて死にそうなので新しい服を作る。あの服は寒かったからもっと暖かそうな服を創造する。
インナーは長袖の厚い黒、ズボンも黒、そしてモコモコの茶色いマント。
「《服装変化》」
俺の身体を光の粒子が包み込んでいく。それが次第に服に変わっていく。
俺は出来た服の着心地を確かめるために、その場でジャンプしたり、回ったりしてみる。よし、完璧だ。今まで来ていたやつの方が、カッコイイと俺的には思っているが、これもなかなか良い。
俺は歩き出す。ヤマブキの街へ向かうために……あっ!そうだ。俺は1つとても良い考えを思い浮かべる。
『寝たときのように透明化をかけて歩けば楽にイケるじゃん』
コレ完璧。俺って天才かもしれん。俺はすぐに神器を使う。
「《透明化》」
俺は周りからは視認できなくなる。これで安全だ。盗賊や山賊は見つけ次第、懲らしめる。俺はそう誓う。姿を見せたままでも楽勝だが、この状態だと、簡単に片付けられるので楽だ。
俺は暫くの間、次の街に向かう為に木の葉の道を歩き続けた。その途中、昨日と同じようにサンドイッチを創り、食す。
何かおかしい。俺は5、6時間歩き続けた。だが、まだ山賊に会っていない。まぁ、俺が姿を隠しているから、気づかなくて、俺の近くに現れてこないのもわかるが、俺がこんなに歩き回っても見つけられないのはおかしい。
それに、魔物の姿も見えない。この森にも動物や昆虫の魔物が、いるはずだ。なのにまだどちらも見かけていない。どういうことなんだ。
俺は歩き続けた。さっきまでより周りをよく見て。すると木の葉の上に血が散乱している箇所が見つかった。その血を指でなぞる。そして指を離して、見てみる。すると俺の指にべったりと血がついている。まだ、この血が木の葉に付いて時間が経っていない。俺は辺りを見回してみる。すると血が滴って跡が出来ていた。この先に行けば何があったか解る。俺は慎重に血の跡に従って歩いていく。
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俺は大きな穴が空いた、場所に着いた。そこから朝の悪臭とは違った、強烈な悪臭がする。UNKOではないな。そっと足音を立てないように近づき穴を覗く。そこには驚愕の景色が広がっている。
人や魔物の死体が何百とあり、それを狼に似た何かが、貪り食っている。
グロい。ってか、メッチャ吐きそう。これはヤベーな。
俺は引き返そうとする。別にこの魔物に喧嘩を売っても意味がない。だが、これを覗いてしまった俺には簡単には返してもらえなかった。
俺の目の前にさっきの死体を食していたやつより一回りくらいデカイ狼らしき魔物がいた。さっきの奴は子供でこいつが大人なんだろう。
だが今、俺は透明のはずだ。気づかれずに逃げ切れば……
俺は少し後ろに後ずさる。
グルグルグルゥゥゥー!
俺を威嚇してきている。なんでバレてるんだ。逃げたいが、逃げても後ろから襲い掛かってくるだろう。なら、俺は透明化を解く。
「《高速移動》」
俺は全速力で今いた場所を離れるだが俺に少し遅れて、獣の姿が、近くに見える。速い、とてつもなく速い。今さっきと同じくらいの距離に獣は位置取り、俺を警戒している。
こいつ強い。前に戦った奴とはレベルが違う。上位種どころじゃない。魔族種レベルだ。
俺は覚悟を決める。逃げ切れないならやるしかない。勝てる気がしないか。生き残るために俺は殺る。
「《剣》、《肉体強化》。かかってこいよ。狼的な奴!!」
俺は剣の柄をしっかりと握り、構えを取る。すると狼的な獣が襲い掛かってくる。俺は引かない。殺ってやるよ。アオ爺でも倒せなかった。魔族種レベルの奴をな!