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四十話 良一、正式にナララの所有者になる。ナララ、義足を取り戻す。

前回のあらすじ:奴隷少女ナララを実質的に自分のものにした良一。彼女の着る服がないため、良一は彼女らを連れて服を売ってるところに行く。そこで、話の流れで良一はついナララを性奴隷にしたいという欲望を漏らしてしまう。

 ナサビさんの家では、結局いろいろな服を買った。

 ナララの服だけではなく、ニニナの服、そして僕が着る服も買った。いい加減学生服の一張羅には限界が来ていた。


 家に戻る帰り道、義足がないからニニナに肩を貸してもらって歩いている、ナララが口を開いた。

「ねえご主人、あたしを性奴隷にするって本当?」

「え、ええと。」

 僕は慌てた。

 天を仰いだあと、覚悟を決めて口を開いた。

「正直、セックスはしたい。」

 身もふたもないことをはっきり断言してしまった。

「ええーっ、あたしなんかと?」

 ナララは本当に驚いたような声で言った。

「なんか、って事はないでしょ。可愛いよ」

 事実、ナララは美少女と言っていい顔立ちをしていると思う。ちょっと痩せてる印象もあるけど、それが摂ってる食事の量が少ないとかの原因なら、これから治るんじゃないだろうか。

「で、でも。あたし、右手とかこんなんだよ。」

 そう言って彼女は手首から先がない右腕を見せる。

「気持ち悪いでしょ? その、萎えたりしない?」

「別に? 傷口もふさがってるし……。そういうものだと思うだけだよ。」

 僕は少し強がった。

 実際には手首がついてない腕を見ると、ちょっとぎょっとするような感覚はある。

 でもそんな事は言いたくなかった。


 ぶっちゃけ、身もふたもないことを言ってしまうと、片方の手がなかったり片方の足がなかったりするぐらいで僕の性欲は止まらないのだが、さすがにそういう言い方はみっともなくてできなかった。


「ナララは、僕とセックスするの嫌? 嫌だったら別に……。」

「めっそうもないです! 性奴隷になります、ぜひともおねがいします!」

「えっ」

 僕はナララの食いつきの良さに、逆に戸惑った。

「そ、そう? それは嬉しいな……。」

「だって、エッチだけしていれば毎日ご飯食べさせてもらえるって事でしょ? やる! やります!」

「う、うん、よろしく……。」

 僕はぎこちなくそう言った。

 それと同時に思った。

 苦労したんだろうな、この子。


「あ、ところで先輩! ニニナ先輩! 先輩もご主人の性奴隷なんですか?」

 生じかけていたしんみりした雰囲気を吹き飛ばすようなナララの質問が飛び出した。

「そうですよ。」

 さらっとニニナは答える。

(そうだっけー!?)

 僕は心のなかで叫ぶ。

 彼女の前で『性奴隷』って言葉を使ったことは、一度もなかったと思うんだけど!

 ……でもまあ、セックスした以外に仕事させてるわけでもないし、ニニナが自分のことをそうみなすのも不自然ではないのかもしれない……。


 いや待ってくれ、僕はニニナのことを旅のパートナーとかそういうつもりでいたのに、彼女は自分のことをただの性奴隷とみなしていたのか?

 これは思っていたより大きな溝があったのかもしれない。


 一度、ちゃんと話し合わなければ。

 どうも僕とニニナの関係はいびつな所があると思ってた。

 できれば僕がニニナをパートナーだと思ってたように、ニニナにも僕をパートナーだと思ってほしいし、ナララに関しても……。


「じゃあさ、こんどあたしとニニナ先輩との二人がかりでご主人にご奉仕とか、しちゃいたいですね!」

「そ、それはご主人さまが決めることだから……。」


 なんだろう。

 真面目な話を考えている時に鼻血が出そうな会話はやめてほしいと思った。


 翌日は、儀式に呼ばれた。

 儀式というのはまず、形式的な賞金授与式があった。ただ、今回の賞金は神への捧げものを賄うために使われるので、僕が受け取る賞金はゼロだった。

 神への捧げものというのは、ナララの罪を帳消しにするにあたって、神に捧げる必要がある、大かご12個分の食料というやつだ。

 額で言えば賞金のほうがだいぶ多いらしかったが、計算に時間がかかるとか言われたので、僕は賞金の受け取りを断ったのだ。身に余る大金を持っていても仕方ない。


 それから、ナララを正式に僕の奴隷にする儀式があった。

 ナララの首に革の首輪がはめられ、銀色の鎖が繋がれ、金具が溶接された。

 最後に、その首輪につながっている鎖の端を、僕が握ると儀式は終了だった。

 儀式の間じゅう、ナララが嬉しそうな表情でいるのが印象的だった。

 儀式が終わって、ナララはえへへと笑い、

「これであたし、本当にご主人の奴隷になれたんだね。うれしい。」

 偽りのない笑顔でそう言った。


 儀式が終わったタイミングで、村の広場にやってきた男がいた。

「おうおう! 今日はこれは何の騒ぎだい?」

 見るとずいぶん体の横幅の広い、年配の男だった。のしのしと歩いてくる。


「ヌバンパじゃないか、おかえり!」

 村の女が彼に声をかけた。

「おう、いいイノシシ肉を仕入れてきたぜ」

 そういう彼の後ろには奴隷らしき男が何人かいて、みな荷物を満載した大八車のようなものを引いていた。

「そりゃそうと、何やら楽しい騒ぎに乗り遅れちゃったみたいだな。なにがあったんだい?」

 ヌバンパと呼ばれた男がそう言うと、村のみんなが口々に説明し始めた。

「旅人さんが来てね……。」

「あのナララが捕まったんだ!」

「旅人さんが競技ゲームに挑むって言い出してね!」

「コーヅキさんがナララを助けたいって、長老にかけあったんだって!」

「でも賞金は神様に捧げるんだって!」


 ここでヌバンパは両手を振り回して皆を遮り、

「順番に! 順番に話してくれ!」

 と言って笑った。

 ヌバンパは一通り説明を聞いて、

「ぬあーっ! 俺としたことがこんな面白いことがある時に村にいないなんて一生の不覚だぁ!」

 そう言ってまた笑った。

 そして僕とナララの二人を見て、

「こんな事が起こるなんてなあ、誰に分かっただろう? ……そうだ、これを渡してやろう」

 そう言って何かをかばんから取り出そうとしている。

「ん? 僕に何か?」

「いんや。あんたさんにじゃないよ。ああ、あった。」

 そう言ってヌバンパが取り出したものは、見覚えのあるものだった。曲がった木の枝を削って加工してある、それは……。

「あたしの義足!」

 ナララが叫んだ。

 そう、僕らがナララから取り上げた義足だった。

 思えばその義足を取り上げる意地悪から結構な大事に発展したものだ。

「ほいよ。」

 ヌバンパはナララに義足を放り投げた。

「あんたの罪は無くなるんだろう? だったら意地悪する理由もないな、ナララ。正直お前を名前で呼ぶ日がまた来るとは、思ってなかったけどよ。」

「ありがとう、ヌバンパさん!」

「へっ。」

 ヌバンパはナララの感謝の言葉を照れ笑いで流した。


「あなたはどうしてそれをここまで持ってきたんですか?」

「ん? そりゃ、見たらナララがつけてた義足だって分かったからよ、ナララが義足をなくしたってニュースをこの村に届けにな。いざ村にたどり着いてみたら、それどころじゃないところまで話が進んでたけどな! はは!」

「ご主人! みて!」

 ナララの明るい声が響いた。

「あたしの足が戻ってきた! ほら! ぴったり!」

 ナララはもう義足を脚にはめていた。

 一部ゆるい螺旋を描くように曲がった木の枝の曲線が、ナララの脚にぴったりマッチしていた。

「今日は最高の日だよ!」

 僕はそう言ったナララの笑顔を、守らなければと思った。

「ご主人、あたし性奴隷のお仕事頑張るから!」

「ちょっ、それは……。」

 それはこんな人が多いところで言わないでほしかった。

 慌てる僕の姿を見て、村人全員が爆笑した。

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