表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/40

一話:良一、失恋する。気晴らしにゲームショップに行くことを決める。

この小説は、会話文の最後の句点(。)を省略しないルールで書かれています。

ご了承ください。

「……ごめんなさい。」

 僕の目の前のクール系の美少女は、そのシンプルな言葉で僕を拒絶した。

「えっ……。」

 絶句して二の句がつげなくなった。

 今そういう流れだった? 違うだろ、絶対うまく行きそうな感じだったのに……。

「僕じゃ……駄目ってことですか……。」

 僕の口からみっともない言葉が漏れた。

「うん、上月君って、私のタイプと違うの。」

 明確な、誤解の余地のない拒絶が僕を迎え撃った。

 目の前が真っ暗になった。


「ハナー? どこー?」

 誰か女子の声が僕の前の美少女を呼ぶ。

 美少女は僕に小さく会釈して、僕の前から去っていった。


 こうして僕、上月良一こうづき りょういちは恋に破れたのだった。

 今日の告白まですこしずつ好感を稼いできたつもりだったんだ、順調だと思ってたのに、どうしてこうなった……。


 暗い気分を表情には出すまいと思って廊下から教室に戻る。

 何事もないふうを装えているだろうと思っていたのだけど、3つほど横の席に座ってる僕の幼馴染の目には、そうではなかったらしい。

 教室に入った僕を一目見るなり、小走りでやってきて、

(りょう)ちゃん、だいじょうぶ? つらそうだよ? なにかあったの? わたし、心配だよ。」

 小声でそう聞いてきた。

 無垢なイメージのパッチリとした目、整った顔立ち。

 僕は無言で会釈して、無駄に美少女な幼馴染に背を向け、自分の席に向かった。

 彼女は生まれた時から家が隣の、兄弟みたいに育った純度の高い幼馴染だ。

 天と地がひっくり返っても恋心など芽生えようはずもない。

 そんな彼女の心配は今は煩わしいだけだった。


 今日は学校が終わったらゲームショップに行って、気晴らしに前から欲しかったボードゲームを買おう。

 そう決めた。


 今、この文章を書いていてふと思う。

 この日ゲームショップに行かなければ、僕は今いる異世界に来なくてすんだのだろうか、と。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ