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王子様のからくり  作者: ゆきうさぎ
<第1部>
60/145

59:

「……と、いうことだ。9時からスタートらしいから、それまではこの教室にいるように」


西之谷先生はそう言うと、颯爽と教室から出ていった。

先生の話を要約するとこうだ。


学年関係なく、全生徒を無作為に2人1組にするらしい。

この時点でまず意味不明。


まぁそれはさておき…生徒には記号と番号を手の甲に書いてもらう。

普通に考えたら嫌だよね、そんなの。


記号はトランプから取ってきているみたいで4種類あって、記号の隣に番号が書かれている。

で、記号と番号が一致した2人が晴れてペアとなり、ランデブーらしい。

まぁまぁ、この辺まではおおむね、いろいろと思う節はあったけど理解。


問題はこの次。


記号と数字の組み合わせは全部で180パターン。

ここであれっと気が付く人は気が付くと思う。

この学校は生徒の総勢720人。

それを2人1組にしたのだから、生徒数の半分である360のパターンがなければならない。

…のに。

もう一度言うけど、全部で180パターンしかないらしい。


はい、意味不明。


単純計算すると、同じ記号、同じ数字を持つ人は自分を含めて4人いるということになる。

最初に無作為で2人1組にした意味。

そして奪い合うの意味、理解。


「プラカードでも持って歩くか」

「やめてよ、バカ丸出しじゃない」

「だってめんどくさくない?これと同じの書かれた人見つけるの」


この学校、けっこう校舎広いんだって。

練り歩くだけでも、けっこうな時間と労力を費やすんだってば。


「図書室にでも行こうかな」

「サボろうかなの間違いでしょ」

「うるさいな。部室にこもらないだけまだマシでしょ」

「でも残念ながらそれはできそうにないみたいよ?」

「なんで?」


聖にそう聞き返すと、聖は朝に先生が配った、このイベントの詳細が書かれた紙を私に見せた。

全くと言っていいほど目を通していない私はそれが何だという顔で聖を見る。


「ここ、ここ読んでみ。ほれ、朗読」


聖の言い方には少しイラッとしたけど、ここ、と指をさされた部分を目で追いながら読む。


「このイベントに消極的、あるいは風紀を乱すような行いをした場合は、冬休みは生徒会室に監禁する。…なにこれ物騒」

「生徒会は冬休みも忙しいみたいよ」

「つまり、冬休みは生徒会の手伝いに来いと…うわ、やだ」

「それみんなが思ってるから」


だからペナルティなんじゃない、と、呆れたように言った聖はぐるりと教室中を見渡した。


「にしても…何もこんな時にしなくてもいいのにね」

「かっちにそれ言ったら、こんな時だからだって言ってた」


どれだけクリスマスにゴールインしたいんだろうね。

ていうか、これで同じ番号の人捕まえられたからって、一緒に過ごせるとかいう決まりないのにね。


「まぁ、つまんない授業するよりかはいいけどね」

「私は授業のほうがいいけどね」


今日、本来だったら西ヶ谷先生の授業があったし。

そのために私学校に来たようなもんなのに。


「でもさー、この学校って男女比平等じゃないよね?」


ふと思ったんだけど。

これって男女比が一緒っていう仮定のもとで話進んでるよね。


「はい、陽向、次はここ読む」

「……なお、本学校の生徒は男子の方が多いため、3人が1人の女子を見つけなければならないケースもある……ああ、そう」

「そういうこと」

「だったら初めからわけなきゃいいのに」

「わけなきゃランデブーできないからね」

「ランデブーする必要がないでしょ、だいたい」


この学校、ランデブーさせるの好きだよね、ほんと。

次はバレンタインくらいに、こんなイベントがありそうで本当に怖いんだけど。

来年のバレンタインは休もうかな、私。


「でも噂では、会長が自分の意中の相手とくっつくために計画されたとかなんとか」

「いや、ありかそれ」


職権乱用っていうんじゃないのか、それ。


「噂だけどね。会長って、乗っかってる顔はそこそこ良いんだけど、性格がねー、超がつくくらいの問題だから」

「個性じゃん、あれも」

「個性でおさまりきる範囲じゃないから変人なんて呼ばれてるんでしょう?」

「天才と変人は紙一重だよ」


って、こんな会話、さっきもかっちとしたんだけどね。


「会長の意中の相手ってどんなんだろうね」

「さぁ‥意外とすっごいまともな人だったりしてね」

「まともって‥難しいよねー」


だいたい何をもってまともって言うのかわかんないしね。

でも会長に好かれた人ってやっぱ気になる。

聞いた話じゃ、会長の人徳ってすごいって聞いた。(かっち情報)

王子様が来るまでは、会長がぶっちぎりで人気者だったらしい。

なんで自分たちが入学する前の話を知ってるんだって話だけど。


「そっれにしても‥700人以上いる中で同じマークの人なんてほんとに見つかるのかね」

「運命の相手ってのも間違いじゃないかもね」


180分の1の確率……やだ、そんなに運命的な確率じゃないじゃん。

けっこうありふれた確率じゃない?


「聖のマークなに?」

「クラブの16」

「クラブって‥なんかあんたにぴったりだね」


確か意味は知識とかそんな感じだったもんね。

あんた賢いし。


「陽向は?」

「……スペードの12」

「わお。ぴったりじゃない」

「どこが!」

「だってスペードの12って確か悪女でしょ?」

「誰が悪女よ」


ふざけんじゃない!

と聖に食いかかったところで、イベント開始のチャイムが鳴った。







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