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王子様のからくり  作者: ゆきうさぎ
<第1部>
44/145

43:

うーん、難産。


もしかしたら、43話の内容変わるかもです…

「…おーおー、やってくれちゃったね」


……。


「これは前代未聞ってやつだね」


…………。


「学問の神様もびっくりね」

「……わかったから、もうやめて」


そろそろ居た堪れなくなってくるから。

ていうか、もう周りの視線がすっごい刺さってくるから。


「神崎すげぇじゃん!学年トップなんてすげぇな!」


そうだ。

学年トップだ。

今日はテストが終わって2日経ったテスト結果の開示日。

目の前には、紙にびっしりと書かれた順位と名前。

その一番上にある、神崎陽向という名前。

間違いなく、私の名前だ。


…やっちゃったなー‥。

と、後悔しても時すでに遅く。


「やっぱりあんたって手抜いてたんだ?」

「別に‥いい点数取ったって意味ないって思ってたし」

「じゃあなんで今回はああなったのよ」


聖はそう言って、目を凝らさないと見えない位置にある私の名前を指さした。

そんなのは私が聞きたい。

なんたっていつも以上に勉強してないのだ。

しいていうなら、無意識に問題を解いた結果ってやつ。

はっはー、自分こえぇー。


「山が当たったんだって」

「嘘おっしゃい。あんた山勘はいつもしないでしょ」

「得意分野だったの」

「化学、全然理解してなかったのに?」

「いや、化学はなかなかに悪かったよ?」


確か、受けたテストの中で一番悪かったし。

まぁ平均点も低かったから助かったけどね。


「じゃああの結果はなに」

「えーっと‥うーん」


無意識に解いてて、手を抜くのを忘れたなんて口が裂けても言えない。

そんなこと言った日には聖に殺される。

今までどれだけ手抜いてきたかばれちゃう。

どうしたものかと思案していると、隣にいたかっちが首を傾げた。


「え、たまたまじゃないの?」

「あのねー、いつもあれくらいの点数取ってる人が1位を取ったらたまたまかもしれないけど、いつも80番台とかいう人がまぐれでも学年トップ取れると思うの?」

「あー‥確かに。神崎めっちゃ勉強したとか?」


はっはー、むしろその逆ですー。

全くって言っていいほど手につかなかったですー。

旭と日和に散々怒られて笑われながら勉強してましたー。

誰のせいだろうね、ほんと。


「ただね、陽向が今まで手を抜いてたってなったらつじつまがあったりするんだよねー」


じとーっとこっちを見る聖に、背中に嫌な汗が流れた。

ああやだ、もう冬なのに暑い。


「はははー、たまたまだと思うよ?」

「それかカンニングか!?」

「先生たちがそれを真っ先に疑ってるみたいだけどね」


そうらしいのだ。

おかげで昨日から先生たちは職員会議で忙しそうだ。

私も生徒指導室に何回か呼ばれたし。

嫌だねー、ほんと。


「でもよー、これで王子様に手が届くやつが現れちゃったわけだ」

「だから、まぐれだってば」

「まぐれで王子と同点取られたらたまったもんじゃないけどね」

「‥わかったからもう責めないで」


ほんっとに辛いから。

もう隣からの視線が何か怖いから。


「王子様どうすっかねー」

「どうって?」

「だって今まで無敗だったんだぜ?それがまぐれってだけで同じ点数ってなぁ?」

「もういいじゃんか。たまたまで片付けてよ」


聖とかっちと教室に戻る途中、かっちがそんなことを言った。

別に王子様がどうとか、どうでもいいじゃない。

ていうか、今桐生のこと、考えたくない。


「神崎」

「先生。どうかしましたか?」


声のした方を向くと、担任である西之谷先生が立っていた。

相変わらず、男前だ。

ほんと、この人のクラスで良かった。


「職員会議の結果な、不正は見られなかったと」

「あ、そうですか。ならよかったです」

「ただな、」

「はい?」

「次のテストも同じように学年トップくらいの点数とってくれねぇと困るんだ」

「……はい?」

「いやな、まぐれだったかもしれないじゃないかって俺も言ったんだけどな、どうも信憑性がな…ってわけで、先生たちが次もとれるんじゃないかって」


ポリポリと頭をかく先生は困ったように笑うと私を見た。

その顔には、どことなく疲れが見えていた。


「まぁもっともだよね、先生が言うことも」

「次も同じような点数取ったらカンニングじゃないっていう証明にもなるしな」


「がんばれ」と私の肩を叩くかっちを恨めしげに睨んでやる。


「桐生のおかげかー?」

「あ、なるほど!桐生と一緒に勉強したのか!」

「一緒に勉強しただけで学年トップ取れたら、6組は秀才の集まりでしょうが」

「確かに」

「確かにじゃないし」


呆れたと言わんばかりの目をかっちに向けてから、私は自分の席に戻る。

なんとなくだけど、さっきからみんなから見られているような気がする。

気がするっていうか、見られてる。


「別にそんなへこむことないじゃない。学年トップとったんだから胸張ってればいいのよ」

「あんたはそれでいいけどさ」

「なに?陽向だってもともと頭のデキはよかったんだから当然の結果と言えば当然でしょ?」

「頭のデキがいいのは旭だよ」

「そうね、何事に真面目に取り組んでいたのは旭君よね」


……聖さん、すごく人聞きが悪いです。

人を不真面目みたいな言い方やめてください。


「王子様とのことは知らないけどねー。今頃どんな顔してあの成績順位見てんだろうね」


そう言った聖の顔は、自分が抜いたわけじゃないのに、すっごくあくどい顔をしていた。









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