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王子様のからくり  作者: ゆきうさぎ
<第1部>
26/145

25:

「さぁさぁみなさんお待ちかね!今年もやります学園名物☆借り人競争!」


学園名物☆借り人競争。

もうその名の通り、借り人。

人を、借りる。

人って借りるって言わないんじゃね?とかそういう質問は受け付けない。

とりあえず、借りるのだ、人を。


お題にそった人をゴールまで連れて行く。

手をつないで。

はい、ここ大事。

手をつないで、行くんです、ゴールまで。

重要なことなんで2回言いました。


「さぁ、今年はいったい何人がゴールまでランデブーするんでしょうか!」


実況席のお兄さんはテンションをあげてそんなことを言う。

なんて楽しくないランデブーだ。


「好きな人がいる人は告白する大チャンス!相手がいる人は恋人との仲を深めるチャンス!いや、もしかしたら浮気の大チャンスか!」

「…公開処刑ってこういうの言うんだよねー」


聞こえる実況にため息をこぼして呟いてしまう。

この競技が学園名物なんて言われているのは、この人を連れて来るお題がそっち系が多いからだ。

"あなたの好きな人"とか。

"彼氏(彼女)にしたい人"とか。

"憧れの人"とか。

どんだけ学園祭マジック起こしたいんだよ。

まぁとにかくその類が多い。

おそろしく多い。

そして私の隣にいる美人は、まぁ借り出されるわけだ。


「綿貫さん、ごめん、借りられてくれないかな」

「あ、はい!ごめん、陽向私行ってくるね」


さっそくだ。

聖は私の返事を聞かずに、現れた先輩の手を掴んでゴールまで走っていく。

まさしくランデブー。

‥ていうか、話し相手いなくなちゃった。


「綿貫がいなくなって寂しいか?」

「‥出たよ」


1組のお調子者かっち。

相変わらず体操服がよく似合うやつだ。

かっちはさっきまで聖が立っていた場所、つまり私の隣に並んで、グラウンドの方を見た。


「桐生は誰連れていくんだろうな」

「知らないよ、そんなの」


ていうか、なんでそんなことを私に言うの。


「私に決まってるくらい言えよ」

「ワタシニキマッテルヨ」

「棒読み!感情がこもってなさすぎ!」

「だってねー‥」


五十嵐君となんか勝負してるみたいだしー?

ていうか、いったいどうしたら勝ちなんだろうね?


「運営委員に聞いたんだけどさ、あの箱の中さ、8割がそっち系らしいよ」

「‥それってどうなの?」


学園祭マジックの裏側見えちゃったよ。

ていうか運営委員楽しんでるだけでしょ。


「だからさ、桐生が誰を連れて行くか気にならない?」

「ならない。だいたい、桐生が一緒に来てって言ったらだいたいの女の子行くでしょ」

「そりゃそうだけどな。でも彼女としては複雑じゃね?」

「桐生だし仕方ないんじゃなーい」


だいたい私と桐生はそんな仲じゃないし。


「神崎って意外と冷めてんのな」

「そうかな?」

「そうだろ。女ってもっとこうさ‥嫉妬深いっていうか、束縛したがりっていうかさ、」

「それあんたの今までの彼女遍歴でしょ」


ああもう、どうでもいいこと知っちゃった。

かっちの恋愛遍歴とかほんとどうでもいい。


「どうでもいいってひどくね!?」

「うるっさいな。耳元で大きな声出さないでよ」


キーンってなるじゃん、もう。

ただでも声でかいんだから気を付けてほしい。


「でさ、神崎、五十嵐のことどうすんの?」

「…なんで知ってんの、ほんと」

「有名な話だぜ?五十嵐が6組に乗り込んだって。他の学年でも知ってるやつけっこういるし」

「五十嵐君ねー‥可愛い顔してるよね」


あれでサッカーがうまいなんて。

ほんっと、神様は何物与えんのかね。


「お、乗り換えんの?」

「バカ言わないでよ。私もともとイケメンには興味ないの」

「ほえー、学校1のイケメンと付き合っといてよく言うよ」

「うっさいな。あれは成り行きでああなったんだから放っといてよ」

「ふぅん?じゃあ五十嵐のことはフるの?」

「‥そう、なるんじゃない?もし今桐生とこうなってなかったとしても、多分ふってたと思うし」


それが結論だと、やっぱり思う。

どれだけ悩んだところで、きっと私はその答えしか出さなかったと思う。


「もったいねぇ。五十嵐だって優良物件なのに」

「なに、欲しいならあげるわよ」

「いらねーよ。俺男には興味ないし」

「あるって言ったら私あんたの隣いない」

「えぇ!?それはひどくね!?差別だよ、神崎」

「日本人ってそういうアブノーマルなもの好まないから」

「ちょ、人類みんな友達だろ!?」

「やだ、やめてよ。私とあんたが友達みたいじゃない」

「友達じゃん!」

「一方通行だって知らなかったの」

「ちょ、リアルに傷付く!」


かっちは「ブロークンハートだぁ!」と言って、1人で楽しそうだ。

それを見ながら、ヒートアップしてる実況に耳を傾ける。

次の走者の名前が呼ばれる。


「さぁー、みなさんお待たせしました!次の走者はこの学校が誇る難攻不落の王子様、桐生君!そしてそしてそのお隣には!」


学校の実況中継ってこんなんだったけ?

あれか?

桐生が出るから特別仕様になってんのか?


「サッカー界のサラブレッド!甘いマスクでお姉さま方をメロメロにしてる五十嵐君だー!」


そこまで言い切ったあと、周りから女子の黄色い声が聞こえてきた。

そして応援席の前を女子が陣取っている。


「あの2人、一緒に走るんだ」

「こりゃあ今年の借り人も荒れそうだな」


全くだ。

ほんとにもう、なんで今日雨降らなかったんだろ。










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