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ちょっと短めです(>_<)
ここ数日、体育祭とか雨降っちゃえばいいのにって思ってた。
だって面倒だし。
300mも全力疾走したくないし。
で、天気予報を睨むように見てみれば、体育祭予定日は過ごしやすい秋晴れ。
ふざけんな。
と、思って呪詛を唱えるかのようにてるてる坊主を作ってたら。
体育祭の前々日に降りましたとも。
雨。
それも、どしゃ降り。
「いやこれは願ってない」
そうだ、願ってない。
別にどしゃ降りだろうが、降ってくれるにこしたことはないが、日が違う。
降ってほしかったのは明後日であって、今日じゃない。
…この場合って、てるてる坊主の首ちょん切るべきなのかな。
「なに一人で空なんか見上げてんのよ」
下校時刻を過ぎた校舎に響いたのは、私の幼馴染の声。
どうやら今が帰りらしい。
相変わらず、聖が所属している茶道部は部活時間と帰宅時間が謎だ。
「いや、どしゃ降りだなーと思って」
「ほんとにね。誰かさんがてるてる坊主なんか作るからじゃないの」
「ちょ、人がてるてる坊主作ったみたいに言わないでよ」
作ったけども!
部屋の窓に5体ほど逆さ向けてつってあるけども!
「あんたなら作りかねないと思ったんだけど。じゃあこの雨はなにかしらね。陽向、雨降らすようなことしたの?」
「ちょいまて。なんで私がなにかした前提で話するの」
「だってそれくらいしか理由ないじゃない」
ふぅ、と落ち着いたため息をこぼされるが、それがまた余計にムカついたりする。
「あのね、」
「あ、私今日塾だから行かなきゃ。また明日ね」
「ちょ、聖、」
淡い水色の傘をさした聖は、ザーザーと降る雨の中へと入っていった。
すでに暗い外では、聖の背中が見えなくなるのは早かった。
「旭がいればなー‥」
一緒に傘さして帰れたのに。
いや、天気予報じゃ今日の午後からは豪雨だって言ってたんだけどね。
バカみたいに反抗して持ってこなかったんだよね。
朝の私、ミスったな。
「あ、あの‥!」
ぼーっと、下駄箱のそばから降りやまない雨を見上げていたら、ふいに声がかけられた。
近くで聞こえたような気がするけど、多分私じゃないだろうなと思って、とりあえず空を見続ける。
「か、神崎、先輩!」
「え、私?」
いきなり呼ばれた名前に驚いてそっちを見れば、知らない男子生徒が立っていた。
私に先輩とつけるんだから、1年生なんだろう。
背は私より10㎝高いかなってくらいで、王子様ほどじゃないけど、整った顔立ちをしてる。
なんていうか、ベビーフェイスだ。
これは、3年生のお姉さま方にモテそうだなってのが、第一印象。
「神崎先輩ですよね、2年の」
「あ、うん、そうだけど…えっとごめん、誰かな」
生憎、年下の子たちのことは、弓道部の後輩以外あまり知らない。
「あ、急にすいません。俺、五十嵐玲央っていいます」
「五十嵐君ね」
「はい」
そういえば、クラスの女の子が夏前に、サッカー部にめちゃくちゃうまくてイケメンな1年がいるって騒いでたような気がする。
その子の名前が確か五十嵐だったような。
「サッカー部だったりする?」
「知ってるんすか!?」
「いや、前にクラスの女子が騒いでたの聞いてたから」
確かにこの容姿でサッカーがうまかったら、そりゃあ騒がれるわな。
納得、納得。
納得ついでに疑問。
そんな彼が私に何の用だ。
「神崎先輩、」
「はい?」
「‥ずっと好きでした」
「…………え?」
やば、告白とか久しぶりすぎて一瞬頭の中真っ白になっちゃったじゃない。
ていうかなぜ今なんだ。
もっと前とか、もっと後とか…今じゃなくてもよかったじゃない。
「先輩が桐生先輩と付き合ってるってのはわかってます。けど‥俺、諦められねぇっていうか、納得できねぇっていうか、」
五十嵐君の声がだんだん尻すぼみになっていく。
いやぁ、まぁ、そうだよねー。
私と桐生って、ほんっとまったくって言っていいほど接点なかったもんねー。
それが急に付き合ってますって…ねぇ?
しかも相手があの難攻不落で名高い王子様。
詐欺かって疑いたくなっちゃうよね。
「俺‥先輩が好きです!」
真っ直ぐこっちを見て言われると、どう返していいか困る。
私と桐生は、付き合ってることになってる。
でも、好きあってるわけじゃない。
桐生は告白されても、女の子をふってる。
でもそれは、別にいつもと何も変わらないこと。
私がいてもいなくても、きっとあいつは同じ結果を出している。
だったら。
だったら、私は?
…私は、どうしたらいい?




