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王子様のからくり  作者: ゆきうさぎ
<第1部>
20/145

19:

「席着けー。HR始めんぞー」


ガラガラと教室の扉を開けて入ってきたのは、このクラスの担任、西ヶ谷龍之介先生。

名前、超かっこいいでしょ。

西ヶ谷っていう苗字もさることながら、龍之介って。

しかも名前に劣らずの渋めなイケメン。

あれだけイケメン滅べとか言ってたけど、このイケメンおもっきしタイプ(笑)

だってさ、身長180㎝オーバーで、顔は小さくて、すらっとした細身で、ガサツなんだけど面倒見はよくて、で、若干の俺様。

最後のが一番重要。

もう先生に会えるってだけで、毎日学校に来る原動力になる。


ちなみに担当教科は社会全般。

でも先生が大学で専攻してたのは政治・経済だって言ってた。

社会ならなんでもこいらしい。


「季節外れの体育祭について決めるから、実行委員頼むわ」


くわ、と大きなあくびをした先生はそう言って窓に背を預ける。

ていうか、季節は外れてないけどね。

まだぎりぎり秋だし。

まぁ10月に全然入っちゃってて体育祭シーズンはとうに過ぎちゃってはいるんだけど。


「とりあえず、1人1種目はでなきゃだめだから、みんな1つは挙手してね」


という実行委員の言葉にみんなは小学生のごとく、伸びた返事をする。

めんどくさいなーと内心で思いながら、黒板に書かれた体育祭の種目をじっと見つめる。

…無難に障害物競争とかに出とけばいいかな。

騎馬戦とか怪我しかしないし。


「あ、そういえば、今年から選抜スウェーデンリレーが追加されたみたいだよ」


にこやかに言う実行委員の言葉に、クラス全員の目が点になる。

スウェーデンリレーってあれだよね?

全員で1000m走るやつだよね?

え、選抜リレーがあれば十分じゃないの。


「よっしゃ、俺出るー!」

「かっち、足そこそこにしか速くないじゃん」

「はぁ!?俺の俊足なめんなよ」


ガッツポーズ付きでスウェーデンリレーの出場を申し出たかっちを、聖がにやにやしながら乏しめる。


「これね、100mと300mは女子が走ることになってるの」

「てーことは、200と400は男子が走るわけ?」

「そういうことー。かっち走ってもいいけど、走るなら200ね」

「俺アンカーのがいいんだけど」

「目立ちたがり」

「おいこら綿貫。お前俺に恨みでもあんのか」


かっちの言葉をことごとく乏していく聖に、いつものことながらかっちは噛みつく。

‥口で聖に敵うわけないのにねー、ほんと。

聖に口で勝てる人って、多分旭と王子様くらいなんじゃないかなー。


「女子は誰が出るの?」


噛みついてきたかっちを華麗にスルーした聖は、実行委員にそう聞いた。

このクラスの女子は一部を除いてだけど、お世辞にも足が速い子は少ない。

ていうか、理系女子の悲しい現実ってところだ。

なんで理系の女の子って、運動音痴の子多いんだろう。


「うーん‥運動部の子には選抜の100mとリレーに出てもらおうと思ってるから、」


そりゃあそうだ。

貴重な得点源。


「だからスウェーデンのほうは秘密兵器かつ最終兵器を出そうと思うんだけど」

「「「おお!!」」


秘密兵器と最終兵器ってなにが違うんだろう。

どっちも同じもんじゃないのかな。


「してその1組の最終兵器とは!?」


ノリがよすぎるかっちは、自分の拳をマイクに見立てて、実行委員の女の子のほうに向ける。

ほんっとにお調子者だ。

拳を向けられた女の子も、かけていたメガネのブリッジをあげて間を置いて答える。

…このクラスの人って基本的にノリいいよね。


「このクラスの秘密兵器であり最終兵器は…神崎陽向、あなたよ!」

「なんでやねん」

「出た、ノリつっこみ」

「私関西人じゃねぇーし」

「神崎さん、体育の100走、あなただけタイムがずば抜けて速かったの覚えてるわよ」

「なんでそんなの覚えてんの、」


自信満々にそう言われて、私は内心でため息をつく。


「神崎って足速かったんだ?」

「あんたと変わんないんじゃない?」

「綿貫、だからお前は俺に恨みでもあんのか!?」

「かっちうるさい」


かっちの言葉をうるさいという一言で一蹴した聖は満足げな笑みを浮かべる。

それはそれは綺麗で、女神にも見えるんだけど、なんだろう。

隣でかっちがすっごい沈んでるからかな。

女神みたいな笑顔が悪魔に見える。


「神崎さん、出てくれない?」

「えーっと‥」


ていうかなんで私?

男子が追い上げてくれるんだから、そこそこ走れる女子がテキトーに走ればよくない?

って、ああそうか、このクラス運動音痴の女子ばっかだった。

で、私って今自分で言ったそこそこ走れる女子ってやつ?

え、やだやだ、走りたくない。

しんどいしむりむり。


脳内会議の結果、否決!


「いや、ちょっと私はー‥」

「お願い!神崎さんくらいしかいないんだって!」

「といわれても‥」


ねぇ?

脳内会議じゃあ否決って出ちゃったし。


「いいじゃん、出ればいいじゃん。選抜の次に花形じゃん、スウェーデンリレーなら」

「全員があんたと同じ目立ちたがり屋だと思うな、バカ」

「神崎も俺へのあたりきつくね?」

「自業自得でしょ」

「綿貫!?」

「いいじゃない、出れば。その宝の持ち腐れとしか言えない運動神経、たまには人のために使いなさいよ」

「‥あんた自分は関係ないからって、簡単に言わないでくれる」


だいたい持ち腐れてないし。

弓道でちゃんと使ってるし。







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