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王子様のからくり  作者: ゆきうさぎ
<第1部>
19/145

18:

「昼も夕方も片岡先輩。俺に彼女できた説を聞いて焦って来たみたいだな」

「2回も?」

「そう、2回も。取り巻きまで連れて来るからイラッとしたんだよな」


取り巻きって。

確かに片岡先輩の周りにはいつも、信者のような女の先輩たちが数人囲んでるけど。


「綾乃はこんなにいい女なのーって。自分の娘を売る西洋貴族みたいだった」

「その喩え方もどうなのよ」


先輩をどこぞの西洋貴族って。

‥いや、ある意味褒められてるのか?


「片岡先輩なんて、あんたには勿体ないくらいだと思うけどね」

「そーかぁ?」


そうでしょ!

美人だし、品行方正で、頭もよくて、誰にでも優しくて。

一部の男子からは女神だとか天使だとか言われて、崇められてるんだから。


「お前さ、俺の時はあんなに疑い深かったのに、なんで片岡先輩の噂は簡単に信じるわけ」

「は?別にあんたのときだって疑ってはなかったよ。まぁ胡散臭い男だなーくらいには思ってたと思うけど」

「同じだろうが」

「まぁ片岡先輩に胡散臭さがないわけじゃないけどねー。正直、関わるつもりないから興味ない」

「冷めてんなー」


だってあんな人と関わったらいいことないと思うんだよね。

実際、似たような人と関わりを持った途端、今これだし。

人に多大な影響を及ぼす人は、もう少し身の振り方を覚えるべきだよ。


「でもすごいねー。1回フラれたのに、その日の放課後にもう1回告白するとか」


勇気あるわー。

私なら絶対無理。

だってほんの数時間前にフラれた相手だよ?

なに、数時間たてば考えも改まって付き合ってくれるかもとか?

なにそれ頭おめでたーい。


「なんでも気に入らないそうな」

「なにが」

「先輩がダメでお前がいいのか」

「ほー‥」


それはあれか。

なんでブサイクなお前が学校の王子様と付き合えて、学校1の美人の私が相手にもされないんだっていうやつですかい。

なんかドロドロしてきたし、なんか予期せぬ方向に話が進んじゃってるような気がする。


「も・ち・ろ・ん、人格者とか言われるんだから、ちゃんと綺麗な言葉並べて話つけてきたんだよね?」

「あー‥どうだったかな。俺あの時最高潮に機嫌悪かったから」

「は?」

「もしかしたら投げちゃったかも」

「はい!?」

「ごめんね☆」


ごめんね☆、じゃねぇし!

ウインク付きで言われたって、ミジンコほどもときめかないんだよ!

そんなことしてる暇あったら今からでも話してこいやぁ!


「‥あんたってやつは、」

「だーいじょうぶだって」

「なにが!?ていうかその自信どっから来るの!?」

「自信って常にあるもんでしょ?」

「自信過剰って言葉知ってる?有無惚れって言葉知らない?」


なんなの、こいつ。

なんでこんなに自信満々でいられんの!?

ていうかなんのそもそも何の自信。


「片岡先輩は裏でネチネチやるのは好きじゃないから」

「だから?」

「なんか行動起こすにしても、真正面から来るタイプだから問題ないよ」

「いやあるから」

「問題は先輩の取り巻きとか、王子様の盲目的信者の方だろ」


うん、サラッと私の言葉、無視されたよね。

確かに言ってることは間違いないんだけどね。

王子様の信者の中にはかなり過激な子もいるみたいだから。


「最近呼び出しとかあった?」

「いや?まだないかなー」

「そっか」

「意外とその辺気にしてくれてんだね」

「彼女がいじめられてるのに、何もしないでくの坊だなんて言われたくないからな」

「結局は自分のためかい」

「俺が人のために動くわけないだろー」


カラカラと乾いた笑い声を出す王子様をちらりと盗み見ると、どことなく寂しそうな顔をしていた。

そんな気がした。


「で?自分のために何してくれるわけ?」

「んー?とりあえず助けてやる」

「ほー。簡単に言ってくれるなぁ」


女の子のいじめは誰にも見られずに、かつ精神的ダメージを食らわせるように、水面下でやられるんだからな。

男子のいじめと一緒にするなよ。


「ま、お前そんなやわな女じゃなさそうだし、大丈夫だと思ってるけど」

「悪かったわね、やわじゃなくて」


旭と一緒にいるだけで散々いじめられてきたから、そういうのは慣れっこだい。

あんまり自慢げに言えることじゃないけど。


「まぁなんかあったら言えよ」

「何にもないことを願うけどね」

「俺が助けてやる」

「はいはい。期待はしないでおくけど」


なにが助けてやるだ。

そんなセリフのその辺で言ってるから、女の子たちは勘違いするんじゃない。


「じゃあまた明日な」


家の前でそう言った王子様は来た道を帰っていく。

その後ろ姿を見ていた私の口からはため息がこぼれた。

王子様に送られるようになって、いつからか王子様は去り際にいつもあの言葉を言う。

魅惑の笑顔付きで。

ほんっと、心臓に悪い。


「…もう、」


不覚にもときめいてしまったのは、タラシの王子様が悪いんだ。








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