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王子様のからくり  作者: ゆきうさぎ
<第1部>
15/145

14:

コンビニでたっぷりつまみを買って店を出る。

店員さんにすっごい怪しい目で見られたけど、お酒を買ってるわけじゃないから問題はなし。

まぁちょっとムカついたけど。


「やっぱ寒い日はココアに限るよねー」

「それお前だけだろ」

「とか言って旭だってココア飲んでるじゃん」

「陽向がかごにココア2本いれたんだろ」

「あれそうだったっけ?」


テヘ、と舌を出すと、旭に盛大なため息をつかれた。

日和にもらったお金でホットココアを2本買って飲んでコンビニの前でまったりしていたとき。

目に入ったのは、コンビニの前にあるわりと大きな公園。

昼間はよく小さな子供たちや小学生が遊んでいるのを見かける。

そんな公園に、複数の人影が見えた。


「…幽霊?」

「なわけあるか、バカ」

「ですよねー」


人ですよねー。

幽霊にしては複数すぎますよねー。

安心したような、そうでないような。

とりあえず、私の危険信号は鳴り響いてるから近付かないに越したことはない。

うん、スルー。

即行で帰宅しよう。

私は何も見なかった…なにも見なかった!

と、思う私とは裏腹に、旭は見える位置まで足を動かす。


「あれ北高じゃね?」

「北高ってわかってて公園の方に歩いて行くってどういう神経してんの」


北高は不良の集まりだからって言って、真っ先に高校進学の時に進路から消したの誰よ。

特に今の北高は大荒れらしい。

毎日、違う人が警察沙汰を起こしてくれるらしい。

先生たち毎日飽きないね。


「‥1人、北高じゃねぇやつがいるな」

「静観してないで帰ろうよー」


ていうかなんで静観なんてしてんの、こいつ。

なにその野次馬根性。

マジいらない。


「陽向さき帰ってなよ」

「女の子をこんな夜中に1人で帰らすって、それもどういう神経してんの」


あの王子様ですらそんなことしないぞ。

まだ子供が遊ぶ時間なのにきっちり家まで送ってくれたし。


「お前女じゃないだろ」

「旭にとってはな。世間一般には女なのよ、残念ながら」

「…残念だな」

「…本気で残念がるのやめてくれない」


何に残念がってるのか知らないけどさ。

なんか無性にムカつくし殴りたくなる。


「へぇ…綺麗な顔してんのになー…人ってわかんねぇの」

「何その感想」


旭はぼーっと立ちながら公園で行われている喧嘩を見てそんな言葉を発した。

ほんと、無駄に目だけいいんだから。


「あいつ強ぇな。北高の奴らほとんど1人で片付けちゃうんじゃないの」

「じゃあもう帰ろうよ」

「あ、ちょい待ち。なんかラスボスみたいなやつ出てきた」

「は?」


ラスボス?

喧嘩にラスボスとかそんなどこぞのゲーム的要素あったの?

そんな私の疑問がわかったのか、旭は「ほら」と言って、私を見える位置に引っ張った。

今まで見えていなかった喧嘩の光景が目に入る。

確かに、ラスボスみたいな人がフードをかぶった男の人と対峙していた。


「フードかぶったほう、けっこうイケメンだぜ?」

「‥興味ない」

「陽向ってイケメン嫌いだよな」

「…誰のせい」

「日和」


…あんたも入ってるよ。

ていうか、どっちかっていうと日和より旭の方が割合的に多いってば。

なんて、旭と言い合いをしているうちに公園では2人の喧嘩が始まっていた。

バキッとか、グキッとか、普段あまり聞くことのない音が耳に届く。

どっちが強いとか、よくわからなかったけど、フードをかぶった人の方が、優勢なんだなっていうのはわかった。

動きが、すごくしなやかだったから。


「喧嘩慣れしてるねー、あいつ」

「‥冷静に分析してるね」

「男子校にいてりゃあ喧嘩も起こるってもんだろ」

「そういやあんた風紀だとか言ってたっけ」

「まぁな」


バスケ部の癖に風紀委員に入ってるとか矛盾しか感じられないんだけどね。

だいたい旭自身が風紀乱してるって話だし。

目を離している間にまた、鈍い音が聞こえた。

喧嘩に視線を戻すと、ちょうどフードをかぶったお兄さんが蹴りを避けている時だった。

ふわりと、簡単に避けたけど、お兄さんのフードははらりととれてしまった。

見えたのは、端正な顔立ちだった。

それはそれは王子様のような、女子を虜にする甘いマスクの持ち主。


「う、そ‥」


フードの下にあった顔は、今日やたらと見た、きれいな顔。

私が通う学校で、王子様と言われる、彼。

そこにいたのは、桐生澪、その人だった。

桐生を認識した私は何とも言えない脱力感を感じた。


「どうした、陽向。結果も見えそうだし、うちの生徒じゃないみたいだからそろそろ帰るぞ」


数メートル先を歩き出していた旭はそう声をかける。

が、私はそれどころじゃない。


「‥どうしてくれんのよ、」


ああもう、やっぱり1人だろうがなんだろうが帰るべきだった。

高校生の喧嘩なんて見るもんじゃなかった。


「陽向ー?」

「…バカ旭」

「は?」

「ほんと、どうしてくれんの」

「いや何が」


厄介ごとがまた増えたじゃないの。

なんてタイミング。

なんてタイミングで喧嘩なんてしてくれてんだ、うちのエセ王子は。

ほんと胃に穴開きそう。

どうやって消化しろって言うの。




ああもう、神様もいじわるすぎる。









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