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王子様のからくり  作者: ゆきうさぎ
<第1部>
12/145

11:

「はぁ…どうすんのよ」


昼休みを終えて、5限目が終わった休み時間。

5限の内容だった数学の教科書を睨みつけながらため息をこぼす。

さっきからチクチクと周りからの、主に女子からの、視線が刺さる。

そろそろ穴開くんじゃないだろうか。


「胃にも穴開きそう」

「穴開いたことないくせに何言ってんのよ」

「いや、穴が開きそうなくらいストレス感じてるよ、私」


もう女子からの視線がほんっとうに刺さるんだって。

痛いよ、痛い。


「ていうか、どういう関係よ」


王子様と。と付け足した聖の目はおもちゃを見つけた子供のように嬉々としている。

聖の言葉に、私の顔はわかりやすいくらい引きつる。

ポーカーフェイスってやつを覚えた方がいいかもしれない。


「別に、」

「この前も呼び出されてたじゃない」

「…もとはといえばあれがことの発端よね」


タイムマシンがあれば戻るのにね。

王子様の弱みを握っちゃったあの日に。

ああもう、切実にドラえもんほしい。


「しかも生徒手帳ってさっき言ってたしね」

「‥うっ」


…目敏い。


「落としたとか何とか言ってたもんね?それを王子様が拾ってくれたんでしょ?で、それをこの前の呼び出しで返してもらったと。でもね、よくよく考えてみればさ、わざわざ呼び出さなくてもいいんじゃない?」

「そーですね」

「じゃあなんで呼び出したのかな」

「…王子様の言う秘密の共有ってやつです」

「ふぅん?秘密の共有ね?それってどんな秘密?」

「ばらしちゃえば秘密じゃないよね」


ていうか、これをばらしちゃったら、私の身がいろいろとまずいと思うんだよね。

どうするとか言われてないけどさ、身の危険をヒシヒシと感じるわけよ。


「ま、なんでもいいけどさ。あんた付き合ってるってことになってるけど」

「はっ?」


なんじゃそれ。

付き合ってるってなんだ。

ただ呼び出されただけじゃないか。

どこをどうとれば、付き合ってるなんていう発想になるんだ。


「噂になってるよ?」

「なんで!?」

「なんでって。あの美人で有名な片岡先輩の誘いにも全くって言って程靡かなかった王子様が、自分からお呼び出しなんて。ありえないでしょ?」

「それがなんで=付き合うになるのよ」


話が飛躍しすぎじゃない。


「え、ていうか3年の片岡先輩って王子様ねらいだったの?」


片岡先輩、フルネームで片岡綾乃(かたおかあやの)先輩。

3年の中で、いやもしかしたらこの学校で1番美人かもしれない人。

気品があって、白百合みたいで、凛とした鈴みたいな人。


「知らなかったの?何回か誘ってるみたいだけどことごとくフラれてるって噂だよ」

「うへー‥王子様って何者」

「王子でしょ」

「‥その返答、あってるようであってないよね、」


王子様っぽいってだけで、本物の王子様じゃないからね、彼。

まぁエセだけどね。


「よかったね、そんなすっごい人と付き合えてるなんて」

「嬉しくない」

「誰もが羨む、あの王子様だよ?」

「いつでもかわったげるよ」

「私は旭君一筋だもの」


…それもどうかと思うけどね。

ぼーっと旭のことを考えている聖を見て、思わずため息がこぼれてしまった。


「難攻不落の王子様も陽向には敵わなかったか」

「だ・か・ら、付き合ってない!」

「まぁまぁ。あんたがどう言おうと周りはそうだって思ってるから。しばらくは楽しんだら?」

「なにを楽しめってのよ」

「うーん‥女子からの呼び出し?」

「…明らかに楽しむ的な要素ないよね、」


ていうか、やっぱり王子様の盲目的信者からの呼び出しってあるんだ。

やだなー、めんどくさい。


「でもさ、王子様ってよくわかんないよね」

「よくわかんないって?」

「今まで美人も可愛い子も相手にしてこなかったのにさ、いきなり何の前触れもなくあんたと付き合いましたって。裏があるとしか思えない」


いや、裏があるんです。

裏があるから、今こういうことになってるんです。

なんもおかしいとこないです。

だから、そんな探偵みたいなことして、人の粗探すのやめてちょーだい。

寿命縮む。


「こりゃ本当に春が来たか?」

「なわけないでしょ」


ていうかあってたまるか、そんなもん。


「私は平々凡々な人が理想なの!」

「…またそれ言ってるし。どうせ付き合うなら顔もいいほうがいいじゃない」

「顔がいいやつにろくな奴はいない」


日和とか旭とか王子様とか。

王子様なんて性格歪みまくってるじゃない。


「あんた自分の顔と周りの人間見てからいいなさいよ」


あ、聖も顔が良い人だった。

やっば、忘れてた。

え、でも、


「間違ってないよね」

「私の顔見ながら言わないでくれるー?」

「そうそう、そのブラックな笑顔が怖いんだよねー」


性格悪いって自分で言ってるよ、それ。

綺麗な笑顔の裏って本当に怖いよねー、王子様然り、聖然り。


「イケメンとか滅べばいいのにね」

「イケメンは目の保養よ」

「世の中が平々凡々の人ばっかりだったら平和だったのにね」

「そんな平和いらないわー‥」


特に王子様とかね。

人を脅してなにが王子様だっての。

ほんっといい死に方しないぞ。






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