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光と夜刀と地縛霊③

*****


 私が目を開けると…そこは、真澄さんの実家の客間だった。


私の手を握りしめたまま…真澄さんも眠ってしまったようで……目が覚めるとすぐ横に顔があったので、少し驚いてしまった。


丁度様子を見に来た師匠が、すぐに気付いて体を起こしてくれた。


「大丈夫ですか? あれだけの力を使った後ですからね。無理はしないで下さいね」


真澄さんも目を覚ますと、私をギュッと抱きしめてくれていた。


「お姫様がお目覚めですね。良かった。このまま眠り姫になってしまったら、僕が兄さんたちに殺されそうだったからね」


クスクスと意地悪く笑いながら、夜刀は憎ったらしい顔をして真澄さんに言った。


そう言えば教えてもらわなくては……。


夜刀が、何故……二人を兄さんと呼ぶのか…


「夜刀は、何故? 師匠と真澄さんを兄さんって?」


私が問いかけると、師匠が頷いている。


「そうですね。これは、光さんにも話しておかなくてはいけないことでしたね。……夜刀は、私たちの腹違いの弟なんです。22年前……夜刀を産んですぐに夜刀の母親は亡くなりました。そして、父が三歳になった夜刀を引き取り…私たちと一緒に暮らしていたんですが、15年前に父と祖父が力に奢り、欲に囚われてしまった為に……母は危険を感じて、私たち二人を連れて屋敷を出たんです。夜刀のことは、父の元へ置き去りにして……」


師匠は、深くため息を吐いてから…話を続けた。


*****


「それから、私たちは、父や祖父から身を潜めて影の力に対抗する力を母の元で修行を重ね…父と祖父に巣食う政治家や、この国の権力者の企みを阻止して来たんです。私たちは、夜刀もきっと父や祖父と同じように悪霊たちに囚われてしまったものだと…確かめもせずに諦めてしまっていたんです。だから、光さんに近付いて来たのは……光さんを幽閉するか殺すためだと私たちが勝手に誤解したために…あんなことになってしまったんです」


 すると……夜刀が師匠の後に続いて話し出した。


「僕のことをずっと守っていてくれたのは、光の祖母さんなんだ…僕の母さんは、光の母さんの妹なんだ。光の母さんは、光の力を受け継がなかったらしい。僕の母さんが力を受け継いだんだけど…その力も弱くて、身体も弱かったそうなんだ。だから、僕は影の力を強く受け継いだ。…そして、何故か光が光の力をとても強く受け継いだんだ。……それから、夜刀って名前はね…祖母さんがつけてくれた名前なんだ」


夜刀は少し寂しそうに笑いながら…更に続けた。


「祖母さんは、飼っていた黒猫にも僕の名前を付けていたんだ。僕に会えなくなって寂しかったからだって祖母さんは言って笑ってた。どうしても僕のことが心残りだった祖母さんは、死んでからずっと僕の側にいて悪霊たちから僕を守っていてくれていたんだ。20歳になるまでずっとね。…そして、僕が20歳になった時に光の力のことや光の存在を話してくれたんだ」


夜刀は真剣な目で私を見つめて微笑すると……。


「僕は、光の従弟なんだ…そして、真澄と龍安は僕の兄さんなんだ。驚いたかい?」


私と真澄さんの顔を見比べながら、夜刀はククククッと声を漏らして笑っていた。


「そして…僕の兄さんと結婚する光は、僕の義姉さんになるわけなんだ」


そう言って夜刀は、また意地の悪い顔をして笑った。


****



 数日後になって…私は、あることに気付いた。夢の中に出て来た夜刀は、黒猫の夜刀だったのかもしれない。あの日から、夢の中に夜刀は現れなくなってしまったけど……お祖母ちゃんが、私と夜刀の為に黒猫の夜刀を寄越してくれたに違いない。夜刀は、何も言わなかったけどきっとそうなんだと……私は確信していた。


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