光と夜刀と地縛霊①
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彼の話によると……影の力は、もともと闇に住む者たちを押さえ込むための力だったらしい。それが、いつの間にか私利私欲に惑わされた一族に悪用されるようになり…光の力を持つ者を遠ざけ酷い時には殺したこともあったらしい。
彼は……そんな一族に愛想を尽かしていたが、一番力を持っていたのが彼の父と祖父だったから、今まで逆らうことが出来なかったらしい。
悪に手を染めていく父と祖父を何とかしなければと、光の力を持つ一族を彼は密かに探していて彼は私を見つけた。
「僕と光の力で……父さんと爺さんの力を封じ込めないと、この世界は大変なことになる。あの二人は、闇の悪霊に取り憑かれて人としての感情が無くなっているんだ。早く何とかしないと間に合わなくなる!」
彼は、結界を解くと…私に協力することを求めていた。
「僕と一緒に来て光! 二人一緒なら出来るんだ。影の力と光の力を二つ合わせればきっと…あの悪霊を消し去ることが出来る!」
私を見つめる彼の目は、真剣だった。
「本当に二人で大丈夫かな? 私に出来るかどうか凄く不安やし…凄く怖い」
私は、彼にそう言って……その場にしゃがみ込んでしまった。
「今まで、この力を抑えることばっかりで…すべて解放なんてしたことが無いから、その後どうなるのかもわからんし…怖いねん。もしかしたら、夜刀まで消えてしまうかも…そんなん嫌や!」
不安と恐怖で涙が出て来てしまった。
情けないけど……いつも師匠や真澄さんに助けてもらっていたから、凄く不安で仕方がない。
すると……彼は、ギュッと私の両手を握りしめていた。
「僕のことは、気にしないで大丈夫。あの二人に入り込んだ悪霊が、この世を闇に変えてしまう前に…僕たちで何とかしないと駄目なんだ! それに頼もしい助っ人も呼んであるから、光は心配しないで!」
そう言いながら、彼は私の手を引っ張って体を起こした。
「時間が無いんだよ! お願いだから僕を信じて欲しい!」
私は、そう叫んだ彼の真剣な目を見て頷いた。
そして、表に停めてあった車に一緒に乗り込んで彼の祖父の屋敷へ向かった。
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車の中で、完全に結界を解かれた私の力は、彼の影響を受けてなのか? 自分では抑えきれないほど大きくなっていて、身体が白い光に包まれていた。
車のまわりには、地縛霊たちが数え切れない位集まって来てうようよいる。
「こんなに沢山……地縛霊が集まって来てるけど大丈夫?」
私は不安になって彼に聞いた。
「この地縛霊たちに手伝わせて悪霊は地獄へ…父と祖父は、向こう側へ連れて行ってもらうんだ!」
そう言って彼は、車のアクセルを踏んでスピードを上げていた。
私は、後ろが気になって振り返って見たら地縛霊たちと…見覚えのある白い車が後ろを走っていた。
「真澄さん? あれは、真澄さん?」
「ほら、頼もしい助っ人が現れただろ? 悪いけど彼らにも手伝ってもらうよ」
驚いている私を夜刀は笑って…優しく頭をポンポンと軽く叩いていた。
屋敷のすぐ側で車を停めて、彼と私は車を降りた。彼の力のお陰で地縛霊たちが、少し離れた所にいるので何とも無かった。
車からは、真澄さんと師匠が降りて来て……すぐに私に駆け寄っていた。私は、真澄さんの顔を見たらホッとして……また、涙が出て来てしまった。




