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恋愛恐怖症①

******


 無事に宮田君のお母さんの魂も…元の身体に戻ることが出来た。


順子に呼ばれて戻ってきた宮田君は、泣きながら兄弟で抱き合っていた。


私は、順子を病院へ残して…師匠と一緒にお焚きあげを済まして彼女も無事に向こう側へ行くことが出来た。


師匠は呆れて苦笑しながらも、これが私の役割なのかもしれないと言って許してくれた。


****


 家に帰って、携帯を見ると…母からメールが届いていたので簡単に今日あったことを報告しておいた。


そして、夢の中で夜刀がホッとした顔で言った。


「真澄から貰った清めの塩を使ったのは、良い判断だったね。彼女は、もう少しで悪霊に取り込まれる所だったから…龍安のものではあそこまで戻せなかったかもしれない。…僕も実は、真澄が力を込めて作ったんだよ……光には秘密だって真澄は龍安に言っていたけどね」


夜刀は微笑んで私の顔を覗き込んでいた。


「光は真澄にとって特別らしいからね。光を守るためならなんでもするって言っていたし」

「夜刀が師匠が作ったんじゃ無いのは知ってた。真澄さんの力を少し夜刀から感じてたしね」


顔を見られたくなくて私はクルッと夜刀に背を向けて言った。


「でも今は好きとか嫌いとか色恋絡みで悩みたくない」

「きっと真澄は光のそういう所が好きなのかもしれないね」


私が照れながら言うと、夜刀はクスクス意地悪く笑っていた。


****


 その日から1ヶ月が何事もなく過ぎていた。


朝礼の後、順子が幸せいっぱいの顔で近況を話していた。


「あの時は本当にありがとう、あれから優さんとお義兄さん夫婦と改めてご飯食べに行って、お義兄さんに早く結婚しろって言われてお義母さんが回復したら結婚しようって優さんにプロポーズされちゃった」


順子は満面の笑みを浮かべて、プロポーズされたことを思い返しているようだった。


今日の順子は、きっと仕事にならないんだろうなと私は覚悟していたけど……幸いにもその逆やったみたいで、順子はいつもよりも仕事に身が入って仕事が思っていたよりも早く片付いたので、定時に帰ることが出来そうだった。


*****


 仕事を終えて、私が帰る用意をしていたら順子が単刀直入に真澄さんのことを聞いて来た。


「光は本当に…真澄さんのことを好きとかって気持ちは無いの?」

「出来ればそういうことを……今は、真面目に考えたくないねん」


 私が困り顔で苦笑しながら、順子に言うと心配そうに自分の顎に手を当てて考え込んでいた。


「それって恋愛恐怖症って奴? 光ってやっぱり引きずってるやろ? 中学の先輩のこととか、高校のあの同級生のことも…」


 確かに……中学の頃も高校の時も、今よりは恋愛に対しては前向きだった。


でも、初めて付き合った先輩も高校で付き合った同級生も……私に生きていないものが見えることを知ると、気味悪がって離れていった。


「真澄さんはあの二人とは全然違うし、光のことを全部判ってて好きでいてくれてるんやから、そろそろ真面目に考えても良いと思うけどな……」


 順子は、真剣な顔をして私の背中をポンポンと叩いて言った。


 一階のロビーへ行くと宮田くんが順子を待っていた。今日も病院へ一緒に行くらしい。


ラブラブな二人を見送って、私は一人で駅へ向かって歩いていた。


「真澄さんは私には……もったいない人やからね」


私は、本音をふと…口に出してしまった。


 真澄さんは、男にしておくのが勿体無い程の超美形で……しかも、スタイルも凄く良いし性格も男らしくて優しくて大人だしどこにも欠点なんて見当たらなかった。


そんな人に……ギュッとハグされたら、正直に言うと…いつも心臓が飛び出すんじゃないかと思う位ドキドキしている。


真澄さんだって……そんな私の気持ちに気付いているはず、あまりにも好き好き言われ続けて、逆に私は怖くなっているのかもしれない。


私がもし、真剣に真澄さんのことを好きだと言ったらどうなるんやろ?


「やめとこ……考え出すと胃が痛むし」


 自問自答しながら、自宅のマンションの前まで帰って来た私は…見覚えのある白い車が停まっていることに気付いて足を止めた。


「おかえりなさい。光さん、お久しぶりです」


車から降りてきたのは、さっきまで私の頭を悩ませていた張本人の真澄さんだった。


「なんかややこしい依頼で、しばらく帰れないって師匠から聞いてたんですけど?」


私は、突然のことだったので……ついこんな言葉しか口から出て来なかった。


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