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昔書いた作品のリメイク版

作者: 闇夜 霊

大きな大きな戦争があった。天使と悪魔は激しく争い、ぶつかり合った時代があった。

なぜか天使と悪魔は相手を天敵だと思い込み、くだらない争いを繰り返した。

誰も名前はつけられなかった。血で血を洗う戦いだったからだ。

そして、その戦いの結果悪魔の王が戦いによってすべてを終結させた。


「ねぇ、シュナイト、何で毎回逃げようとするのかな?」

こうもりのような羽を生やした女の子は、大きな天使の羽を生やした天使に話しかける。

ただ普通の状況ではなくて、縛られて椅子に固定されているのだが天使が。

「別にいいだろ!出かけるぐらいなんでだめなんだ!そこまで規制されなきゃいけないもんなのか?」

彼女はふふふ・・・と笑い出した。あきらかに何かたくらんでいるのだろう。

ここは魔王の城である。何で天使の彼がいるかというと、天使が悪魔に負けたからという

とても単純な理由。そして彼は、過去天使の騎士団長をやっていたのだ。

だから、魔王の娘の彼女と仲良く(監禁という形で)暮らしているわけである。

魔王の娘の名はクラーフィル。魔王はレグルスという名前。

魔王と自体はシュナイトは別に和解していた。他の天使はどうなのか知らなかったが。

「だめよ。外は危険でいっぱいなんだからね?」

クラーフィルはニヤニヤして、とてもうれしそうだ。

むしろその姿が怖い。縛られて逃げられないし。

「何だその子供に言い聞かせるような言い方は、俺はもう子供じゃねぇぞ」

天使達はほぼ一切の魔術を封じられて使うことができない。

悪魔1人につき天使1人の管理。それがうまくできている限り使うことができないのだ。

魔王が他の悪魔の魔力をほんの少し借りて天使たちの魔術を封じてるらしいが

実際のところは見当もつかない。ここはクラーフィルの部屋である。

女の子らしいとても女の子らしい部屋である。

ピンクのベッドに部屋の真ん中にはピンクのハートの机なんてある。

しかしシュナイトが座って縛られてるのは普通の木の椅子なので

なんか部屋に合わずひとつだけ浮いて見える。

まぁ、悪魔の部屋に天使がいれば浮くのは当たり前かもしれないが。

「そうだったっけ。まぁいいわ。今日も遊びましょうよ。シュナイト」

遊び。クラーフィルの遊びといえばと、シュナイトはため息をつく。

大体予測はつくが・・・。

「遊びって何するんだよ・・・こんな椅子に縛られた状態で」

「戦ましょう。いいでしょ?訓練の相手するぐらい、シュナイトなら平気だよね」

いつもこうだとシュナイトは思う。昔悪魔を憎んでたときは、本気でやってたが

最近は遊び程度にしかやらない。クラーフィルが手を叩くと手に鞭が現れる。

なんかの錬金術かこれとかシュナイルは思うんだが、どうやら上級悪魔ならみんなできるらしい。

自分専用の武器ってやつらしいのだ。シュナイトも自分専用の武器は使っていたが

ああやって手を叩くとだせるようなそんな便利なものでなくて普通の武器である。

今ではクラーフィルに取り上げられて、訓練のときしか使えないが。

「まぁ平気だが、毎回これじゃないか?たまにはなんだ普通の遊びを。お医者さんごっことか」

「お医者さんごっこって普通じゃないわよね?」

すかさずつっこみがきた。普通な気がするんだが。クラーフィルぐらいの年齢なら。

クラーフィルは見た目が普通に子供である。背もシュナイトよりだいぶ低く、

長い黒髪に紫の瞳。短いワンピースをきていて、ひざまでのソックス(ニーソというのか)そういうのをはいている。色は黒。ソックスのひざの部分にはかわいい感じのリボンが付いていた。

この部屋によく合う。人形のような見た目だ。

「いや普通だろ。戦うよりは普通だろ」

シュナイトの見た目は普通の大人。男の見た目でそれなりに背が高い。

金髪で、少し長い感じの髪型。服装は、クラーフィルが選んだ普通のスーツ。

黒色のスーツである。地味なんだが別に気にしない。

「そうかしら?戦うほうが普通だわ」

クラーフィルは鞭を振るう。その瞬間、シュナイトを縛っていたロープが切れて地面に落ちる。

よく自分に当てずにロープが切れるなって感心するが、別の言い方をすれば

別に自分が傷つこうがどうでもいいとも取れるのだ。

もしかしたら、クラーフィルはそう思ってるのかもしれない。

和解したのは魔王であって彼女ではないんだから。

「どうしたのよ。難しそうな顔をして」

どうやらクラーフィルは自分の表情を読み取ったようだ。

結構そういうことがわかるようなのだ。

表情がわかるといえばいいのだろうか。

体調が悪いときなど俺より早くクラーフィルが気が付いたりするのだ。

ただ自分が鈍感なだけかもしれない。

「いや、なんでもない。戦うんだろ?じゃあ普通に広間いくか」

不安そうな表情をクラーフィルは一瞬してそのまま広間に向かって歩き出した。


広い広間。魔王城に住んでる人は結構通るが、よくここでやってる。

魔界の住人とは結構そういうけんかみたいなのを見るのが好きらしい。

野次馬精神というのが強いのかもしれない。

2人がきてすぐに人だかりができた。広間といっても別に城門につながってるわけではないので

通行の邪魔にはならないのがまだいいところか。

「いくわよ!」

クラーフィルは目をきらきらと輝かせている。

正直怖い。というか俺の武器はどうなったんだ。

忘れられてるのか。いつもは最初に武器を渡されるんだが今日は渡されてない。

どうやら完璧に忘れているらしい。

「ちょっ・・・俺の武器は?」

「あ・・・」

あ・・・じゃないやめてくれ。一方的にいたぶる気か・・・。

シュナイトはため息をつく。

「面倒だったら魔術開放してくれれば別に光の剣ぐらい作れるぞ」

「魔術開放は危険だからね。だめよ」

クラーフィルはそういう。冷静に。クラーフィルにとって自分は危険な存在なんだろうか。

そう考えると、そんな気がしないでもない。

魔力が封じられてなければ彼女と互角の力があるとは自負しているが、

でもなんだか寂しい気分である。最近ずっとこんな感じである。

「仕方ないわねぇ。私が魔術で出してあげるわ」

クラーフィルが軽く呪文唱えると、手に剣が浮かび上がる。

闇の剣。実体ではないが実体があるようなよくわからないあいまいな剣である。

「これを使えと。まぁいいかどの剣でも戦えるし」

天使の力が残ってるころは闇の剣なんて握ったら手が焼け爛れてひどかったが

力自体封じられてからはそこまでひどくはなくなった。

「じゃあ今度こそいくわよ!」

クラーフィルが鞭を振るう。シュナイトは右にかわしたが頬をかする。

中距離では不利である。射程は鞭のほうが剣より長いのだ。

回り込みながらクラーフィルに近づく。鞭が飛んでくるが軽くかわし、彼女まで後一歩まで近づいた。

剣を軽く振るう。クラーフィルはあせって後ろにとんだ。あせったのが目に見える。

「まだまだだな。もっと早く攻撃しないとこれぐらい簡単に避けられる」

シュナイトはそう冷静にいう。周りの観客は感嘆の声をあげていた。

軽くシュナイトはかわせるが、普通の天使なら間合いをつめる間もなく

滅多打ちにされてもおかしくない速度なのだ。一発あたったら最後あの鞭は敵を絡めとる。

「むっ・・・私、シュナイトなんかに負けないわ」

「あのなぁ。俺さ、騎士団長やってたんだぞ。簡単に負けたらつとまらねぇよ」

ため息をつきながらそうクラーフィルにいうとさらにむかついたような表情をして

すごい勢いで鞭を振り出した。さっきより早い。今度はかわすのはちょっときつい。

なのでわざと剣を鞭に当てた。当てたという表現はおかしいかもしれない。

鞭の猛攻の中に剣をつっこんだといえばいいのか。

当然剣は絡めとられ空に飛ぶ。そして剣が作った一瞬の隙を利用し、

クラーフィルへ突っ込んだのだ。剣が空から落ちてくるそれを片手で受け止め

彼女に切っ先を向かう。

「な・・・なによ!」

クラーフィルは動揺した表情を浮かべる。そこまで驚くことでもないのだが。

10戦やって10戦シュナイトが勝つのだ。それだけ実力差がある。

魔王に一太刀浴びせられたのは後にも先にも彼一人かもしれないのだ。

「いつものことだろ?」

「・・・うぅ・・・えぐっ・・・ぐすんっ」

クラーフィルは負けるといつもこうだ。むしろいつもよりこの状態のほうがかわいい気がする。

本当に泣いているのだ。つくづく感情表現が豊かだなと思う。

「泣くな。またやればいいだろ?」

「・・・結構がんばったのに」

とてもリアルなクラーフィルの言葉だった。


部屋に戻る。部屋は変わらずピンクピンクしているが、人形みたいなクラーフィルは

すねて、泣いている。なき続けているから困る。なでなでしていつも落ち着かせるが、

それで落ち着いてくれないときもあるからそういう時はココアを作ってやったりする。

今日は後者だ。だから彼女の部屋にあるなべとココアと牛乳を借りてあたたかいココアを

作ってやった。

「熱くない?」

「ぬるめに作ったから大丈夫だ」

クラーフィルは猫舌なので、ぬるめに作らないとダメなのだ。

少しずつ飲んでいる。熱くないか確かめているんだろう。

そういうところはすごくかわいいなと思う。

普段は自分をしばるわ、戦えというわ。支離滅裂であるから困る。

「おいしいか?」

なんとなく聞いてみる。なんかむっとした表情で飲んでるので。

「うん、おいしいわ。シュナイトは相変わらずココア作るのうまいわね」

そういってはいるが相変わらずむっとしているなぜかはまったくわからない。

「あ・・・そういえば今思い出したけど、父様が呼んでたわ。あなたのこと」

「大事だろそれ!何で忘れてたんだ!」

俺を縛る前に思い出せよ。結構重要な連絡事項を彼女は忘れているから困る。

「んー・・・すっかり忘れてた」

それで済むのがクラーフィルの特権かもしれない。一応お姫様なんだから。

それに付き添う俺みたいな従者はきっと大変なのだろう。

ココアを飲むとクラーフィルは眠ってしまったので布団をかぶせてベッドに寝かせて

魔王のところに向かった。


「こんばんわだね。シュナイト」

結構大人な見た目をしてるのに口調は子供というギャップ。

彼がレグルスというここの魔王である。

「どうしたレグルス。珍しいな俺を呼び出すなんて」

シュナイトの言葉にレグルスは大きなため息をつく。どうやら困ったことが起こったようだ。

基本、娘と一緒で魔王も表情がでやすい。自分でもわかるぐらい、困った表情をしている。

「実はさ、天使達がなぜか反乱をおこしててね。原因は調査してるんだけど

よくわかんなくて。反乱起こした天使は支離滅裂なことを口走ってるしね」

結構平和だった。最近は。昔はよくあったことだ反乱なんて。

「そうか」

「興味なさそうだなぁ、君結構興味あると思ったんだけど」

魔王自体はどうしてほしかったか俺にはわからない。

ただちょっと落胆したような表情をしていた。

「俺に何を期待するんだ。もう騎士団長っていう権限は失った。別にいいだろ好きにしたって」

シュナイトは冷たく言い放った。内心ではいろいろ考えていたのだが。

なぜ天使がいまさらになって反乱を起こすか。簡単なことではない。

大反乱が結構前にあった。それの首謀者は俺だが。

その後反乱はほとんどなくなったのだ。まとめるやつがいない状態で反乱なんて起こるはずがない。

支離滅裂なことを言ってるというのも気になる。天使は基本いわれたことにははっきり答える。

いわないならいわないいうならいうってはっきりしているのだ。

支離滅裂という表現は天使にはあわないのだ。

「君に天使たちをまとめるのは無理かなぁ?」

レグルスはそれを期待しているらしい。

「また反乱でも起こすかもしれないぞ。俺がまとめたら」

一瞬魔王の顔が曇る。それは避けたいようだやはり。

「君が起こさないと信じてるけど。君が起こしてないって事も信じてるけどねぇ・・・」

疑われてるわけか俺は。まぁ疑われてもしょうがないといえばしょうがない。

「また調べておく。暇があったらな。お前の娘にしばられて逃げれないことがあるからな」

「ごめんねぇ。君ぐらいしか管理できないんだよあの子。他の人だとみんな逃げちゃったからさ」

レグルスはほんと問題児だとため息をついている。だから俺は言ってやった

「親に似たんじゃないか?」

「あぁ、そうかもなぁ」

レグルスは笑っている。そうつぶやいて。

「話はそんだけか?」

「あぁ。まぁ任せたよ」

任せたといいながらそっちでも調査するだろうけどな。

心の中でそういって、クラーフィルの部屋に戻った。


朝、魔界に朝という概念はないが一応朝と夜がある。

それは魔界時計というなんか気持ちの悪い時計が教えてくれる。

ちなみにクラーフィルは朝は弱いので絶対起きてこない。

ちょうどいい、昨日の話たしかめにいくかな。

城下町なんてほとんど最近行ってなかった。昔・・・大反乱を起こす前はよくいったな。

と過去のことを思い出しながら大通りを歩く。活気は相変わらずすごくにぎやかだった。

あれか。と冷静に見てため息をついた。すごい勢いで一人の天使が悪魔に切りかかっている。

それを魔界の騎士がどこかへ連れて行く。たしかに今聞こえる文をつなぎ合わせれば

支離滅裂いや・・・もっとも天使らしいといえばいいのか。

悪魔、殺すっていってたな。まるで昔に戻ったのかのように。

「君!」

ぱっと後ろをみる。後ろには魔界の騎士が何人かいた。

魔術封じられてなければこの程度どうってことないが。

「なんだ?町を歩くことの禁止とかないだろ?」

「君は、先の大反乱の。魔王様はどうして生かしておられるのだこんな男」

確かにそのとおりだと心の中でつぶやいた。クラーフィルのためかそれともただの慈悲か。

よくわからないが生かされた。

「お前がやったのか今回の反乱も」

魔界の騎士はそうつぶやいた。まるでそうと信じて疑ってないようだ。

「前の反乱と今回の反乱はぜんぜん違う。それぐらいわかるだろ。騎士なら」

「あぁ、わかる。だがお前が一番の危険因子だ。ここで排除したいぐらいだよ」

騎士が剣を向ける。周りは何事だという感じだ騎士がおかしくなってもない天使に剣をむけるなど。

とてつもなく珍しいのだ。

「そうか。できると思うか?」

魔術があれば楽勝。なくても別に勝てる。だからそう聞くのだ。

「無理だとわかっているからこの程度で済むのだ。よかったな」

そういうと剣を収めて魔界の騎士たちは去っていった。

気づけば町の広場で一人の悪魔が泣いている。

誰も気にとめもしないが。俺は気になったので声をかける。

「どうしたんだ?」

ぱっと顔をあげる女。驚いた表情。何に驚いたのかわからない。

「あの、さっきの天使は私の管理天使なんです。

でもあんな私を殺すとかいう彼じゃなかったんですよ。

2日ぐらいいなくなったと思ったら・・・彼はああなってたんです・・・」

急に話し出すから驚いたこっちが。彼女は泣きながら最後にこういった。

「助けてください彼を!お願いします・・・あのままでは彼殺されてしまう」

・・・これはまずいんじゃないか。反乱ではなく悪魔の間で争いの火がつきかねない。

天使も彼が捕まるなんておかしいってやつがでてくるかもしれない。

これを繰り返してたら、一番やばいのは魔王やクラーフィルか。

騎士たちも危ないな。だがあの状態の天使を放置してたら悪魔を殺しまくるだろう。

それぐらい俺でも予測がつく。

「そうなのか。助けられたら助けるだから今は落ち着け」

ただただ冷静な声でそう声をかける俺は薄情なのかもしれないとため息をついた。

そしてただ黙々と城に帰った。


「シュナイト?どうしたの?」

いつもの声が聞こえるが。なんだか考えごとが多すぎてなんか何も浮かばない。

「いや、別にちょっと考え事を」

クラーフィルはすごく不安そうな表情をしていた。俺の表情が見えるんだろうか。

いつも見透かされる気がして。怖いっていうのはあるが。

「ねぇ、私にも教えてよ」

「は?」

思わずは?と言ってしまった。それがまずかったとすぐ気づく。

「す・・すまないクラーフィル。」

すぐ弁明したが遅かったようだ。彼女はなきながら走っていってしまった。

・・・俺は何をしてるんだ。クラーフィルにあたってもしょうがない。

解決などしないのだから。彼女なりの気遣いだったんだろう。

それなのに俺は。

「考えてもしょうがないか・・・。こんなこと」

一人でつぶやいて立ち上がる。外に行くか。いろいろ調べたいし。


「お父様きいてよぉ!!」

ばんっとドアを乱暴に開けて入ってきたのはクラーフィルだった。

レグルスは驚く。クラーフィルが自分からここに来るのは珍しい。

「朝からシュナイトの様子がおかしいのよ!だからね!私にも教えてっていったのにさ!」

「は・・・はぁ?落ち着いてよクラーフィル。順を追って話してくれないとお父さんにもわかんないよ」

レグルスは首をかしげる。とりあいずシュナイトの様子がおかしいってことはわかった。

あとどういうことなんだろ・・・と思う。

「だから!!私がシュナイトに教えてっていったの悩んでる理由!なのにさは?って返してきたんだ   よ!!シュナイトひどくない?ね、ひどくない???」

あぁ、わかった。クラーフィルは鬼のように怒ってなきそうな表情をしている。

不安なんだろうな。クラーフィルには彼がああなるのが初めてだから。

「考え事するとシュナイトはいつもそうだよ。」

ん?考えてみると。彼が考え事をする理由はまさか。

昨日のことかもなぁ。とレグルスは心の中で思う。

「そうなの?」

「うん、前もそうだったよ。大反乱あったじゃん。

 あの時もそうだったから。あれの前日。すごく無表情で考え事してておかしいなって思ったら

 急に反乱起こしたからね。怖かったよ」

レグルスは思う。彼はいつもそうなんだと。何も相談しないで一人でつっぱしって・・・。

考えすぎっていえばそうなのかもしれない。彼は無駄に深いことを考えている。

だからそろそろもしかしたら僕のことも疑ってるかもしれないと。

信じてないって。たしかに信じられはしないけど。今回は違うと確信した。

彼自身がやってるなら考えてみればクラーフィルが異変に気づくはずだ。

なのにクラーフィルは気づかなかった。つまり彼は犯人じゃない。

「そうなの。お父様でもだめだったの。じゃあ私じゃ無理かな」

クラーフィルはすごく沈んだ表情をしていた。力になってやりたいわけか。

「いや、やってみなきゃわからないよ。彼は不思議な人だからね」

クラーフィルは一瞬にして明るい表情になりすごい速さで部屋に戻っていった。

「元気だなぁ・・・クラーフィルは」

そういえばシュナイト親に似たんじゃないかっていってたけど案外そうかもなぁ

と心の中でため息をついた。


町の中。結構入り組んだ路地に入ってしまった。

悪魔を殺すといってた天使を見かけただから追いかけた。

ただそれだけ。今回はちゃんと自分の剣を持ってきたので戦えるが・・・。

俺をまさか誘い込んだのかと心の中でつぶやく。シュナイトはため息をついた。

見失ったからもう手がかりはない。帰ろうと思ったそのときだった。

「おひさなんだー騎士団長」

昔の位で呼ばれぱっと振り向く。

「誰だ!」

「僕だよ?僕」

神聖魔法の使い手・・・魔術軍の大将リーサス

天使軍の魔法使いの軍の大将で相当強い魔術をもってるらしい。

実際一緒に戦ったことはないから知らないが顔は知っている1,2度あったから。

「まさかさーこんな単純で単純なわなにひかかってくれるとはなー馬鹿でよかったよ」

「・・・何のようだ?馬鹿にするために俺を呼び寄せたわけじゃないだろ」

シュナイトはすでに剣で切りかかっていた。しかし驚く様子もない。

「ねー、結界には二つあるんだよ?内側に強い結界と外側に強い結界。

 今回はどうだろうね?」

剣が何かにはじかれて飛ばされる。気づけば元いた場所だ。

内側に強い結界・・・?ってやつか。俺は魔術は大してわからん。

「僕の勝ちだよね。物理に強い結界だからさー魔術の使えない君には解きようがないんだよー?」

・・・困ったな。確かに魔術は使えない。しかも魔王の適応魔術は魔術に弱いっていってるわけだから

届くわけだ。最悪だ。どうしよもないとはこういうことか。

「・・・どうするつもりだ」

「もう一回反乱軍の大将になってもらうだけだよ」

とても楽しそうだ。まるで戦いはおいしいなという感じだ。戦争は甘い蜜という・・・。

「なんだと?俺はいやだぞ。」

率直な感想をのべる。二度とごめんだあんな争い。

「だから下級天使でためしたんじゃないかー精神操作をね」

精神操作。そんなものつかったら普通の天使は人格崩壊してもおかしくない。

無理やり意思を曲げるわけだから。上級天使でも下手すれば。

「・・・悪魔より悪魔だなお前」

「ほめ言葉をありがとう。僕は戦いがすきなんだよ。戦いがないと僕はただの異端児なんだよね。

だから君と一緒に戦うよ。この魔界をのっとろうよ。たのしいよー?」

「誰がお前の言うことなんて聞くかよ」

剣を握りなおす無駄だろうが結界を破ろうと試みる。

くだらない足掻きかもしれない。だけど俺は負けたくはないのだ。

「んじゃあいくよー」

呪文?これが?・・・歌じゃないのかこれ・・・

リーサスが歌を歌う。シュナイトは歌にしか思えなかった。

きれいな歌声。だんだんおかしくなってくる。狂ってくる頭の中が。

これが・・・精神操作ってやつか・・・。

眠い。すごく眠い。知識から引っ張り出す精神操作は寝てるときのほうがかかりやすっていうのが

多かった。だからもしかしたら寝かせようとしてるのかもしれない。

魔術に精通してない俺にはよくわからないが相当やばい状況なのだろう。

次に襲ってきたのは頭痛だ。頭痛と眠気。あとおかしくなるような・・・なんといえばいいのか

頭の中を引っかき乱されるような・・・感触。意識が保てなくなって気づけば意識をすっかり

失ってしまっていた。

「んーなかなかもったなぁーやっぱ面白いよ。騎士団長さんー大丈夫だよ、しっかり解けないようにかけてあげるからさ」


「お父様、部屋に戻ったら誰もいないの」

クラーフィルはまた暗い表情をしている。怒っていってしまったとでも思ってるのだろうか。

すごくばつの悪そうな顔をし、うつむいている。

「それは、彼が調査しにいったんじゃないのかなぁ?」

調査っといってはっと気づくそういえばクラーフィルにはいってなかった。

というかクラーフィルがしってもしょうがないことといっても別に間違いではないだろう。

姫は下界の事など知らないものだ。

「調査?何はなしたのお父様!」

「あ・・・うー・・ん、あのさ最近天使がさぁ反乱起こすって話だよ」

「・・・ばかぁ!!!!お父様のばか!!

 何で私に教えてくれないの!!いつまでも子ども扱いしないでよ!」

言った瞬間ばかとくるとは・・・。ひどいな少し。

まぁクラーフィルにとってはそれだけ重要なことだったのだろう。

とてもとても。

「ごめんねぇ。悪かったよ。そういえば彼は帰ってこないのかい?」

「わかんないよぉ・・・お父様がシュナイトにそんなこというからシュナイト消えちゃったじゃないか」

クラーフィルはないていた。ぼろぼろとないていた。ちょっといないだけで不安とか。

もしかしたら父親の僕よりいや・・・僕と同じぐらい大事だったのかもしれない。

「部屋でまってたら帰ってくるかもしれないし部屋で待ってるといいと思うよ」

「ほんと?」

「うん、だと思う」

レグルスはそういって、クラーフィルを部屋に戻したのだ。

そして自分は調査の続きを行った。


夜になってはじめてわかった。

彼が帰ってこないってこと。

「クラーフィル落ち着いて、ね。」

これは最悪な事態も考えなきゃいけないかもなぁ・・・

彼が操られるってこと。ありえなくもないし・・・。

クラーフィルにいったら確実に泣き出してばかばかっていい続けそうで怖い。

魔界の騎士たちに探すように頼んだが。彼らはシュナイトを疑ってるようだし。

困ったものだ。僕が行きたくても、クラーフィルないてるし。

「ひくっ・・・えぐっ・・・・」

さっきからずっとないてる。もう何時間かたったかもしれない。

シュナイトがよほど大事だったんだろう。たしかにクラーフィルと仲良くできる唯一の

そう友達といえばいいのか。クラーフィルは前の天使も前々の天使にも見限られた。

椅子に縛られるのはいやだろうし戦いに毎回よばれ鞭でうたれるのもいやだろうし。

彼がその点適任だった。別にしばられても文句は言わない鞭はすべて避けれる。

クラーフィルと唯一仲良くやれる。ただ一人だ。

「落ち着いてよ。ちょっとシュナイト探しにいってくるからさ」

「ほんと??ついてく」

「へ?危険なんだよもしかしたら・・・」

あと少しでシュナイトが操られてるといいそうになってしまった。

クラーフィルは首をかしげている。まぁ考えてみればクラーフィルも捜索に

混ぜたほうがいいかもしれない。一応戦闘能力はあるし。

それにそうしないとないてないてしょうがない。

「じゃあ探しに行こうか」

「うん」

とってもうれしそうなクラーフィルに少し頭が痛くなるレグルスだった。


捜索からあっという間に2日たったが見つからなかった。

だが、3日目の朝シュナイトは最悪な形で現れたのである。

それは天使の軍勢といっても過言ではない。いや・・・軍勢だった。

クラーフィルとレグルスはテラスで天使の軍勢を見ていた。

「・・・ねぇ、お父様。どういうこと?」

「たぶんねぇ・・・シュナイト操られてるんだとおも・・・」

「それぐらいわかる!!わかるわ私だって!!シュナイトはどうなるの!!ねぇ!!」

クラーフィルは必死な表情だった。城の目の前に広がる天使たち。

白く金色の軍勢。そしてそこの先頭にはシュナイトが不思議な目の色をしてたっていた。

隣は魔法軍団の大将か。あいつが黒幕だなたぶん。

「それはわからないけど。んー元凶を倒せば戻ると思うけどねぇ」

「どいつ?元凶」

「シュナイトの隣・・あ!」

それを聞いた瞬間自分の身も気にせずに城のテラスからクラーフィルが飛び降りた。

すごい勢いだったいつもと違う。殺気に満ちたクラーフィル。

「やばいなぁ、これは援護に行くしかないじゃないか。」

「魔王様!お待ちくだされ!」

「大丈夫だよ。昔みたいな不覚は取らないから」

そういって魔王もテラスから飛び降りて地面に降り立った。


「シュナイト!!」

クラーフィルは叫んだ。叫ぶしかない。彼女の必死の叫びだった。

「クラーフィル・・・くるな・・・」

深い瞳に一度だけ色が戻った。だけどそれは消えてすごい速さでクラーフィルに切りかかる。

クラーフィルは吹っ飛ばされていた気づけば。本当のシュナイトの実力は魔王にも勝る。

魔力開放がしてないだけましとはいえそれでも彼は強いのだ。

吹っ飛んだクラーフィルの体をレグルスが支える。

「お父様・・・」

「任せてくれないかな?クラーフィルは前で天使たちと戦って、この城の城門は僕が守るからね」

「わ・・・わかったわ・・・」

クラーフィルはいやそうだったが力量的にかなわないと悟ったのだろう。

だから彼女は動いて天使たちを他の天使たちを倒しにいった。

「さてと、邪魔は消えたよ。シュナイト後ろにいる元凶を渡してもらおうか」

「俺・・・泣きたい・・・マジなきたいわ・・・」

容赦なく剣が攻撃してくる。その言葉と裏腹に。実際自分の意思でやってないのだから

そうなって当然だろう。レグルスはその剣を防ぐ自分の剣でそしてつばぜり合いに持ち込んだ。

「落ち着け。シュナイト。一旦身を任せてもいいぞ。精神操作に」

「い・・・いやだ」

「そうしないと壊れてしまうだろうがお前の意思が」

魔王の言葉は確かに的確なのだ。人は感情と反発しすぎれば爆発してしまう。

耐えられなくなってしまう。それだけはレグルスは避けたいのだ。

3日前にいなくなった。つまり3日間戦ってた精神的に。

それが意味するのはそれだけ精神的疲労がたまってるわけである。

「だけど・・・身を任せたら・・・俺・・・とめれないし」

「いや、今でもとまってないだろ。たしかに力がいつもより弱いが」

「いいのか・・・?」

「あぁ、いいよ。僕がしっかり気絶させてあげるから」

レグルスの剣がシュナイトを押した、シュナイトは後ろに下がる。

すごい勢いで。さっきとは動きが違う。もう一回特攻してきた。

それをかわし剣の柄で殴ろうとするが、それを避けてシュナイトの剣が目の前にしたからせまる。

それを片手で抑えたのだ。剣を握ってないほうの手で。

血が見える。それでシュナイトの目が見開かれた。そしてばたんと意識を失ってしまったのだ。

「シュナイト。おやすみ。」

魔王のやることは少し無謀だった。もとからシュナイトは血というものが苦手なのだ。

気絶するほどではない。だが嫌いで嫌いでたまらなかった。

それを大量にみたことによって精神負荷がさらにかかり

いつもでは気を失わない状況でも失ってしまったわけである。

「僕のシュナイトをねむらせるなんてひどいなー」

「次は君のばんだよ。大将さん」

「そうだなー魔王には実力では勝てないよねー」

気楽そうなリーセス。そして笑った。

「なら卑怯な手を使えばいいー」

きゃぁああああ近くから悲鳴が聞こえた

「なになんなのこれ!!」

光、光の紐。クラーフェルに絡み付いてくる。

そして動きが取れなくなったところを天使達が囲む。

「君が一歩でも動けばあの子は串刺しだよー」

「卑怯なことをしてくれるねぇ」

はずれないようだ彼女の魔術では。必死で解こうとはしているが解けないようだ。

「んじゃあ魔王様しっかり苦しんでね?」

何本かの光の矢が体に刺さる。血が地面に滴る。

声ひとつあげない魔王につまらなさそうな表情をするリーセス。

どっちが悪魔なのかわかりはしない。

「クラーフィルを離してくれるよねぇ?」

「君がしっかり死ねばね」

その瞬間だった。リーセスの胸には剣が刺さっていた。

「へ?どうして?」

わかっていないリーセスに魔王は説明した。

「君が操ってたさ、シュナイトはそうやわじゃないよ?」

「血ぐらいで気絶したと思ったら大間違いだ。まぁ一応失ってたけどな」

一瞬のうちにシュナイトが動いて剣を突き刺した。ただそれだけだった。

特に驚くこともない。ただそれだけ。リーセスはそうしてとても普通ないや特殊な死に方をしたのだ。

「シュナイト!!」

他の天使はみんな地面に崩れ落ちている。たぶん精神操作から開放された反動だろう。

「クラーフィル。すまないな心配かけて」

「父親よりシュナイトが先か。結構がんばったんだけどなぁ僕」

「お父様大丈夫?」

あとでいわれてもぜんぜんうれしくないよと心の中でレグルスは思う。

ただ傷を結構負ったのでできれば娘に飛び込んできてほしかった。

「んー・・・たぶん大丈夫かなぁ」

「魔術開放できるか?そしたら手当てしてやるけど」

「光の魔法あてたら逆に悪化するって」

「あ、そっか」

そんなくだらない会話をして、城にもどりいろいろな後片付けを行った。


2日後・・・・

「シュナイト、ココア作って」

クラーフィルの部屋で彼女がそういう。ものすごい戦いがあった後なのに

なんだか幸せそうなクラーフィルに不思議を覚える。自分がいる。

「はぁ?珍しいな自分から頼み込むの」

そういいながらももう作るために動いている。

ぬるいココアをいれて、彼女が飲むのを見て。

それだけで俺はいいと思った。もう疑うのも、やめてしまった。

最後俺が戻ったとき彼女は泣いていた。何時間も何時間も。

それだけで俺はわかった。クラーフィルは別に俺が嫌いだったりそういうのはなく

ただ純粋にいてほしかっただけなんだと。だから俺はこれでいい。

これからもこうして生きていくだけでいい。これ以上は何も欲しない。

だってこれが俺にとって最高の居場所なんだから。


魔王は少しさびしい思いをした。

「結局お見舞いにもこないなぁ。娘なのに、

 まぁシュナイトといるのが楽しいんだろうからまぁいっか」

傷はほとんど治ったけど、娘がつけた暖かい傷はたぶん治らないんだろうなぁって

魔王はため息をついたのだった。

まさか4時間もかかるなんてこんだけの小説に^^;

驚くや^^;朝から書き続けて眠いです^^;

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