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自己肯定感の低い女子を褒め続けたら人気者になったので距離を置くことにした  作者: シゲ ノゴローZZ
雨宮視点

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第118話 公認カップル爆誕(代償:鳩山君の世間体)

「たとえ教室でも……これぐらいは許されるだろう」


 ……心臓が痛いよ。キスをするつもりなんてサラサラないんだろうけど、それでもズベ公に顔を近づけるのは見ててハラハラする。このズベ公がトチ狂わないといいんだけど。


「んっ……」


 は? 気持ち悪っ! 何その顔? キス待ち顔ってヤツ? 本人的にはキメ顔のつもりなんだろうけど、極めて下品だよ! 効くわけないじゃん! 私に首ったけの鳩山君がそんな下品な顔一つで流されるわけないじゃん! ああ、やだやだ、そうやって男子達を食ってきたんだろうねぇ。


「ハハハ、何を本気に……うっ!?」


 おいっ? なんで鳩山君の頭をガッチリホールドしてんの? なんでその下品な顔を徐々に近づけてんの? 鳩山君! 頭突き! 無理ならツバでも吐きかけて!


「佐藤さん……?」


 ダメだ、優しすぎて困惑してる。そんな女に唇を許すのは嫌だけど、下手に逃げると相手の尊厳を傷つけてしまうとか、そういう余計なことを考えちゃってるんだ。

 ……そっか、今だよね。悪い虫から守るって決めたんだから、こういう時は私が動かないとだね。


「佐藤さん」

「あん? 何? 雨ちゃんもキスしたいん?」


 馴れ馴れしい呼び方しないでよ、誰なの貴女は。アレか、ネイルを施してくれたなんとかさんの友達か。


「ううん、そうじゃなくて……鳩山君、本気で嫌がってるから」


 キスはしたいけど話がこじれても面倒だから一旦否定しておいた。私としてはこの思い上がったバカの目の前でキスして、ちっぽけなプライドを粉砕してあげたいところではあるんだけどね。


「何言ってんの? 雨ちゃん」

「あのね? 鳩山君は、処女しか興味ないんだって」


 ごめん鳩山君、暴露しちゃった。でも事実だから良いよね? 陰キャの私に惚れたのって、男性経験がないってところが高評価だったからでしょ? まあ、単純に私の顔が、こっ、好みだったってのが一番の理由だろうけど。


「は、はぁ? マジで言ってんの?」


 うわぁ、気付いてなかったんだ。異性経験の多さが人間の魅力としてカウントされるのは、バカの世界だけの話なんだよ?


「うん、マジだよ。だから私にアプローチしてきたの」


 私は何もせずとも求婚されたけど、貴女は? 体を売ろうとしたのに買取価格がつかなかった中古品の貴女は?


「……はぁ」


 私ではなく鳩山君にジト目を向けるズベ公。ああ出た出た、酸っぱい葡萄だね。自分の価値がないことを棚に上げて、鳩山君を叩くつもりだ。


「何かな? その目は」

「アンタさー……。そんな不純な動機で雨ちゃんに近づいてたん? 引くわー」


 ……うーん。まあたしかに鳩山君のスペックを考えると、気分転換にゲテモノを食おうとしたように見えるのかな? 仕方ないよね、ただ純粋に私のことを本気で愛してるなんて、第三者には分かりようのないことだし。


「いや、それは……」

「鳩山君を責めないであげて!」

「なんで庇うん? 雨ちゃん被害者っしょ?」


 私は別に被害者じゃないんですけど? 鳩山君は加害者じゃなくて、救済者なんですけど? 男性経験のないまま大学に行って、しょうもない男の甘言に騙されて泡風呂に沈められる運命から救ってくれた救済者なんですけど?


「……いいの。もう一緒に寝た仲だもん」


 エッチなことは一切せずにただ添い寝する休日なんて、貴女達に分かる? 尊さが理解できる? 一時間もなかったはずなのに、体感では三時間ぐらいあったよ。


「え? 寝たって……」

「文字通りの意味だけど……?」


 言っとくけど別に嘘はついてないよ。そっちが勝手に誤解してるだけだから。誤解されてることに気付きながらも訂正してないってだけの話。


「マジポン?」

「マジポンだよ」


 ショックだろうねぇ。自分の方がモテると思ってるだろうから、その分ショックは大きいだろうねぇ。


「一昨日の話なんだけどね、一緒に寝ながら、エッチなDVDを見たよ」


 海外の映画って情事を入れるノルマでもあるのかな?


「私はストップかけたんだけど、鳩山君がこのままいこうって……」


 キスシーンとかで恥ずかしがってるフリをすれば、逆にそういう雰囲気になるかもしれないって思ったんだけど、見事に空振りでした。さすがと言うべきか『これぐらい洋画なら普通だよ。このまま見よう』って軽く流されちゃった。カマトトぶったのに失敗するなんて、キスシーンよりよっぽど恥ずかしいな。


「ヤベーじゃん! 鬼畜じゃん! ってか一昨日も雨ちゃんの家に行ったん?」

「実質恋人じゃん」

「ポッポちゃん意外とやるなー」

「詳しく! その話詳しく!」


 うわっ、コギャルが増殖した。娯楽に飢えてるんだなぁ、気持ち悪い。



「でもアイツ、雨宮さんと付き合ってるのに佐藤とキスしようとしたのか? しかも目の前で。クズすぎね?」

「普段から女口説いてるもんなー」

「別のクラスの女子の家にも上がったらしいぞ」

「ヤリチンかよ……」

「鳩山ってそうなんだ……」


 なんか男子達もザワついてるね。まったく、どいつもこいつも……チョロくて助かるね。まっ、おかげさまで程よい牽制ができたよ。晴れて公認カップルになっちゃったし、これでよほどのバカ以外は寄ってこないでしょ。


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