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蒼天の狼  作者: 豆腐
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第三話「青い鳥」

こんにちは、豆腐です


今回はスローンの家族が増える話です。

空母フェンリルが補給のため港に停泊しているところから始まります。

戦い続きのフェンリルの乗組員たちにとって、束の間の休息の時間です。


……とはいえ、スローンは普通に街で遊ぶタイプではありません。

なぜか森を散歩しています。


そしてその森で出会うのが、後に重要人物になる少女。

スローンはその少女に『コルリ』と名付けます。


今回は少しだけ静かで優しい話です。

それでは、本編をどうぞ。

空母フェンリルは、補給のため港に停泊していた。


どれだけ強大な艦でも、補給がなければ戦えない。

燃料、弾薬、食料、そして整備。

それらすべてが揃って、初めて空母は戦場へ戻ることができる。


それにフェンリルは、エース部隊の基地でもある。

格納庫には常に戦闘機が並び、整備員たちが忙しく動き回っていた。

いつでも機体が空へと羽ばたけるように。


この艦は、常に戦いに備えている。



艦長は停泊前に言っていた。

「休める者は休め」と。


多くの乗組員は街へ行き、食事をしたり、買い物をしたりして楽しんでいる。

しかし、スローンは違った。


「久しぶりに陸に来た気がする……」

彼女が来ていたのは森だった。


港から少し離れた場所にある、小さな森。


人の気配はほとんどない。

戦闘機のエンジン音も、警報も、通信の雑音もない。


スローンには不思議に感じるほど、静かだった。



スローンは森の奥へゆっくり歩く。


港や街では味わえない静けさ。

スローンはそれゆっくり味わっていた。

「…静かだね。」


──その瞬間。


茂みが揺れた。


「──!?」

スローンは足を止め、身構えた。


茂みの中から、小さな陰がこちらを見ていた。

少女だ。


年は……

十五歳ほどだろうか。

ボロボロの服を着て、やけに細い身体を木の枝に隠している。


警戒しているのか、じっとスローンを睨んでいた。


しばらく沈黙が続く。


先に口を開いたのはスローンだった。

「…大丈夫だよ。」

「捕まえたりなんてしないから。」


少女は動かない。

逃げようとも、近寄ろうともしない。


スローンはゆっくりしゃがみ、少女と目線を合わせる。

「…君、一人?」


少女は小さく頷いた。

その目は、孤独に慣れているようだった。


スローンは上着のポケットからチョコバーを取り出す。

あとで食べようと思っていたものだ。

「…食べる?」

「お腹空いてるんでしょ?」


少女は少し驚き、茂みから出てきた。

しかし、すぐには受け取らない。


「…いらないの?」

スローンは優しく聞く。


すると、少女は慌てて何度も首を横に降った。

そして。恐る恐るチョコバーを受け取る。


すると、少女の表情が、ほんの少し和らいだ。

優しくされたのが嬉しいのだろうか。


少女はチョコバーの袋を開け、かぶりつく。

少女の顔がぱっと明るくなった。

よほど美味しかったのだろうか。


少女は夢中でチョコバーを食べ進めていく。

その様子を見ながら、スローンが聞いた。



スローンが聞く。

「君、名前は?」


少女が初めて口を開く。

「…忘れた。」

「施設ではずっと番号で呼ばれてた。」

「777番って。」


その言葉を聞いた瞬間、スローンは固まった。

この少女にそんな扱いをする施設があるのか。

そもそも、施設とはなんだろうか。

そんな考えが頭の中を巡った。


少女はスローンを不思議そうに見ていた。

「…どうしたの?」


スローンは答える。

「…いや、大丈夫。」


スローンは続ける。

「……そういうことなら、私が名前をつけてあげる。」


少女の目が少しだけ大きくなる。

期待するようにスローンを見つめていた。


スローンはふと、空を見た。

木に縁取られた青い空。

その木の一つに、青い鳥が住む巣が見えた。


「…決めた。」

スローンは少女に顔を向け、言う。


「君は今日から──」


「コルリ。」

「コルリ・オルブライトだよ。」



「コルリ…?」

少女はきょとんとした。

まだよく理解できていないようだ。


「幸せを運ぶ青い鳥の名前。」

「君にぴったり。」

スローンはそう語った。


少女は、何度もその言葉を口にする。

「青い鳥……」

「コルリ……」


やがて少女は微笑んだ。

「私はコルリ。」

「コルリ・オルブライト。」


それは、彼女が生まれて初めて手に入れた“名前”だった。


「…そう。」

「私はスローン・オルブライト。」

「…これからよろしくね。」

スローンは、少女に手を差し伸べた。


「…うん!」

少女は、その手を取った。







スローンは、コルリを連れて空母フェンリルに戻った。

すると、ヴィトニル隊とハルトマンがスローンたちを迎えた。


「よっ、スローン。」

「その子は?」

エリックが聞く。


「この子はコルリ。」

「森で拾った。」

スローンはそう答える。

コルリはスローンの服の袖を掴みながら後ろに隠れている。


「ふーん。」

「あんたもついに親になるのか。」

ミラがそう言った。


相変わらずアレクスは無言。

ただコルリを見つめている。


「そういうこと。」

スローンは誇らしげに言った。


すると、ハルトマンが口を開いた。

「スローン、話がある。」

「他の者は席を外せ。」


「はいはい。」

「二人きりでお話か。」

エリックたちは空母から降りて街へと向かった。



「…なんです、話って?」

スローンは首を傾げる。

コルリは相変わらずスローンの後ろに隠れている。


「…第12航空団基地。」

「あそこが帝国に攻撃を受けたことについて、アストラ連邦がレギウス帝国に講義した。」

ハルトマンは冷静に話す。


「…帝国はなんて?」

スローンは真剣な表情で聞く。


「……」

『我々は一切関係ない。』

『あの飛行隊が勝手にやったことだ。』

「……と。」


──その言葉を聞いた瞬間。

「…関係ない、だと……!」

スローンの声が低くなり、拳を握る。

顔は怒りに満ちている。

「…ふざけんな……」


「ふざけんな!!」


「私たちの基地も、戦友も全部壊して……!」

「関係ないだって……!?」


「だったら今すぐ───」


「うっ…」

「うぅ……」

突然、コルリが涙を流した。


ハルトマンは告げる。

「落ち着くんだ。」

「子供が怖がっているぞ。」


「………あっ……」

スローンは気がついた。

怒っても意味はない。

怒っても問題は解決しない。

コルリを泣かせるだけだ、と。


スローンは拳をほどく。

顔もいつもの微笑みに戻った。


「…ごめんね、コルリ。」

「もう怒ったりしないから。」

スローンは笑顔で、コルリに向かってそう言った。


コルリは黙っているが、涙を拭いて笑顔になった。


スローンが話し終えると、ハルトマンは言う。

「…いい母親だ。」

「しかし……」


ハルトマンはしばらく黙っていた。

まるで、言うべき言葉を選ぶように。


ハルトマンはフェンリルの甲板を見上げた。

「ここは空母だ。」

「出撃すれば戦場になる。」


そして、スローンに告げる。

「…残念だが、スローン。」

「その子はこの艦には置いておけない。」




「え……?」

スローンは一瞬、沈黙した。


そして、

「……じゃあどこに置けって言うんですか………?」

その声は、抑えてはいるが強かった。


また子供を番号で呼ぶような“施設”には戻せない。

だから、ここに置くしかないのだ。



「……」

ハルトマンは黙っていた。


しばらく、沈黙が続いた。

まるであの森のような静けさ。

しかし、空気は鋭く張り詰めていた。


──すると、コルリが呟いた。

「…離れたくない。」

「スローンから、離れたくない……」


小さな声だった。

だが、その言葉は確かにその場に響いた。






「────」

ハルトマンは、一瞬だけ考えた。


そして、一言。

「…いいだろう。」


スローンの顔が、ぱっと明るくなった。

「…ありがとうございま───」

敬礼しようとしたその瞬間。


ハルトマンが続けた。

「ただし、この子の全責任はお前が負うことになる。」

「…それでもいいのか?」


スローンは迷わなかった。

「──はい。」

「この子と一緒にいられるなら。」

スローンは、まっすぐハルトマンを見つめる。

その目に迷いはない。


スローンは、そっとコルリの肩に手を置いた。


もう離さない。

そう決めていた。



ハルトマンは小さくため息をついた。

「……まったく。」

「この艦はいつから孤児院になったんだ。」

しかし、彼は微笑んでいた。






空気が緩んだその時、艦橋からの声。


「敵機接近!」

「帝国軍です!」

その瞬間、空気が再び張り詰めた。



スローンは驚愕した。

「こんなタイミングで……!?」


ハルトマンが低く呟いた。

「……奴ら、また戦争するつもりなのか……!?」


ハルトマンはすぐに踵を返す。

「艦橋に戻る!」


そして足早に去っていった。


すると、エリックがスローンに駆け寄る。

「おいスローン、準備しろ!」

「おそらく発進することになるぞ!」


スローンは一瞬、言葉を失った。

その背後で、コルリが震えていた。


「……怖い……」

小さな声だった。

しかしそれは、ただの恐怖ではないようだった。

まるで、何かを感じ取っているようだった。


その言葉を聞いた瞬間。

スローンは振り向き、コルリを抱きしめた。

「大丈夫だよ……」

「大丈夫。」

スローンの目は、すでに戦士の目になっていた。

人を守る目だ。







空の彼方、

敵機の通信が静かに流れていた。

「こちらヴァルキリー隊隊長、V-01。」

「目標を確認。」


「スローン・オルブライトを殺害する。」




赤いエンハンスド・ファイターの群れが、空を駆けていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

豆腐です。


今回紹介する兵器は、ヴィトニル隊専用艦載機「F-27 ヴァナルガンド」です。

第六世代戦闘機なだけあって強いですよ。



機体名:F-27 ヴァナルガンド

分類:第六世代艦載戦闘機

所属:アストラ連邦空軍

運用部隊:ヴィトニル隊(空母フェンリル)

開発企業:アストラ重工航空開発局

全長:19.8m

全幅:14.6m

全高:4.9m

乗員:1名



実在戦闘機で例えるとシルエットはF-22 × F-35 × 未来機


特徴

台形主翼+クランクドアロー

大型LERX

翼端折りたたみ

双発戦闘機

機体表面はセンサー一体装甲

エンジンノズルは3D推力偏向



AI戦術支援システム

機体にはEF搭載の戦術AIの簡易版「TACS-F」 が搭載されている。


AIが


敵機の挙動予測

最適機動の提案

ミサイル回避


をリアルタイムで行う。



可変推力エンジン

三次元推力偏向ノズルを搭載。


超高機動

失速域での戦闘

急制動


が可能。


ステルス性能


機体全体がレーダー反射を抑えた形状。


さらにアクティブ電子迷彩により、

レーダー上の位置を偽装することが可能。


無人機連携

小型ドローン「ハウンド」を最大2機主翼に搭載可能。


役割:

ミサイル誘導

偵察




武装

固定武装

・30mm電磁加速機関砲


搭載兵装

・長距離空対空ミサイル

・近距離格闘ミサイル

・対艦ミサイル(レールガンと取り替え)

・空対空レールガン(対艦ミサイルと取り替え)



次回は一話以来の戦闘です。


空母フェンリルを謎の部隊、「ヴァルキリー隊」が襲います。

その部隊は、アストラ連邦しか持っていないはずのEFを使っていました。


空戦なら簡単に倒せるはずのEFに苦戦するヴィトニル隊。

戦況が悪化するその時、黒い戦闘機が現れます。


はたしてヴァルキリー隊の正体とは────


次回、

第四話「戦乙女」

ご期待ください。

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