勇者魔王王子賢者エルフ吟遊詩人理解不能混沌結末
これはこの物語の最終回です。皆さんが楽しんでくれたら嬉しいです。
いちばん深い部屋。融合。終わりと、そのあと
その部屋は、 宙に浮いていた。
ダンジョンの、 いちばん下。
床はなく、 壁もなく、 ただ、 ひとつの円形の足場だけが ぽつんとあった。
その上に、 それは立っていた。 イグネオスだった。 魔王だった。
どちらでもあった。
どちらでもなかった。 身体は、 ひとつ。 だが、 影は、 ふたつ重なっていた。
顔は、 笑っているようで、 苦しんでいるようで、 眠っているようでもあった。
勇者たちは、 誰も近づかなかった。 エルフの吟遊詩人たちも、 歌をやめていた。 ここでは、 歌は役に立たなかった。
誰も知らなかった。 イグネオスが、 魔王を その身に閉じ込めたのか。 それとも、 魔王が、 イグネオスを 取り込んだのか。 質問は、 宙に浮いたまま、 落ちなかった。
そのとき。 ケンが、 前に出た。 小さな身体。 静かな目。 彼は、 短剣を持っていた。 どこから持ってきたのか、 誰も知らなかった。 ケンは、 走った。 まっすぐに。 キリトの前へ。 キリトは、 驚かなかった。 逃げなかった。 理由は、 たぶん、 なかった。 短剣は、 胸に刺さった。 深く。 音は、 小さかった。 キリトは、 倒れた。 ほとんど同時に、 融合した存在も、 膝をついた。 イグネオスと、 魔王は、 静かに崩れた。 光はなかった。 爆発もなかった。 ただ、 終わった。 誰かが言った。 「……終わりだ」 誰かが言った。 「最初から、 終わってたのかもしれない」
ケンは、 何も言わなかった。 彼は、 もう別の世界を 見ていた。
その瞬間。 暗転。 幕が、 下りた。 しばらくして。
また、 幕が上がった。 そこは、 舞台裏のような、 市場のような場所だった。 ひとりの男が、 立っていた。 古びた服。 笑顔。 露店を開いている。 男は言った。 「はいはい、 お疲れさま」 「終わりの意味が分からなかった人、 いっぱいいるよね」
男は、 袋を持ち上げた。 中には、 紙切れが ぎっしり入っていた。 「これはね」 「この物語の すべての可能な説明」 「全部、 ちゃんと用意してある」 札が、 ぶら下がっていた。 それぞれの可能な説明の価格は、その複雑さや難解さに応じて200円から10万円まででした。 男は、 肩をすくめた。 「どれも、 間違ってない」 「どれも、 正しくもない」 「欲しいなら、 どうぞ」. 終わり
この物語の最終回を楽しんでくれたら嬉しいです。最初からこの物語を読んでくれた読者の皆さんに感謝します。皆さんのおかげで、私はライトノベル作家になるという夢を追いかけています。




