勇者が偉業を成し遂げるところには必ず吟遊詩人がやって来てそれを歌う
これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
コップの水の中で、
ヴィンドゥンスブルク公爵は
目を開けた。
そこは、
明らかに
コップの中ではなかった。
深く、
暗く、
冷たい海だった。
その奥から、
クラーケンが現れた。
巨大だった。
公爵は剣を抜かなかった。
魔法も使わなかった。
ブラジリアン柔術を使った。
組み付き、
絡みつき、
締め落とした。
時間はかかった。
だが最後に、
クラーケンは動かなくなった。
公爵は
その死体を引きずり、
再び水面を越えた。
宮殿の庭に戻ると、
クラーケンの死体を
地面に埋めた。
翌日。
死体は
木になっていた。
枝から
種が落ちた。
公爵は
この異世界の勇者たちを
すべて集めた。
彼らは皆、
元引きこもりだった。
異世界で、
冒険と栄光と
ハーレムを
期待していた。
だが、
勇者は多すぎた。
夢は
余っていた。
公爵は
種を配り、
言った。
「永遠の土地へ行け」
「この種を蒔け」
「途中で
何が起ころうと、
止まるな」
「実らせた者は、
報われる」
勇者たちは
出発した。
永遠の土地では、
嵐が吹き、
水はなく、
食料もなかった。
多くが倒れた。
それでも、
百人は生き残った。
彼らは
種を蒔いた。
木は育ち、
実を結んだ。
この異世界の
食糧不足は
終わった。
そのとき。
どこからともなく、
豊満な身体を持つ
エルフ女性の吟遊詩人たちが
現れた。
彼女たちは歌い、
踊り、
百人の勇者を讃えた。
理由は、
誰も問わなかった。
それが、
この世界のやり方だった。
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