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おかしでおかしな二人の関係  作者: チャパニメ
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出会いとマドレーヌ④

包島さんが去ってから少し経つとガラガラと後ろの戸が開き慧が姿を現す。


「すまん、待たせた」


少し揺らいだ慧の声が聞こえた。席を立つとその背後に腰に届くほどの髪を揺らした、静かな佇まいの少女が顔をのぞかせる。彼女は前髪を整えると、慧の横に並び目線を僕に合わせるように僕を見上げ軽く会釈をする。緊張しているのかモジモジした態度にも見える。


「えーっと、こちらは俺と同じクラスの言ノ葉涼さん」


「初めまして、言ノ葉涼です」


彼女の声は控えめではあったが弦のような細くも強さのある声をしていた。


「初めまして、一組の達右結斗です」


少し下を向き彼女の瞳を除くと吸い込まれる感覚に咄嗟に慧の方を向いてしまった。慧に関しては言ノ葉さんの方を見ようとせず、終始僕の方を向いていた。


「初めましての挨拶交わした段階でわりぃがちょっとこの後用事があるからよ、俺はここで失礼するわ、あとは二人でよろしく」


気まずそうにその場から立ち去ろうとする慧。

「もう行っちゃうのか?」


「わりぃ今度埋め合わせするから」


「竹馬谷くん、もう帰っちゃうの?」


割って入る形で言ノ葉さんが放った言葉は慧を繋ぎ止めたいのか、戸の方に向いた足を静止される。


「まあ....ね」


慧は一瞬立ち止まり、たどたどしい口調で、そう言い残すと急ぎ足で教室を後にした。


「二人きりになっちゃったね」


「そうだね」

「........」


初対面ということもあり会話も続くはずがなく気まづい空気が教室を包む。その沈黙に耐えかねて


「とりあえず席に座ろっか」


と促し、後ろの適当な席に言ノ葉さんと向かい合う形で腰をかけた。向かい合い改めて見ると、言ノ葉さんの可愛さに目がいく。

女の子らしい長いまつ毛や細い指先、メイクはしてはいるものの、ナチュラルメイクで素の良さを引き出している姿に自然と見とれてしまった。言ノ葉さんを意識したせいか、心拍が早くなり慌てて目線を逸らしてしまう。


「さっきまで誰かいたの?」


「えっ、なんで?」


言ノ葉さんが急な質問を投げかけてきたのであわててしまい、声が裏返った。


「前のドアが空いてるから誰か来たのかな〜って」


前のドアに視線を向けると確かに空いていた。

「さっき同じ実行委員の子が来て少し話したんだよ」


「そうなんだね、誰が来たの?」


彼女は誰が来たが気になったのか首を傾げる。


「二組の包島さんって人だよ」


「もしかして包島冥ちゃん?」


彼女は机から乗り出し僕に顔を近づけてくる。

「言ノ葉さんは包島さんと知り合いなの?」


僕は言ノ葉さんと包島さんの関係が気になり咄嗟に口が開いてしまう。


言ノ葉さんが包島さんと友達という違和感が僕の脈を荒立てる。


「知り合いっていうか同中で友達なんだよね」


彼女はスマホを取り出すと包島さんとのツーショット写真を見せてきた。


「へぇ〜中学同じなんだ、さっき会った時包島さん元気なかったんけど」


僕は言ノ葉さんから目線を逸らさないよう胸元のリボンに見つめる。


「え〜私の前だといつも通りだったけど、ただちょっと前まで体の調子が悪いってことは言ってたかな」


包島さんは友達の前では上手くやっているんだと感心する。


「だから私、冥ちゃん悩んでたからなにか力になってあげないとって思って知り合いの子を紹介したんどよね」


言ノ葉さんが放った言葉が僕の心臓を駆りたてる。


「その紹介した人って、僕と同じクラスの――

山田くんだったり....しない?」


包島さんはさっき友達に紹介してもらったと言っていた。その友達というのが言ノ葉さんということの衝撃を隠せず、言葉に詰まってしまう。


「.....冥ちゃん言っちゃったんだ」


言ノ葉さんは誰にも聞こえない声でボソッと喋った。


「今なんか言った?」


僕は言ノ葉さんの声が聞き取れず聞き返してしまう。


「ううん、なんでもない、それで、達右くんが知ってるのはどうして?」


「さっき....包島さんと話してる時にちょうどその話題になって山田くんのおかげで体のコンディション治ったって言ってたからさ」


言ノ葉さんが山田くんを紹介したのは偶然なのか、それとも意図して....そんなことが頭をよぎってしまう。


心臓の音が早くなり、顔全体に暑さが帯びていく。


「そういう事ね」


言ノ葉さんは不思議そうに聞いているのにも関わらず、僕が知っていることが当然のような態度をしていた。


「冥ちゃんはその後なんか言ってた?」


「いや特には言ってなかったかな」


「ほんとに?」


「ああ、うん」


僕は一瞬言ノ葉さんから目を逸らしてしまう。


「ふーん.....まあいいや」


僕は彼女の口角が少し上がったように感じた

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