探し物とガトーショコラ⑤
Stockなくなってきたので投稿頻度落ちます。
「図書室と美術室ってこんな離れ過ぎじゃない?」
僕たちは先程居た図書室から美術室への移動中雑談に花を咲かせていた。
「そうだね、端と端にあるってのもだし、一階から三階だとなおのこと遠いいよね」
「だよな、移動教室の時とか結構早めに行かないと遅れるし、遠いから遅れましたなんて言った暁にはこっぴどく叱られるからたまったもんじゃねーよ」
そう馬場くんの言う通り十五分の休み時間で移動する距離ではないので移動教室の際はもう少し時間に関して寛容にして欲しい、まあ無理だと思うが。
「それにしても旧校舎っていつ来ても静かだよね」
「まああんま使ってる人いねーからな」
北東高校の旧校舎は元々使われていた校舎だけあり、かなりの広さがある。現在では特別教室や文化系の部活の活動場所として主に使われているが、一日を通して利用している人はさほど多くない。
「でも」
「私は」
僕と言ノ葉の言葉が被ってしまう。
「ごめん、いいよ言ノ葉さん」
「ふふふ私たち息ぴったりだね」
言ノ葉さんはくすくすと笑っている。
僕は一体一での会話なら問題なくできるのだが複数人での会話に苦手意識がある。
というのもどのタイミングで話していいかが掴みにくいし誰に話しているたまにかわからなくなったりするので、考えてから話すタイプの僕からすると非常にやりにくい。
「私は静かな方が好きだから利用する人が少ない方がいいな。校舎が使われなくなっちゃうのはちょっと寂しいけど」
「じゃあ次は僕の番かな、改めてでもこうも人がいないとなにか悪さをする人が出てきてもおかしくないよね」
「悪さって?」
「例えばだけど禁止されてるもの持ってきたりとか、やっちゃいけないことしたりとか」
「達右くんの考えすぎじゃない」
「いやそんなことねーぞ」
先頭を歩く馬場くんがいきなり立ち止まり振り向きざまに告げる。
「俺の先輩の友達は教師陣にタバコみつかってこっぴどく絞られたって話聞いたぜ」
「へぇ〜そうなんだ、案外身近に悪いことやってる人いたりするのかもね」
「そうかもな、ま俺には関係ねえが」
そう実際のことろ旧校舎は利用する人が少ないという理由で使われていないのは事実なのだが、それに加え素行の悪い生徒の溜まり場になってしまっている側面があるのも利用されないことに拍車をかけているのだ。
「それに加えて女の子の前だと言いにくいんだけど.....」
「もったいぶらずに言ってよ達右くん!」
先程からこの手の話に乗り気じゃなかった言ノ葉さんだが興味津々な目をこちらに向けてきた。
「まあ、なんて言うか、その、そういった行為をする目的で空き教室なんかが使わてるって噂もある.....らしい」
「ふ〜ん興味あるんだ」
「別にそう言う訳じゃないけど」
からかわれるのはいつもの事だが言ノ葉さんはこの手の話に抵抗を示さないのは以外であった。
「逆に言ノ葉さんはこういう話苦手じゃないの?女の子なんだし」
「女の子だからってこういうはなししないわけじゃないよ、友達とも普通にするし。まあ人前ではあんまり話したくないけど、今回は達右くんとだったらいいかなって」
自分から話を振っておいてあれだが、恥ずかしくなり言ノ葉さんの方を向けなかった。
「さっきから見てたがお前ら仲良いよな」
助け舟を出してくれたのか、それとも別の意図があったのかは定かではないがグッドタイミングで馬場くんが入ってきてくれた。
「まあわりと....ね」
馬場くんが歩き出したので僕と言ノ葉さんも後を追うように歩き出した。先程は見れなかったが一瞬言ノ葉さんを横目で覗くと冷たい目線を馬場くんに向けていた。
僕との会話を邪魔されたのが嫌だったのか、話をさえぎられたことが嫌だったのかはわからないが理由を尋ねられる空気ではなかったので馬場くんの背中を見つめることしかできなかった。
ここ数日言ノ葉と接してきて何か隠していることがあることまでは空気感で感じていたのだが、ここまで露骨に表に出すのは初めて見た気がする。
――
「着いたね」
僕たち三人は旧校舎三階右端にある美術室へと到着した。
「あれ美術室の鍵って誰か貰ってきた?」
馬場くんも言ノ葉さんは首を横に振っている。
昨日は鍵を貰い忘れたが運が良かったため入れたものの今回ばかりはそうとはいかない。
「昨日も美術室に用があって行ったんだけどその時はまたまた空いてたんだよね。多分誰かが閉め忘れたんだと思うんだけど」
「鍵閉め忘れるなんておっちょこちょいな人もいるんだね」
「まあ急いでたりしたんじゃない、そいえば馬場くんは昨日何しに旧校舎に行ったの?」
「俺か?忘れ物を取りに行ったんだよ」
「あの時出てきた方って美術室の方だよね?もしかして昨日美術室にいたのって馬場くんだったりしない?」
昨日馬場くんは左側の通路から出てきていた。左側には美術室と空き教室しかなく、美術室を利用していたと考えるのが自然だ。
「ああいたな」
「なんだもっと早く言ってくれれば良かったのに。馬場くんのおかげで美術室入れ手助かったんだから」
「言うタイミングがわからなくてよ」
たしかにこの話の流れで自分が美術室いたことを名乗りでにくい気持ちはわからなくもない。犯人探しぽいことをしているので名乗り出にくいのは当然だろう。
「俺も閉め忘れてごめんな、達右はあの後どうしたんだ?」
「えーっとね、とりあえず内側から鍵を閉めて上の小窓から出てって感じで」
「えっ、達右くんって忍者だったの?」
「いやいそんなことなくて誰でもあれくらいはできるよ。足をかける位置さえ気をつければね」
「いや無理だろ」
馬場くんは即答する。
大柄の人は無理かもしれないが僕くらいの身長で多少体が柔らかかったら行けると思うのだが、他の人の感覚ではそうではないらしい。
「それじゃあ僕が鍵貰ってくるから二人はここで待ってて」
「いや私が貰ってくるよ」
「言ノ葉さんに取ってきてもらうのは気が引けるから僕が行く」
旧校舎から職員室のある新校舎まで言ノ葉さんを走らせるのは正直気が引ける。それに時間的にも僕が取りに行った方が速いので僕が行く方が最善だろう。
「私の捜し物をして貰ってるんだから私が行くのが筋だと思う。だから私に行かせて」
言ノ葉さんはここに関しては譲る気がないらしいので僕は折れることにした。
「わかった、じゃあお願い。その間馬場くんと待ってるから」
「任せて!」
そういうと言ノ葉さんは階段の方へと駆けて行った。




