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6話  ~わたしの姉は優秀です~


『人には人それぞれの役目があるの』


「わたしの役目はなんですか?」


『あなたはお姫様。いつかは王子様のお嫁さんになる。そのために己を磨きなさい』


「己を磨く......?」


『魔法も勉強も踊りも稽古も身だしなみ、振る舞い......あなたがいつも頑張っていることを続ければいいのです』



『魔法は貴族のたしなみです。魔法が使えるからこそ、高貴でいられるのです』



夢を見ていた。

夢を見るのは久しぶりだと思った。

いつも楽しそうな夢ばかりね、と言われるが、夢の内容は覚えていない。夢を見た感覚すらない。


「今日こそは氷魔法を習得するぞぉ~!」と拳をにぎり、高く手をあげ、鏡の前に座る。

ぼさぼさの髪に花のオイルを塗って、櫛で梳かしはじめる。


わたしには姉がいる。けれどわたしたちは双子だ。

だから姉といっても年齢は一緒。


鏡に映るわたしと、いつも見る姉の姿はとても似ている。目の形、大きさ、輪郭、鼻筋、体の大きさ、身長、ふわふわとしたくせのある髪質、ちょっと太い眉毛。

ちょっとこもってて高く響く声もそっくりだ。


そんなわたしたちを見分ける方法がある。

髪色だ。

姉の髪色は遠くから見ても目立つほどの紅の色だった。眉毛も紅。睫毛や目のラインも光の反射によっては紅色がうっすらと見える。

対して、わたしは母譲りの金色だ。黄金の髪色は母譲りで美しさとは別に気に入っている。愛着があるのだ。

睫毛も眉毛も金色。


母譲りといえば、エメラルドの瞳は頬譲りのものだ。

父の瞳は赤くくすんだ色をしている。

姉も同じく母様譲りのエメラルドの美しい瞳だった。

こんなこと問う様にいう気はないが、父のくすんだ暗い目は御免だと思っている。本人には言わないけどね~。


「…………。今日は魔法のレッスン。昨日できなかったこと、できるようにならなきゃっ★」


姉とわたしは似ている。

とても似ていて見分けがつかないほどに似ている。

だからこそ姉妹や家族以上に愛着がある。

そして。だからこそ。


「どうしてこんなに違うのかな......」


どうして同じ見た目と同じ母を持ちながら、こんなに違いがあるのだろう。

わたしの姉はとてもできる人だった。優秀だった。

わたしがこれから頑張ろうと思ったことが、すでに姉はできるようになっていた。

スタート地点から差があった。

周囲は天才だから、と褒める。そう姉は天才なのだ。難しい言葉を知っている。物覚えがいい。反感を買わない言葉選びができる。嫌なことを言われても我慢できる。


姉は母から褒められる。

そんな優れた姉のようになるために......


「今日も頑張るぞっ★」


鏡の前で拳を小さく握りしめた。

わたしの笑顔は今日も口角があがっていて、可愛い。

あの不愛想な姉とはえらい違いだ。

朝ごはんはなにかな、と思いながら。わたしは寝室をあとにした。



たまには語りてを変えるのもいいかな、と思い、妹の視点で挑戦しました。年齢を考えると、幼い子の語彙力に合わせるのはとても大変というかできてないよね

まぁお姫様だから英才教育だから、異常に有能な語彙力は教育と努力の賜物だと思い込んでいます。

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