彼女の自爆スイッチについて
高校の頃、こんな僕にも彼女ができた。
今日はその彼女について話そう。
彼女との出会いはある日の保健室だった。
僕は正直なところ、真面目なほうではなかったから、その日も仮病をつかって保健室で暇を潰していた。
すると入口の扉が開いて保健室の先生が入ってきた。
「大丈夫?」
先生に肩を借りながら保健室に入ってきたその生徒こそが彼女だった。
ぼーっと彼女を見ていると、
「またどうして自爆スイッチなんて押しちゃったのよ。」
冷たい水とおしぼりを彼女の額にあてながら先生が聞いた。
「だって、捨て猫がいたから……」
可愛い子だなと思った。
僕なんて中学の頃こそしょっちゅう自爆しており、通信簿に『お子さまは少し自爆しやすいところがあります』などと書かれていたが、高校にあがった辺りから滅多なことでは自爆しなくなった。
「あのね、自爆するのは決して悪いことじゃないの、中学生や高校生は多感な時期だから自爆しちゃうものなのよ。」
保健室の先生は彼女にそう説明していた。
それ以降たまに保健室で会うようになり、顔を合わせ他愛ない話を重ねるようになった。好きな音楽がBUCK-TICKや爆風スランプだと聞いたときには危うく自爆するとこだった。いつしかそれくらい彼女に好意を抱くようになっていたのだ。
そして僕はある日、意を決して彼女に告白をした。
すると、途端に彼女は顔を真っ赤にして俯き、僕とは反対の方向を向いてしまった。
ダメだったか、と天を仰いだそのとき、
「ん?お、おい。WARNING出ちゃってるぞ!」
紅潮する彼女の頭上には黒と黄色の文字で『WARNING』が点滅していた。
先生もアラートに気付き振り返った。
「あら、WARNINGまで出ちゃってるじゃない。」
「え、えっ、どうしよう。」
焦る彼女はさらに顔を赤らめていると、
「そうなっちゃったら、1回自爆しちゃったほうが楽よ!」
先生が言うので、結局は言われるがままに自爆スイッチを押した。
彼女が目覚めたときには夕方になっていた。
「急に自爆してごめんね。」
「びっくりしたよ。でも具合はよくなったみたいだね。」
立ち上がり帰ろうとすると、
「あの、さっきの返事だけど……私でよければ……お願いします。」
そう答える頬はやっぱり赤らんでいた。
どこかでアラートが鳴っているが彼女の頭上にWARNINGは出ていなかった。