「出口を目指せ」
「やったぜェ! 」
「ああ、よくやったガイト」
「オレにかかれば軽いですよ……なんて、皆さんがドラゴンの口を開いてくださったからですよ」
「随分と素直なのね」
「時にそういうのも大切だ」
動かなくなったドラゴンを背に拍手に包まれながら喜びを分かち合う。お世辞とかではなく本心だ。本当にこのチームでよかったと心からそう言える。
「さて、両チームともドラゴンを討伐致しましたので判定ということになりますが……」
各学園の教師が座っている審査員の席を見る。驚くことに皆がルドラ学園の札をあげていた。
「な、なんと全員一致でルドラ学園だああああああああああああ! 」
再び歓声が上がる。こうして、一回戦はオレ達が無事に勝利したのだった。
~~
会場を移動して二回戦は第二コロシアム。観客席はかなり高い位置にあり階段で上るのに苦労したが何故こんなに高いのか上ってみてその理由が分かった。普段なら何もないはずのフィールドには大きなダンジョンが出来上がっているのだ。
「二年連続でダンジョンか」
「盲点と言えば盲点だったわ」
「だが、こちらにはアローがいる」
「いけすかねえがよォ、あいつなら同じ失敗を二度したりはしねえからなァ」
「そうですね、アローさんがいれば大丈夫ですね」
激しく同意を示す。一回戦はソウルの偏りはあったものの年齢の偏りはなかった、それはつまり今回も同じということだ。となると単純に考えても三期生をも凌ぐアローさんがいるというのは大きい。
「てかよォ、ガイトなら飛んで終わってたんじゃねえかァ」
「確かにそうだな。ダンジョン史上最速記録になっていたかもな」
「でも、ブーイングはされるでしょうね」
「ありえますね」
「ハハハ、それを考えると一回戦で良かったです」
確かに、ヴィルゲルさんの言う通りオレが二回戦だったら光の翼で見学用に上が空いているダンジョンを飛んで行くことは出来ただろう。でも、これは勝敗を決めることはあれどあくまで交流戦だ。そんな盛り上がらないことをしてブーイングというのはオレも本意ではない。
「それでは両チームとも入場です」
司会の声で我に返る。いつの間にか二回戦開始直前のようだ。スタート地点は見事に左右対照的な位置にありゴールらしき出口は直角の真上の位置に存在した。ただ、そこまでの道はかなり入り組んでいて所々にモンスター達の姿も見て取れた。一筋縄ではいかなそうだ。
「剣を使用するため選手を狙うのは禁止、両チーム共にメンバー一名でも辿り着いた方が勝利です。それでは試合開始」
宣言と共に両チームが動き出す、このゲームはスピード勝負なためこのような何もない場所では急ぐ方が良い、と思ったのだけど走り出したのはアローさんとシラさんの二人だけでヘルガさんとマリレーナさんはゆっくりと移動している、ノーブル学園の生徒に至っては動いてすらいなかった。
どういうことだろう?
考えると一つの案が頭に浮かびあがる。
「そういえば、このゲーム、オレがいなくてもガイアの人がいれば土台作って見下ろせるんじゃないですか」
「ところがよォ、そうはいかねぇんだァ」
「そうなんですか? 」
ヴィルゲルさんの顔をしかめる。何やら深刻な事情がありそうだ。
「その作戦を相手が試みているようだ。百聞は一見に如かず、だ」
アントーンさんに指摘されてノーブル学園側を見ると一人の生徒が大小二つの岩を地面から出現させていた。それを確認した生徒がまず小さい岩に足場代わりに飛び乗り次に大きな岩に乗ろうとしたその時だった。
ドゴォン!
旋風が岩を切り裂く。逆算して攻撃の出た方向を見るとそこにはアローさんが立っていた。
「攻撃は禁止だったはずでは」
「今のは足場に対しての攻撃だからセーフなのよ」
「なるほど」
「まあ、そこのとこはいい加減っちゃいい加減だな」
ウォルバーストさんが笑い飛ばしたかと思うと即座に険しい顔をして見せる。
「とはいえ、敵も一筋縄じゃいかねえみてえだ」
言われてノーブル学園チームに視線を戻すと足場を破壊された生徒とは異なる茶色のズボンを穿いた生徒が剣を地面に突き刺している。あの仕草はカルロスさんがやっていたものだ。
「もしかして、生徒なのに地形把握を」
「他のソウルからすると珍しく感じるかもしれないがガイアでは一期生の時には身に着ける技術だ。とはいえ精度も個人差があるためどこまで正確に地形を把握できるかは不明瞭だが……」
「つまりィ、奴らは上と下両方から仕掛けてたってわけかァ」
「なかなかやるわね。それにリーダーさんはどう戦うのかしら」
「……アローさん」
彼なら何とかしてくれるはずだ。そう信じてオレは彼を見つめた。




