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裏切りと信頼の境界線  作者: 三枝愛依
3/13

理不尽と生存の境界線

夜風が傷だらけの頬を痛めつけるように当たる。


僕の意識は自然と戻って、ぼやけた視界が月光(つきひかり)で周りを映し出す。


地面はジャリジャリとした礫の砂浜、一定のリズムを刻んで耳に届く潮の音、濡れて体温を奪う制服、森の静けさとただ続く水平線が見える。


やられた、僕達はあいつら(教師)にハメられたのだ。


僕は恐る恐る立ち上がり、月光で照らされた空を見上げる。星々が綺麗な空だ。


まるで心が落ち着く、こんな状況なのに忘れてしまいそうな程に...。


だが、そんな安心感も視界の横に見える聳え立つ(そびえたつ)鉄塔によって吹き飛ぶ。


間違いない、断言出来る。


あれはベルリア(神の鉄塔)だ。



──つまり、ここは暴食島だ。──




僕は焦りと恐怖で声を上げた。


「叶ぇぇえ!!俊介ぇええ!!」


二人の返事は勿論ない、ここに流れ着いた保証も無ければ流れ着いたとて今のこの瞬間まで生きているかも保証はない。漂流というだけで危ないのに、ここは人すらも喰らう民族が住む島だ。



僕が焦って周りを見渡していると横の草木から物音がした、この状況下では90パーセントが奴らだ。

僕が叫んだから近寄ってきたのかもしれない。


だが好都合だ、奴らが僕の方に近寄ってきたのなら幾分かの数は僕の方に居るわけだ。


そうなると叶や俊介が仮に流れ着いてたとして襲われる可能性は微々たるものだが、低くなったと言うことだ。



「こ、声がここからしたような...っと。」


奴らの中には人語も喋る、油断はできない。


姿を現すまでは絶対に姿勢を崩さない。


僕がガサゴソと鳴り続ける草木を睨んでいると薄紫色の髪をした僕と同い年の男子生徒が出てきた。


「誰だっ!!」


僕が手を伸ばすと目の前の男子生徒は慌てて喋る。


「おぉい!!俺はお前の敵じゃねぇよ、つかなんでそんな警戒してんだよ」

「と言うか、俺以外にこの島に流れ着いた奴が居て安心したぜ。全く、ここはどこなんだよ...なぁ?」


急に出てきたと思ったら、微笑みながら僕の肩を叩いて笑い出した。


こいつは確か......。


「わりぃ、俺と関わり無かったけ? 俺の名前は紗燈 瀬(さとう らい)制服見てくれりゃ分かるけど俺はクロス(異能)持ちでクロス(異能)


──オールシェッダー《万物動流》──」

「まぁ、万物の全てを自身の体で動かすことの出来るクロス(異能)だ、勿論重たけりゃその分時間は掛かるけどな」


成程、使いようによっては強いクロス(異能)だな。


「で、お前は?」


僕は微笑みながら手を差し伸べて自己紹介をする。


「僕は、透空蒼夜(とうそらあおや)っていう名前だ、クロス(異能)


──アンチ・ライトニング《引力創造》──


名前は重力を創るみたいな感じだけど、実際は重力によって吸い込まれる球体を生み出すクロス(異能)

だよ。この大きさに比例して重力は大きくなる。」


「へぇ〜、すげぇな。お前のクロス(異能)!!」

「めちゃかっけぇじゃん、俺のゴリラパワーみたいなクロス(異能)と違って、俺そういうの憧れるわぁ笑」


「ありがとな笑 でも瀬のクロス(異能)もすげぇと思うぞ、使い方によってはスーパーヒーローだな!笑」


こんな状況下だから、普段はなんの面白みもない話もこうやって笑える、こうやって自分の心を落ち着かせようとする。僕にとってこいつは必須で、こいつの存在は書かせないかもしれない。この一瞬で分かったことは、こいつは


──真のスーパーヒーロー(正義の味方)になれる気がした。──


再び、物音がして僕は身構える。

だが、瀬はおっ?と言った様子で物音の方へと駆け寄る。


そうだ、こいつは知らなかったんだ、この島について。


「瀬!! 生徒じゃなければそこから下がれ!!」


瀬は「えっ?」と言った様子でこっちに振り向く。


月光(つきひかり)が草陰の人物を照らした。


四足歩行で歩く、人型のアシガ(暴食民族)で間違いない。


奴は奇声を発する。


「キェェエエエエ!!」


顔面が最早、人の形ではない。

だが、不幸なことに歯だけは立派に尖っている。

まるで獲物を捕食する刃のように汚れているも研がれているような歯が瀬を襲う。


「下がれっ!!瀬ぃい!!」


瀬は目の前の光景に硬直するも数コンマ遅れて後ろに下がり、アシガ(暴食民族)の飛びつきを回避する。


「キッ、ギギッ、ギェェエエエ!!!」


奴は明らかに腹を立てて、確実に仕留める為に瀬の足元に接近しようとするが瀬もまた足早に逃げ出す。


すると、僕に視線を送って指で奴を指す。


「全力で逃げろよっ瀬!!吸い込まれても責任取れねぇからなっ!!」


僕は人より少し大きめのアンチ・ライトニング(引力球体)アシガ(暴食民族)の後脚の方に生み出す。


球体は容赦なく砂や海水を吸い込んでいき、数メートル距離が離れている僕までもが吸い込まれそうになる。


勿論、アシガ(暴食民族)がどれだけ速くても重力には重さがある限り、逆らえない。


「ギギギッ、ギェェエエエ!!!」


前後の脚で砂を掻いて抗うが呆気なく吸い込まれて球体はは消え、何事も無かったかのように空間だけはもとに戻った。


「はぁあ!!...死ぬかと思ったぁぁぁ!!」


瀬は砂浜に背を倒して声を上げる。


「蒼夜、あいつらの事知ってるの?」


そうだ、この島に流れ着いた以上、皆にもだが瀬にもあいつらのことを話しておかなければならない。


「暴食島って知ってるよな?」


「あぁ、アシガ(暴食民族)って言う、人を喰らう民族が隔離された島だろ?」


「そう、そこがここ。僕達は運悪くここに流れ着いた。」


「は?」


瀬は表情を固めたまま質問してくる。


「脱出方法は?」


「幾つかあるけどほとんど確率は一桁」


「皆は?」


「中には喰われてる人もいるかも」


「蒼夜!! こんな所で休んでる場合じゃねぇ!! 皆を探しに行くぞっ!!」


瀬は僕の腕を握って砂浜をウサ○ン・ボルトよりも速く駆け抜ける。


こいつはやっぱり、今の皆にとって必要不可欠な存在だ。






「先生!!桜木さんが、目を覚ましました!」


俺の視界に映るのは、流れ着いた数少ない皆とその過半数が倒れている光景、そこに意識が戻った者達が汗を垂らして皆を蘇生しようとしている図が加わっている。


「ちょっと逸雅!!手が空いてるなら皆の助けに回ってよ!!」


「お、おう!」


俺は砂を蹴って倒れているクラスメイトのもとに駆け寄る。


「立花!!しっかりしろ、立花!!」


俺は近くにいたクラスメイトの立花黎歌(たちばなれいか)に話し掛ける。


「立花っ!!しっかりしろ、水が入ってんのか?」


俺は素人なりに背中を叩いたり、肩を揺さぶったり、心臓マッサージなど色々と試して立花を蘇生しようと必死になる。


すると、遠方から声が聞こえてきた。


「叶ぇええ!!!俊介ぇええ!!!」


あれは、蒼夜だっ!!蒼夜も無事だったんだ。


俺は安堵の涙と必死の汗を混じりながらぽたぽたと砂地に落とす。


「立花を蘇生したら、迎いに行こうっ!!」


俺は焦った勢いで先より速く力強く心臓マッサージを行う。


「頼む、立花!!早く目を覚ましてくれっ!!」


「げほっ!ごほっ!!」


立花は口から水を吐いて目を覚ます。


「立花っ!!...叶!立花が目を覚ました!!悪ぃけど、こいつも見てやってくれ!俺は蒼夜の方に行ってくる!!」


「はぁ?! 私も行きたいのに......もうっ!!」






「蒼夜ぁあ!!」


僕たち(瀬に引っ張られて)走っていると遠方から、俊介が走ってくるのが見えた。


「俊介っ!!」


「蒼夜っ!」


僕は俊介と再会のタッチをしてから、直ぐにこの島について話した。




「おいおい、マジかよ......皆、あっちで倒れてる奴らを覚まそうとしてる!!蒼夜も手伝ってくれ!!早くしないとあいつらが来るんだろ?!」


「おう!!行くぞ、瀬っ!!!」


僕達は三人で皆のもとに向かう。




草木の奥から数体のアシガ(暴食民族)が三人を見ていた。


「ハラヘッタ......オメグミ...オニク...」


「|まだおちついてみはじゅくしてからがいちばんうまいから《まだ落ち着いて実は熟してからが一番美味いから》」





僕は皆のもとに着くとすぐに叶のもとに駆け寄る。


「叶!」


叶は振り向くと僕の胸に抱き着いてきた。


まぁなんとも可愛らしい幼馴染なことだ。

──いつものあいつを知らなければな。──


「叶、気持ちは分かるが離れてくれ。それよりここは危険だ、一刻も早く皆を起こして起きないやつは担いで安全な場所に移動しよう!」


「どうして?」


叶が聞いてくるから僕はあえて皆に聞こえるように言った。


「この島は暴食島だ。」


僕はそう言ってベルリア(神の鉄塔)を指した。


「ほん...と...だ」


「蒼夜君、それは誠ですか?」


委員長の蓮斗が焦った顔で聞いてくる。


「うん、一刻を争うから早く起こして!」


すると僕の肩を掴んで静止する一人の教師がいた。


山口健(やまぐちけん)あの船舶で沈没する前に個室で話していた教師の片方であり、三年一組の担任。そう、つい数時間前に僕の出席番号と名前をどうたらとか言っていた奴だ。


「ここで担いで逃げたとして皆の体力を大幅に失うだけで奴らはすぐに位置を特定して襲いに来るだろう、そうなればいずれ戦闘になる、ならば今誰か見張りをつけて......」


僕は怒りのあまり、担任を殴る。


「黙れっ!! てめぇらが、全て裏でこの事態を引き起こしたんだろうがよぉ!!!」


僕は担任の胸ぐらを掴んで揺さぶる。


担任は僕の手を叩いて怒号を飛ばしてくる。


「教師に向かってその態度はなんだっ?!」


「うるせぇっ!! てめぇらに教師を名乗る資格はねぇっ!!」


僕は馬鹿だ、僕はアホだ、僕は最低だ。


怒りのあまり身勝手なことをした。


──奴らが寄ってきたのだ。──



草木を踏む足音が聴こえた。


「俊介!叶!委員長!瀬!!構えろっ!!」


全員が意図を察したかのようにクロス(異能)を発動させる、と言っても瀬と叶はとても戦闘向きではない。


伊上委員長のクロス(異能)も相手の動きを制限しその枷が自分にも巻き付いてしまうクロス(異能)


──コンダクト・リミット《対象制限》──


そして何より、目の前に居るアシガ(暴食民族)

の数は余裕で20を超える。


「俊介っ!!エネルギーで薄くて良いから結界を張ってくれぇっ!!」


俊介は紙より薄い結界を数名のアシガ(暴食民族)を閉じ込める形で張る、だがそれで十分だ。

つついたら破れるだろう、でもそれでいい。


僕は指を鳴らしてその空間内に強力な引力を持つアンチ・ライトニング(引力球体)を生成して結界ごとアシガ(暴食民族)を吸い込んでいく。

結界が剥がれた後にすぐに閉じる。


だが、これは効率が悪いかもしれない、なぜなら俊介の負担が大きいからだ。


こいつのクロス(異能)はエネルギーを物体に変換して扱うクロス(異能)

──エネルギー・クリエイト《疑似物体》──


は代償などは無いが普通に使っていると疲れるらしい。

それも結界と言った大きさによって変わる物体変換は余計に疲れるし維持しなければならない、何故なら破られるから。一度物体に変換したらそいつが壊れるまで使えるし維持する必要は無いが結界は本来、破られず守るものを守る為に作るもの故に維持しなければならない。

よってこの方法は俊介が単純に可哀想だ、それにイザ逃げる時にこいつがヘトヘトではそれこそ負担になる。


「ハラ...ヘッタ......オマエラ......イケニエ...オイノリ」


「黙れっ!!人喰い猿がっ!!!」


僕が怒鳴ると俊介がすかさずエネルギーを剣へと変換して駆け出す。


僕はすかさず委員長に言った。


「俊介が狙う アシガ(暴食民族)の動きだけを封じてくれ!」


アシガ(暴食民族)に限る、行動の一切を制限せよ」


アシガ(暴食民族)と共に委員長はガチガチになる。


「委員長、まじ神だわっ!!!」


俊介は次から次へとスパスパとアシガ(暴食民族)の首を斬っていく。


だが、コイツらはこんなのでは死なないしそもそも死なない。


「よっしゃあっ!!」


一通り、斬り終えると俊介はエネルギーの剣を手から離して分解し勝利の舞をする。


だが、油断してはダメだ。


音が聴こえた、空気を切り裂く矢の音。


「|アンチ・ライトニング!!《引力創造》」

音が聴こえた方向の奥にどでかい引力の球体を生み出してすぐに消す。


矢は弾道がズレて俊介の真横に突き刺さる。



「まだ居るぞっ!!それにこいつらは不死身だ!燃やして全てを灰にするか身を完全に滅ぼさないと死なない!」


「おいおい、逃げるしかねぇだろ!!」


隠れていたアシガ(暴食民族)がぞろぞろと草木の陰から出てくる、四足歩行のアシガ(暴食民族)、石槍や石の棍棒を持つ二足歩行のアシガ(暴食民族)が出てくる。その数、優に40は超えているだろう。


「全員、なんとしても死なずに皆を守れぇぇえ!!!」


僕の叫びが島全体を響かせた。






──IKSO(国際異能研究組織)──


「総司令、船舶(せんぱく)に乗員して居た生徒を含む船員、教職員の数十名が、暴食島に漂流(ひょうりゅう)しました。」


制服を着た成年男性の職員が統括責任者である、伏滑静に洗練された敬礼する。


「報告ご苦労、数十名ということは生徒達、全員が流れ着いた訳では無いのかね?」


「はい、過半数が溺死や船舶の傾きによって落下した物体の衝突、海洋に生息する肉食生物の餌食になるなどといった死因で多くの犠牲者が出ており、今回の計画を成功させる鍵となるクロス(異能)持ちはたったの数十名です。」


伏滑静は大層、不機嫌な表情を浮かべる。


死者が出た事への怒りなのは確かだ。

だが、生徒たちを思っての怒りなどではない、この男はそんな優しい感情は持ち合わせていないからだ。


クロス(異能)という奇跡の力を持ちながら、我々の正しき教育を施された上で死んだだと?......ありえん...呆れるにも程があるというものだ」


その言葉を全人類が聞いたら、過半数がこう言うだろう。


──「それはお前の事だ」──。


私もその言葉を聞いた瞬間、目の前にいる私の上司がどれほどクソで残酷な人間なのか、改めて痛感した。


「総司令、私は確かにこの計画に協力しました、これで私達の生活が安定するまでの間、援助を受けることが出来るという約束は果たしてもらいます。」


私は伏滑静に確かにそう言った。


元々、私は子供好きだ。何より私が子持ちだから、本来こういった仕事は全くもって好かない。

特に今回の計画なんてまるで子供を道具のように扱っているのと変わらない、だからとっとと契約内容で私がすべきことを終わらせたのだ。

因みに契約した際の内容は以下の通りだ。


生活援助契約


1─本計画に参加し協力して成功を目的に紗燈香は暴食島に生徒一同が無事、漂流出来るように我々をサポートする手立てをすること。


2─1が無事に達成できた場合は報酬として紗燈香を含む一家の生活が安定するまでの間、全面的に援助する。


3─1が達成出来なかった際は2の報酬の一切を渡さずに本契約は取消しとする。


4─IKSO(国際異能研究組織)で得た内部の情報の一切を口外しない事。


5─本契約は以下の四つを踏まえて成立する事とする。


─────────────────────────


私の心臓の音が体の隅々まで大きく響かせる。


私はこの時を待っていた、私はこの為に今まで苦労をしてきた、私はやっと自分の子供と幸せになれるのだ。


──私は彼の放つ言葉を聞いて絶句した。──


「その契約は取消しだ」


一瞬の絶句、数秒後には私は焦りを顔に浮かべて怒号にも近い声で伏滑静に問い質す。


「何故ですっ?! 私は確かに彼らを暴食島まで漂流させるサポートをしました! 私は完璧に本計画をこなしたはずです!」


伏滑静は椅子を回して私の方を向いて、黒く光るサングラスを少し下げると下から覗くように私を見つめる。


「笑わせるな、契約書の内容をよく見直せ」


伏滑静は胸ポケットのボールペンで契約書に線を引く。


「線を引いた所をよく理解しろ、理解した時お前は自分の愚かさに嘆きたくなるだろう」


私は伏滑静から契約書を受け取ると線の引かれた文字を見る。


──生徒一同が、無事漂流出来るように──


──1が達成できなかった際は2の報酬の一切を渡さずに本契約は取消しとする──


生徒一同...?。


「お前は勘違いをしているのか知らないが、契約書に書かれている生徒一同の意味は特別校に在校する三年生徒一同の事だ。報告では死者が出たと聞いたが?」


そんなっ?!...あの数の生徒を漂流という形で無事に全員、暴食島に届けるなんて不可能に近いじゃないっ!!


クロス(異能)も持たない私に出来るような事じゃない!。


「お前はこう思っているだろうな、クロス(異能)も持たない自分に出来る業ではない...と」


「その通りです、総司令。何事にも犠牲が付き物です」


「犠牲が付き物だと?...子供を死なせたのお前だっ!!」


伏滑静はとんでもない事を言い出した。


「お前がしっかり我々をサポートしていれば、今回のような犠牲は一人として出なかった!!死者の片付けは我々がする、お前は自身の失敗で首が飛ばなかった事を感謝してとっとと、この場から去れっ!!」


責任転嫁にも程がある、何を言っているのだろう。


私はサポートをしろと言われただけで、本計画の計画案を立てたのは私では無い、主な計画の骨組みを作ったのは全てこのクソッタレな元上司の伏滑静だ。


「総司令、私の愚行をお許しください。」


だが、これが世の中の理不尽だ。

これが世の理だ、これが社会だ、これが世の裏なのだ。


金に目が眩んだ私が愚かだった、金さえ安定すれば(らい)に仕送りやお小遣いをあげたり、と今まで出来なかった母親としての責務を果たせると思っていた。


間接的に親として子供に愛を送れると思っていた、クロス(異能)持ちだから幼稚園を卒業してから直接的な干渉の一切を親としての愛情を送ることを禁じられた。


許されたのは仕送りや電話、間接的な干渉のみ。


この仕事に着けば、(らい)と話せる機会があるなんて妄想もした。


私は母親としてあの子に何ができただろうか。


今回の計画に巻き込まれないように避けてやることぐらいしか出来なかった、だがまだ道はある。


他の仕事を探してもっと金を稼いであの子が卒業したら、好きなものでもなんでも作ってやれるぐらいの余裕を作ろう。



「あぁ、それとお前の息子の紗燈 瀬(さとう らい)だったか、あいつも今回の計画に巻き込まれた被害者の一人だ。実際、お前が彼を計画に巻き込まれないように避けようとしていた事は知っているが仮に避けられたとしてその時点で契約は取消しになっていた。


──どの道、お前に希望なんて最初からありはしなかったんだよ。──」


私は手元の契約書を落とした。


脳が考えるのを止めた、心が事実を受け止めきれなかった。


視界が霞む、ダイヤモンドより輝く粒に込められた想いは泥より濁った悲痛(かなしみ)だ。


目の前にいる男はなんと言った? 聞き間違いであって欲しい、私は震え掠れた声で再度、聞き直す。


「総司令、今......なんとおっしゃいました...か?」


伏滑静は私の顔を見てもふんっ、と鼻息を漏らして吐き捨てる。その様はまるで先の犠牲の報告を聞いた際の呆れたと言わんばかりの顔で。


「つまり、本計画が成功しようが失敗しようがお前の息子は死ぬ。実際、犠牲者が誰かは確認出来ていない以上、もう死んでいるかもしれないがな」


私は最後までこの男のクズっぷりを把握しきれていなかった。この男はゲスだ、外道だ、人道なんてありはしない。こんな男、死ねばいいのに。


「総司令、質問はもう結構です。最後にひとつだけ、



──とっとと死ね、クズ野郎──。」


私はそれだけ吐き捨てると、周りの一切の干渉を無視して研究室を抜け出して荷物だけ取ってすぐに瀬に電話をかける。


鳴り響く着信音、いつまで経っても止まない着信音。

最後には最も聞きたくなかった機械音声が私の目を濡らす。


──お掛けになった、電話番号は現在使われていないか、電波の届かないところにある可能性があります。──

実はこれ、先にIKSOの方書いて後に暴食島の方書いてるんで最後の暴食島の方、雑になってるんですがもし脱字誤字があればDMなどで報告してくださると嬉しいです。

ちょっとまだ、イマイチ分かってない部分とかあると思いますが今後それも明かしていきますし、まぁ異能系なんで戦闘か逃げるの二択が多いですがそこは許してください。言っても蒼夜くんの引力創造は規模が大きければ自身も皆も吸い込んでしまいかねないので場と使えるものによって戦闘に役立つか変わってくるんですよ、使い方次第ではっていう異能が今作は多いですね、異世界超能力者なんて困ったら足してその異能使うから楽ちんだったのに・・・おっと?!

そんなことありませんよ、しっかり書いてますからね。はぁい。

まぁと言うことで、そろそろお茶を啜って...お茶足りてますか?足りてなかったら近所のスーパーで買ってください。

それでは皆様、お茶を啜ってごきげんよう......。

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