第2話 小さな友達
☆前回までのあらすじ☆
妖精の国へやってきたよ。
「あり得ないほど色鮮やかっていうか、光が溢れすぎて眩しいっていうか、何だか夢の世界に来ちゃったみたいだなー」
自然豊かな丘の上から眼下に広がる光景に、僕は思わずそんなセリフを吐いた。
「そりゃそうよ!妖精は皆頑張り屋さんなの!この光だって私達光の妖精の血の滲むような仕事のお陰なのよ!」
フリージアは自慢げに胸を張った。
「よ、妖精の仕事ってそんなに大変なんだ......」
パパもママもお仕事は何時も大変だと言っている。妖精の世界も結構世知辛いのかな?
「そうよ!仕事中は休憩は1日100回までだし、おやつは30個までだし、まぁどれだけお喋りしててもいいのはせめてもの救いよね!」
「めちゃめちゃホワイト企業じゃん!」
「いやめちゃめちゃ大変なのよ!?もっと甘やかしてくれなきゃやってらんないわ!」
「ドバイの子供達か!」
「ドバイって何よ?ポパイの子孫?オートバイなら持ってるけど」
いやポパイって、もしドバイ国民が皆ポパイの子孫なら、あれだけ経済が発展してるのも納得だけど。
「マジで?!妖精もオートバイ乗るんだ............って、空飛べるじゃん!」
「ま、嘘だけどね!」
「嘘なんかーい!」
そんな僕の様子を見て、フリージアはケラケラと笑っている。
くっそー、何か悔しい!今度仕返ししてやるからな!
そんなこんなで、フリージアと話しながら歩いていたら、もう町の目の前まで来ていた。
「はぇー、すっごい......」
「ここが私たちの住む町よ!案内してあげる!ついてきて!」
フリージアに指を引かれ、僕たちは町の中を周っていく。
そういえば不思議とここに来てから体は大丈夫だ。
さっきまでの重い体が嘘みたいに軽い。お陰でたくさん歩いたのにちっとも辛くない。
これも妖精たちの不思議な力なのかな......?
村の中には大小様々で色取り取りの妖精さん達がいた。
人間の赤ちゃんくらいの大きさの子が1番多いみたいだけど、フリージアみたいな掌くらいの大きさの子もいる。
「はぇー、妖精さんがいっぱい......」
「みんな私の友達よ!」
「みんな?」
「そうよ、あっちの赤い髪の子がカンナ、私の親友!そんであっちの大人しそうな青い髪の子がネモフィラ!私の親友!」
フリージアは指をさしては、あっちの子は誰々で、あっちの子は誰々で......と説明してくれる。
「友達がいっぱいいるんだね」
「そうよ、みーんな友達だからとっても楽しいの!今はお仕事中みたいだからまた今度紹介してあげるわね!」
とびきりの笑顔で誇らしげな姿はとてもかわいい。黄色い羽根と相まって、益々明るさが増すようだ。
「そういえば、妖精さんって色んな大きさの子が居るみたいだけど、フリージアくらいの大きさの子は少ないんだね」
「あら、いいところに気付くじゃない!私たちは妖精なんだけど、それとは別に精霊ってのも居るのよ。で、その精霊に近ければ近いほど体が小さくなるわけね。人間で言うところのハーフみたいなもんよ」
「ん?精霊ってなに?」
「自然のエネルギーそのものみたいな?まぁそんな感じよ!」
うーん......あんまり教えたくないのかも?それとも普通に言葉にしにくいのかな......いや、ただフリージアがおバカなだけかも。
「うん!ありがと!ねえねえフリージア、僕あの綺麗なお城に行ってみたいな」
「ふふん。でしょでしょチョー行きたいでしょ!あのお城が気になるなんてやっぱりあんたは人間にしては目の付け所がいいじゃない!さすが私が見込んだだけのことはあるね!さあ、そうと決まったらとっとと行きましょう!お城は待ってはくれないわよ!」
「お城は待ってはくれると思うよ......」
僕の頭の上で腰に手を当てながら、城に向かって勢いよく指をさすフリージア。
気分は海賊船の船長のようだ。
......ってそしたら僕が海賊船になるのか。
「あいあいさー、キャプテンフリージア!」
僕らはウキウキとした足取りでお城を目指す。
船長になり切ったフリージアはさっきからノリノリだ。
「面舵いっぱーい!」
僕はその場で右を向き、歩く。
「面舵いっぱーい!」
さらに右。
「面舵いっぱーい!」
また右か。
「面舵いっぱーい!!」
一周しちゃったよ!
「......フリージアそれしか知らないの?」
「ふふん、もう一つ知ってるわよ!」
何だか可笑しくなって僕がそう言うと、何故か自信満々に返された。
そして彼女は高らかに言う。
「全速ぜんしーん!!!」
「あいあいさー!」
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