表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦う意思は誰が為か  作者: じりゅー
三章 三度目の朝、二度目の夜
25/25

二十四話 住居の事情

 皆藤とリータさんは和解…というか停戦協定のようなものを結び、時間が時間だったのでひとまずは別れた。

 今回の分を貸しにして、それを返すまでは決して傷つけないと約束したのだ。その証、と言う訳ではないかもしれないがお互いに能力を教え合っていた。

時間を戻す…リータさんの能力には驚かされた。他の能力持ちもそんな感じなのだろうか。

 今はその帰り道。偶然にも道が同じだったリータさんと肩を並べて歩いている。


「リータさんってどの辺に住んでるんだ?」


「ここをもう少し進んだところデス。」


「そうなのか。俺もそうなんだけど…もしかして結構家近いのか?」


「フフ、ありえマスね。」


「近くに新しく引っ越してきた人なんて聞いたことないけどな…」


「そうなんデスか? ワタシは昨日着いたばかりデスからね。話が新し過ぎて聞いてないのかもデス。」


「なるほど…けど、近くに空き家なんてあったかな?」


「ワタシは家族で引っ越してきたのではなく、ホームステイという形で生活させてもらってマス。なので空き家とかは関係ないデスね。」


「そうか、ホームステイか………ん?」


 何かが引っかかる。

 ホームステイ…なんか、聞き流しちゃいけない単語のような――


「…あ、着いた。ここが家だから、また明日な!」


「………」


 家に着いた途端、何故か俺の家を見て固まるリータさん。

 何かあったのだろうか、と思って家を見たが空にUFOが浮いてるわけでもないし屋根になんか得体のしれないものが乗ってるわけでもなかった。


「どうし」

「確矢! ケータイはどうしたの!? 電話にも出ないしSENNは未読のままだし、心配したんだからね!?

 …あ、お帰りリータちゃん。ディナーは出来てるよ!」


「……ん?」


 リータに話しかけようとしたその時、萌音姉が隣の家から出てきた。

 気になったのはその言葉の一部。


「も、萌音姉? 今()()()って…」


「ん? そりゃ、家に帰ってきたらお帰りっていうでしょ?」


「誰が?」


「リータちゃんが。

 …そういえば確矢には言ってなかったね。何故かいないし電話も出なかったから。

 リータちゃんは昨日からウチにホームステイしてるんだ。確矢と同じ学校だから仲良くしてあげてね? あ、けど仲良くなり過ぎて手は出さないように!」


「…………マジで?」


「マジ。」


「マジ…なんデスか? カクヤが隣の家…?」


「うん、マジ。」


 毒がある一節は一切記憶に残らなかった。

 リータさんが、隣の家…萌音姉の家に住んでるだって? しかもリータさんもそれを知らなかったみたいだし……

 急激な展開に付いて行けなかった。何コレ夢? 目が覚めたら萌音姉の家にホームステイしに来たムサいオッサン紹介されるみたいな流れ?


「えと、こういう時はこう言うんデスよね?

 不束者デスが、よろしくお願いします!」


「リータちゃんそれ違う! しかも言うとしたら私!」


 ……そろそろ鳴っても良いんだぜ? 目覚まし時計。






「リータさんってどこに居たの? 何州?」


「向こうではどんな友達が居たの?」


「あっちにもマックス!があるってマジ?」


「発祥だぞバカ。あるに決まってるだろ…あるよね?」


 翌日、リータは改めてクラスの内外のメイト達から質問攻めを受けていた。

 俺は人だかりで埋め尽くされた席に居られなくなったので少し離れた真司の席に来ている。皆藤も一緒だ。


「なあ確矢。お前昨日のモテ期はなんだったんだ?」


「モテ期?」


「誰も付け入れないくらいリータさんがベッタリだっただろ。実は昔会ってたとかそういうのあるんじゃないのか?」


 一瞬本当になんのことかわからなかったが、そういうことか。


「無いぞ、大体金髪の女子とか忘れる訳ないだろ。」


「そーかなー…?」


「…なんで疑ってるんだよ。」


「いや、だって…なあ?」


「だって、ねぇ?」


「え、何? 何2人して。俺だけハブり? 俺ハブりデイなの?」


「そういうんじゃないけど…確矢って鈍感だよねー。」


「ねー。」


「ねーじゃねーんだよねー。

 ねーねー、話戻していーい?」


「いいよねー。」


「ねー。」


 特に意味は無いが、ねーをゲシュタルト崩壊させたところで話を戻す。


「単に席が隣だからサポートしてくれって頼まれてただけだ、深い意味は無い。」


「一緒に帰ってたのに?」


「あれは町の案内を頼まれてただけだ。」


「けどあの後一緒に帰ってたよね。」


「あれはしょうがない、なんせ家の隣に住んでるんだし…帰り道も、必然的に被るっていうか……」


……あ。


「嘘でしょ確矢!? リータさん隣に住んでるの!?」


「わっ、バカ、声がでかい! 聞こえる! 皆に聞こえる!」


「は!? 嘘だろ城野!」


「リータさんの隣に住んでんの!? 馬鹿野郎俺と代われぇ!」


 皆藤の声を聞いてしまった野郎共が俺に詰め寄り始める。

 って言うか皆藤あの後確矢達と会ってたのか? なんて真司が訊いていたのが聞こえたが、そんなの気にする余地も無い。


「しかも城野一人暮らしじゃなかったか!?」


 更にその内の一人がガソリンを追加。


「冗談じゃねえ! リータさんが危ないぞ!」


「リータさんには手ぇ出してねえだろうな!?」


 火は瞬く間に燃え盛り始め、詰め寄ってくる野郎の中にリータのところに居たやつらも混じってくる始末。


「俺は断じて何もしてない! それ知ったのも昨日だったし家の前で別れてからは会ってなかったから!」


「別れる前は何してたんだ!」


「一緒に帰っただけだよ! あー! 助けてリータさん! ホントマジでお願い! ヘルプミープリィィィズ!!」


 ホームルーム開始前までもみくちゃにされました。

 リータさんコレ2、3回も繰り返してたのか…マジですげーわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ